地方紙 社説から異論
比例削減
少数意見を封殺/政党助成金削減を
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民主党が参院選後の臨時国会で衆院比例定数80削減の法案を提出・成立させる構えをみせていることに、地方紙が「社説」で批判や疑問の声をあげています。
「比例定数削減 少数意見を封殺せぬか」の見出しを掲げたのは北海道新聞3日付。「消費税増税に向け『議員自らが血を流す』というが、乱暴すぎる。筋違いではあるまいか」「国会で民意を代表する議員の数や選挙制度のあり方は、各党の消長にも直結する。民主主義の土台にかかわる重大なテーマだ」と指摘します。
日本が小選挙区制導入の「手本」とした英国で比例代表併用を検討する動きが出ていることや、日本の国会議員数が人口比でみると国際的に多い方ではないことをあげ、「定数を削減することが直ちに国民の期待に応える道だとは言い切れまい」としています。
京都新聞4日付も、菅直人首相が「より厳しいことを(国民に)お願いするときには定数削減をしっかり実現したい」(1日)とのべたことに対し、「身を削る姿勢を示すことで消費増税への批判をかわす狙いのようだが、それではあまりにも荒っぽい」と批判。「議員数や選挙制度のあり方は議会制民主主義の根幹をなす。国民の声を幅広く反映する国会をどう実現するか。その視点を忘れないでもらいたい」とし、「急ぐべきは『1票の格差』の是正」だと提起しています。
信濃毎日新聞6月28日付は「定数削減に走るのは短絡的に過ぎる。衆院に小選挙区制が導入されてから、得票率の小さな差が獲得議席の大きな差となって現れるようになった。定数を減らせば、中小の政党が国会に議員を送り込むのはさらに難しくなる」と警鐘を鳴らしています。
河北新報3日付は「定数削減も結構だけれど」としつつ、「比較的実施しやすい比例代表に限ることは、比例に込められた多様な民意を吸い上げる機能を弱める懸念がある」としています。
東京新聞8日付は、「八〇削減しても六十億円弱程度の予算削減にとどまる」とのべ、「共産党以外の政党が三百二十億円を『山分け』しており、国会議員が身を削るなら、この方がより実質的な意味がある」と指摘。
さらに、「懸念するのは、民主党が衆院の定数を比例代表から削減しようとしていることだ」と強調。「比例定数が減れば、少数政党は議席を得にくくなる」「少数意見の切り捨てにつながるのなら見過ごせない」とのべています。
(出所:日本共産党HP 2010年7月9日(金)「しんぶん赤旗」)
民主党がたくらむ
比例80削減の危険
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参院選後の衆院比例定数80削減を声高に言い始めた菅政権・民主党。「参院で過半数をいただければ民主党だけでも議員定数の削減ができる」(枝野幸男幹事長)としており、今回の参院選で消費税増税に反対するとともに、増税の布石である比例削減を許さない審判を下す必要が差し迫っています。
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民主党案は比例限定 完全小選挙区制狙う
2009年総選挙結果で試算すると、比例定数80削減が強行されれば、民主党だけで衆院議席の68%、3分の2以上の議席を得ることになり、参院で法案が否決されても民主党単独で再議決を強行できることになります。
そうなれば、消費税増税や米軍基地押し付けなど民主党政権が進めようとしている重大問題が問答無用で通ることになりかねません。
しかも、民主党は80削減にとどまらず、衆院での完全小選挙区制を狙っています。
民主党が比例定数80削減をマニフェストに初めて掲げた03年総選挙で、当時党代表だった菅直人首相は「将来的には単純小選挙区だけの定数300もありうる」(同9月3日)と述べ、比例80削減が完全小選挙区への一里塚であると語っています。
比例定数を標的にするのはなぜか。同党の安住淳選対委員長は05年総選挙のさい、「少数政党に鼻面を引き回されて、本当に公正なのか」(同8月25日、石巻青年会議所主催の公開討論会)と発言。政権交代直後に岡田克也外相(当時幹事長)も「比例を中心にすると結局は第3党が主導権を持つことになって、かえって民意をゆがめられる」(09年9月6日のNHK討論)と、少数政党の締め出しをあけすけに語っています。
今回の参院選でも、自民党や公明党、みんなの党、三つの新党が国会議員定数削減を競い合っています。しかし、「比例定数」の削減に限定して主張しているのは民主党だけです。
