うりゃの映画あれこれ

貴君の好物を私も好きとは限らない。同様に私の好物を貴君は嫌いかもしれない。ひとそれぞれ。
主にレンタルDVDで鑑賞。

はじめに。

うりゃ本部での「映画あれこれ」と、 ブログ「ばちかぶり日記2」で書いたぶんを
2008年11月1日、全部このブログに移行しました。

※ すべて原語+字幕で見ております。日本語吹替の評価はしません。
※ マイナー映画や世界各国の映画をもっと見よう!! グローバル文化は「文明」であって「文化」にあらず。

アンコール!!

2014年02月01日 | 洋画 ドラマ
アンコール!! (2012年 イギリス 原題:SONG FOR MARION)

同じ英国映画『カルテット!人生のオペラハウス』はプロの音楽家たちの老後話でいささかイマイチだったが、こちら『アンコール!!』は同じ老人たちでも素人コーラス・グループの話である。
寡黙で無愛想な夫にテレンス・スタンプ。病身ながら陽気な妻にヴァネッサ・レッドグレーヴ。正反対に見える二人だが深く愛し合っている老夫婦という設定。

妻は高齢者のコーラス仲間たちと練習するのが大好き。頑固な夫はコーラスには興味がないし妻の弱った体に良くないと思っているのだが、彼女の希望とあれば車椅子を押して送り迎えし介護をする日々。そんな中、グループ『年金ズ』は国際コンテストに参加を決めるが、妻のガンが再発。『あなた、私の替わりに歌って』という妻の願いに・・・

「老後」も遠い話ではなくなった私の年齢のせいかもしれないが、不覚にも端々で泣ける。
特に変わったストーリーではないが、はしばしで泣けて、時々笑って。 
愛情表現が下手な父に反発したらしい息子との確執、ボランティアで指導する若い音楽教師などの点景も良い。それぞれの詳しい事情はほとんど語られないが、そこがまた良いのだろう。選曲も年齢に似合わぬロックやポップス曲。ラップだってやっちゃうぞ、と。

テレンス・スタンプ、名演である。
愛する妻亡き後、今までと違う生き方もしなくてはという覚悟が背中に見える。
ヴァネッサ・レッドグレープは相変わらずデカイ(身長180cm)。首太いっ。それでも美しい。



TIME/タイム

2012年08月10日 | 洋画 ドラマ
TIME/タイム  In Time (2011年 アメリカ 109分)

年を取るってことはそれほど悪いことではないと思っている。
私はダイエットが必要な体型ではあるが、髪は染めてない。特にアンチエイジングもしてない。
近頃世間では「美魔女」とやらの年齢不詳美人が流行しているが、
彼女たちはいつ「堂々たるマダム」や「毅然とした老婦人」になるのか。
いつまでもオネエサンな気でいると、そのうち「イタいばばあ」になるじゃないか。
アメリカのスター歌手マドンナは私と同じ年齢だ。スゴイよな。だけど最近は少々イタいよな。
我々もあと10年もすればオバサンではなく、バアさんだ。
先日亡くなった私の母が呆け始めた喜寿の頃、「私みたいなオバサンが。」と言ったので娘は冷酷に訂正した。
「お母さんは誰がどうみてもバアさんです。娘の私がオバサンです。」と。
母は姑を看取った後の独居暮しの間の、いったいどのへんで時を止めたのだろう・・・

いったい何の話だ。

映画「TIME/タイム」。この世界では人間は25歳で体の成長が止まる。
あらかじめ与えられた余命は1年。その数字は秒単位で腕に表示されている。
そして時間が通貨のかわりとなっている。労働や経済活動で得られるのは通貨ではなく時間。
コーヒー1杯もバス代も家賃も時間で支払う。銀行ローンも金ではなく時間を借りる。
人口抑制のため働いても働いても搾取される貧困層は持ち時間がゼロになった瞬間に死を迎える。
数百年以上の余命時間(財産)を持つ富裕層は実質的に不老不死。
設定はなかなか斬新だが、お話はアカンかった。
突っ込みどころが満載すぎて書けないほど詰めの甘い展開(笑)。

