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後見制度支援信託

2016-05-26 | 家事
「後見制度支援信託」利用6500件超 昨年、過去最多


「専門職を信用していないのか」 と 言ったところで

多分 そうです。

と答えられるのが関の山だろう。

さて、専門職後見人で支援信託まで指示されるケースがあるのだろうか?



産経新聞の記事からです。

※引用

「後見制度支援信託」利用6500件超 昨年、過去最多

 認知症などで判断能力が低下した高齢者らに代わり財産管理などを行う成年後見制度の不正防止のため、後見人の財産管理を支援する「後見制度支援信託」の利用が昨年、6500件を超え、史上最多を大幅に更新したことが25日、最高裁の調べで分かった。最高裁は「利用は後見人の負担減につながる。積極的に活用してほしい」としている。

 支援信託は平成24年2月に開始。最高裁によると、同年の利用は98件と低調だったが、25年は540件、26年は2764件、昨年1年間は6563件と急増が続く。昨年、信託された財産は約2109億円で、制度開始以来の累計総額は約3363億円に及ぶ。

 支援信託では、高齢者らが家庭裁判所の後見開始決定を受けた後、専門職後見人に指定された弁護士や司法書士らが資産状況を確認。生活費などの収支計画や、銀行へ信託する財産について家裁に報告書を提出する。その後、家裁が許可すれば信託銀行と契約する。

 契約後、財産管理は基本的に親族後見人に引き継がれ、銀行側から後見人に毎月、契約に基づく生活費などが一定額交付される。まとまった額の引き出しや財産の追加、解約などは、新たに家裁の許可が必要。ただ、家の修理など緊急時には、家裁が即日で引き出しを許可することもある。

 成年後見の透明性を確保し、財産管理の負担減につながるとして開始したが、課題も残る。まずは支援信託の利用がほぼ親族後見人に限られていることだ。過去最多を記録した昨年の成年後見申し立て3万4782件のうち、保佐などを含む後見人に占める弁護士や司法書士といった専門職の割合はほぼ半数。しかし、専門職後見人の支援信託利用は、弁護士を中心に「専門職を信用していないのか」と反発が強く、利用は進んでいない。

 ただ、成年後見人全体の不正は26年の831件(同56億7千万円)から、昨年は521件(同29億7千万円)と減少した一方、専門職の不正は26年が22件(同5億6千万円)、昨年は37件(同1億1千万円)と一定数発生し、専門職への疑念はくすぶる。あるベテラン裁判官は「一部の不正で、業界全体が疑惑の目を向けられる。利用が進めば専門職の信頼も高まる」と指摘する。

 また、支援信託に対応した銀行も少ない。利用できる銀行は信託大手4行のみで、開始以降の新規参入はゼロ。主に地方在住の高齢者や親族が「使い慣れた金融機関を利用したい」と、信託支援の利用を避ける場合もあるという。

 最高裁は「利用できる銀行が拡大すれば、制度浸透も進む」とみている。しかし、元本保証の信託を扱えることが条件の上、不正引き出し防止のためのシステム構築など初期投資が必要とみられ、参入のハードルが高いとの指摘もある。全国の信託銀行で作る信託協会(東京都千代田区)は「高齢化が進む中、成年後見への注目度は高い。制度が広がるよう検討したい」としている。



 後見制度支援信託

 成年後見制度の財産管理を容易にするためのもので、本人や後見人が家裁の許可で信託銀行と信託契約を結び財産(金銭)を預ける。信託銀は財産から後見人が管理する口座に本人の生活費の定期的交付や、臨時支出のための一時金交付を行う。家裁の許可がなければ交付や契約の変更、解約はできない。成年後見では、認知症などで物事を判断する能力が十分でない成人のために、家裁が選任した親族や弁護士らが後見人として財産管理を担うが、後見人による不正が社会問題化している。


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2 コメント

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雑感 (山住真一郎)
2016-06-01 04:12:49
>また、支援信託に対応した銀行も少ない。利用できる銀行は信託大手4行のみで、開始以降の新規参入はゼロ。
信託銀行は「一行、二行…」ではなく「一社、二社…」と数えるのかどうかはともかく、
兼営信託金融機関がこれだけあって、
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kenei.pdf
信託契約代理店がこれだけある状況。
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/sintaku_a.pdf
手数料収入がみなしボランティア並みに少ないのか、紙媒体でのやり取りで煩雑なのかは知らないが、この制度自体は良いと思う。
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追記 (山住真一郎)
2017-06-13 20:26:21
■後見制度支援信託に並立・代替する預貯金の管理・運用方策
<前略>
取り扱っている金融機関の店舗数の少なさが指摘されており、店舗数の多い金融機関に対して、当該信託に並立・代替する新たな制度の検討が期待されている。
<後略>
http://www.fsa.go.jp/common/ronten/201705/01.pdf
http://www.fsa.go.jp/common/ronten/index.html
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