「削られる」のは議員ではなく民意
民主党は「国民に厳しいこと(増税)をお願いする前に、国会議員自ら身を削る」などと、比例定数削減を合理化します。しかし、比例定数削減で「削られる」のは、国民の民意なのです。
「議員を減らして財源を削減しても、民意が反映されなくなれば元も子もない」。「朝日」6月29日付「声」欄に、高校生の投書が載りました。「(比例削減は)事実上の少数政党、少数意見の抑圧ではないのか」「国会議員を減らすと、国民の意見が国会に届きにくくなるのではないか」とのべています。
「信濃毎日」6月28日付社説は、「国会議員の数は少なければいいというものではない。定数を減らすと、声の小さな人たちの利害を国政に反映させるのがどうしても難しくなる」と論じています。
国会議員は、国民と国会をつなぐパイプです。その数を少なくすれば、民意を国会に届けるパイプが細くなるだけです。
そもそも日本の国会議員数は、衆参合わせて722人、人口10万人あたりの議員数は0・57人で、人口比で比較すれば世界でも最下位の部類に属します。人口1000万人以上の国で二院制を採用している国は世界で41カ国ですが、人口10万人あたりの下院(衆院)議員数は、日本は下から9番目の33位。G7(主要7カ国)で比較した場合でも、連邦国家のアメリカを除けば日本は最下位です。
ムダ削減を言うなら政党助成金撤廃こそ
「ムダづかいを根絶」「政治家自ら身を切る」というなら、政党・政治家が真っ先に「切る」べきは、政党助成金です。毎年320億円もの税金を日本共産党以外の政党が分け取りしています。
民主党の政党助成金の依存ぶりは他党に比べて際立ち、実に本部収入の83・6%を占めます(08年)。自民党は51・4%、公明党は18・8%、社民党は51・1%です。
支出でも民主党は選挙関係費、宣伝事業費、購読料を取るはずの機関紙誌の発行経費まで100%政党助成金を充てています。日常の活動も選挙活動も国民の税金に頼りきりの「国営政党」となっているのです。
仮に国会議員を80人減らしても、国会議員の歳費、立法事務費、秘書給与など56億円の削減にしかなりません。政党助成金320億円は、国会議員450人削減に匹敵する金額です。
巨額の税金を政党が山分けする“既得権”には一切手を触れずに、民意を反映する比例定数を削減するのは許されません。
比例削減突出提案に各党からも異論の声
比例削減を突出させた民主党案にはメディアや定数削減を主張する他党からも異論が出ています。
愛媛新聞は、「各党は国会議員の定数削減を競い合う」としたうえで、「議員削減は、民意を削る荒療治」と批判。「本来、政治は全国民がかかわるのが理想だ。1億2751万人が集まれる議場がないから、代表を国会に送る。定数を決める客観基準は人口比だ。いざ減らすとなると、人口が少ない地方の選出議員から削られる」とのべています。
また、「少数政党に不利な比例の部分だけ切るのは反対。共産党も社民党も民意があるから出てきているのだから」(自民党・石原伸晃組織運動本部長、6月26日放映の民放テレビ)、「民意を正確に議席に反映するのは比例区だ。比例区を減らすのではなく、(選挙区を全廃して)すべて比例区にすればいい」(みんなの党・渡辺喜美代表、「朝日」6月26日付)などの意見も出ています。
(出所:日本共産党HP 2010年7月3日(土)「しんぶん赤旗」)
小選挙区制 存在問う時代
比例定数削減 穀田氏が批判
CS番組
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21日放送のCSテレビ「朝日ニュースター」の「闘え!山里ジャーナル」で、菅直人首相が表明している国会議員定数の「衆院比例80削減・参院40削減」の是非をめぐって激論が交わされ、削減への異論・反論が噴出しました。日本共産党の穀田恵二国対委員長が出演しました。
「僕は反対派」という、お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太氏がキャスターを務め、「国会議員の数は本当に減らす必要があるのか」と声を上げました。
民主党の伴野豊衆院議員が「国民に負の分配をお願いすることが多い。国会議員からまず身を削れという声が出ている」と発言したのに対し、穀田氏は「国民に負担増を強いるためだという本音が出た」と強調。比例代表の削減は「民意を反映する部分を削ることだ」と厳しく批判しました。