25歳以下に見える役者しか出てこないという設定から嫌な予感はしてたんだが。
つまりは
『パトリシア・ハーストがボニー&クライドになった話。』だった。
パトリシア・ハーストもボニー&クライドも知らない、若年層向けなんだ。
経験値だけはあるオバサンが見る映画じゃないんだよな。
こういう時には 「ああ、年をとると つまらんな。」と思う(笑)。

◆パトリシア・ハースト : アメリカの実在する富豪の娘。1974年左翼過激派に誘拐されたが組織に参加する。銀行襲撃などで逮捕。恩赦により仮釈放後社会復帰。
◆ボニー&クライド : 実在した強盗カップル。60年代アメリカ映画「俺たちに明日はない」のモデル。


現実と違って映画は主役2人の快進撃のまま終わるけどね。
でもその設定の社会でその方法では『富の再分配』なんて不可能だよ。


主役のジャスティン・ティンバーレイクと、ドール顔女優アマンダ・サイフリッドは悪くない。
大富豪令嬢役のアマンダは同年製作の青春ホラー恋愛映画「赤ずきん」よりイイ。(『マンマ・ミーア!』は未見。)
そして時間管理局タイムキーパー役のキリアン・マーフィー、25才より老けてるが私の好きな顔。
どこかで見たなぁと思ったら・・・・・・ええええええええーーーー!! 
『プルートで朝食を』で睫毛をパシパシさせていた美しきジェンダーな主役ですってぇ???
あれ、たった5年前じゃん。う~~~~~~ん。役者って恐ろしい。

ところで、相手の腕をにぎることで簡単に他人の『時間』を自分のものに出来るって、
どんなセキュリティー感覚よ ってコトよりも、
相手の『時間=生命』を容易に奪える設定 & 富裕層は不老不死。ってことは、
これはつまり ヴァンパイア映画なんだわサ。 んで、SF映画じゃなくてファンタジーね。
英語で『mortal』とは人間とか死すべきものの意。死なないもんは人間じゃない。
時間のやり取りがバッテリーチャージだと考えると、ロボットか(^^A;

U-25向け。(笑)


少年もの5連発。

2011年12月29日 | 洋画 ドラマ
かえるくんとマックス Kikkerdril (2009年 オランダ 75分)

夏のオランダを舞台に、6才の少年の冒険の旅を描いたほのぼの系ドラマ。
兄ヤヌスの「カエルの卵を食べないと僕は声が出なくなってしまう。」という嘘を信じたマックス。
扁桃腺手術のため入院する兄を見送ったあと、一生懸命にカエルの卵を取ろうとするが小さい体ではなかなか手が届かない。
祖母と一緒に手ぶらで見舞に行ってヤヌスに責められ、マックスは卵を探しにひとりで病院を抜けだす。
途中で知り合った「看護婦さんになりたい」少女とともに、マックスの冒険が始まる・・・

オランダの野原、牧場、植物や虫や動物たちが夏の光の中でことのほか美しい。
子供たちの無茶っぷりにハラハラするが、ラストはみんな幸せ(笑)。

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リトル・ランボーズ SON OF RAMBOW (2007年 イギリス・フランス 94分)

「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングス監督が、1982年のイギリスを舞台に2人の少年の出会いと成長を描く。
母子家庭で母が所属する教会の戒律のため、テレビや映画を禁じられて育った小学5年生のウィル。
いっぽう、同じく父がなくしかも愛のない家庭に育つ、隣のクラスの不良少年リー・カーター。
リーの家でウィルは生まれて初めて映画「ランボー」を観て、すっかりランボーに夢中になり、
リーが兄のビデオカメラで作ろうとしていた自主映画で自ら“ランボーの息子”になりきる。
そんな2人の友情も、フランスからの交換留学生の登場で関係にヒビが・・・
ウィルたちも映画製作のために、カエルの卵を探すマックスたち以上の無茶をするが、
いやぁ、無事でよかったよかった。 ウィルの母の決断もよろしい。

