
頭を使えば使うほど死期が近づく奇病に罹った女性作家を描いた『SIDE A』
愛する夫を病気で失う女性作家を描いた『SIDE B』
対となる中編二編収録
『SIDE A』の方は、以前アンソロジーに収録さりれたときに感想を書いたのでこちらを参考に。
簡単に云うと作家が頭脳労働できない悲劇を書いたのかと思えば、身内への愚痴とできた旦那自慢だけで構成された不可解な作品で、特に旦那との出会いのシーンの願望充足具合と展開はありえなさすぎて笑えるという次元ではなかった。
「あ、私の書いた小説勝手に読まないで!」
「うるさい!いまいいところなんだから邪魔するな!黙らせてやる!」
壁にドーン!ぶちゅー!
「こ、これはレイプよー!(きゅ~ん)」
作家志望がいやがってるのに強引に作品を読まれたあげくハイパーべた褒めされたうえにぶっちゅ~されて被害者面しながら素敵な恋人とファンをゲットという、自分はなにも動くことなく被害者面したまますべてを手に入れたいという、プライドが高くて怠惰な頭でっかちのダメ人間の願望をそのまま描いてしまった度胸には驚嘆ざるを得ず、本当にもう気持ち悪い。その怠惰とプライドがわからないのではなく、わりとわかるだけで恥ずかしくてたまらない。
頭脳労働できなくなった作家、という題材はおいしいのにまったくそれを活かすことなく最高に恥ずかしくイライラする作品にしてくれたこの作品の対となるのが、描き下ろしの『SIDE B』
こちらの方は期待させるような特殊な設定はなにもなく「旦那が交通事故で怪我して、それは大丈夫だったけどついでにした検査で大病が見つかる」という、リアルにありがちな普通の「病気で恋人が死にました話」で、期待させない分だけマシだと云えなくもない。
しかし相変わらず願望充足丸出しというか、会社に隠して作家をやっていた女性が、社内でうわさのだれにも心を開かないイケメンが屋上で泣き顔になっているのを発見して「おれ、読書が好きで特にこの作家の作品は最高すぎて思わず泣いちゃうんです!」「それ書いたのあたし……(ポッ)」という展開を臆面もなくやれる面の皮の厚さは、もはや恐怖としかいいようがない。
あとの展開もやたらめったら旦那が主人公をべた褒めして甘やかして「おれは君を甘やかしたいんだ!甘やかさせてくれ!(キリッ)」という、旦那にキン肉バスターをかけたのちにそのまま回転してネオキン肉バスターで天井に着地したくなるようなものばかりで、そんな旦那が死んじゃってかわいそうでしょ、というだけの話であり、その話の薄さには携帯小説もびっくりだ。
とにかく旦那が主人公の作品をべた褒めするところが気持ち悪く、それでいて作品内容の褒め方が「自分のツボにはまる」とかのひどい漠然としたものばかりで、なにがどう良い作品なのかまったくわからないのがまたすごい。まったくいいと思っていなくても、相手をおだてるためだけに適当に云えばなんとかなるような褒め方ばかりなので「こいつ本当に読んでんのかよ……女とハメたいから適当によいしょしてるだけじゃねえの……」と思わせてしまう。
そのよいしょに対して「作家を殺すにゃ刃物はいらぬ。甘い言葉があればよい」などと真に受けていい気持ちになってるんだから、この女のチョロさは半端じゃない。自己愛がつよすぎてめんどくさいわりには、そこさえくすぐってやればすぐ堕ちて簡単に操作できるという、めんどチョロ女の極みのような主人公だ。
そんな主人公がどうみても作者そのものであり、「自分よりも好きな作家がいる男とはつきあえない」とまで思うにいたっては作者の自己愛に戦慄せざるを得ない。そりゃまあ自分の作品が一番と心のどこかで思っていないと創作なんてつづけてられないかもしれないけど、そんな堂々と云えることじゃないよホント……どれだけ自分大好きなんだよ……ここまで堂々とした自己愛性人格障害、ほかに清春さんくらいしか聞いたことないよ……新しく飼いはじめた子猫に旦那がかまっていたら即嫉妬ってなんだよ…子猫は一緒に可愛がれよ……旦那もそれをすぐ察して後ろから優しく抱きしめるってなんだよ……プロヒモかよ……気持ち悪いよ……もう勘弁してよ……
そんな話が実話だとほのめかして終わるんですが、それを書いたら野暮なんじゃないか? でもそれ書かないとオチもなにもない気持ち悪いだけの話になるし、え、いったいどうすればいいのこの話? 作者が「私はめんどくさいチョロ女です。文句は云うな!従え!愛せ!」と宣言するためだけの話なの?
