弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

業務の中から・・報道を見て・・話題を取り上げます。

京大・熊野寮 入寮パンフ「ハラスメントの加害者にならないために」

2020-04-02 | コンプライアンス
Yahoo!の記事に素晴らしい記事がありました。

ほぼそのまま、あらゆる組織で使えそうですね。
6. 特に会社は仕事の場です。出会いの場所ではありません。
と変更すれば、一般企業でもだいじょうぶですね。

作成の動機目的の取材コメントも的確です。
※ 引用
2015年に合同イベントにおいて熊野寮生によるハラスメント事件が発生しました。当たり前のことですが、取り返しのつかないことが起きてからでは、取り返しがつかないということを学びました。全寮規模の予防的なアプローチが必要だと痛感しました。それはハラスメントを防ぐというそのままの目的のためでもあり、同時に、もしハラスメントが起きてしまった場合に、被害者や目撃者が声を上げやすくするためでもあります。

★取り返しのつかないことが起きてからの後ろ向きの作業は途方もないコストが生じます。

作成において難しかったこともあらゆる文章作成に生かせそうです。
※ 引用
 全寮規模に広めていく過程で、そして『ハラスメント加害者にならないために』を執筆する過程で気をつけたことは、わかる人にだけわかる文章にはしないということです。もちろん、ハラスメントについての詳細な言語化も必要です。これは学習会等で行いました。今回、大切にしたことは「一瞬しか読まれないもの」にどれだけエッセンスを溶かし込むか、ということです。

★ わかる人にだけわかる文章にはしない
  準備書面作成でも必要ですね。わかりやすい説明が必須です。   

※ 引用                  
 悪意を持ってハラスメント行う人は、この文章を読んでも行動を改めてくれないかもしれません。この文章はその意味では被害を減らす役に立たない場合もあると思います。でも、こういった文章があちこちの媒体に載ることで、被害者や心ある人が声をあげやすい雰囲気作りに寄与することができれば、巡り巡って社会全体のハラスメントを減らしていくことはできると思っています。この文章がその一助になったらうれしいと思っています。
★ 行動を改めてくれない人の存在を前提として社会全体への波及効果まで考えているところがすごい。


※引用
■『ハラスメント加害者にならないために』(全文)

1.人の体にはさわらない。
 「同性同士のボディタッチは友情の証」、「異性へのさりげないボディタッチはモテるコツ」とか思っていませんか? それ、ハラスメントです。やめましょう。

2.共用スペースでは下ネタ・猥談はしない。
 下ネタ・猥談は不快になる人がいます。またある種の「男性ノリ」をその場にいる全体に強要することになります。

3.人の容姿、私生活を評価することを言わない。
 ブスいじり、デブいじりなどなど、すべてやめましょう。人の体はその人のもの。ほかの人がとやかく言ったり評価したりすることではありません。

4.「女性/男性はこうである」など性別によって人のあり方を決めつけない。
 「女の子なのに化粧しないの?」とか「男性が奢らなきゃ」とか思ったことはありませんか? でも性別にかかわらず自分の生き方は自分で決めるもの。

5.怒られない雰囲気に甘えない。
 友だちとの会話の中で、ゲイいじり/デブいじり/不謹慎ネタ等で笑いが取れたとしても、絶対に調子に乗らないこと。周囲の人はいやな思いをしているのに、その場に合わせてニコニコしているだけかもしれません。

6.大学生には彼氏/彼女がいて当たり前と思わない。
 「恋人欲しい!」と思って気になる人にグイグイいくと、相手はけっこう怖いかも。特に熊野寮は生活の場です。出会いの場ではありません。

7.もし「それ問題だよ」と指摘されたら
 「意図」で反論しない。相手を傷つけてしまったり不快にさせてしまった場合、あなたがどのような意図でそれをおこなったかは全く関係ありません。自分の行動の何を問題だと指摘されているのか、まずは丁寧に聞きましょう。



危機管理広報    ナベプロと吉本

2019-07-03 | コンプライアンス
弊社のコンプライアンスに関する取組み及び弊社所属ザブングルに対する対応について

コンプライアンスの観点から配慮すべき観点がよく分かります。

ナベプロの書面の構成
1 お詫び
・謝罪
・再度の謝罪
・被害者配慮
・事務所の責任
2 コンプライアンス体制の強化
・これまでの取組み
・ザブングルに対するフォロー
・他の社員を含めたコンプライアンス体制強化の具体策
3 ザブングルに対する弊社の対応
〇ダメージコントロール
・税務処理 修正申告
・被害者団体への返金
〇ザブングルの現在と今後
・ザブングルの意思
・会社とザブングルの具体的な取り組み
・会社の宣言
・謹慎期間の明記