『週刊朝日』の山口一臣編集長は、国会議員の特権が問題だと指摘。穀田氏は「特権は廃止すべきだ。例えば東京選出の議員に滞在費はいらないと私たちはずっと反対している。共産党以外、政党助成金を減らせと誰もいわない。理不尽なことが多すぎる。問題を洗いざらい出すべきだ」と応じました。
「朝日」の曽我豪編集委員は、菅首相が消費税増税を打ち出して国民の反発を招いた後で定数削減を強調し始めたことにふれ、「困ったときの定数削減だ」と批判。伴野氏は「国民受けするというところから始まったのは事実だ」と認めざるを得ませんでした。
山里氏は「(削減の)デメリットはどうか」と問いました。
穀田氏は、衆院比例定数を80削れば民主党が4割台の得票で3分の2を超す議席を独占し、参院で否決された法案も再議決できると指摘。共産党や、それより得票の少ない政党は議席をなくす危険があると述べました。山里氏は「少数政党は『ダメ出し』のプロだ。いなくなったらめちゃくちゃなことになりそう」と語りました。
さらに、NPO法人ドットジェイピーの北島優子事務局次長は「問題が出てきているのは小選挙区だ」と発言しました。穀田氏は「『政治改革』の名で導入された選挙制度(小選挙区比例代表並立制)がよかったのか検証する時代にきている」と応じ、(1)選挙制度のあり方(2)一票の格差(3)政党助成金撤廃と企業・団体献金禁止(4)高すぎる供託金(5)選挙活動の自由―などの問題を国民的に議論すべきだと主張しました。
穀田氏は特に小選挙区制について、人為的に「二大政党」の多数をつくるものだと批判。その「二大政党」が瓦解し始めている下で、国民の多様な意見を反映させる選挙制度はどうあるべきかの議論が重要だと強調しました。
「朝日」の安井孝之編集委員は「多様な民意をすくう必要がある。政権交代できればいいという時代とは違う。それにあった選挙制度とは何かを考えるべきだ」と応じました。
(出所:日本共産党HP 2010年8月23日(月)「しんぶん赤旗」)
ラジオ番組
“政治主導遠のく”
小池氏 比例定数削減を批判
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日本共産党の小池晃政策委員長は20日、ラジオ日本「マット安川のずばり勝負」に出演しました。「秋の政局をにらむ 党利を超えた政道を歩めるのか」と題して番組が進み、後期高齢者医療制度や国会議員の定数削減、日韓関係などについて1時間半にわたってリスナーからの質問に答えました。番組中もメールやファクスで共産党への質問や小池氏への激励が相次ぎ、数十通に及びました。
番組のなかで司会のマット安川氏は、菅政権について「ねじれ国会だが、しゃべるほうもねじれていることが多くて、ころころ意見が変わってくる。国民にとっては不安です」と水を向けました。
それに対し小池氏は、「民主党は野党のとき言っていたこととまったく違うことをやる。例えば後期高齢者医療もすぐにやめるんだと言って、(廃止)法案まで出して一緒になってがんばった。ところが与党になったら、すぐにはやめられないと言って、今でも後期高齢者医療制度は続いている」と指摘。「政党・政治家だったら野党のときに言っていたことを実行するのが政権交代だと思う。こんなことをやられたら国民は投票のしようがない」と語りました。
「議員の定数を減らすと政治主導がますます難しくなるという話を聞いたことがあり、不安になってしまう」とのメールも寄せられました。
小池氏は「国会議員の数を減らすと『政治主導』は本当にできなくなると思う。少なくなればなるほど国会の(無駄遣いなどを)チェックする力は弱くなっていく」と述べました。
また、「『日韓併合』は合法的であり侵略ではないと思う」との意見も寄せられ、小池氏は「過去の歴史の事実を事実として認めるところからお互いの関係が始まると思う。日本による軍事的な圧力の下で一方的に併合した。不法・不当な形で結ばれた条約だというのが私たちの立場です」と説明しました。
(出所:日本共産党HP 2010年8月21日(土)「しんぶん赤旗」)
比例定数80削減で…
民主42%の得票で68%の議席
少数政党締め出す恐れ
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菅直人首相が枝野幸男民主党幹事長らに「8月中に民主党内でとりまとめ、年内の与野党合意」を指示した国会議員の定数削減問題。衆院で比例定数を80、参院では40程度減らそうという内容です。比例定数削減はどのような事態を生み出すのでしょうか。
