弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

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虚偽自白

2016-08-29 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
虚偽自白、解析ソフトで見抜く 冤罪防止に新たな武器 立命館大、「供述分析」を進化


虚偽自白 という言葉自体がなかなか 理解しにくいでしょうね。


確かに、供述経過の分析結果をグラフ化すると分かりやすいですね。

あとは、裁判員裁判とかだと裁判員に結果としてのグラフを
理解してもらえるかが問題点として残りそうですね。

志布志事件の影響というか副産物ですね。

録音録画から分析するとなると、弁護側は信用性について供述内容を問題にするので
実質証拠の問題とは抵触しないのだろうか。

産経新聞の記事からです。

※引用

虚偽自白、解析ソフトで見抜く 冤罪防止に新たな武器 立命館大、「供述分析」を進化

 捜査機関が取り調べの際に作成した供述調書をパソコンで解析することで、供述の真偽を判断する取り組みが立命館大(京都市)で進められている。特定の単語が現れる頻度や供述の傾向を、市販の言語解析ソフトで分析。供述の変遷がひとめで分かるようにグラフ化することができる。再審無罪が確定した大阪市東住吉区の女児焼死火災のように、冤(えん)罪(ざい)事件では虚偽の自白に基づいて有罪とされたケースが多い。こうした自白の信用性が争点となる事件での活用が見込まれ、刑事弁護に携わる関係者は「冤罪防止の武器になる」と期待している。

 1000枚を数分で分析

 供述を心理学的に検証する手法は「供述分析」と呼ばれ、刑事司法分野の研究領域の一つになってきた。これに情報処理の技術を取り入れたのが立命館大政策科学部の稲葉光行教授(情報学)だ。

 今年4月には立命館大を拠点に、無実の可能性がある事件を支援する「えん罪救済センター」が発足。稲葉教授は代表として、さまざまな事件の供述分析に当たっている。

 そもそものきっかけは、平成15年に行われた鹿児島県議選をめぐる選挙違反冤罪事件(志布志事件)で無罪となった12人が、国に損害賠償を求めた訴訟に関わったことだった。事件の過程では鹿児島県警の連日にわたる過酷な取り調べの結果、買収を認める虚偽の自白をした人も複数いたことから、訴訟では取り調べの違法性や虚偽自白に至った経緯を明らかにする必要があった。

 稲葉教授の解析はまず、文字認識ソフトを使って、紙の調書をパソコンに読み込むところから始まる。A4判1枚につき、読み込み時間は3秒程度だ。

 そのうえで、パソコンに取り込んだ調書の文字データを言語解析ソフトにかける。志布志事件の12人の調書は、A4判で1人当たり約千枚にも上ったが、調書中に頻出するキーワードを抜き出すのにソフトが要した時間は、それぞれわずか5分ほどだった。

 頻出の単語抽出

 ある女性の調書では、「お金」というキーワードを、「お金−もらう」「お金−もらわない」という自白と否認の言葉の組み合わせで抜き出してグラフ化。女性が自白と否認を繰り返した経緯が、具体的な日時や回数とともに浮かび上がった。

 さらに、女性の供述が自白と否認との間で揺れた原因の一端も示すことができた。

 ソフトは頻繁に出てくる単語として「頭」という名詞を抽出。警察から容疑をかけられて「頭が真っ白になった」。自白を迫る検察官と、真実を供述するよう説得する弁護人との間で板挟みになり「頭が痛い」。こういった否定的な文脈で計30回使われていた。

 稲葉教授によると、「混乱していて自発的になされた自白ではないことが明らかになった」といい、分析結果は訴訟の証拠として提出された。

 可視化への活用も

 志布志事件の公判と民事訴訟のいずれも担当した野平康博弁護士(鹿児島県弁護士会)は「取り調べの録音・録画(可視化)が全面施行されたときには、この分析手法が冤罪を防ぐ有効なツールになる」と話す。