★★  ポイント
「現在、世間の人々が吉本興業に求めているのは、「企業の姿勢を見せる」ことではなく、ナベプロが見せたような「騒動の具体的な内容を明らかにし、謝罪先を明確にする」こと。「企業の姿勢を見せる」前にすべきことをしていないから、イメージは回復せず下がり続けているのです。つまり、現在の明暗を分けたのは、ナベプロが世間や被害者に向けた対応をしているのに対して、吉本興業は自社や取引先に向けた対応をしているから。」

東洋経済オンラインの記事からです。
※引用
ナベプロと吉本「闇営業対策」で明暗分けた大差

 7月1日、ワタナベエンターテインメント(以下、「ナベプロ」に略)は、反社会的勢力への闇営業問題で謹慎中のお笑いコンビ・ザブングル(松尾陽介さんと加藤歩さん)への処遇を改めて発表しました。

 その書面は実に適切なものであり、まさにクライシス・コミュニケーション(危機管理広報)のお手本。書くべき内容がしっかり書かれていたことで、吉本興業との明暗がはっきり分かれているのです。

 ナベプロの書面はどんな内容で、吉本興業との差はどこにあるのでしょうか。
■世間の人々を納得させるコンプラ対策

 書面は、「1.お詫び」「2.コンプライアンス体制の強化」「3.ザブングルに対する弊社の対応について」の3項目に分ける形式を採用していました。
 まず「1.お詫び」では、「特殊詐欺グループとされる反社会的勢力が主催する会合に所属タレントのザブングルの両名が参加した件につきまして、関係各位、ファンの皆様に多大なるご迷惑をお掛けしましたことを、改めまして深くお詫び申し上げます」と、あらためて騒動を謝罪。
 続けて、「当該詐欺行為の被害に遭われた被害者の皆様に対して大変申し訳なく、所属芸能プロダクションとして、両名がとった軽率な行為に対し、その責任を大変重く受け止めている次第です」という被害者配慮と事務所の責任に言及しました。“再度の謝罪”“被害者配慮”“事務所の責任”という重要なポイントを冗長にならず簡潔にまとめた序盤の文章は、そつのないものだったのです。
 次にふれたのは、「2.コンプライアンス体制の強化」。
 真っ先に書かれていたのは、「警察関係者や顧問弁護士等からの協力を得てコンプライアンスに関する説明資料を作成しており」「日頃より所属タレント及び社員に対して、コンプライアンスを徹底して参りました」「会社を通さずに、個人的にパーティーの司会などの仕事を請け負うと、知らないうちに反社会的勢力に接触してしまう可能性があること等も明記し注意喚起しておりました」など、これまでの取り組み。
 そのうえで騒動を起こしてしまったザブングルに対しては、「弊社の指導と共に既に警察庁出身でコンプライアンスを専門とする弁護士によるサポート、アドバイスを受け、両名のコンプライアンスの意識をより高め、徹底させるように致しました」と会社としての素早いフォローを明かしました。
 さらにこれだけでは終わらせず、他の所属タレントや社員に対しても、「今一度コンプライアンスの意識を徹底させるべく、現在、上記のコンプライアンスを専門とする弁護士をはじめ、警察関係者も含めた弊社の社内セミナーを実施するよう調整中で、そのセミナーの内容等に関し、近日中に警察関係者と打ち合わせを行います」と宣言。専門家を取り込むことで質を高め、存在を明記することで信用性を高めようという意図がうかがえました。
 コンプライアンス対策で大切なのは、問題が起きないようにすることだけではありません。世間の人々に「ここまでやれば問題は起きにくいだろう」「もし何か起きたとしたら、よほど個人に問題があるのでは?」と思わせるほどの具体的な強化体制を示しておくことも重要なのです。

