弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

業務の中から・・報道を見て・・話題を取り上げます。

近ツー支店長ら3人逮捕  5.9億円詐欺容疑

2023-06-15 | 刑事
☆ 過大請求の後日談ですね。 
 それは詐欺は詐欺なんでしょうけど
 支店長ら個人を逮捕してという話でもないような気がする。
 組織的な関与がなくてできないでしょう。
 補助金等不正受交付罪 との関係とか判例とかがあるみたいですね。
 しかも、他の企業についても今後影響が及ぶ気がします。


※引用

近ツー支店長ら3人逮捕=5.9億円詐欺容疑―ワクチン業務で過大請求・大阪府警など

 大手旅行会社近畿日本ツーリストが新型コロナウイルスワクチン接種に関する業務で自治体に過大請求した事件で、大阪府東大阪市から約5億9000万円をだまし取った疑いが強まったとして、府警などは15日、詐欺容疑で、同社の関西法人MICE支店(大阪市浪速区)の支店長ら3人を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
 府警などは今月1日、詐欺容疑で同支店などを家宅捜索し、関係資料を押収しており、全容解明を進める。
 他に逮捕されたのは、同支店グループリーダー、営業課長。
 捜査関係者によると、容疑者らは2021年3月に東大阪市から受託したコロナワクチン接種のコールセンター業務で、22年4月までの間にオペレーターの人数を水増しして計約1億5900万円分を過大に請求し、業務委託費支払い名目で計約5億8900万円をだまし取った疑いが持たれている。
 社内調査では、過大請求の疑いが計約14億7000万円に上ることが判明している。調査に対し、「担当事業で利益を上げようと思った」と説明。あるいは 不正を黙認し、再委託先に一部業務の実績を改ざんするよう指示していたとされる。
 東大阪市のワクチン接種業務は、22年4月〜今年3月も同支店が受託していた。府警などは同様の手口で他の自治体でも不正請求を行っていたとみて、組織的な関与がなかったかなどを調べる。 


控訴棄却

2022-12-15 | 刑事
以前、ご紹介した刑事裁判の控訴審判決が出たようです。
記録を見ていませんけど、アクセルペダルの裏側の傷痕が判断の重要要素だったと思わせる報道ですね。

毎日新聞の記事からです。
※引用


 2018年2月に東京都港区で車を暴走させ歩行者の男性(当時37歳)をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反に問われた元東京地検特捜部長で弁護士の石川達紘被告(83)の控訴審判決で、東京高裁(安東章裁判長)は14日、禁錮3年、執行猶予5年の有罪とした1審・東京地裁判決(21年2月)を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。
 被告側は1審に続き控訴審でも「アクセルペダルを踏んでいない。暴走は車の不具合が原因だ」と主張した。しかし、判決はアクセルペダルの裏面にペダルが踏み込まれたまま衝突事故が起きた際に生じる傷痕が残っていたことに着目。「車の不具合のみで事故が起きたなら傷痕が生じた理由の説明が困難」として、被告がアクセルを踏み込んだと認定した。また、アクセルやブレーキがどう操作されたかを記録するレコーダーのデータが、事故発生前後にアクセルが強く踏まれたことを示していることも踏まえ、車の不具合はなかったと結論付けた。

 判決によると、被告は18年2月18日朝、路上に乗用車を停車させようとした際に誤ってアクセルペダルを踏み、時速100キロ超で暴走。約320メートル先の歩道に乗り上げ、歩いていた足立区の堀内貴之さんをはねて死亡させた。
 石川被告は東京地検特捜部長や福岡、名古屋両高検検事長を歴任し、01年の退官後に弁護士登録した。




「不存在」のはずの証拠、検察が最高裁で開示贈収賄事件の再審請求

2022-02-04 | 刑事
最近刑事法廷に立っていないのでたいそうなことは申せませんが・・・。
日本では検察官はProsecutorとして手続を遂行する者ではないという証拠ですね。
しかも、「謝罪」などと言ってますが、恥ずかしげもなく「判断は揺らがない」なんて判断してるんですからどうしようもないですね。
裁判所、裁判官も弁護人が舐めた訴訟活動したら厳しく指摘するじゃないですか。
検察から組織として十分舐めてかかられているんですからそれなりの対応をしたらどうかと思いますが、 そんな裁判官はもういないんでしょうね。
司法作用ってなんでしたっけ ?