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いま衆院の総定数は480議席です。このうち、300議席は定数1の小選挙区で選び、残りの180議席を全国を11に分けた比例ブロックで選びます。
民主党案はこの比例部分を80削減し、定数100にしようというもの。各ブロックの定数は四国で6→3、北海道で8→4、中国で11→6、北陸信越で11→6など大幅に減り、民意を正確に議席に反映する比例代表制の長所が大きく損なわれ、大政党に有利な仕組みに“変質”してしまいます。総定数に対する小選挙区の比重は62・5%から75%に一挙に高まり、これまで比例代表で議席を得ていた少数政党が締め出されるおそれがあります。
民主党が主張する比例定数80削減がいかに民意を切り捨てることになるか。2009年総選挙結果で試算するとその害悪が浮かび上がります。
民主党は比例代表42・41%の得票率で、小選挙区も含め衆院議席の68・50%を占め、1党だけで3分の2以上の議席を得ることになります。自民党の議席占有率は比例得票率とほぼ同じ。一方、日本共産党はじめ、ほかの党は30・86%の比例得票率を得ながら、議席はわずか8%に押し込められます。
民主単独で「再議決」可能
比例定数80削減によって民主党単独で3分の2以上の議席を占める―これは何を意味するのでしょうか。
先の参院選結果、野党が参院で過半数を占め、衆院では民主党など与党が過半数を維持する与野党逆転となっています。
菅首相が「与野党が合意をしなければ法案が通らない、政策が実行できない」(7月30日の記者会見)と述べたように、政府・与党提出の法案が衆院で与党の賛成多数で可決できても、参院で野党が反対すれば法案は成立しません。ところが、図下のように、参院で否決されても、衆院で3分の2以上で再議決し、成立させることができます。(憲法59条)
07年の参院選で過半数割れとなった当時の自民・公明の与党は参院で法案が行き詰まると次々再議決を使い、海外での自衛隊の武力行使に道を開く「海賊対処」派兵法や新テロ特措法、大企業優遇減税を優先する租税特措法などの成立を強行してきました。民主党の3分の2以上の議席占有は、参院で法案が否決されても、同党単独で再議決が強行できることになります。まさに「一党独裁」です。
(出所:日本共産党HP 2010年8月1日(日)「しんぶん赤旗」)
比例削減
少数意見を封殺/政党助成金削減を
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民主党が参院選後の臨時国会で衆院比例定数80削減の法案を提出・成立させる構えをみせていることに、地方紙が「社説」で批判や疑問の声をあげています。
「比例定数削減 少数意見を封殺せぬか」の見出しを掲げたのは北海道新聞3日付。「消費税増税に向け『議員自らが血を流す』というが、乱暴すぎる。筋違いではあるまいか」「国会で民意を代表する議員の数や選挙制度のあり方は、各党の消長にも直結する。民主主義の土台にかかわる重大なテーマだ」と指摘します。
日本が小選挙区制導入の「手本」とした英国で比例代表併用を検討する動きが出ていることや、日本の国会議員数が人口比でみると国際的に多い方ではないことをあげ、「定数を削減することが直ちに国民の期待に応える道だとは言い切れまい」としています。
京都新聞4日付も、菅直人首相が「より厳しいことを(国民に)お願いするときには定数削減をしっかり実現したい」(1日)とのべたことに対し、「身を削る姿勢を示すことで消費増税への批判をかわす狙いのようだが、それではあまりにも荒っぽい」と批判。「議員数や選挙制度のあり方は議会制民主主義の根幹をなす。国民の声を幅広く反映する国会をどう実現するか。その視点を忘れないでもらいたい」とし、「急ぐべきは『1票の格差』の是正」だと提起しています。
信濃毎日新聞6月28日付は「定数削減に走るのは短絡的に過ぎる。衆院に小選挙区制が導入されてから、得票率の小さな差が獲得議席の大きな差となって現れるようになった。定数を減らせば、中小の政党が国会に議員を送り込むのはさらに難しくなる」と警鐘を鳴らしています。
河北新報3日付は「定数削減も結構だけれど」としつつ、「比較的実施しやすい比例代表に限ることは、比例に込められた多様な民意を吸い上げる機能を弱める懸念がある」としています。
東京新聞8日付は、「八〇削減しても六十億円弱程度の予算削減にとどまる」とのべ、「共産党以外の政党が三百二十億円を『山分け』しており、国会議員が身を削るなら、この方がより実質的な意味がある」と指摘。