 5月に成立した改正刑事訴訟法では、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で、取り調べの全過程の可視化を義務付けた。同法が施行されれば取調室で交わされた一問一答のやりとりが、映像や音声とともに法廷で審理される機会も増えるとみられる。簡潔にまとめられた調書と違って、生の言葉のやり取りを言語解析ソフトにかければ、事件の本質にさらに近づくことができる。

 稲葉教授は「現時点では音声を文字化するソフトの性能に限界があるが、将来的に性能が向上すれば、取り調べのすべてを瞬時に分析することも可能になる」と話している。

控訴審判決確定へ  志布志事件たたきわり国賠  

2016-08-18 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
志布志事件、訴訟終結へ 住民側も上告せず


志布志事件のたたきわり国賠 原告側も上告しないということで控訴審判決が確定することになりました。

先日、県側の上告断念の段階でお疲れ様と書いてしまいましたが、これで訴訟終了ですね。

原告の皆さん、関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。


※引用

志布志事件、訴訟終結へ 住民側も上告せず

 2003年の鹿児島県議選で公職選挙法違反罪に問われた被告全員の無罪が確定した「志布志事件」をめぐり、起訴されなかった住民が県に損害賠償を求めた訴訟で、住民側は17日、全員への賠償を命じた福岡高裁宮崎支部の控訴審判決を受け入れ、上告しない方針を決めた。県警も16日に上告断念を発表しており、判決が確定する。

 無罪になった元被告や起訴されなかった住民らは捜査の違法性を訴えて4件の民事訴訟を起こしたが、いずれも住民側の勝訴で終結することになった。

 5日の控訴審判決は、長期間、朝から晩まで続いた県警の取り調べを「社会通念上、相当と認められる限度を明らかに逸脱している」と認定。控訴した6人全員に計595万円を支払うよう県に命じた。

 鹿児島市で会見した住民と弁護団は、控訴審判決を受け入れる理由について、取り調べの違法性を全員について認めたこと、志布志事件から13年以上が経過し高齢化した住民の「苦しみからの解放」を挙げた。

 ただ、判決については「事件が存在せず、捜査着手段階の嫌疑なき取り調べの違法を認めなかったのは極めて問題」と指摘した。

 また、県警に対しては住民に直接謝罪するよう求め、同様の被害者を出さないよう全事件での取り調べの可視化を国に求めた。

 一方、県警は16日に上告断念を発表する際、住民に一定の嫌疑があって捜査を始めたことが認められたなどと理由を説明。直接の謝罪については「コメントは控える」と述べた。

     ◇

 〈志布志事件〉 2003年の鹿児島県議選で初当選した県議が、妻らと共謀して同県志布志市で投票依頼のための買収会合を開き、住民との間で計191万円の授受があったとして、県警が15人を公職選挙法違反容疑で逮捕。13人を鹿児島地検が起訴した。鹿児島地裁は07年、12人に無罪を言い渡し(1人は公判中に死亡)、検察は控訴せず無罪が確定した。取り調べの際、家族らの名前を書いた紙を踏ませる「踏み字」、警察が描いた事件の構図通りに強引に容疑を認めさせる「たたき割り」といった捜査手法が問題化した。

上告断念  たたきわり国賠

2016-08-16 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連

県警が上告断念の発表を行ったということです。

原告の皆様、本当にお疲れ様でした。


時事通信の記事からです。

※引用

県警が上告断念=鹿児島県議選訴訟

 2003年の鹿児島県議選をめぐる公選法違反事件で、起訴されなかった同県志布志市の住民6人が県警の違法な取り調べで苦痛を受けたとして、県に損害賠償を求めた訴訟で、県警は16日、全員に対する賠償を命じた福岡高裁宮崎支部判決について、上告を断念すると発表した。

 県警は「憲法・判例違反が見当たらないことや、訴訟の長期化による負担回避を理由に上告をしない」と説明。有馬晋作首席監察官は「引き続き、緻密かつ適正な捜査の徹底に努める」とコメントした。