※引用

不存在」のはずの証拠、検察が最高裁で開示 贈収賄事件の再審請求

 静岡県の旧天竜市(現浜松市)の元市長から現金を受け取り、大学の推薦入試に必要な元市長の親族らの調査書を改ざんしたとして、加重収賄罪などで2010年に有罪が確定した県立高校元校長の再審請求審で、検察側が約6年前に地裁の審理で「存在しない」としていた証拠を、最高裁の特別抗告審になって開示した。弁護側が3日、明らかにした。弁護側は「裁判所の証拠開示勧告を受けながら、今さら見つかるのは検察として大きな問題だ」と批判している。
 確定判決によると、旧県立天竜林業高校の北川好伸元校長(73)は06年、中谷良作元天竜市長=贈賄罪で有罪確定=から現金20万円をもらった見返りに、生徒2人の調査書を担任らに改ざんさせたとされる。元校長は無罪を主張したが、「現金を渡した」とする元市長の供述などを基に、懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金20万円の判決が最高裁で確定した。その後、元市長が「供述は虚偽だった」と証言を翻したため、元市長の説明を新証拠に14年4月、静岡地裁浜松支部に再審請求した。
 弁護側によると、地裁浜松支部は15年夏、元市長の取り調べメモを証拠開示するよう検察側に勧告し、検察側がメモを開示した。この際、検察側は「他に証拠はない」と説明していた。だが、今年1月31日、逮捕前の警察での任意の取り調べのメモなどが開示された。検察側は「証拠の精査が不十分だった」と説明し、弁護側に謝罪したという。
 新たに開示されたメモは、元市長が調べに否認したり認めたりと供述が変遷する内容といい、弁護側は「虚偽自白を裏付ける証拠だ」と主張。地裁浜松支部の段階で開示されていれば、再審開始が認められていた可能性があるとしている。
 最高検は「証拠の内容を踏まえても再審請求を認めなかった浜松支部の判断は揺らがない」とする意見書を、1月31日付で最高裁に提出した。


「高知・香南官製談合事件」

2021-11-30 | 刑事


★ いくつか感想を

・司法の役割とは何なのか 
 経験を積めば積むほどわからなくなる、あるいは忘れてしまうのだろう
・問題点は指摘されているとおりだが
 検察庁も裁判所も被疑者・被告人に謝罪することはないだろう
・申し訳ないという気持ちを持てないとすれば人間としてどうかと思う
・裁判所の対応については国賠請求をしても認められないだろう
・このような記事を新聞媒体では読むことが出来なくなった
 おそらく今後もお目にかかることはないだろう

Business Journal  江川紹子の事件ウオッチ」ニュース 記事の引用です。
※引用

江川紹子が斬る“検察の堕落”…「高知・香南官製談合事件」2度の逮捕・勾留取り消しの闇
文=江川紹子/ジャーナリスト

 厚生労働省局長だった村木厚子さんが巻き込まれた冤罪事件(2009年)は、検察側がストーリーに沿った供述を関係者に強要し、物証よりも供述頼みの捜査を行ったために起きた。あの教訓はどこへ行ったのだろうか――。そんな思いにかられる事態が今、高知県で進行中だ。

 官製談合事件の容疑で逮捕・起訴された被告人が、検察の勾留取り消し請求で釈放されるという異例の展開。この件では、捜査機関をチェックする裁判所の対応にも、大きな疑問符がついている。

同一容疑での再逮捕は許されるのか?
 
