熊本産アサリ、中国産混入=相次ぐ産地偽装、揺らぐ信頼
熊本県産アサリで産地偽装の疑いが浮上した。身近な食材のアサリだが、中国など外国産が混入している可能性が高い。ここ数カ月、アサリ以外にもウナギやイカで食品表示法に基づく是正や再発防止の指示を受けた事業者が続出。消費者の産地表示に対する信頼が揺らぎ始めた。
農林水産省の調査によると、昨年10〜12月に全国のスーパーなどで販売されたアサリの8割が熊本産として売られたと推定。同省は、このうちのほとんどで「外国産アサリが混入している可能性が高い」と判定した。調査期間3カ月の推計販売量は2485トンと、2020年の熊本県の漁獲量21トンの実に約120倍に上った。
食品表示法では、アサリについて証明できる飼育期間が最も長い場所を産地として表示する。ただ、実際には違っていても「最も飼育期間の長い産地だと言い張られると、なかなか覆すのは難しい」(関係者)のが実情で、偽装の温床との指摘がある。
熊本県によると、県のアサリ漁獲量は1977年に6万5732トンと全国の4割を占めた。その後は乱獲などで低迷。業者の多くは輸入したアサリを有明海などにまいて飼育し出荷している。その漁場は漁協が貸しており、大きな収入源だという。ただ、1日足らずなど短期間の飼育で出荷する偽装業者もいる。
外国産を仕入れた輸入業者から飼育業者や問屋へ流れる過程で産地がすり替わる流通網に問題があるとみる向きが多い。自民党関係者は「(生産から消費まで追跡できる)トレーサビリティーをしっかりすることで、信頼を回復していくしかない」と強調。熊本県八代市にある鏡町漁業協同組合の徳田司組合長は「今回の件が産地偽装をなくすきっかけになれば」と話している。
通報制度をこんなとこにも拡充すれば水際で偽装がばれるのでは?