さらに、「懸念するのは、民主党が衆院の定数を比例代表から削減しようとしていることだ」と強調。「比例定数が減れば、少数政党は議席を得にくくなる」「少数意見の切り捨てにつながるのなら見過ごせない」とのべています。
(出所:日本共産党HP 2010年7月9日(金)「しんぶん赤旗」)
民主党がたくらむ
比例80削減の危険
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参院選後の衆院比例定数80削減を声高に言い始めた菅政権・民主党。「参院で過半数をいただければ民主党だけでも議員定数の削減ができる」(枝野幸男幹事長)としており、今回の参院選で消費税増税に反対するとともに、増税の布石である比例削減を許さない審判を下す必要が差し迫っています。
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民主党案は比例限定 完全小選挙区制狙う
2009年総選挙結果で試算すると、比例定数80削減が強行されれば、民主党だけで衆院議席の68%、3分の2以上の議席を得ることになり、参院で法案が否決されても民主党単独で再議決を強行できることになります。
そうなれば、消費税増税や米軍基地押し付けなど民主党政権が進めようとしている重大問題が問答無用で通ることになりかねません。
しかも、民主党は80削減にとどまらず、衆院での完全小選挙区制を狙っています。
民主党が比例定数80削減をマニフェストに初めて掲げた03年総選挙で、当時党代表だった菅直人首相は「将来的には単純小選挙区だけの定数300もありうる」(同9月3日)と述べ、比例80削減が完全小選挙区への一里塚であると語っています。
比例定数を標的にするのはなぜか。同党の安住淳選対委員長は05年総選挙のさい、「少数政党に鼻面を引き回されて、本当に公正なのか」(同8月25日、石巻青年会議所主催の公開討論会)と発言。政権交代直後に岡田克也外相(当時幹事長)も「比例を中心にすると結局は第3党が主導権を持つことになって、かえって民意をゆがめられる」(09年9月6日のNHK討論)と、少数政党の締め出しをあけすけに語っています。
今回の参院選でも、自民党や公明党、みんなの党、三つの新党が国会議員定数削減を競い合っています。しかし、「比例定数」の削減に限定して主張しているのは民主党だけです。
「削られる」のは議員ではなく民意
民主党は「国民に厳しいこと(増税)をお願いする前に、国会議員自ら身を削る」などと、比例定数削減を合理化します。しかし、比例定数削減で「削られる」のは、国民の民意なのです。
「議員を減らして財源を削減しても、民意が反映されなくなれば元も子もない」。「朝日」6月29日付「声」欄に、高校生の投書が載りました。「(比例削減は)事実上の少数政党、少数意見の抑圧ではないのか」「国会議員を減らすと、国民の意見が国会に届きにくくなるのではないか」とのべています。
「信濃毎日」6月28日付社説は、「国会議員の数は少なければいいというものではない。定数を減らすと、声の小さな人たちの利害を国政に反映させるのがどうしても難しくなる」と論じています。
国会議員は、国民と国会をつなぐパイプです。その数を少なくすれば、民意を国会に届けるパイプが細くなるだけです。
そもそも日本の国会議員数は、衆参合わせて722人、人口10万人あたりの議員数は0・57人で、人口比で比較すれば世界でも最下位の部類に属します。人口1000万人以上の国で二院制を採用している国は世界で41カ国ですが、人口10万人あたりの下院(衆院)議員数は、日本は下から9番目の33位。G7(主要7カ国)で比較した場合でも、連邦国家のアメリカを除けば日本は最下位です。
ムダ削減を言うなら政党助成金撤廃こそ
「ムダづかいを根絶」「政治家自ら身を切る」というなら、政党・政治家が真っ先に「切る」べきは、政党助成金です。毎年320億円もの税金を日本共産党以外の政党が分け取りしています。
民主党の政党助成金の依存ぶりは他党に比べて際立ち、実に本部収入の83・6%を占めます(08年)。自民党は51・4%、公明党は18・8%、社民党は51・1%です。
支出でも民主党は選挙関係費、宣伝事業費、購読料を取るはずの機関紙誌の発行経費まで100%政党助成金を充てています。日常の活動も選挙活動も国民の税金に頼りきりの「国営政党」となっているのです。
仮に国会議員を80人減らしても、国会議員の歳費、立法事務費、秘書給与など56億円の削減にしかなりません。政党助成金320億円は、国会議員450人削減に匹敵する金額です。
