お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

そして みんな 大きくなった

2011-08-15 | my Anthology


今日は、おとなになっても『懐かしい絵本』の数々をご紹介。 アメリカ育ちの知人たちに「子どもの時、どんな絵本が好きだった?」と聞き回ってみました。

断然の一番人気は『The Very Hungry Caterpillar』 この本が”嫌い”と言う人には、いまだ会ったことがありません。世界50カ国語に翻訳され、既に3000万部以上も売れている超ベストセラー/ロングセラーです。今でもほぼ毎分一冊売れていると聞けば、なるほど誰でも知っているはず。世界中の愛読書ですね。セレブあおむしの誕生日(出版日;1969年3月23日)にはグーグルも敬意を表しましたし、赤ちゃん用ヨーグルトのデザインにもにもなっています。

人気の秘密は、赤ちゃんあおむしが『食べた』ところに次々と『丸い穴』があいていくデザイン。「あの穴に指を突っ込んで遊んだよ」との声、多数。作者のエリック・カールが、ある日「パンチで紙に穴をあけていて思いついた」というアイデアは、世界で始めてのコラージュ絵本(1969年出版当時)になり、数々のグラフィックデザイン賞を受賞しました。

斬新なデザインというだけではありません。あおむしが、サナギになって蝶になるまでのプロセスを、幼い子にもわかりやすく描いた『科学絵本』として、イギリスの昆虫学会(Royal Entomological Society of London)から“お墨付き”をもらっています。さらに、簡潔で読みやすいテキストなのに、食べ物の名前から一週間の曜日までが無理なく盛り込まれていて実に教育的。たくさんの児童文学賞に輝いたのもうなづけますね。(ブログ記事;『にほんご、えいご、併読のパワー』)

また、バーバラ・ブッシュ前大統領夫人が米国全土の文盲撲滅キャンペーンに利用し、息子の前ブッシュ大統領が学校訪問する時には、読み聞かせに持参した絵本としても有名です。お母さんに読んでもらった絵本は「おとなになっても大好き!」というわけでしょうか?

さて、そのブッシュ前大統領は「愛読書は?」とのインタビューに『Goodnight Moon』をあげ、「大統領は絵本しか読まないのか?」とメディアに揶揄されたことで知られていますが、これはベッドタイムの読み聞かせ定番の一冊。大統領ならずとも、アメリカ人なら誰でもどこかで一度は読んでもらった経験があると言っても過言ではない人気絵本です。友人たちも「『Goodnight Moon』はよく読んでもらったなぁ」と実にみんな懐かしそうでした。

ベッドタイムの読み聞かせといえば『Bedtime for Frances』も皆が懐かしむ一冊です。「さぁ、もう寝る時間ですよ」と言われ、ベッドに入って眠りにつくまでのフランシスの行動と心象風景は、ようやくひとりで寝るようになった年頃の子どもたちから圧倒的な共感を得ること請け合い。お孫さんへの読み聞かせをシリーズでアップしているおばあちゃまのYouTube『Grandma’s Bedtime Stories』にも含まれていますので、ご試聴されてはいかがでしょうか?

パジャマパーティのベッドタイムに「歌ってはしゃいだなあ」と懐かしむ手遊び歌が『Five Little Monkeys』です。「ベッドでふざけちゃだめよ!」とお母さんがドアを閉めた途端にがばっと起きて枕を投げっこしたり、飛び跳ねたり……。遊んでいるうちに一匹ずつベッドから転げ落ちて頭を打ってしまう……というおサルさんの歌です。幼稚園のサークルタイムなどでは、全員がお猿になって、実際にベッドで飛び跳ねては、転げ落ち(る真似をし)ます。YouTubeに楽しい映像がありますのでご覧ください。

次はおなじみ『Curious George』 これも”知らない人はない”人気絵本で人気キャラクターです。数々のシリーズ絵本が刊行されて読み継がれ、テレビや映画になり、ありとあらゆるキャラクターグッズが発売され、ジョージ専門の本屋さんまで登場……とマルチな人気者。人気の秘密は、ジョージが子どもなら誰でも「一度はしてみたい!」と思っていることをやってのけるから。悪気はないのだけれど、とにかく好奇心のおもむくままの行動で”いたずら”をしてしまうジョージ。読み手はハラハラドキドキ! でも「消防車に乗ってみたい」「壁にペンキを塗ってみたい」と思わない小さい子はいないのでは? 娘と私のお気に入りは「空港の荷物受け取りのターンテーブルに乗ってしまう」お話。映画『Toy Story2』には主人公たちがジェットコースターのような速くて複雑なバゲージラインに乗って冒険する場面がでてきますが、あれもきっと制作者がジョージから得たインスピレーションでは?と考えるのは穿ち過ぎ?

続いてドクター・スース。アメリカ人は、子どももおとなもドクター・スースが大好きです。絵本が読まれているだけでなく、学校の演劇やミュージカルの題材に取り上げられたり、映画になったり、イラストを専門に取り扱うギャラリーもあります。『One Fish Two fish Red Fish Blue Fish』はたいてい誰でも読んだことがある一冊でしょう。男の子と女の子がさまざまな(時に奇想天外な)生き物に出会って、友達になったりペットにしたりするお話です。ライムが耳に心地よく、楽しんで読める絵本ですが、単純なテキストには文字を覚えるのに適したさまざまな工夫が凝らされていて教育効果も満点です。

ドクター・スースの人気のほどを示すのは、彼の作品にパロディが非常に多いこと。『One Fish Two fish Red Fish Blue Fish』もそのひとつで、子ども向けのTVアニメやゲームはもとより(シンプソンズにもポケモンにもあります)、学術出版物でさえタイトルの元ネタに使っています。例えば、National Geographic誌の2005年5月号に掲載された『One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish, Why are Coral Reefs so Colorful?』は珊瑚礁の生物に関する学術記事ですし、また、お堅いスミソニアンから刊行された『One Fish, Two Fish, Crawfish, Bluefish』と題されたおとなのための料理本は、ただのレシピ集ではなく「持続可能な環境に配慮した魚の食べ方ガイド」で、且つ漁業問題の入門書。いかにもスースのパロディ向きですね。

パロディと言えば、そんなことをしたら次々限りなく問題や要求が出てくるよ……という、時に警句的な引用で使われる絵本もあります。『If You Give A Muse A Cookie』ですが、これも、パロディ絵本が多い、人気の元ネタ絵本です。

絵本はアメリカ人の基礎教養。お子さんに読み聞かせながら、是非ご一緒に楽しんでください。




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