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ぼくのエリ 200歳の少女 Låt den rätte komma in (2008年 スウェーデン 110分)

原作小説のタイトルは「モールス」。
2010年に同じ原作から作られたハリウッド映画「モールス」より早い。
孤独な少年の切なくも美しい初恋が評判を呼んだスウェーデン発の感動ヴァンパイア・ムービー。

ストックホルム郊外の小さな町の集合住宅。母と暮らす孤独な12歳の少年オスカー。
隣の部屋に謎めいた美少女エリが父親らしき人物と引っ越してきた。
自分よりも大人びた彼女に次第に心惹かれていくオスカー。だがエリは実はヴァンパイアだった。
透明感のある切ない作品だ。設定上からホラージャンルになるけど怖くはないよ。
多少、殺戮シーンはあるけど。

邦題と日本向け編集に難点がある。
<ネタバレ>
エリの裸のシーンにぼかしが入る。実は写っていたのは股間の去勢痕らしい。
元々のエリは「少女」ではない。
邦題の副題も「200歳の少女」だから素直に少女だと思って観賞すると、この映画のどこか不思議な表現や伏線が全部ムダになってしまっている。
エリが繰り返し言う「私は普通の女の子じゃないの。」というセリフは、エリが子供でも人間でもないことだけを指しているのではないのだ。
穿って考えれば、配給会社はあえてこれを伏せる方針だったように思えるが、いかが。
原題はおそらく、ヴァンパイアは「入っていいよ。」と言われないと他人の家に入れないというエピソードから。

エリのために新鮮な血液を集めるオジサン、段取り悪すぎ、どんくさ過ぎて哀れ(泣)。
不老のエリ本人はしたたかだから大丈夫だろうけれど、オスカーはもっとうまくやろうねぇ・・・
この手のものを見るとやはり連想するのは萩尾望都の「ポーの一族」だね。

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プチ・ニコラ Le petit Nicolas (2009年 フランス 91分)

フランスで長く愛され続ける国民的人気絵本の実写映画化。
古き良き60年代のフランス。
少年ニコラは同級生からの情報で自分にも弟ができると思い込む。
さらに、弟が生まれたら自分は森に捨てられてしまうかもしれない!!!と(笑)。

なんとか両親の機嫌を取って、捨てられないようにしようと悪戦苦闘するニコラの
ハートウォーミング・ドタバタ・キッズ・コメディ。

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小さな村の小さなダンサー  Mao's Last Dancer(2009年 オーストラリア 117分)

邦題とパッケージが少年ものっぽいからここに入れておくが、宣伝に偽りあり。
少年が村にいるのはほんの冒頭だけだし、少年はすぐに青年になるから。・・・おいっ
イギリスのヒット作「リトル・ダンサー」にあやかろうとした意図がみえみえである。
参考までに英語版のパッケージ写真がこちら ↓



1961年生まれで後にアメリカに亡命した名バレエダンサー、リー・ツンシンの自伝「毛沢東のバレエダンサー」の映画化。
バレエのバの字も知らないまま人買いのように選抜され、親元から離されて北京芸術学院へ送り込まれた少年。
毛沢東と四人組の時代です。当然その後に文化大革命が来る。
私と同年代の中国人が体験した、嵐のような時代。
彼はまともなバレエを続けるために苦渋の選択をする。
青年期以後の主役をバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシプル、ツァオ・チー(中国出身)が演じるので、バレエ・シーンは見ごたえがある。



