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はじめに
各施策の進捗状況及び個別の課題の整理・検討
1 利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善
(1)高齢者と障害者の特性に応じた意思決定支援の在り方についての指針の策定等につ いて
【施策の進捗状況】
①厚労省において、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(平 成 29 年3月)」、「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラ イン(平成 30 年6月)」を策定
②最高裁、厚労省及び専門職団体等において、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガ イドライン」(意思決定支援ガイドライン)の策定に向けて検討中(令和元年5月~) また、厚労省において、「後見人等に対する意思決定支援研修」の在り方についての 調査研究事業を実施(令和元年度)
【今後の対応】
ア 成年後見制度における意思決定支援の全国的な推進
・意思決定支援ガイドラインの策定(本年度中に基本的な考えやプロセス等を整理) ※関係団体ヒアリングなど利用者の視点を踏まえ検討
・後見人等に対する意思決定支援研修を通じた全国的な普及・啓発(令和2年度~)
イ 各種ガイドラインの関係者への研修等による普及・啓発(複数のガイドラインの 関係や対象範囲等について分かりやすく整理して示すことも必要)
ウ 専門職団体における研修等を通じた意思決定支援の理解推進
(2)適切な後見人等の選任・交代の推進
【施策の進捗状況】
・中核機関等において、適切な後見人候補者の家裁への推薦や後見人支援を実施
・最高裁より各家裁に適切な後見人等の選任・交代の在り方の基本的な考え方につい て情報提供(平成 31 年1月)
<基本的な考え方>
利用者がメリットを実感できるよう、本人の生活状況等を踏まえて最も適切な 後見人を選任。具体的には、
・身上保護の観点も重視すると、親族等の候補者がいる場合は、選任の適否を 検討
・中核機関等による親族後見人の支援機能の充実が重要であり、後見人支援機 能が十分でない場合は、専門職による親族後見人の支援を検討
・選任後も本人のニーズや課題等を踏まえて柔軟に後見人の交代等を行う
・後見人等の報酬の在り方について、最高裁及び専門職団体において継続した議論を 行うとともに、利用者の立場を代表する団体からのヒアリングを実施。最高裁から 各家裁に対し、専門職団体との議論の状況や同ヒアリング結果等に関する情報提供 (平成 31 年1月、同年 9 月)
・専門職団体において、適切な後見人等の交代のための取組を実施
【今後の対応】
ア 適切な後見人の選任・交代の運用の推進と報酬の在り方の検討
・中核機関等による適切な後見人等の候補者を家庭裁判所に推薦する体制や後見人 を専門的に支援する体制整備の推進
・家庭裁判所における適切な後見人等の選任及び交代の運用の推進等
・報酬の在り方等についての検討 (引き続き、利用者がメリットを実感できる制度・運用に改善する観点から検討。 本人の資産が少ない場合においても制度が適切に利用できるよう、担い手の確保 とその報酬の在り方、申立費用や報酬の助成制度の推進等について併せて検討。)
イ 家庭裁判所と中核機関等における情報共有の実態や課題を把握し、必要な検討を 行う
ウ 専門職団体における適切な後見人の交代の取組の推進
(3)診断書等の在り方等の検討
【施策の進捗状況】
十分な判断資料に基づく適切な医学的診断が行われるようにするため、最高裁が診 断書の書式を改定するとともに、福祉関係者等から医師に対して本人の生活状況等に 関する情報を的確に伝えるための書式である「本人情報シート」を新たに作成し、運 用を開始(平成 31 年4月~)
【今後の対応】 「本人情報シート」の活用の推進を図るための関係機関等への周知を推進
(4)任意後見・補助・保佐の利用促進
【施策の進捗状況】
・法務省において、パンフレットやポスタ-、インターネットでの広報などを実施
・中核機関等において広報活動や相談対応を実施
・市区町村や中核機関等に対して任意後見・補助・保佐に関する理解を深めるための カリキュラムを含む研修を実施(令和元年度~)
(平成 30 年 12 月末時点の割合)
成年後見制度の利用者の割合は、任意後見制度 1.2%、保佐 16.4%、補助 4.6%、後見 77.7%となっており、後見が多くを占めている状況。
【今後の対応】
・任意後見・補助・保佐の利用促進を図るため、広報や相談を行う中核機関等の体制 整備を推進
・新たに、国レベルで、任意後見・補助・保佐等の全国的広報や相談体制の強化を図 るための事業を実施
2 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1)地域連携ネットワーク及び中核機関の整備、市町村計画の策定
【施策の進捗状況】
①国における取組
・各種手引きの策定等
厚労省において、各種手引きの策定や取組事例の紹介、市町村セミナーの実施、 地方交付税措置や国庫補助事業などによる体制整備に向けた支援を実施
・中核機関の整備のための財政支援
・基本計画に係るKPIの設定