■人々が知りたかったギャラと税申告に言及
 ただ、今回の書面が優れていたのは、そのあとに書かれた「3.ザブングルに対する弊社の対応について」でした。
 まず臆測を呼んでいた闇営業のギャラについて、「入江氏より各自それぞれ7万5000円の金銭を受領した旨申告し」と明言。そのうえで、「かかる金銭につき両名が適切に税務申告を行っていないことが分かったため、既に税理士を通じて修正申告を致しました」と脱税に関する疑念をシャットアウトしました。
 さらに、「両名が受領した金銭については、然るべき団体にお支払いするようその支払先について警察関係者等を交えて協議をしているところです」とコメント。税金を納める一方で、「もらったお金も自分のものとみなさず、被害者団体などの最もふさわしいところに返したい」という姿勢を明確に示したのです。
 「これぞダメージコントロール」と言える対応であり、同社や2人にとって金銭的なダメージが小さいにもかかわらず、人々の印象は劇的にアップ。騒動によるダメージどころか、「ナベプロはお金の感覚がしっかりしている」「彼らのやることに間違いはないのだろう」というプラスのイメージを抱かせることにつながっています。
 次に2人の現在と今後についても、ナベプロはスキのない対応を見せました。
 書面では「本人たちとの話し合いの中で、謹慎期間中は、ボランティア先を見つけて活動する等の社会貢献を行い、自分自身を真摯に見つめなおすと共に、今回の件について真剣に反省し、人として成長できるようにしたいとの申し出がありました」と本人たちの意思を説明。
 これまでに彼らが発表したコメントは「よく見る謝罪の定型文」というイメージにすぎませんでしたが、今回は適切な対応をした所属事務所が彼らの意思を代弁したことで、人々に「本当に反省してそう思っているのだろうな」という感覚を持たせました。
 また、「弊社としても本人たちと話し合いながら、ボランティア先を探している」「ボランティア活動以外の時間においては、両名が社会人としての常識を高めることができるよう、弊社の事務サポート業務等を行わせる予定」という補足文も抜かりなし。書面の発表後に発生するであろう、「ボランティア先はどこなのか」「ボランティア以外の時間は何もしないのではないか」などの疑問や臆測を未然に防いだのです。

■「8月末日まで」謹慎期間を最後に書いた理由
 ナベプロは書面の最後で、「今回の事件の重大さを痛感しておりますが、過ちを犯した所属タレントに対しては、過ちを厳しく追及し、真摯に反省させ、今後同様の行為が行われないよう再発防止策を講じることが多くのタレントを抱える芸能プロダクションとしての弊社の役割、使命であると考えております」と力強く宣言しました。
 さらに注目すべきは、直後のコメント。「本人たちが今回の事態を重く受け止め、反省し、両名より社会貢献を行う等の申し出がなされたこと等を勘案し、弊社としてはザブングルの謹慎期間を2019年8月末日までとすることと致しました」と具体的な謹慎期間を明記したのです。あえて最後に配置したのは、人々が知りたいことをすべて書き、力強い宣言をしたあとに書くことで、「謹慎期間が短いのではないか」という印象を持たれにくくするためでしょう。
 ナベプロがこの先、どんな姿勢と取り組みを見せるかはわかりませんが、少なくとも今回の対応は期待感を抱かせるものに違いありません。そんな同社の対応を見た世間の人々は、すぐに反応しました。その声はナベプロにとって光であり、吉本興業にとって闇のようだったのです。
 「間違ったことをしても、誠意を尽くした対応をしたら許されるべき。最近、吉本の対応にガッカリしてばかりだったから、ナベプロがちゃんとした会社に見える」
 「吉本の芸人たちと比べたらザブングルは被害者。9月からの復帰は妥当」
 「税金の修正申告や被害者への返金を表明しただけでも、ナベプロは信用できる。それに比べて吉本は脱税や被害者対応を考えていない」
 「嘘をついてないザブングルの2人には頑張ってほしいけど、嘘をついた吉本の芸人たちは今でも許せない」
 なぜここまで印象の差がついてしまったのでしょうか?  その理由は決して「関わった芸人が多いから」「先導役のカラテカ・入江慎也さんの所属事務所だから」ではありません。やはり対応の差があったからなのです。