こわい……怖いよ……そんな宣言になってしまっていることに気づいてないで、泣けるいい話だと思ってそうなのが怖いよ……
つうか自己愛の異様に強い非モテで男性名とも女性名ともとれるペンネームのベストセラー作家と、その嫁をひたすらよいしょするだけの旦那って、気のせいかぼく、そんな作家夫婦を十五年間くらい観察してた気がするんですけど、気のせいですかね……前々からうっすらと察していたけど、有川先生はあの人の再来なんですかね……やたら読みやすく執筆速度がはやく中身はうすく恋愛脳で自己愛とめんどくさい思考はてんこ盛りって、やっぱりあの人とおなじですよね……だからぼくはむしろ反発するんですかね……やだわ……怖いわ……
そしたら雑誌のサイゾーで有川先生の中傷記事が書かれていて、主な内容が「編集者泣かせで新人を自分よりプッシュするとキレる」「旦那が無職」とからしくて、なんかもういろいろと「はわわ……はわわわわわ……」という気持ちになったよ……
今年のコンビーフご飯の日まであと二週間ちょっとか……この歳になるとあれは辛いわ……
![]() | ストーリー・セラー |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
今岡さんとは当時どうだったのか 知りたくなったくらい。(栗本先生の 転移 を最近再読したので今岡家が気になって・・)
有川先生が演劇集団(て名前もめんどくさい自意識ですが)キャラメルボックスに妙に色気出して
脚本を送りつけて上演させたり対談したりした事件。
うなぎさんのSIDEAのレビューを読んだ直後に見たので
有川先生のいけずうずうしさに
ガチブルでした。
有川先生は栗本先生より
地の文もあっさりだし
女を素直に受け入れてるし(時代が女性に優しいからか?)
題材もほっこり系やし流行ってるしで
まったくキモ作家どころか
善人作家としか思われてないのが個人的には腹が立ちますね。
うまくやってんな~!阪急電車だって十分異臭立ちこめてたけどなぁ。と。
自分も自意識強いうえにすぐ転ぶタイプの人間なのでほんと一々刺さりますね・・。
うなぎさんのレビューはほんと
ハイビジョンのように隅々まで冴えてて
しかもオモシロイので
こちらもコメント書くのが
あ~こんな悲惨な文章力 洞察力で書いていいのかと
へこみつつ・・TRYしてます。
頼りになるナビゲーション
いつもありがとうございます!
まんま取り入れてるわけでもなく
正直ゲームもしないし
ラノベもあまりよまんのですが
「転移」と「風雨来記」などのFOGゲーは
こちらのサイトを見てなかったら決して
我が家になかったものです。^^
最近はレビュー書くのが面倒なのと
そもそもあんまり本読んでないのとで手抜きがちですね
まあもう自分もみんなもあきてるからブログはいいんじゃないかな……
有川先生に関しては、なんか最近、コメントがつくのが有川先生関連の記事ばっかりで、有川先生の人気に戦慄してきたのでノーコメントで……
でもよりによってなぜ風雨来記……
るるぶは買いたくないという心境だったので・・
オタクらしくゲームでもすっぺかと。あずみをするためだけに買われたPS2もまだ捨ててなかったし。
一応3人ともクリアしましたよ。
しかし、面倒・・
ネタ不足・・
タダで読んでせかすのも
なんなのですが
またマイペースに更新してくださいね
リアルタイムではみれないかもしれませんが
うな風呂は私にとって、
学校の近くのおいしいコロッケのある肉屋さんみたいな・・
いっつもそこで食べてるわけでもないけど
折々に思い出して、通いたくなる。期待を裏切らない
味に
人を連れて行きたくなるようなそんな場所なので・・
だが面倒なときは面倒という。
そんなうなぎでありたい。
いやまあ、普通にけっこう忙しいんですけどね(ゲームはしてるけど)
良かったですね!