基本計画の令和3年度末のKPIとして、中核機関等の整備や市町村計画の策定を全市区町村とするなどの目標を設定(令和元年5月)
②中核機関等の整備は一定の進捗が見られるが、十分に進んでいない。都道府県ごと の進捗状況に差。
(令和元年 10 月時点の状況) ※()内は全 1741 市区町村に占める割合
中核機関 160 自治体(9.2%)・権利擁護センター等 429 自治体(24.6%) 市町村計画策定 134 自治体(7.7%)
【今後の対応】
ア 中核機関の整備や市町村計画策定について自治体への働きかけや先駆的事例の 普及等、KPI達成に向けた取組の推進
イ 都道府県の主導的な役割と広域的な観点からの体制整備の推進
ウ 地域連携ネットワークの構築に向け、家裁、専門職団体、社会福祉協議会等関係 機関の連携を推進(地域の実情に応じ、法テラス、弁護士会・リーガルサポート・ 社会福祉士会以外の専門職団体、消費者安全確保地域協議会との連携を図っていく ことも必要)
エ 中核機関等の整備・運営に当たり、地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体 制との有機的・効果的な連携に留意(地域福祉計画への位置付け等による市町村計 画の策定の推進)
(2)市民後見人や法人後見等の担い手の育成・活用の促進
【施策の進捗状況】
・市民後見人を育成する市区町村は全体の約4分の1、後見人等の受任者数は約1割 であり、市民後見人が十分に育成・活用できていない状況
・法人後見を利用できる状況にある市区町村は全体の約4割弱
【今後の対応】
ア 市民後見人の育成・活用 自治体と家裁との連携や都道府県による広域的な体制整備による市民後見人の育 成・活用の推進
イ 法人後見の担い手の育成の推進 研修・セミナー等における周知・啓発等の働きかけの推進、社会福祉協議会にお ける法人後見の更なる推進、社会福祉法人による法人後見の活用の推進の検討等
(3)その他
ア 市区町村長申立の適切な実施
市町村長申立の適切な実施について自治体への助言や研修により周知。今後、虐 待等の場合の親族調査の在り方や市町村長申立の実施責任の在り方について検討
イ 成年後見制度と日常生活自立支援事業等との連携の推進
専門家会議における意見を踏まえ、両制度の整理・連携のあり方等を検討
3 不正防止の徹底と利用しやすさの調和
(1)後見制度支援信託及び後見制度支援預貯金の普及
【施策の進捗状況】
①「成年後見における預貯金管理に関する勉強会」(※)において、後見制度支援信 託に代替する新たな「後見制度支援預貯金」に係る報告書をとりまとめ(平成 30 年3月)
(※)金融関係団体、金融機関、関係省庁等が参加
②金融庁において、金融機関・金融関係団体との意見交換会で後見制度支援信託・ 後見制度支援預貯金の導入を促進
(平成 30 年 12 月末時点の状況) ※個人預金残高ベース
・後見制度支援信託又は後見制度支援預貯金を導入済みの金融機関 約 12%
・今後導入を予定している金融機関 約 43%
【今後の対応】
後見制度支援預貯金の導入を更に推進
また、システム上導入が困難な金融機関への対応や、現状は対象外となっている保 佐・補助類型においても利用可能な預貯金管理の仕組みを検討
(2)任意後見制度の趣旨に沿った適切な運用の確保に関する取組
【施策の進捗状況】
法務省において任意後見制度の利用状況調査を実施(令和元年 12 月)
【今後の対応】
今後、調査結果を分析した上、任意後見制度の趣旨に沿った適切な運用を確保する ための方策について検討
(3)その他の不正防止に関する取組
【施策の進捗状況】
専門職団体において不正防止の各種取組を実施
【今後の対応】
専門職団体は引き続き取組を実施するとともに、家裁の事件処理態勢整備も重要
4 基本計画に盛り込まれているその他の施策
(1)成年被後見人等の医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討
【施策の進捗状況】
厚労省において、新たに、「身寄りのない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な 人への支援に関するガイドライン」を策定(令和元年5月)
※ ガイドラインにおいては、意思決定が困難な方が円滑に必要な医療を受けられるよう、支 援の在り方や後見人等の事務の範囲等を明らかにし、医療等の関係者が対応を行う際に参 考となる考え方を示している。
【今後の対応】
意思決定が困難な方が円滑に必要な医療を受けられるよう、研修等の実施を通じて ガイドラインの周知・浸透を図る(運用状況等を見守り必要に応じて更なる検討)
(2)成年被後見人等の権利制限の措置の見直し
【施策の進捗状況】
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備 に関する法律(令和元年6月公布)」等が成立 190 の法律における欠格条項撤廃等に関する法制上の措置を講じた
【今後の対応】
引き続き、専門家会議において、個別的・実質的な審査の運用状況や政省令・通達・ 条例等における欠格条項の見直し状況等に注視しつつ、必要な対応を実施
5 その他
基本計画を踏まえ、利用者がメリットを実感できるよう、意思決定支援や身上保護の 観点も重視した運用に改善していくことが必要であるが、今後、運用面における改善の状 況を踏まえつつ、必要に応じて成年後見制度の在り方についても検討
おわりに