ROCK ME AMADEUS ~ファルコ 運命に翻弄されたスーパースター

2011年02月12日 | 洋画 ドラマ
ROCK ME AMADEUS ~ファルコ 運命に翻弄されたスーパースター
  Falco - Verdammt wir leben noch! (2008年 オーストリア・ドイツ 114分)

1985年にリリースした『ロック・ミー・アマデウス』が世界的大ヒットとなったミュージシャン、
ファルコの伝記映画。
オーストリアでその後もスターだったが、ご多分に漏れず薬と酒におぼれ、
1998年移住先のドミニカ共和国で自動車事故で亡くなった。享年40歳。
映画『アマデウス』のヒットにのって作られた、ドイツ語と英語によるラップ曲『ROCK ME AMADEUS』は、
近年「ギャッツビー・ウォーターワックス」のCMで替え歌で使われた名曲。
私は80年代に放送された「MTV:Music Television」をよく見ていたので、
ああ、こんな曲もあったけ。ああ、これもファルコだったのか。と懐かしく・・・(笑)。

ファルコは全米ナンバーワンになった時も喜ぶどころか
「トップに立ってしまった。次はどうしたらいいんだ。」と落ち込むような神経の持ち主だったようで、
それから考えるとファルコが音楽的に影響を受けたデビッド・ボウイなどは、
長生きしているとこを見ると結構図太いんだろう。ミック・ジャガーは言うに及ばず(笑)。
栄光と悲哀を描く伝記それ自体はさほど刺激的なものではないが、ファルコを懐かしく思う人は、見ても損はあるまい。


※ この映画で私がなにより嬉しかったのは、冒頭からグレイス・ジョーンズが登場したこと。
事故を目撃した食堂のオバチャン役なのだが、女神の強烈な存在感は健在だった。現在62才!


バティニョールおじさん

2011年02月11日 | 洋画 ドラマ
バティニョールおじさん MONSIEUR BATIGNOLE (2002年 フランス 103分)

ナチス占領下のパリ。
肉屋のバティニョールはナチに逆らう気はないが協力する気もない。
ただ、まっとうな商売をしていたかった。
ところが娘の婚約者が、隣家のユダヤ人バーンスタイン一家を密告する。
図らずもバーンスタイン家の広いアパートを手に入れてしまうバティニョール。
欲深な女房は浮かれて喜ぶが、バティニョールはうかぬ顔。
そんなところにバーンスタイン家の息子シモンが連行先から逃げてくる。
あわてて匿い、一家が本来行くはずだったスイスに逃そうと一人で奮闘するバティニョール。

主演は「コーラス」の先生役ジェラール・ジュニョ。
ジュニョ自身が製作・脚本・監督。
占領下のフランスの微妙な立場を笑いとペーソスで軽く描く秀作。

ユダヤが、ナチスが、というのはお話しの背景であり、
メインはおじさんの奮闘と子供たち(シモンと従姉妹たち)とのやりとり。
年齢のわりに賢い、こまっしゃくれた子供たちが可愛い。
ラストもよし。(実話が元らしい。)


※ がんばれ、おじさん♪♪


サベイランス

2010年12月08日 | 洋画 ドラマ
サベイランス Surveillance (2008年 カナダ 98分)

ジェニファー・リンチ脚本・監督のサスペンス・スリラー。製作総指揮は父ちゃんのデヴィッド・リンチ。
雰囲気的にはデビッド・リンチ・ワールド色満載である。しかし話の筋が・・・。

田舎町での連続殺人事件の3人の生存者。
男女2人のFBI捜査官が事情聴取するが3人の証言は微妙に食い違い・・・ってな「羅生門」的な宣伝だったが、
確かに3人とも自分に都合の悪いことは言わないが、
本当のことを描いているらしい回想映像にはなんのズレもない。
どうやら他に登場人物もいなさそうだ・・・・・
5人以外には署長をはじめとする同僚たちのみ。ってぇことは怪しいのは・・・・

