かえるくんとマックス Kikkerdril (2009年 オランダ 75分)
夏のオランダを舞台に、6才の少年の冒険の旅を描いたほのぼの系ドラマ。
兄ヤヌスの「カエルの卵を食べないと僕は声が出なくなってしまう。」という嘘を信じたマックス。
扁桃腺手術のため入院する兄を見送ったあと、一生懸命にカエルの卵を取ろうとするが小さい体ではなかなか手が届かない。
祖母と一緒に手ぶらで見舞に行ってヤヌスに責められ、マックスは卵を探しにひとりで病院を抜けだす。
途中で知り合った「看護婦さんになりたい」少女とともに、マックスの冒険が始まる・・・
オランダの野原、牧場、植物や虫や動物たちが夏の光の中でことのほか美しい。
子供たちの無茶っぷりにハラハラするが、ラストはみんな幸せ(笑)。
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リトル・ランボーズ SON OF RAMBOW (2007年 イギリス・フランス 94分)
「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングス監督が、1982年のイギリスを舞台に2人の少年の出会いと成長を描く。
母子家庭で母が所属する教会の戒律のため、テレビや映画を禁じられて育った小学5年生のウィル。
いっぽう、同じく父がなくしかも愛のない家庭に育つ、隣のクラスの不良少年リー・カーター。
リーの家でウィルは生まれて初めて映画「ランボー」を観て、すっかりランボーに夢中になり、
リーが兄のビデオカメラで作ろうとしていた自主映画で自ら“ランボーの息子”になりきる。
そんな2人の友情も、フランスからの交換留学生の登場で関係にヒビが・・・
ウィルたちも映画製作のために、カエルの卵を探すマックスたち以上の無茶をするが、
いやぁ、無事でよかったよかった。 ウィルの母の決断もよろしい。
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ぼくのエリ 200歳の少女 Låt den rätte komma in (2008年 スウェーデン 110分)
原作小説のタイトルは「モールス」。
2010年に同じ原作から作られたハリウッド映画「モールス」より早い。
孤独な少年の切なくも美しい初恋が評判を呼んだスウェーデン発の感動ヴァンパイア・ムービー。
ストックホルム郊外の小さな町の集合住宅。母と暮らす孤独な12歳の少年オスカー。
隣の部屋に謎めいた美少女エリが父親らしき人物と引っ越してきた。
自分よりも大人びた彼女に次第に心惹かれていくオスカー。だがエリは実はヴァンパイアだった。
透明感のある切ない作品だ。設定上からホラージャンルになるけど怖くはないよ。
多少、殺戮シーンはあるけど。
邦題と日本向け編集に難点がある。
<ネタバレ>
エリの裸のシーンにぼかしが入る。実は写っていたのは股間の去勢痕らしい。
元々のエリは「少女」ではない。
邦題の副題も「200歳の少女」だから素直に少女だと思って観賞すると、この映画のどこか不思議な表現や伏線が全部ムダになってしまっている。
エリが繰り返し言う「私は普通の女の子じゃないの。」というセリフは、エリが子供でも人間でもないことだけを指しているのではないのだ。
穿って考えれば、配給会社はあえてこれを伏せる方針だったように思えるが、いかが。
原題はおそらく、ヴァンパイアは「入っていいよ。」と言われないと他人の家に入れないというエピソードから。
エリのために新鮮な血液を集めるオジサン、段取り悪すぎ、どんくさ過ぎて哀れ(泣)。
不老のエリ本人はしたたかだから大丈夫だろうけれど、オスカーはもっとうまくやろうねぇ・・・
この手のものを見るとやはり連想するのは萩尾望都の「ポーの一族」だね。
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プチ・ニコラ Le petit Nicolas (2009年 フランス 91分)
フランスで長く愛され続ける国民的人気絵本の実写映画化。
古き良き60年代のフランス。
少年ニコラは同級生からの情報で自分にも弟ができると思い込む。
さらに、弟が生まれたら自分は森に捨てられてしまうかもしれない!!!と(笑)。
なんとか両親の機嫌を取って、捨てられないようにしようと悪戦苦闘するニコラの
ハートウォーミング・ドタバタ・キッズ・コメディ。
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小さな村の小さなダンサー Mao's Last Dancer(2009年 オーストラリア 117分)
邦題とパッケージが少年ものっぽいからここに入れておくが、宣伝に偽りあり。
少年が村にいるのはほんの冒頭だけだし、少年はすぐに青年になるから。・・・おいっ
イギリスのヒット作「リトル・ダンサー」にあやかろうとした意図がみえみえである。
参考までに英語版のパッケージ写真がこちら ↓
1961年生まれで後にアメリカに亡命した名バレエダンサー、リー・ツンシンの自伝「毛沢東のバレエダンサー」の映画化。
バレエのバの字も知らないまま人買いのように選抜され、親元から離されて北京芸術学院へ送り込まれた少年。
毛沢東と四人組の時代です。当然その後に文化大革命が来る。
私と同年代の中国人が体験した、嵐のような時代。
彼はまともなバレエを続けるために苦渋の選択をする。
青年期以後の主役をバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシプル、ツァオ・チー(中国出身)が演じるので、バレエ・シーンは見ごたえがある。