巨額の税金を政党が山分けする“既得権”には一切手を触れずに、民意を反映する比例定数を削減するのは許されません。
比例削減突出提案に各党からも異論の声
比例削減を突出させた民主党案にはメディアや定数削減を主張する他党からも異論が出ています。
愛媛新聞は、「各党は国会議員の定数削減を競い合う」としたうえで、「議員削減は、民意を削る荒療治」と批判。「本来、政治は全国民がかかわるのが理想だ。1億2751万人が集まれる議場がないから、代表を国会に送る。定数を決める客観基準は人口比だ。いざ減らすとなると、人口が少ない地方の選出議員から削られる」とのべています。
また、「少数政党に不利な比例の部分だけ切るのは反対。共産党も社民党も民意があるから出てきているのだから」(自民党・石原伸晃組織運動本部長、6月26日放映の民放テレビ)、「民意を正確に議席に反映するのは比例区だ。比例区を減らすのではなく、(選挙区を全廃して)すべて比例区にすればいい」(みんなの党・渡辺喜美代表、「朝日」6月26日付)などの意見も出ています。
(出所:日本共産党HP 2010年7月3日(土)「しんぶん赤旗」)
小選挙区制 存在問う時代
比例定数削減 穀田氏が批判
CS番組
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21日放送のCSテレビ「朝日ニュースター」の「闘え!山里ジャーナル」で、菅直人首相が表明している国会議員定数の「衆院比例80削減・参院40削減」の是非をめぐって激論が交わされ、削減への異論・反論が噴出しました。日本共産党の穀田恵二国対委員長が出演しました。
「僕は反対派」という、お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太氏がキャスターを務め、「国会議員の数は本当に減らす必要があるのか」と声を上げました。
民主党の伴野豊衆院議員が「国民に負の分配をお願いすることが多い。国会議員からまず身を削れという声が出ている」と発言したのに対し、穀田氏は「国民に負担増を強いるためだという本音が出た」と強調。比例代表の削減は「民意を反映する部分を削ることだ」と厳しく批判しました。
『週刊朝日』の山口一臣編集長は、国会議員の特権が問題だと指摘。穀田氏は「特権は廃止すべきだ。例えば東京選出の議員に滞在費はいらないと私たちはずっと反対している。共産党以外、政党助成金を減らせと誰もいわない。理不尽なことが多すぎる。問題を洗いざらい出すべきだ」と応じました。
「朝日」の曽我豪編集委員は、菅首相が消費税増税を打ち出して国民の反発を招いた後で定数削減を強調し始めたことにふれ、「困ったときの定数削減だ」と批判。伴野氏は「国民受けするというところから始まったのは事実だ」と認めざるを得ませんでした。
山里氏は「(削減の)デメリットはどうか」と問いました。
穀田氏は、衆院比例定数を80削れば民主党が4割台の得票で3分の2を超す議席を独占し、参院で否決された法案も再議決できると指摘。共産党や、それより得票の少ない政党は議席をなくす危険があると述べました。山里氏は「少数政党は『ダメ出し』のプロだ。いなくなったらめちゃくちゃなことになりそう」と語りました。
さらに、NPO法人ドットジェイピーの北島優子事務局次長は「問題が出てきているのは小選挙区だ」と発言しました。穀田氏は「『政治改革』の名で導入された選挙制度(小選挙区比例代表並立制)がよかったのか検証する時代にきている」と応じ、(1)選挙制度のあり方(2)一票の格差(3)政党助成金撤廃と企業・団体献金禁止(4)高すぎる供託金(5)選挙活動の自由―などの問題を国民的に議論すべきだと主張しました。
穀田氏は特に小選挙区制について、人為的に「二大政党」の多数をつくるものだと批判。その「二大政党」が瓦解し始めている下で、国民の多様な意見を反映させる選挙制度はどうあるべきかの議論が重要だと強調しました。
「朝日」の安井孝之編集委員は「多様な民意をすくう必要がある。政権交代できればいいという時代とは違う。それにあった選挙制度とは何かを考えるべきだ」と応じました。
(出所:日本共産党HP 2010年8月23日(月)「しんぶん赤旗」)
ラジオ番組
“政治主導遠のく”
小池氏 比例定数削減を批判
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日本共産党の小池晃政策委員長は20日、ラジオ日本「マット安川のずばり勝負」に出演しました。「秋の政局をにらむ 党利を超えた政道を歩めるのか」と題して番組が進み、後期高齢者医療制度や国会議員の定数削減、日韓関係などについて1時間半にわたってリスナーからの質問に答えました。番組中もメールやファクスで共産党への質問や小池氏への激励が相次ぎ、数十通に及びました。