 福岡高裁宮崎支部は5日、自白の強要など捜査の違法性を認定した上で、6人全員に対する計595万円の賠償を県に命じた。

たたき割り 国賠 控訴審判決

2016-08-05 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連

福岡高裁宮崎支部 で たたき割り国賠の控訴審判決が出されました。

一審勝訴の控訴人も増額し、一審敗訴の控訴人にも賠償が認められたということです。

それにしても、事件からはもう13年が経過しています。


毎日新聞の記事の引用です。

※引用

<志布志事件>6人全員の賠償認定 鹿児島県警捜査「違法」

 2003年の鹿児島県議選を巡り被告全員の無罪が確定した公職選挙法違反事件(志布志<しぶし>事件)で違法な取り調べを受けたとして、起訴されなかった住民が県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は5日、控訴した6人全員の訴えの一部を認め、県に計595万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

 西川裁判長は県警の取り調べについて「大声で怒鳴りながら机をたたき乱暴な口調で非難して厳しく詰問したりするなど、社会通念上相当と認められる限度を逸脱している」と違法性を認定。1審で訴えの一部が認められた女性2人の賠償額を約3倍の各115万円に増額し、1審で訴えを退けられた4人についても105万〜60万円の支払いを県に命じた。

 1審では、任意捜査や逮捕の末、起訴されなかった住民7人が、長時間にわたるなど県警の強引な取り調べで心身に苦痛を受けたとして、県に計2310万円の損害賠償を請求。鹿児島地裁は昨年5月、うち3人について「容疑が十分でない逮捕や限度を超えた取り調べがあった」として訴えの一部を認め、県に計184万円の支払いを命じた。だが、他の4人については、取り調べ状況について「証言が変わったり、不自然だったりする」などとして訴えを退けた。

 この4人を含む6人が1審判決を不服として控訴。「1審判決は任意捜査の限界を超えた違法な自白強要を是認した」と主張し、県側は「捜査は適正に行われた」と反論していた。

 志布志事件で起訴された13人全員(うち2人は死亡)については本人や遺族の賠償請求に対し、鹿児島地裁が総額5980万円の支払いを命じた判決が確定している。

鹿児島県議会代表質問

2015-06-12 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
志布志事件、本部長「直接謝罪難しい」 県警のメンツか


志布志事件、本部長「直接謝罪難しい」 県警のメンツか


 2003年に鹿児島県志布志市で発生した冤罪(えんざい)事件「志布志事件」の国家賠償請求訴訟で、県警の違法捜査を明確に認定した鹿児島地裁判決が確定したことが、11日の県議会代表質問で取り上げられた。答弁した県警の種部滋康本部長は、元被告らが求める志布志市での直接謝罪について「(事件はでっちあげだとする)原告の主張が前提なら、直接の対応は難しい」と従来の見解を崩さなかった。

 傍聴席で元被告や支援者約30人が見つめる中、種部本部長は「違法とした判決を真摯(しんし)に受け止め、適正な捜査に取り組む」と述べた上で、傍聴席を見上げ「原告の方々にもあらためておわび申し上げます」と謝罪した。捜査を指揮した当時の志布志署長と捜査班長への求償については「慎重に検討している」とした。

 質問した県民連合の柳誠子県議は「本部長が守るべきは県警のメンツではない」と指摘。傍聴した元被告の懐俊裕さん(66)は「直接謝罪がない限り、事件が終わったとは感じられない」と憤った。