■トップのコメントに意味がないケース
 もう一度、吉本興業の主な対応を振り返ってみましょう。
 6月6日(『FRIDAY』発売前日)、カラテカ・入江慎也さんの契約解除と、参加メンバーの厳重注意処分を発表。その後、雨上がり決死隊・宮迫博之さんやロンドンブーツ1号2号・田村亮さんらが謝罪したものの「ギャラはもらっていない」とコメントし、吉本興業もそれを受け入れたことで、人々の不信感が高まっていきました。
 6月24日、所属芸人11人の謹慎処分を発表しましたが、受領金額、所得の申告、返金の姿勢、被害者への対応などに関する具体的な言及はなし。コンプライアンスへの取り組みに関しても、同様に具体的な言及はなく、本人たちの謝罪コメントを一覧にしてみせただけにとどまりました。
 6月27日、スリムクラブが暴力団関係者の同席する会合に参加し、金銭を受領していたとして無期限謹慎処分を発表。そのうえで、コンプライアンスに対する今後の取り組みを「決意表明」しました。
 その宣言には、「現在の吉本興業においては、あらゆる反社会的勢力との関係は一切有しておらず、今後も一切の関わりをもたないことを固く誓約・宣言いたします」「約6000人の所属タレント及び約1000人の社員のあらゆる行いについてはすべて当社の責任です」と書かれていたように、内容として責められるところはありませんでした。
 しかし、今回の騒動に対する具体的な対応がまたも書かれていなかったことで、世間の人々は「騒動を過去のことにして、話を今後のことにすり替えられた」と感じ、むしろ吉本興業への不信感を募らせていったのです。
 6月28日、吉本興業ホールディングスの大崎洋会長が共同通信のインタビューに答え、「(会社を)非上場とし、反社会勢力の人たちには出て行ってもらった。関わった役員や先輩も追い出し、この10年やってきたつもり」と話しつつ、「本当に申し訳なく思うし、個人的にはじくじたる思いもある」と謝罪しました。
 トップがコメントすることは、「企業の姿勢を見せる」という意味で重要なものですが、その内容が「ほとんど意味をなさなかった」というケースは少なくありません。現在、世間の人々が吉本興業に求めているのは、「企業の姿勢を見せる」ことではなく、ナベプロが見せたような「騒動の具体的な内容を明らかにし、謝罪先を明確にする」こと。「企業の姿勢を見せる」前にすべきことをしていないから、イメージは回復せず下がり続けているのです。

■吉本興業が今からでもすべきこと
 つまり、現在の明暗を分けたのは、ナベプロが世間や被害者に向けた対応をしているのに対して、吉本興業は自社や取引先に向けた対応をしているから。ナベプロがイメージ回復どころかプラスの効果を生んでいることを見れば、今回のような「ピンチはチャンス」であることは明らかです。
 例えば、今日これからでも「遅すぎる」ことはありません。吉本興業はナベプロのコメントを踏襲してでも、受領金額、所得の申告、被害者への対応、今後の取り組みなどを明らかにすることで、信頼回復の第一歩につなげたほうがいいのではないでしょうか。
 また、ここまで対応が後手に回ってしまった以上、誰もが「本人同席による会見が望ましい」と感じているだけに、書面でのコメントは避けたいところ。吉本興業には日本中の人々を楽しませられるタレントが多いだけに、マネジメントの責任は重大であり、今後の対応にも多くの注目を集めるでしょう。
弊社のコンプライアンスに関する取組み及び弊社所属ザブングルに対する対応について|ワタナベエンターテインメントワタナベエンターテインメント
弊社のコンプライアンスに関する取組み及び弊社所属ザブングルに対する対応について|ワタナベエンターテインメント

公益通報者保護制度  外部窓口

2016-03-09 | コンプライアンス
内部告発者名、市に伝える 京都、通報窓口の弁護士


公益通報者保護制度の根幹にかかわる問題ですね。

いずれも本人の了承を得ている
ということは、通常想定できないですけどね・・・。

京都という土地柄も影響あるのかもしれませんが・・・。

京都新聞の記事からです。

※ 引用

内部告発者名、市に伝える 京都、通報窓口の弁護士


 内部告発を受け付ける京都市の公益通報外部窓口の弁護士に通報した男性職員の氏名が、市側に伝えられていたことが8日、分かった。市は、外部窓口に通報した場合に「了承なく、市へ氏名が伝わることはない」と庁内に周知しているが、職員は「市に伝わるとは思っていなかった。事前の確認も事後報告もなかった」と批判している。

 2014年度までの5年間で外部窓口に職員が実名で通報した19件のうち、この職員の通報を含む16件の氏名が市に伝わっている。市は、いずれも本人の了承を得ている、としている。

 職員や市によると、児童福祉法違反容疑で児童養護施設の施設長が逮捕された事件で、職員は市児童相談所の対応が遅れたことを訴えるため、昨年3月、公益通報外部窓口にメールで通報した。職員は昨年12月、内部記録を持ち出したとして停職3日の懲戒処分を受け、市人事委員会に「公益通報のためだ」と処分取り消しを求める不服申し立てを行った。

