マリー・アントワネット
ソフィア・コッポラ監督作品
主演 キルスティン・ダンスト
はい。いきなり冒頭からロックです。ロックなマリー。初めはびっくりしますが、自然と馴染むんですよクラシカルな風景に。
マリーことキルティン・ダンスト。実はあまり好みの顔ではありませんでした。ところが、輿入れのため国境でオーストリアから身に着けてきたものを全て脱ぎ捨て、フランスのものを身に着けなければならないのですが、それまではまだあどけなさが残る、野暮ったいややブサイクな少女だったのに、フランスのドレスを着て、化粧をばっちり施した途端にあら不思議!見事に姫さまに大変身~。美人ではないのですが、可愛らしい。マリーのイメージにぴったりです。青い瞳とくるくる変わる表情がとってもキュート。
ストーリーは「恋をした、朝まで遊んだ、全世界に見つめられながら」のキャッチフレーズ通り、王妃(皇太子妃)マリー・アントワネットの女の子としての普通の日常の生活を描いたという感じで、ゆるやかに美しく流れていきます。
舞台の「マリー・アントワネット」とは違い、マリーというひとりの女の子だけに焦点を当てています。映像も第三者の目を通して見ている感じではなく、実際にマリーが見ているものをそのまま見ているような独特なカメラワークで、マリーの感情が揺れるとカメラの視界もぶれたりして、リアルな感情がそのままひししと伝わるような不思議な映像でした。
そして、宮廷内では嫉妬や悪口、えげつない噂話などが日常で飛び交いますが、あまりドロドロとした醜いシーンは登場しません。国王ルイ15世の愛人デュ・バリー夫人との対決も拍子抜けするくらいあっさり決着します。
結婚して数年間、自分に指一本触れようとしないルイに対する苛立ちや焦り、むなしさをぶつけるように豪華なヴェルサイユ宮殿で、ポップなカラーの様々なドレスや靴、美味しそうなスイーツに囲まれて贅沢三昧の毎日。
他所の国から政略結婚のため嫁いだ彼女にとっては、後継者を生むことが最大の責務。皇太子が誕生しないことには彼女の立場は不安定なままなのです。そんな中で義弟夫妻に第一子の男児が誕生します。表面では祝福するもののひとりきりになった途端、部屋でしゃがみこみ号泣するマリー。その可哀想で切ない姿に胸がはりさけそう。
そんなある日、パリの仮面舞踏会にて、運命の恋人「フェルセン」に出会うのでした。なんとこのフェルセン。たいしたプレイボーイで、社交界の中でも彼と関係した女性は数知れずだそうです。ガーン、「ベルバラ」と「M.A」の紳士なイメージがガラガラと崩れ去りました。今度M.Aを観ても「あの女たらしのこんちくしょうめ」とか思ってしまって泣けないかもだわ。もーっ!
そして7年後にようやく女児が誕生するわけですが、その後なぜだか、ルイから贈られた別荘プチ・トリアノン宮殿で、それまでのきらびやかな暮らしから一転、自然素材の服を身につけ、自然や動物達とたわむれる毎日。もともとそういうものが好きなのか?それとも女性独特の移ろいやすさのせいか?女心は複雑なのです。ですが、ここでの生活は天使みたいに美しい限り。
その後、無事男の子が2人誕生し幸せな日々がずーっと続くかと思いきや、例の『バスチーユ襲撃事件』起こるわけです。それまでも暗い影が静かにヴェルサイユに忍び寄っているハズなのですが、宮殿の中はまるでそこだけ別世界のように・・・というか完全に別世界ですね。静かに優雅に時が流れているのです。
「M.A」と違い、この映画ではほとんど民衆の姿が描かれていません。マリーが宮殿の外で奇声を上げる民衆に対して、バルコニーから深くお辞儀をするのですが、登場するのはそのシーンのみ。それさえもはっきり映し出されておらず、なんとなくだけ。宮殿に乗り込むときも、ガラスが割れる音や、ドアを打ち破る音だけ。でもそれだけでも十分怖いのです。
ですが、怖いといってもやはりドロドロとした恐ろしいシーンは皆無で、パリーに護送される際も微笑する夫妻と美しいヴェルサイユの外の風景が広がるだけです。
そんなわけで、全体的な感想としてはかなり期待を裏切られたような?期待通りだったような?
劇的にストーリーは展開しませんが、わたしはこういうの可愛くて好きですねー。
途中「オマエら誰のお金でこんな贅沢三昧やってるんだよ!(怒)」というシーンもありますが、女子としてマリーに共感できる部分もありますし、どこか憎めない魅力的なマリー・アントワネットです。
女の子って今も昔も庶民も王妃も変わらないのね。という感じかな。
結婚式のシーンで踊ってるダンスがヴァンパイアの舞踏会のメヌエットのアレで笑えました。
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