戦国末期の時代の典型としての黒田官兵衛という人物がかねて好きで
好きなままに書いてきただけに、いま町角でその人物と別れて家にもどった、
というような実感である。(あとがきより)
このあとがきの締めは「町角で別れたあとも余韻ののこる感じの存在である。友人にもつなら、こういう
男を持ちたい」。帯のキャッチコピーにもなっていて、まさにあとがきまでが作品!
ということで、学生時代心酔した司馬遼太郎である。今、旬の?黒田官兵衛である。なのになのに~一冊
ずつ買っていたら置いていない本屋さんがあったりして足踏みしつつの全4巻、ようやく読破。昔なら一気
に買いそろえ夢中で3日くらいで読み切っていただろうなと思うけど、年を経た今は読み進むのがもったい
ないというか…ゆっくり味わうように読んだ。こういう向き合い方も悪くない。単に年をとって一気読みす
る瞬発力がなくなったともいえるが。
さて本題。司馬氏が一番好きな歴史上の人物は、天下をとるまでの秀吉だったとどこかで読んだ記憶があ
る(間違っていたらごめんなさい)。確かに、秀吉のことが可愛くてたまらないんだろうな~という表現に
随所で出会う。対して、この黒田官兵衛には一貫した敬意が感じられる。とにかく、品のある人物なのだ、
すべてにおいて。深い洞察力と包容力があり、分をわきまえていて底抜けにやさしい。まさに「友人にもつ
なら~」の一文がしっくりくる好人物。しかし時は戦国、彼にもそれなりに思うところもありーの、ちょっ
とやってみーの、でもご縁がなければ引き際は鮮やか…とまあ、結局は表舞台で華々しく、というキャラに
なりきれなかったところにも好感。その思考はいつもまっとうすぎるほどまっとうで、現代にも大いに通じ
るところがある。思うに、司馬氏の人生観、正義感、価値観をすべてつぎ込んで造詣された人物像なのでは
ないだろうか。彼を話の中心に据えるゆえに、戦国という複雑怪奇の時代を冷静に俯瞰できるストーリーで
もある。途中、非常にはがゆくやりきれないところがあるにしても。そしてこの時代の大クライマックス、
本能寺の変から大返しにかけてはさすがにページを繰る手が止まらなかった。結果を知っているにもかかわ
らず手に汗握るこの展開、見事である。ましてや歴史を知らずに読んだら神経がもたなかったかも。それで
も私の司馬文学のベストオブ対戦は『坂の上の雲』の連合艦隊VSバルチック艦隊のシーンで、未だにあれを
超える興奮は味わえないでいるのだけど。
ともあれ、読み手としても官兵衛、正確にはその祖父の代からの長い人生の旅路につきあった気分で、読
後もしばし余韻にひたっていたい状態。あ~おもしろかった。
好きなままに書いてきただけに、いま町角でその人物と別れて家にもどった、
というような実感である。(あとがきより)
このあとがきの締めは「町角で別れたあとも余韻ののこる感じの存在である。友人にもつなら、こういう
男を持ちたい」。帯のキャッチコピーにもなっていて、まさにあとがきまでが作品!
ということで、学生時代心酔した司馬遼太郎である。今、旬の?黒田官兵衛である。なのになのに~一冊
ずつ買っていたら置いていない本屋さんがあったりして足踏みしつつの全4巻、ようやく読破。昔なら一気
に買いそろえ夢中で3日くらいで読み切っていただろうなと思うけど、年を経た今は読み進むのがもったい
ないというか…ゆっくり味わうように読んだ。こういう向き合い方も悪くない。単に年をとって一気読みす
る瞬発力がなくなったともいえるが。
さて本題。司馬氏が一番好きな歴史上の人物は、天下をとるまでの秀吉だったとどこかで読んだ記憶があ
る(間違っていたらごめんなさい)。確かに、秀吉のことが可愛くてたまらないんだろうな~という表現に
随所で出会う。対して、この黒田官兵衛には一貫した敬意が感じられる。とにかく、品のある人物なのだ、
すべてにおいて。深い洞察力と包容力があり、分をわきまえていて底抜けにやさしい。まさに「友人にもつ
なら~」の一文がしっくりくる好人物。しかし時は戦国、彼にもそれなりに思うところもありーの、ちょっ
とやってみーの、でもご縁がなければ引き際は鮮やか…とまあ、結局は表舞台で華々しく、というキャラに
なりきれなかったところにも好感。その思考はいつもまっとうすぎるほどまっとうで、現代にも大いに通じ
るところがある。思うに、司馬氏の人生観、正義感、価値観をすべてつぎ込んで造詣された人物像なのでは
ないだろうか。彼を話の中心に据えるゆえに、戦国という複雑怪奇の時代を冷静に俯瞰できるストーリーで
もある。途中、非常にはがゆくやりきれないところがあるにしても。そしてこの時代の大クライマックス、
本能寺の変から大返しにかけてはさすがにページを繰る手が止まらなかった。結果を知っているにもかかわ
らず手に汗握るこの展開、見事である。ましてや歴史を知らずに読んだら神経がもたなかったかも。それで
も私の司馬文学のベストオブ対戦は『坂の上の雲』の連合艦隊VSバルチック艦隊のシーンで、未だにあれを
超える興奮は味わえないでいるのだけど。
ともあれ、読み手としても官兵衛、正確にはその祖父の代からの長い人生の旅路につきあった気分で、読
後もしばし余韻にひたっていたい状態。あ~おもしろかった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます