Lo spazio bianco 空欄
監督 フランチェスカ・コメンチーニ
もう亡くなってしまったが、映画監督ルイジ・コメンチーニの3人の娘たちは、女性にして、二人が映画監督、一人が舞台芸術家になった。
「自分の人生の中で一番素晴らしいと思う作品は?」と聞かれたら、「3人の娘たち」と答えそうな気がする。。。。
親の職業が弁護士や医者だと、つい息子も娘もと願うのが世の常だと思うが、なれなくても、なってくれなくても元気で幸せでいてくれれば、と思いつつ、やはり、実際にパパ・コメンチーニのように、3人ともが願う道に進んでくれたのは、至福以外の何物でもないだろう。
昨年は、一番上の娘(クリスティーナ)の作品「ラテン・ラヴァーLatin Lover」がとても面白かったが、これは真中の娘(フランチェスカ)の2009年の作品。
タイトルの「Spazio bianco」は「白い空間」という意味で、映画の内容からして、空間的なものを表しているのかと思ったが、最後のセリフから一応「空欄」のことだとわかる。
ただ、もちろん、何か 白い空間のようなものも掛けて表している。
主役はイタリアの大御所女優、私の大好きなマルゲリータ・ブイ。
演技派。
今は50を過ぎているが、当時はまだ40代。
役柄としては、40をちょい過ぎたところ。
若干、役柄より年を取りすぎている感はあったが(髪を下ろしていると若く見えるが、束ねてしまうとやはり年が出る。。。)、演技派を買ったのだと思う。
ナポリに住むマリアは、夜間学校(通っているのは大人ばかり)の先生。かなり真面目で優秀な、生徒たちから好かれている先生。親も無くし、親友の男性の友人は一人いるが、一人で暮らしている。夜はディスコで踊るのが好き、夕方は映画館に一人で通う。
ある日、幼子をベビーカーに乗せて、映画を見に来た男性がいた。
映画の途中で赤ちゃんが泣き出し、鳴き声が気になるマリア。
しかし、結局はその男性と恋に落ちてしまう。
そして、40を過ぎてはいたが、妊娠。
男性は、新しい子供の誕生を拒否、仕方なく、マリアは一人で産んで一人で育てる決心をする。
ところが、妊娠6ヶ月で早産。
保育器に入れられて育てられている、生き延びるか、それとも死んでしまうかわからない我が子と毎日を過ごすために、仕事も休み、毎日病院に通う。
病院には、同じように保育器に入られた我が子と毎日を過ごす母親が数人いて、他のみんなより格段年を取っているのだが、だんだんと交流が芽生える。
ナポリの、下町風の、汚い(ごめんなさい)言葉を使う母親の一人が、素晴らしい助演。
そう、保育器を「白い空間」に見立て、マリアの心の中を同じく「白い空間」に見立て、そして、夜間学校の教え子たちの試験の日、「わからなかったら空欄でいいのよ」という「空欄」、がタイトル。
(生徒の中の主役男優は、ほのぼのとした感じで、大好きな男優の一人なのだが、この感じが色を添えてとてもいい)
男性にはちょっと退屈な作品かもしれないが、女性には、しっとりとした雰囲気の作品。
関係を持った男性が父親になるのを拒否することや、一人で妊娠期間を過ごすことなどに関連した、くどくどした内容をスパッと省いて、産まれた赤ちゃんとの「対話」に焦点を当てている。
授かった小さな命が、生き延びるか、果ててしまうか。
もし、同じような経験をした人がいたら、涙が出てくるだろうと思える作品。
監督 フランチェスカ・コメンチーニ
もう亡くなってしまったが、映画監督ルイジ・コメンチーニの3人の娘たちは、女性にして、二人が映画監督、一人が舞台芸術家になった。
「自分の人生の中で一番素晴らしいと思う作品は?」と聞かれたら、「3人の娘たち」と答えそうな気がする。。。。
親の職業が弁護士や医者だと、つい息子も娘もと願うのが世の常だと思うが、なれなくても、なってくれなくても元気で幸せでいてくれれば、と思いつつ、やはり、実際にパパ・コメンチーニのように、3人ともが願う道に進んでくれたのは、至福以外の何物でもないだろう。
昨年は、一番上の娘(クリスティーナ)の作品「ラテン・ラヴァーLatin Lover」がとても面白かったが、これは真中の娘(フランチェスカ)の2009年の作品。
タイトルの「Spazio bianco」は「白い空間」という意味で、映画の内容からして、空間的なものを表しているのかと思ったが、最後のセリフから一応「空欄」のことだとわかる。
ただ、もちろん、何か 白い空間のようなものも掛けて表している。
主役はイタリアの大御所女優、私の大好きなマルゲリータ・ブイ。
演技派。
今は50を過ぎているが、当時はまだ40代。
役柄としては、40をちょい過ぎたところ。
若干、役柄より年を取りすぎている感はあったが(髪を下ろしていると若く見えるが、束ねてしまうとやはり年が出る。。。)、演技派を買ったのだと思う。
ナポリに住むマリアは、夜間学校(通っているのは大人ばかり)の先生。かなり真面目で優秀な、生徒たちから好かれている先生。親も無くし、親友の男性の友人は一人いるが、一人で暮らしている。夜はディスコで踊るのが好き、夕方は映画館に一人で通う。
ある日、幼子をベビーカーに乗せて、映画を見に来た男性がいた。
映画の途中で赤ちゃんが泣き出し、鳴き声が気になるマリア。
しかし、結局はその男性と恋に落ちてしまう。
そして、40を過ぎてはいたが、妊娠。
男性は、新しい子供の誕生を拒否、仕方なく、マリアは一人で産んで一人で育てる決心をする。
ところが、妊娠6ヶ月で早産。
保育器に入れられて育てられている、生き延びるか、それとも死んでしまうかわからない我が子と毎日を過ごすために、仕事も休み、毎日病院に通う。
病院には、同じように保育器に入られた我が子と毎日を過ごす母親が数人いて、他のみんなより格段年を取っているのだが、だんだんと交流が芽生える。
ナポリの、下町風の、汚い(ごめんなさい)言葉を使う母親の一人が、素晴らしい助演。
そう、保育器を「白い空間」に見立て、マリアの心の中を同じく「白い空間」に見立て、そして、夜間学校の教え子たちの試験の日、「わからなかったら空欄でいいのよ」という「空欄」、がタイトル。
(生徒の中の主役男優は、ほのぼのとした感じで、大好きな男優の一人なのだが、この感じが色を添えてとてもいい)
男性にはちょっと退屈な作品かもしれないが、女性には、しっとりとした雰囲気の作品。
関係を持った男性が父親になるのを拒否することや、一人で妊娠期間を過ごすことなどに関連した、くどくどした内容をスパッと省いて、産まれた赤ちゃんとの「対話」に焦点を当てている。
授かった小さな命が、生き延びるか、果ててしまうか。
もし、同じような経験をした人がいたら、涙が出てくるだろうと思える作品。