見上げて・・・「おわび申し上げます。」

西日本新聞の社説から

2015-06-12 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
西日本新聞の社説から

志布志事件判決 検察は深刻に受け止めよ

 ありもしない事件を警察がつくり上げ、警察をチェックすべき検察がそのまま起訴してしまう‐。冤罪(えんざい)を生み出す構造に厳しい警鐘を鳴らす司法判断といえよう。
 2003年の鹿児島県議選をめぐる志布志事件で無罪が確定した元被告らが起こした国家賠償訴訟で鹿児島地裁はきのう、警察の捜査だけでなく検察の起訴などにまで違法性を認める判決を下した。
 なぜ冤罪に巻き込まれたのかを知りたい。そんな思いで訴訟を続けてきた原告らの訴えが実を結び、捜査側の主張は退けられた。
 一方、起訴はされなかったものの、警察に違法な取り調べを受けたと訴えた人たちの国賠訴訟でも、原告が一部勝訴した。
 特に検察は判決を深刻に受け止めるべきだ。起訴権限を独占する検察には幅広い裁量権が認められており、たとえ無罪事件でも検察の過失が認められるのは極めて異例だからだ。
 それだけ志布志事件での検察の捜査や起訴には看過できぬ過失があった。そう判決が認定したということだ。ことは検察の存在意義にも関わる問題である。
 志布志事件を日本弁護士連合会は「捜査機関による自作自演の冤罪事件」とも表現する。親族の名を書いた紙を踏ませて自白を迫る「踏み字」問題や、違法な取り調べで虚偽の自白調書が作られた事実は確かに衝撃的だった。
 最高検と警察庁はそれぞれ内部検証を行い、08年には取り調べ適正化指針などをまとめている。
 ところが、その翌年には大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が起きた。警察による密室での強引な取り調べが問題化するケースも相変わらず絶えない。志布志事件の反省と教訓が十分に生かされているとは到底言い難い。
 捜査機関の自主的な取り組みだけでは違法な取り調べは解消できない。そんな認識が広がり、取り調べの録音・録画(可視化)を導入する法案の今国会提出にもつながっている。志布志事件は刑事司法改革の起点の一つであると再確認しておきたい。

志布志事件 国賠に関する記事

2015-06-08 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
毎日新聞の記事からです。


クローズアップ2015:志布志事件、賠償命令 ずさん捜査浮き彫り 否認後の検討不十分


 2003年4月の鹿児島県議選を巡る選挙違反事件(志布志(しぶし)事件)で無罪が確定した元被告らが賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁が15日、国や県に賠償を命じた。虚偽自白を生んだ県警の捜査だけでなく「公判を漫然と継続した」検察の責任にも踏み込む異例の判断に、捜査のずさんさが改めて浮き彫りになった。警察が手がける公職選挙法違反事件は、今も取り調べの可視化の対象に含まれておらず、一層の拡大を求める声が起こっている。


 「え、勝ったんですか。しかも県にも国にも? それは画期的だ」。自らも窃盗事件を手がけ、無罪を勝ち取ったものの、賠償訴訟には踏み切らなかった東京弁護士会の弁護士が驚く。

 背景には高いハードルがある。1952年に旧国鉄の線路が爆破された「芦別事件」の最高裁判決(78年)が「無罪が確定しただけでは直ちに捜査は違法にならない。容疑に相当な理由があり(捜査の)必要性が認められれば適法」と判断しているからだ。

 今回の判決も冒頭部分で、これを引用した。そのうえで、刑事が任意捜査の段階で取り調べを拒否した元被告を警察署の駐車場まで追いかけたり、病院で点滴を受けた元被告が体調不良を訴えても、帰宅を認めず簡易ベッドに寝かせて取り調べを継続したりした点を問題視した。

 起訴内容は03年の県議選で、初当選した中山信一元被告側が計4回の会合で現金計191万円を渡して買収した−−というもの。しかしこの事実を認めた「自白」には重大な欠陥があった。アリバイがあり会合に参加できるはずのない人物が「参加者」に含まれていたのだ。判決は「会合が存在していたとは考えられず虚偽の自白」と認定。署長や警部が捜査会議を開かせず、刑事同士の情報交換を禁じるかん口令も敷いた結果、部下の警部補らは「4回の会合が実在した」との誤った筋読み(見立て)を維持して取り調べを継続。その結果、多くの元被告に会合があったと認めさせてしまった。