FBI捜査官役にビル・プルマンとジュリア・オーモンド(老けた!!)。
役者はよく演じているが、この脚本でよく父ちゃんがGOを出したもんだ。
父ちゃんの映画のような不条理な不可解さはないが、この残虐さでは一般向けでもない。
ジェニファー・リンチの14年前の前作「ボクシング・ヘレナ」も『困ったもんだ』的映画だったけど。。。
父ちゃん、そろそろちゃんとワケのわからない新作を見せてくれーーー!!と、リンチ・ファンはボヤくのだった。


※ 署長役のマイケル・アイアンサイドって、やっぱりジャック・ニコルソンに似てるよねぇ。毒気は少ないけど。



オーケストラ!

2010年11月10日 | 洋画 ドラマ
オーケストラ! Le Concert (2009年 フランス 119分)

フランス映画だが主人公たちはロシア人。舞台も前半はモスクワ。
言語もロシア語とロシア語なまりのフランス語が大半を占める。

予告編だけの予備知識で見た。予告編は、しみじみ系のコメディというノリだったが、
いや、さすがはフランス映画。
コミカルな話に重くて哀しい話の裏打ちを忍ばせ、さらに感動のラストまで持っていってしまう。
この展開の上手さ。たいしたもんだなぁ。

アンドレイはロシア・ボリショイ交響楽団で劇場掃除夫をしている。
しかし、かって彼は天才指揮者としてタクトを振っていた。
ソ連邦ブレジネフ政権時代、「国益に反する行動」を理由に失職したまま30年不遇の人生を生きていたのだ。
ある日、支配人室を掃除中にパリ・シャトレ劇場から出演依頼のFAXが届く。
それを見たアンドレイは、とんでもない起死回生策を思いつく。
かつて一緒に楽団を追われた仲間たちを寄せ集め、ニセのボリショイ楽団としてパリ・シャトレで演奏を!!

前半は昔の楽団員たち(今は救急車の運転手、蚤の市業者、ポルノのアフレコ、などなど)を訪ねたり、
仇敵の元楽団支配人・共産党幹部を取り込んだりと、無茶なロシア出国までのドタバタ。
ニセ楽団がパリに着いても混乱は続く。公演はできるのか?
ソロ・ヴァイオリンに若いスター女性ヴァイオリニストと契約したが、なにやら彼女が知らない因縁があるらしい。
彼女の『亡くなった両親』とは誰なのか? 30年前になにが起きたのか?
そして、感動のラスト12分の『チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35』。
無茶な展開だが、音楽のちからは偉大だ。

出演はアレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、ミュウ=ミュウほか。


ブレジネフ→アンドロポフ→チェルネンコ→ゴルバチョフ→エリツィン→プーチン→メドヴェージェフ。
ブレジネフ時代は遠い昔のような気がするが、たかだか30年前なんだよなぁ。
200年続くロシア最高権力者のツルフサ法則によれば次はまたプーチンか(笑)。


※ 交響楽団や協奏曲に疎い私でも楽しめました。名曲多数。

アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~

2010年04月24日 | 洋画 ドラマ
アンヴィル!  ~夢を諦めきれない男たち~ 
Anvil! The Story of Anvil (2009年 アメリカ 81分)

メタリカなど多くの有名ミュージシャンに影響を与え、その先駆性を認められながら、
不運にも売れなかったカナダのヘヴィメタルバンド、「アンヴィル」。
レコード会社やマネージャーに恵まれず、迎合もしなかった彼らは売れなかった。
しかし、もう50代になる彼らはまだあきらめてはいなかった。
少年のころ彼らのファンだったサーシャ・ガヴァシ監督が撮ったドキュメント・ムービー。

売れなくてもあきらめない。だけど妻子ある生活は維持しなければならない。
給食配達やガテン系の仕事につきながらも、彼らは新曲を作り続けた。
ファンでもある女性プロモーターの斡旋でヨーロッパツアーに旅立った彼ら。
しかしそのツアーは悲惨なものだった。
(このへん、ビル・ナイ主演の映画「スティル・クレイジー」のリアル版。)

ついに、昔一緒に仕事をしたことがある名音楽プロデューサーの協力を得ることに成功する。
スタジオに籠もっての録音作業。たまるストレス。諍い。
やっと出来た会心の新譜だが、やはりどこのレコード会社も首を縦には振ってくれない。
しかし・・・・・・・・・・・・・・♪

ギター&ボーカルのリップスとドラムのロブの友情も泣かせる。
ガキの頃から変わらず夢を語るリップスを支え続けたロブ。
そして夫の一番のファンだという妻、援助を続ける姉たち。

映画は1984年夏の西武球場、「SUPER ROCK '84 IN JAPAN」というビッグツアーのステージ映像から始まり、
2006年・千葉幕張メッセでの「LOUD PARK 06」フェスのステージで終わる。
聞くところによると、日本のヘヴィメタ・ファンは義理堅く律儀な良いファンであるそうな。


※ つらい話だが、笑えもする。 ドキュメントとして稀有な傑作。

くたばれ!ユナイテッド   サッカー万歳!

2010年04月18日 | 洋画 ドラマ
くたばれ!ユナイテッド  サッカー万歳! The Damned United (2009年 イギリス 98分)

実のところ私、サッカー観戦(TVね。)は苦手です。
ついつい飽きてしまって、よそ見をしていると「ゴーーーーール!!」と歓声があがる。
リアルタイムでゴールを目撃したことなんて数えるほど(笑)。
ルールは“最低限”は解っているが、超々有名選手しか名前知らない。
そんな私でも、実在のサッカー監督を描くこの映画は面白かった。

2004年に亡くなった英国サッカー界の名監督、ブライアン・クラフの1967年から1974年を描く。
2部最下位のダービー・カウンティを1部リーグ優勝まで導いたクラフ監督は、
名門リーズ・ユナイテッドの名監督ドン・レヴィーに、個人的反感を抱いていた。
クラフの傲慢な野心と毒舌が災いし6年率いたダービーをクビになってしまい、
弱小クラブ、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンと契約するが、
レヴィーがイングランド代表監督に就任し監督不在となったリーズ・ユナイテッドからオファーがある。
この件で、長年コンビを組んだコーチ、ピーター・テイラーとは決裂する。
ひとりで宿敵チームに乗り込んで強引にレヴィー色を消そうとするクラフは、
選手たちの徹底的な反感を買ってしまう・・・

名補佐だったテイラー不在ではうまくいかない、クラフ監督のあせり。
かなりラフプレイだった当時のイングランド・サッカーを変えようとする先進性。
時々時間をあっちこっちして話は進む。クラフ役の主演はマイケル・シーン。


※ 第19回FIFAワールドカップもせまってまいりましたが、さてさて、どうなりますか・・・


オリンダのリストランテ

2010年02月01日 | 洋画 ドラマ
オリンダのリストランテ HERENCIA (2001年 アルゼンチン 96分)

アルゼンチン映画である。が、南米っぽさは少なく欧州っぽい。
ブエノスアイレスで小さなリストランテを経営する中年女性オリンダ。
もう店を手放そうかと悩む彼女はこのところ少々機嫌が悪い。(更年期かも)

ある日、ドイツ人青年が盗難に遭い、路頭に迷っていた。
最初は邪険にしてたが、やっぱり見るに見かねたオリンダは、店で寝泊まりさせてやることに。
故国での恋人を探すため親に逆らってはるばる南米まできた彼との日々で、オリンダは思いだす。
彼女もまたワケアリで単身イタリアからやってきた若い日のことを。
そして自分の人生を見つめ直す・・・。


※ なんとなくホッとする暖かい人間関係のドラマ。あ、料理はあまり登場せず。



インストーラー

2010年01月05日 | 洋画 ドラマ
インストーラー CHRYSALIS (2007年 フランス 94分)

フランス製の近未来サスペンス。アルベール・デュポンテル主演。

生死を問わず人間の網膜から記憶が読み取れるようになった近未来。
ユーロポール(欧州警察機構)の捜査官は連続殺人の容疑者を追っていた。
しかし、ある日発見された娘の死体からは記憶が消されていた。
一方で、女医とその娘が自動車事故にあい・・・・・

この2組がどうつながるのか中盤までわからないのが欠点。
女医のバーチャル遠隔手術もなんだか変だ。
フランス映画でよく見る、カシカシ・バシバシって感じのカンフー格闘シーンが数箇所。
画面の色もフランス特有のブルーグレー・トーンが続く。
良くも悪くもフランス人好みのサスペンスなんでしょう。

※ “攻殻機動隊”シリーズで描かれる、電脳化された人間の『記憶の改ざん』を連想する。



ラースと、その彼女

2009年11月22日 | 洋画 ドラマ
ラースと、その彼女 Lars and the Real Girl (2007年アメリカ 106分)

ライアン・ゴズリング主演のハートウォーミング・ドラマ。
ラースはとても優しい青年で同僚にも町の人にも好かれているが、
極端に内気で、同じ敷地の母屋に住む兄夫婦とさえ社交ができない。
「これではいけない。」と本人も思っている気配はあるが・・・。

ある日、ラースが兄夫婦に「ネットで知り合った友人を紹介したい。」と言ってくる。
驚き喜ぶ兄夫婦。
ところがラースが連れてきたのは、アダルト通販で買ったリアルドール(ダッチワイフ)。
ビアンカと呼んで本当の女性のように会話し世話をするラース。
「弟がイカれちまったーー!!」とパニクる兄。
「とにかく話をあわせて様子を見ましょう。」と冷静に立ち直る兄嫁(妊娠中)。
かかりつけの女医さん(パトリシア クラークソン。年増美人!!)や教会仲間に見守られ、
町をあげて、ビアンカはラースの彼女として暖かく扱われる。
幼時のトラウマに囚われていたラースはやがて少しずつ・・・。

これは一種の「おとぎ話」。ファンタジーである。
いくら田舎町だって、いや田舎町だからこそ金棒引きや融通のきかない者がいる。
現実にリアルドールを車椅子にのせて出歩いたら無事では済まないよね。
二次元の彼女なら部屋の中だけだけど・・・・(^^A;

円滑な社会生活に必要なのは「相互愛」であるという、いいお話。 おすすめ。


※ ところで、日本のリアル・ラブドールの現状だが・・・・・
ボディはともかくとして、顔の造形がスゴイのよ、最近は。
実用(?)ではなく鑑賞用として買う人も多いという。
↓ 有名な「オリエント工業」の商品。60~70万円くらい。

 クリックで拡大。(画像だけです。サイトには接続しません(笑)。)

ワンダーラスト

2009年09月27日 | 洋画 ドラマ
ワンダーラスト FILTH AND WISDOM (2008年 イギリス 84分)

公平を期すためにマドンナ初監督作品もみましょうか(笑)。
ガイの『ロックンローラ』と同じ2008年製作です。
SM調教師で稼ぐミュージシャンAK。ストリッパーで稼ごうとする金髪美人バレリーナ。アフリカの子供たちを救うために勤め先で盗みを働く薬剤師。
ルームメイト3人のそれぞれの現実と夢を描く青春もの・・・ってとこですか。
AK役のジプシーパンク・ミュージシャンのユージン・ハッツがかっこいい。
彼にほれ込んで作った映画なのかもしれない。彼以外の音楽もいいですけどね。

しかし、彼らのそれぞれの夢がかなう終盤。あまりにあっさりと安易。
天国に行きたいなら地獄経由で、というのがマドンナの堕落論だかなんだかだそうですが、
「アンタの地獄はそんなもんかいっ」 と画面にむかって言ってしまった。
あーーーーーー、でもマドンナって教会にケンカ売ってるカトリック教徒だし、脱ぐだけで地獄行きか?

まあ、悩める青年層向けですね。予告編以上のものはない。オシャレだが底浅し。


※ まだまだ体張って走り続けるマドンナ。私と同じ歳(爆)。 ま、がんばれ~~。




画家と庭師とカンパーニュ

2009年08月18日 | 洋画 ドラマ
画家と庭師とカンパーニュ DIALOGUE AVEC MON JARDINIER (2007年 フランス 109分)

フランス映画らしい穏やかな感動作。原題の意味は「私の庭師との対話」。

故郷のカンパーニュの屋敷に戻って、田舎暮らしを始めた中年の画家。
荒れた庭の手入れのために庭師を募ると、やって来たのは小学校時代の同級生だった。
裕福な薬屋の息子として育ち、パリで成功した画家とは違い、
義務教育を終えてすぐ国鉄の保線仕事につき長年勤め上げて退職した庭師。
男同士ということで、すぐに昔のように打ち解けるが、
地道に生きてきた庭師の地に足のついた考え方に、都会の画壇関係や妻とのすれ違いに疲れた画家は戸惑い、そして目覚める・・・。
画家役はダニエル・オートゥイユ。庭師役のジャン=ピエール・ダルッサンは「サン・ジャックへの道」でもいい味を出していたおっさん。

監督は「クリクリのいた夏」のジャン・ベッケル。 風景もきれい。
・・・・・・・・泣けるかも。


※ 画家の絵は途中まではあまり良くないけれど、最後の個展の絵はいい。

アストロノーツ・ファーマー/庭から昇ったロケット雲

2009年05月09日 | 洋画 ドラマ
アストロノーツ・ファーマー/庭から昇ったロケット雲
 The Astronaut Farmer (2007年 アメリカ 104分)

この作品、発売後5ヶ月目でもTSUTAYA DISCASで予約リストの1位に据えているユーザーが100人以上いるのに在庫が6枚しかなかったというシロモノ。
どうでもいいものを300枚仕入れるくらいなら、これをあと10枚くらい仕入れてもいいでしょうに。
タイトルや発売元によって仕入れ値が違うのは知ってるけどさ~。
(インディ・ジョーンズ新作の在庫は7000枚以上・・・)


一卵性双子のポーリッシュ兄弟の監督・製作作品。
個性派カメレオン俳優でアカデミー脚色賞の受賞者でもあるビリー・ボブ・ソーントンが主演。妻役にヴァージニア・マドセン。

自作ロケットで宇宙へ行こうとする男チャリー・ファーマーと家族の物語。
彼は単なる奇人変人ではなく、大学では宇宙工学を学び、NASAで宇宙飛行士の訓練を受けていたが、寸前で家庭の事情で断念したという経歴の持ち主。
宇宙への夢を絶ちがたく農場の納屋で見事なロケットを自作する。
しかし「個人の打ち上げは違法」とFBIがやってくる。
NASAも、てんからまったく認めない。

妻と子供(助手になる息子と、娘2人)が献身的に支える感動作だが、このへんはお伽噺か。なかなかねぇ・・・父ちゃんの夢にとことん付き合うのは大変でしょ。

「自殺的行為を許すわけにはいかない。」と、打ち上げを認めようとしない国家との攻防が見ものでもある。
・・・そりゃ、個人で宇宙へ行かれたら、巨大な予算を使っているNASAの面目丸つぶれだもんなぁ。
ロケットは最後には・・・・・・・・飛びますっ。(実話ではありません。)

※ チャーリー家を見張っているFBI2人組のオトボケっぷりが笑える。その片方がポーリッシュ兄弟のどっちか。