祖父から老醜という印象を受けたことがない。年齢に不相応な欲望がどこかに残っていると、
それが老醜となる。祖父にはそれがなかった。
私が星新一の読書記録をあーだこーだ書いているのを読んだ友人から、すすめられた本。さすがに絶版
で、昭和49年の初版本を入手。意図不明の傍線がひいてあるのに閉口しつつも、しみじみと読んだ。
ご本人の日記をベースに星氏の解説、周囲の人の手記と追悼(時には幼少の星氏自身の日記も)を挿入
して、幕末から明治、大正、昭和を生き抜いた解剖学者、小金井良精の生涯を丁寧にたどったもの。さま
ざまなエピソードで章立てされているために、年代が前後して混乱することもあったが、それも故人の人
となりを印象強く伝えるに最適の構成法だったかもしれない。余分な装飾のない文章で淡々と事実を追い、
それゆえに深い余韻を残す展開は、さすが星新一。そうして浮き彫りにされた小金井良精という人は、ひ
とことで言うなら古き良き日本人の品格を備えた人。勤勉にして謙虚、慈愛に満ちるが情には流されない。
誰もが尊敬できる、学究の人だったのだろう。それでいて、可愛いところも多々あって。
感情移入を誘うような表現はほとんどないにもかかわらず、この人の存在そのものが愛おしくて、長い
生涯を追っていくうちに、まるで身内のような感覚になってしまった。それゆえに最後に近づくのが悲し
く、読み進むのが辛かった。しかも去り際までこの人らしく、見事なのである。まさにあっぱれな生涯。
いい本を読ませてもらったなあ、という清々しい感動。
でもって、星新一の父親にも興味がわいた。それを書いたものもあるようだし…やっぱり今年のテーマ
は星新一なのか!?
それが老醜となる。祖父にはそれがなかった。
私が星新一の読書記録をあーだこーだ書いているのを読んだ友人から、すすめられた本。さすがに絶版
で、昭和49年の初版本を入手。意図不明の傍線がひいてあるのに閉口しつつも、しみじみと読んだ。
ご本人の日記をベースに星氏の解説、周囲の人の手記と追悼(時には幼少の星氏自身の日記も)を挿入
して、幕末から明治、大正、昭和を生き抜いた解剖学者、小金井良精の生涯を丁寧にたどったもの。さま
ざまなエピソードで章立てされているために、年代が前後して混乱することもあったが、それも故人の人
となりを印象強く伝えるに最適の構成法だったかもしれない。余分な装飾のない文章で淡々と事実を追い、
それゆえに深い余韻を残す展開は、さすが星新一。そうして浮き彫りにされた小金井良精という人は、ひ
とことで言うなら古き良き日本人の品格を備えた人。勤勉にして謙虚、慈愛に満ちるが情には流されない。
誰もが尊敬できる、学究の人だったのだろう。それでいて、可愛いところも多々あって。
感情移入を誘うような表現はほとんどないにもかかわらず、この人の存在そのものが愛おしくて、長い
生涯を追っていくうちに、まるで身内のような感覚になってしまった。それゆえに最後に近づくのが悲し
く、読み進むのが辛かった。しかも去り際までこの人らしく、見事なのである。まさにあっぱれな生涯。
いい本を読ませてもらったなあ、という清々しい感動。
でもって、星新一の父親にも興味がわいた。それを書いたものもあるようだし…やっぱり今年のテーマ
は星新一なのか!?
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