 強制捜査に至る一連の捜査について、判決は「合理性がない」と批判し、最高裁の判断基準に照らしてもなお違法性が高い捜査だったと位置付けて、県警(県)の責任を認めた。

 では1次的な捜査をせず、警察を指揮・監督する立場で、責任の認められにくい検察(国)も敗訴したのはなぜか。

 判決はまず、数回にわたって起訴する場合は「当初の証拠だけに基づいて判断せず、それぞれの時点で明らかになった全証拠で判断すべきだ」と指摘。長期にわたる捜査では高い注意義務が生じることを示唆した。

 続いて強制捜査開始から5カ月後、最後の1人が否認に転じて、自白した元被告がゼロになった03年9月時点の判断を重視。このころにはアリバイの存在にも気づくはずで「有罪が得られる見込みが残されていない」のに、さらなる捜査を行わず「追起訴し、漫然と公判を継続した」として違法性を認定した。ただ、捜査開始当初に関しては、県警の調べが違法な時期でも当時の検察の判断を適法とするなど、警察により厳しい視線を向ける従来の流れは踏襲している。

 ◇可視化拡大求める声

 密室での強圧的な取り調べが表面化した志布志事件は、取り調べの録音・録画(可視化)を加速させる契機の一つとなった。警察や検察の判断で可視化の試行範囲は年々拡大し、政府は今国会に裁判員裁判の対象事件などで可視化を義務づける刑事訴訟法改正案も提出している。ただ、今回の公選法違反のような事件は対象から外れており、弁護士らからは、あらゆる事件で最初から最後まで全ての取り調べを可視化するよう求める声も上がる。

 可視化を求める議論は、志布志事件や2009年の裁判員制度の施行を機に活発化した。警察や検察は裁判員裁判の対象事件を中心に、取り調べの一部過程で可視化の試行を進めてきた。10年には郵便不正事件で大阪地検特捜部による証拠改ざんが発覚。当局の「見立て」に沿って供述を引き出す捜査のあり方が厳しく批判され、可視化の流れを決定付けた。

 法制審議会(法相の諮問機関)の特別部会は法律に基づいて可視化を実施するための議論を開始。昨年、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件で全過程の可視化を義務付ける内容の法改正案を取りまとめた。

 こうした背景から、今回の判決への捜査幹部の受け止めは冷静だ。警察幹部の一人は「可視化の対象事件は法制審で話し合われて定められた経緯もあり、現在の取り組みを進めていきたい」と話す。検察幹部も「当時と今では供述証拠に対する考え方が変わった。無理な取り調べを排除して客観証拠を重視している」と指摘する。検察は昨年10月以降、物証が少なく供述が立証の中心となるような事件は、法律で義務付けられなくても可視化する取り組みを始めており、今後は公選法違反事件でも検察官の取り調べは可視化される可能性がある。

 一方、日本弁護士連合会の「取調べの可視化実現本部」本部長代行を務める田中敏夫弁護士は「冤罪(えんざい)事件は痴漢など刑が軽い事件でむしろ多く、全ての事件をカバーできないと問題解決にはならない。判決は可視化の対象範囲を絞る是非を改めて考える良い契機になる」と指摘した。

判決確定

2015-06-01 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
志布志事件「違法捜査」賠償命令の地裁判決確定

読売新聞の記事から

志布志事件「違法捜査」賠償命令の地裁判決確定



 2003年の鹿児島県議選を巡る買収無罪事件(志布志事件)で無罪が確定した住民ら17人が、捜査の違法性を主張して国家賠償を求めた訴訟で、国と県に原告全員への賠償を命じた鹿児島地裁の判決は、30日午前0時に確定した。

 15日の地裁判決は、「自白の強要など必要な捜査の限度を超えていた」と県警の捜査の違法性を認め、検察の過失も認定。国と県に計5980万円の支払いを命じた。県警と鹿児島地検は28日、控訴を断念することを明らかにしていた。


たたき割りの国賠は続きます。
どうしても、捜査や公判維持の違法性があるかないかということに焦点が絞られると
普通のというか、逮捕拘留されない生活の大事さが基準だ、普通だとは考えにくくなりますね。

控訴 しない

2015-05-28 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
日経の記事からです。


志布志事件、鹿児島県が控訴断念へ

 2003年の鹿児島県議選を巡る選挙違反冤罪(えんざい)事件(志布志事件)で、無罪が確定した元被告に対する違法捜査を認め、国と鹿児島県に約6千万円の賠償を命じた鹿児島地裁判決について、鹿児島県が控訴しない方向で検討していることが27日、捜査関係者への取材で分かった。

 鹿児島県は、同じ事件で取り調べを受けたものの、起訴されなかった住民らへの賠償を命じた同地裁判決にも控訴しない方向で検討している。

 国も控訴期限の29日までに方針を決める。

 15日の地裁判決は、元被告と遺族ら計17人による賠償訴訟では「警察は自白を強要する違法捜査をし、検察も公判を漫然と継続した」と指摘。起訴されなかった住民ら7人の賠償訴訟では、うち3人に対する捜査の違法性を認め、県に計約180万円の支払いを命じた。



 南日本新聞の記事では、「 国も控訴を見送る方針で検討している 」とあります。

志布志事件 国賠

2015-05-15 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
毎日新聞の記事からです。


<志布志事件>国と県に賠償命じる…鹿児島地裁判決

 2003年4月の鹿児島県議選を巡る選挙違反事件(志布志事件)で無罪が確定した元被告ら17人が、国と県に2億8600万円の損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁(吉村真幸裁判長、川崎聡子裁判長代読)は15日、国と県に賠償を命じる判決を言い渡した。

 志布志事件を巡る07年の鹿児島地裁の無罪判決(確定)は「強圧的な取り調べがうかがわれる」と指摘したが違法性について言及しておらず、最大の争点は捜査の適法性だった。

 原告は、公職選挙法違反(買収・被買収)で起訴された元被告13人全員(うち2人は死亡)の本人か遺族。初当選した中山信一元被告側が4回の会合で現金計191万円を渡して買収したという起訴内容だったが、原告側は「会合は4回とも存在せず、事件は県警の組織的なでっち上げ」と主張。「もともと嫌疑自体がなく、予断と偏見に基づき捜査対象とした。長時間の取り調べをし、誘導やどう喝によって嘘の自白を強要して逮捕した」と訴えていた。

 元被告らは最長395日身柄を拘束され、期間中の金銭的償いとして最高約500万円の刑事補償を受けた。今回の裁判は真相解明と精神的な苦痛に対する慰謝料などを求めるもので、無罪確定後の07年10月、提訴。しかし捜査資料の一部は開示されず、捜査員ら約20人が証人として出廷するなど7年半を超える長期裁判になった。志布志事件や氷見事件などで取り調べの問題が指摘され、一部の事件・過程で取り調べの録音・録画(可視化)が導入された。


他の報道によれば、元被告人一人当たり460万円とか。

とりあえず、今日の時点で、国と県はどう対応するだろうか??

田辺国賠

2015-02-27 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
毎日新聞の記事からです。


<接見交通権>「画像撮影は含まれず」地裁小倉支部判決

 福岡拘置所小倉拘置支所(北九州市小倉北区)で接見中に撮影した被告の画像を支所側の要請で消去させられたのは接見交通権の侵害に当たるとして、福岡県の田辺匡彦(まさひこ)弁護士(61)が国に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁小倉支部は26日、請求を棄却した。田辺弁護士は控訴する方針。

 野々垣隆樹裁判長は「撮影は接見交通権に含まれず、面会室での撮影禁止が弁護活動を不当に制約するとまでは言えない」と述べた。

 判決によると、田辺弁護士は2012年2月、被告に「支所職員から暴行を受けた。証拠に残してほしい」と言われ、携帯電話のカメラ機能で被告の顔を撮影したが、支所職員に消去を求められ、その場で画像を消去した。

 田辺弁護士は判決後「撮影に伴う拘置所側の弊害すら示しておらず、極めて不当な判決」と話した。法務省は「国の主張が認められたと理解している」としている。

 接見時の写真撮影の適否を巡る判決は昨年11月の東京地裁に続き全国2例目。東京地裁は「被告らを撮影して記録することは必要不可欠とまでは言い難い」と判断した一方、途中で面会を中止させた行為は接見交通権の侵害に当たるとして国に10万円の賠償を命じた。


拘置所側がなぜ撮影を知りえたかというところだったと記憶しますが・・・。

秘密交通権の理論的なところは詰めていく先のところで不明確になるイメージが強いです。

志布志事件・大崎事件集会 全面可視化&全面証拠開示 ~えん罪被害者が語る刑事司法の問題点~

2012-10-06 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
全面可視化訴え集会=冤罪被害者らも参加―鹿児島(時事通信) - goo ニュース

※引用


全面可視化訴え集会=冤罪被害者らも参加―鹿児島

 冤罪(えんざい)事件が二度と起きないよう、取り調べの全面可視化などを求める集会が5日、鹿児島市で開かれ、足利事件で再審無罪が確定した菅家利和さん(65)らが出席した。

 集会では、取り調べ手法の違法性が問われた志布志事件の国賠訴訟や、第2次再審請求中の大崎事件の現状を弁護士らが報告。冤罪被害者らによるパネルディスカッションも行われた。

 菅家さんは「取り調べ中、殴られたり蹴られたりした」と訴え、全面可視化は絶対必要と強調。布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)も「無罪と証明できる証拠が35年も隠されていた」とし、「(裁判員裁判の影響で)多少は証拠開示されるようになってきたが、それでは駄目。全て開示すべきだ」と語気を強めた。 


ナマの声は迫力がありました。
報道陣もたくさん来ていました。

冤罪

2009-11-24 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
足利・志布志・氷見事件、法相「一般的には冤罪」(朝日新聞) - goo ニュース

※引用

足利・志布志・氷見事件、法相「一般的には冤罪」

 千葉景子法相は24日の閣議後記者会見で、再審公判が進んでいる足利事件や、12人の無罪が確定した志布志事件、服役後に真犯人が明らかになった氷見事件について、「一般的に言われている意味では、冤罪だと思う」との認識を示した。

 これら3事件について法務省が先週作成した政府答弁書は「冤罪と答えるのは困難」と回答していたが、法相は「法的に冤罪というものが定義されているわけではないので、それを正確に回答したのではないか」と釈明。冤罪防止を主な目的に取り調べの全面的な可視化(録音・録画)を進める立場から、一般論を示し整合性をはかった。


法務省に冤罪の定義をさせないと議論が後戻りしてしまいそうな気がします。

県警本部長 談話

2008-09-24 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
上告断念の記事に県警本部長のコメントがありました。早くこの問題が風化しないかなあという願いのこもった他人事のようなコメントです。

 県警の元警察官が在任中の行為に関し、有罪判決を受けたことは極めて遺憾で、あらためて県民におわび申し上げる。引き続き県民の信頼を得られるよう再発防止に努めるとともに緻密(ちみつ)かつ適正な捜査を一層推進してまいりたい。

判決確定

2008-09-22 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
「踏み字」の元警部補、有罪確定へ 上告しない意向(共同通信) - goo ニュース

※引用
「踏み字」の元警部補、有罪確定へ 上告しない意向

 鹿児島県議選の選挙違反冤罪事件の捜査過程で親族名などを紙に書き踏ませた「踏み字」で自白を強要したとして特別公務員暴行陵虐罪に問われた元鹿児島県警警部補浜田隆広被告(46)は22日、上告しない意向を弁護人に伝えた。懲役10月、執行猶予3年の1、2審判決が確定する見込み。浜田被告は無罪を主張していたが、9日の福岡高裁判決は1審福岡地裁判決を支持、弁護側の控訴を棄却していた。


有罪判決確定です。
県警本部長のコメントが取りにくいタイミングでしょうか。