番組のなかで司会のマット安川氏は、菅政権について「ねじれ国会だが、しゃべるほうもねじれていることが多くて、ころころ意見が変わってくる。国民にとっては不安です」と水を向けました。
それに対し小池氏は、「民主党は野党のとき言っていたこととまったく違うことをやる。例えば後期高齢者医療もすぐにやめるんだと言って、(廃止)法案まで出して一緒になってがんばった。ところが与党になったら、すぐにはやめられないと言って、今でも後期高齢者医療制度は続いている」と指摘。「政党・政治家だったら野党のときに言っていたことを実行するのが政権交代だと思う。こんなことをやられたら国民は投票のしようがない」と語りました。
「議員の定数を減らすと政治主導がますます難しくなるという話を聞いたことがあり、不安になってしまう」とのメールも寄せられました。
小池氏は「国会議員の数を減らすと『政治主導』は本当にできなくなると思う。少なくなればなるほど国会の(無駄遣いなどを)チェックする力は弱くなっていく」と述べました。
また、「『日韓併合』は合法的であり侵略ではないと思う」との意見も寄せられ、小池氏は「過去の歴史の事実を事実として認めるところからお互いの関係が始まると思う。日本による軍事的な圧力の下で一方的に併合した。不法・不当な形で結ばれた条約だというのが私たちの立場です」と説明しました。
(出所:日本共産党HP 2010年8月21日(土)「しんぶん赤旗」)
比例定数80削減で…
民主42%の得票で68%の議席
少数政党締め出す恐れ
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菅直人首相が枝野幸男民主党幹事長らに「8月中に民主党内でとりまとめ、年内の与野党合意」を指示した国会議員の定数削減問題。衆院で比例定数を80、参院では40程度減らそうという内容です。比例定数削減はどのような事態を生み出すのでしょうか。
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いま衆院の総定数は480議席です。このうち、300議席は定数1の小選挙区で選び、残りの180議席を全国を11に分けた比例ブロックで選びます。
民主党案はこの比例部分を80削減し、定数100にしようというもの。各ブロックの定数は四国で6→3、北海道で8→4、中国で11→6、北陸信越で11→6など大幅に減り、民意を正確に議席に反映する比例代表制の長所が大きく損なわれ、大政党に有利な仕組みに“変質”してしまいます。総定数に対する小選挙区の比重は62・5%から75%に一挙に高まり、これまで比例代表で議席を得ていた少数政党が締め出されるおそれがあります。
民主党が主張する比例定数80削減がいかに民意を切り捨てることになるか。2009年総選挙結果で試算するとその害悪が浮かび上がります。
民主党は比例代表42・41%の得票率で、小選挙区も含め衆院議席の68・50%を占め、1党だけで3分の2以上の議席を得ることになります。自民党の議席占有率は比例得票率とほぼ同じ。一方、日本共産党はじめ、ほかの党は30・86%の比例得票率を得ながら、議席はわずか8%に押し込められます。
民主単独で「再議決」可能
比例定数80削減によって民主党単独で3分の2以上の議席を占める―これは何を意味するのでしょうか。
先の参院選結果、野党が参院で過半数を占め、衆院では民主党など与党が過半数を維持する与野党逆転となっています。
菅首相が「与野党が合意をしなければ法案が通らない、政策が実行できない」(7月30日の記者会見)と述べたように、政府・与党提出の法案が衆院で与党の賛成多数で可決できても、参院で野党が反対すれば法案は成立しません。ところが、図下のように、参院で否決されても、衆院で3分の2以上で再議決し、成立させることができます。(憲法59条)
07年の参院選で過半数割れとなった当時の自民・公明の与党は参院で法案が行き詰まると次々再議決を使い、海外での自衛隊の武力行使に道を開く「海賊対処」派兵法や新テロ特措法、大企業優遇減税を優先する租税特措法などの成立を強行してきました。民主党の3分の2以上の議席占有は、参院で法案が否決されても、同党単独で再議決が強行できることになります。まさに「一党独裁」です。
(出所:日本共産党HP 2010年8月1日(日)「しんぶん赤旗」)