 職員はその間、市の調査時点で自分が公益通報したことを事前に把握されていたとの疑問を持ち、今年1月、弁護士に問い合わせた。

 職員によると、弁護士は伝達を認め、職員の通報メールに「私が通報者だと推認される覚悟はある。市コンプライアンス推進室から私に直接問い合わせていただく方が効率的かとも考えている」と記載していたことを理由に挙げたという。職員は「文面は告発の覚悟を示しただけだ。氏名は市に伝わらないと信じて外部窓口に通報した」と憤る。

 公益通報の外部窓口は、京都市が07年10月に設けた。要綱で「(外部窓口から)市へ氏名の報告は要しない」と定め、職員向けにはチラシなどで「通報者の秘密は守られる」「了承なく、市の職員に名前が伝わることは一切ない」と周知している。了承の確認方法の規定はなく、弁護士の判断に任せていた。

 取材に対し弁護士は「守秘義務があり、答えられない」と話し、市コンプライアンス推進室は「弁護士から了承を得たと聞いている。問題があるとは考えていない」としている。

 <公益通報者保護制度>食品偽装やリコール隠しといった企業不祥事が、内部からの通報で相次いで明らかになったことから、企業や行政・報道機関への通報者を解雇など不当な扱いから保護し、是正する目的で2006年に公益通報者保護法が施行。京都市をはじめ行政機関は通報窓口を設け、処分権限を持つ事業者に関する外部通報と、職員による内部通報を扱う。

■明確な了承が必要

 公益通報制度に詳しい升田純中央大法科大学院教授(民事法)の話 内部告発者の実名を伝えることが、不利益な取り扱いのきっかけになることもある。告発者が明確に了承していない限り、匿名のままにして保護すべきで、あいまいな回答や判断を基に伝えることは許されない。実名の取り扱いについて、告発者と外部窓口で認識が異なること自体が問題であり、公益通報制度の信頼性に関わる。

セクハラに対する懲戒処分の有効性

2015-02-26 | コンプライアンス
「性的言動」でセクハラ処分は適法と最高裁 大阪の水族館「セクハラ発言」訴訟で逆転判決(産経新聞) - goo ニュース

産経新聞の記事です。


「性的言動」でセクハラ処分は適法と最高裁 大阪の水族館「セクハラ発言」訴訟で逆転判決

 大阪市港区の第3セクターの水族館「海遊館」が、男性管理職2人に対し女性への「性的言動」を「セクハラ発言」と認定して出勤停止とした処分の適否が争われた訴訟の上告審判決が26日、最高裁第1小法廷=金築誠志(かねつき・せいし)裁判長=であった。同小法廷は、重すぎるとして処分を無効にした2審大阪高裁判決を破棄し、「処分は妥当だった」と海遊館側の逆転勝訴を言い渡した。

 男女雇用機会均等法は職場での「性的言動」の防止を義務づけており、企業は同法や厚生労働省の指針に基づきセクハラの処分をしている。最高裁の判断は企業の対応に影響を与えそうだ。

 1、2審判決によると、課長代理だった40代の男性2人は派遣社員の女性らに「俺の性欲は年々増すねん」「夜の仕事とかせえへんのか」などと性的な発言を繰り返したとして、平成24年2月、それぞれ出勤停止30日間と10日間の懲戒処分を受け、降格された。

 男性側は、「出勤停止は懲戒解雇に次いで重い処分。事前の注意や警告をしないで処分したことは不当だ」として提訴した。

 1審大阪地裁は、発言内容が就業規則で禁止されたセクハラにあたると認定し、「上司であるのに、弱い立場にある女性従業員らに強い不快感を与える発言を繰り返し、セクハラ行為をしたことは悪質だ」として処分が有効と判断。男性側の訴えを棄却した。

 しかし2審は「セクハラ行為が軽微とはいえないが、事前の警告がない重い処分で酷だ」として、男性側の逆転勝訴としていた。


セクハラ行為については厳しくというのがJのスタンスなんでしょうね。

飲酒運転行為とは感覚的に違うのでしょうか?


