乱鳥の書きなぐり

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乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 4  「草紙」と「草子」と「双紙」と「冊子」 

2018年10月25日 | 草双紙:洒落本、仮名草子、黄表紙、黒本、赤本、合巻 等


 乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 4  「草紙」と「草子」と「双紙」と「冊子」 




 気がつけば、乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱が多いことに気づく。
 だいたいはわかる。感覚ではわかる。
 間違って使ってないとも思う。
 だが、その実、しっかりと内容を把握せず、日常的に使っている言葉。
 そういった言葉に気づいた時点で、これからも取り上げていこうと思う。



「草紙」と「草子」と「双紙」と「冊子」
  《「さくし(冊子)」の音変化か》
  1 漢籍・和本などで、紙を綴(と)じ合わせた形式の書物。綴じ本。
  2 物語・日記・歌書など、和文で記された書物の総称。
  3 御伽(おとぎ)草紙・草(くさ)双紙など、絵入りの通俗的な読み物の総称。
  4 習字用の帳面。手習い草紙。
  5 書き散らしたままの原稿。
  「この―、目に見え心に思ふ事を」〈枕・三一九〉
    (デジタル大辞泉の解説)


「草紙」
 紙を綴(と)じたものおよび綴じてつくった書物の総称。「草子」「冊子」「策子」「双紙」などの字もあてる。
 製本形式の一つで、粘葉綴(でっちょうとじ)、胡蝶(こちょう)綴、大和(やまと)綴、袋(ふくろ)綴など綴じ方は多様であるが、紙を重ねて糊(のり)または糸、こより、紐(ひも)などで綴じたものをいう。古代から行われていた「巻子本(かんすぼん)」(巻物)にかわって、中国では唐代(7~9世紀)、わが国では平安初期(9世紀初頭)からみられるが、空海が唐から将来した『三十帖(さんじゅうじょう)冊子』が原形と思われる。
 大きく、糊綴と糸綴に分けられるが、糊綴は「粘葉綴」といい、二つ折りにした料紙の折り目の部分に糊をつけて重ねていく方法。初めは巻子本同様、これに表紙と紐をつけてくるんでいた(『三十帖冊子』がこの形式)が、のちには表紙も糊付けした『元暦(げんりゃく)校本万葉集』や『御物粘葉本朗詠』の形となった。
 糸綴は3、4枚ずつ重ねた料紙を二つ折りにし、その折り目の部分を糸で綴じるが、その形態から「胡蝶綴」「襲(かさ)ね綴」などとよぶ。『関戸本(せきどぼん)古今集』『元永本(げんえいぼん)古今集』などがこれで、平安中期以降もっぱらこの技法が用いられた。『一条摂政(せっしょう)集』などにみられる「大和綴」は、重ねた料紙の背に近い部分に二ないし四か所錐(きり)で穴をあけ、こよりまたは紐で綴じたもので、簡便な仮綴から始まった形だが、しだいに表紙や紐がりっぱになっていった。「袋綴」とは、料紙を二つ折りにして重ね、表紙と裏表紙をつけて糸で四か所綴じる形式をいう。綴じ穴が四つあるところから「四つ目綴」ともよばれる。中国の明(みん)代(14~17世紀)の製本形式が室町時代にわが国に入り、江戸時代に流行した技法である。[植村和堂] (日本大百科全書 ニッポニカ)
 
 なお「そうし」ということばは、古くは物語、日記、歌書などの和文で記された書物(例『枕草子(まくらのそうし)』)を、近世では御伽(おとぎ)草子、草双紙、絵草紙のように、絵本や挿絵入り小説本の総称、あるいは字を習うための手習草紙をさすなど、さまざまに用いられている。[小川乃倫子] (日本大百科全書 ニッポニカ)


さう-し 【草子・冊子・草紙・双紙】
  名詞
  ①とじ本。帳面。▽紙をとじて作った本の総称。
  出典枕草子 御前にて人々とも
  「この紙をさうしに作りなどもて騒ぐに」
  [訳] この紙をとじ本に作ったりして騒いでいるうちに。
  ②書物。本。▽物語・日記・和歌の書物など、仮名書きの書物の総称。
  出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
  「古今のさうしを御前(おまへ)に置かせ給(たま)ひて」
  [訳] (中宮は)『古今和歌集』の書物をお手元にお置きなさって。
  ③絵草紙。草双紙。▽室町時代以降の絵入りの通俗的な読み物の略称。
  出典丹波与作 浄瑠・近松
  「さうしにある絵で見たよりはよい女房」
  [訳] 絵草紙にのっている絵で見たのよりはよい女。
  参考「さくし(冊子)」のウ音便という。
       (学研全訳古語辞典)


 乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 1 「引歌」と「本歌取り」
 乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 2「影印」と「印影」、「影印本」(景印本、影印)と「覆刻本」
 乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 3 丈(じょう )と 丈(たけ)
 乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 4  「草紙」と「草子」と「双紙」と「冊子」


 2012  第6回 中世の書物3 お伽草子〈本〉と〈草〉 橋口 侯之介   成蹊大学



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