仮名手本胸之鏡 上 2 一丁表
早稲田大学所蔵
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/
仮名手本胸之鏡 上
山東京伝 作
歌川豊国 画
早稲田大学デジタル図書
通油町(江戸) [蔦屋重三郎]
寛政11 [1799]
黄表紙
かゞみ の むね ほん て な か ←
鏡之胸本手名仮
しはゐのきやうげんハ
くわんぜんてう こへを
もとゝし、ものゝわきまへ
なきわらんべにも
仁義(じんぎ)五常(ごじやう)のあら
ましをしたため
且(かつ)古人(こじん)の姓名(せいめい)を
おぼへ、いにしへの
治乱(ちこん)をしるハ益(ゑき)
あれども、そ
やうあしけ
れバ、みだれがハ
し、きこゝろざしを
おこし、害(がい)もまた
すくなからず、
このさうしハ
きやうげんをかゞみのおもてとし、これを
ゑにうつし、おもてうらあわせて
てのほんいうをしらしむ、かくのごと
く、こゝろをつけてみるときハ、きやう
げんといへども、大小ゑきあるべし、
雲-顧(ノ)君-子 須(下 り)
認(テ 二)-印信(ヲ 一)為(す 上レ)真(ト)
雲顧ノ君子ハ須ベカラズ
印信ノ真ト為スヲ認ムベし
醒世(世浪浪人(せいぜい老人京傳子)
寛政十一年に未び早春 印
かなてほんむねのかゞみ
仮名手本胸之鏡
芝居の狂言は
勧進帳、声を
元とし、物わきまえ
無き童(わらんべ)にも
仁義(じんぎ)五常(ごじやう)のあら
ましを認(したた)め
且つ古人の姓名を
覚え、古(いにしへ)の
治乱(ぢこん)を知るは益
有れども、素
養悪しけ
れば、乱れ交わ
し、き志を
起こし、害も又
少ななからず、
この草子は
狂言を鏡の表とし、これを
絵に写し、表裏合わせて
手の本云うを知らしむ、如此(かくのごと)
く、心を付けて見るときは、狂
言と雖も、大小益有るべし、
雲顧ノ君子ハ須ベカラズ
印信ノ真ト為スヲ認ムベし
醒世(世浪浪人(せいぜい老人京傳子)
寛政十一年に未び早春 印
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