今後の対応が注目される

2013-03-24 | コンプライアンス
【柔道】不正受給の理事、辞表提出 助成金全額返還へ(スポーツ報知) - goo ニュース

※引用

【柔道】不正受給の理事、辞表提出 助成金全額返還へ

 全日本柔道連盟(全柔連)の55歳現職理事が23日、スポーツ報知の取材に応じ全柔連の複数の理事による日本スポーツ振興センター(JSC)の個人助成の不正受給を全柔連が組織ぐるみで行っていたことを明らかにした。JSCに提出する虚偽の報告書を全柔連の指導の下で作成するなど生々しい実態を告白した。現職理事はこの日、全柔連へ郵送で辞職願を提出した。

 現職理事が全柔連の指示で不正受給をしていた事実を明かした。発端は強化委員となった2010年4月。同年秋、全柔連から突然、意味不明な通知が送られてきた。内容は岐阜県のA選手の指導者としてJSCから助成される報告と、それに伴う指導の計画書の提出を求めるものだった。東京在住でA選手と接点がない理事は戸惑った。

 「これは一体何なんだと思った。岐阜県にいる日本トップの選手を、私が教えられるわけがないじゃないかと思った。知り合いにどういうことなのか聞くと、『これは訳が分からないものなんですよ』としか答えてくれなかった」

 全柔連の指示に従い、計画書を提出した。ほどなくしてJSCから四半期ごとに30万円の助成金が振り込まれ始めると、さらに不可解なことが待っていた。

 「(JSCから)30万円振り込まれるのと前後して、全柔連の事務局の強化課のスタッフから10万円をここに振り込みなさいというメールがくる。助成金の振り込みは平成22年度に2回、23年度に4回、24年度に1回の計7回。合計210万円入って、70万円を全柔連に納めた」

 この間、同理事はA選手を指導した実態がなく不正受給を認識していた。全柔連側からは、JSCに対する活動報告書に全柔連の徴収の事実を記載しないよう指示もされた。選手の指導実態について、同理事が報告書の作成に困り全柔連に問い合わせると「強化委員会に提出される選手の反省文を参考にして書けば大丈夫だ」と返ってきたという。

 不正受給の問題が明るみに出て、全容の告白を決意した。

 「10万円を全柔連にあげる。それが私の役割だったと思う。30万円もらって10万円プールするためのダミーだった」

 罪の意識にさいなまれ、この日、朝に全柔連に辞職願を郵送。一切、手を付けなかった140万円の助成金も全額返還する方針だ。今回の現職理事の証言で、全柔連が組織ぐるみで巧妙に不正受給のシステムを作り上げていたのは明らかだ。上村春樹会長(62)らはどう責任を取るのか。説明が求められる。


不祥事対応なんですが、第三者委員会のスタンスにも注目したいです。

不祥事対応 その2

2013-03-19 | コンプライアンス
「携帯履歴提出を」内部告発者捜し…山梨の消防(読売新聞) - goo ニュース

※引用

「携帯履歴提出を」内部告発者捜し…山梨の消防

 山梨県甲州市の東山梨消防本部が、職員の情報提供から不祥事が報道されたとして、全職員に個人の携帯電話の発信履歴明細を提出するよう求めていたことが18日、同本部への取材で分かった。

 同本部は「告発者を処分するつもりだった」としており、識者からは「告発者を保護する公益通報者保護法の趣旨を理解していない」との批判が出ている。

 同本部などによると、男性職員が同市内の観光果樹園でアルバイトをし、副業を禁じた地方公務員法に違反したとして1月下旬に訓告処分を受けた。処分は未発表だったが、地元テレビ局が2月14日に報じたため、楠照雄消防長は翌15日、全職員を集めて「告発者に転職を勧める」と述べたうえ、今月12日には「通話履歴を調査する。行為者以外の職員は身の潔白を証明するいい機会」という内容の文書を配布した。


コンプライアンスの教材としても、今後の展開がなかなか興味深いですね。

不祥事対応 その1

2013-03-19 | コンプライアンス
「やらせ受験」問題 大産大が会見拒否(産経新聞) - goo ニュース

※引用

「やらせ受験」問題 大産大が会見拒否

 大阪産業大(大阪府大東市)が平成21年度の一般入試で、入学意思のない付属高(大阪市城東区)の生徒に経営学部を受験させるよう依頼した疑いのある問題で、大学側の見解を確認しようと18日朝から多くの報道陣が大学に詰めかけたが、大学側は「写真やテレビカメラで撮影するならば説明できない」として、会見に応じなかった。

 大学の広報担当者は「以前の報道で誤解を招く報じられ方をされ、カメラを前にした取材は受けない」と説明。撮影を求める報道陣と約2時間、押し問答した。

 文部科学省に今年1月、内部告発があり問題が発覚。府や文科省が調査しているが、国からの補助金がカットされる定員超過を避けるため、入学意思のない生徒で合格枠を埋める「やらせ受験」だった可能性がある。


報道関係者からは喜ばれる対応ですね。