 問題となっているのは、高知県香南市の住宅管財課長が、市営住宅解体工事の入札に関する情報を漏らした、として官製談合防止法違反などに問われている事件。当初の高知県警の発表によれば、課長は情報を市議に伝え、市議が建設業者に教えて最低制限価格に近い価格で落札させた疑いがかけられた。市議と業者は容疑を認めていると報じられているが、課長は一貫して否認している。
 県警は9月1日、この3人を逮捕。ただし課長については、勾留に対する異議申立が認められ、同月4日未明に釈放された。
 ところが同月11日、今度は高知地検が課長を同じ被疑事実で再逮捕した。今度は勾留に対する異議申立は認められず、身柄拘束下での取り調べが続いた。課長は、任意の取り調べに応じても逮捕されたことで、これ以上協力しても無駄だと考え、弁護人の助言を得て黙秘に転じた。同地検は22日、課長を市議や業者とともに課長を起訴。その後、市議は斡旋収賄容疑で、業者は贈賄容疑で再逮捕・追起訴されている。おそらく、捜査機関としてはこの贈収賄事件の立件がいちばんの目的だったのだろう。
 課長については公判前整理手続に付されることになり、日程も決まっていた。しかし、地検が突然、勾留の取り消しを裁判所に請求し、それが認められて11月12日に釈放された。
 報道によれば、検察側が課長関与のストーリーの拠り所としてきた市議の供述が変わった、という。つまり、最低制限価格に関する情報を課長から聞いた、という市議の証言が得られなくなり、検察側が描いていた裁判での立証計画が頓挫したのだろう。そのため、検察側が証明予定事実を明らかにするはずだった公判前整理手続の日程も飛んだ。
 驚かされたのは、課長がまったく同じ容疑で、その釈放からわずか1週間で再度逮捕されたことだ。
 報道によれば検察側は、課長が釈放後に任意の調べに応じなかったから再逮捕に踏み切った、としている。9月14日付け高知新聞は見出しで「釈放後 不出頭続く」と書いた。
 しかし、弁護人の市川耕士弁護士によれば、事情は異なる。
 課長は最初の逮捕前、少なくとも6回の取り調べに応じた。当初は早朝から深夜、日付が変わるまでの長時間の取り調べが続いた。弁護人が就いて取り調べの際に同行するようになってからは、1回につき2時間程度となり、深夜にわたる取り調べはなくなった。弁護人は同行しても、取調室には入室させてもらえない。廊下で待機し、課長が助言を必要とする時に、取調室から出てきて相談するという形で対応した、という。
 釈放後も、一度は任意の取り調べに応じた。その後も連日の出頭を求められたが、同行を決めていた弁護人の予定がつかず、1週間後に応じると連絡。約束通り、9月11日に市川弁護士が同行して出頭したが、その取り調べの最中に再逮捕された。

 このような再逮捕は許されるのだろうか。
 
 龍谷大学の斎藤司教授(刑事訴訟法)は「これまでに明らかになっている情報に基づけば」としたうえで、次のように指摘する。
「実務、研究者とも、同じ容疑での再逮捕は許されるというのが一般的な理解。ただし、逮捕は人身の自由に対する極めて重大な侵害だ。いつでも再逮捕できるわけではない。許されるのは、(前回の逮捕の時にはなかった)新たな証拠が見つかり、それにともなって罪証隠滅や逃亡のおそれなどの必要性が生じ、権限の濫用にならない場合だ。
 今回は、任意で取り調べに応じる意思表示をしており、どこに罪証隠滅や逃亡の危険があるのか理解しがたい。単に、捜査機関が身柄拘束して取り調べをしたい、という目的があからさまだ」
 近畿大学の辻本典夫教授(刑事訴訟法)も、「捜査側は、自分たちの見立て通りに供述を取ることに終始しているように見える。また検察の悪いところが出た事件ではないか」と指摘。さらに「裁判所の対応にも疑問を感じる」という。

高知地検の対応を追認した高知地裁の判断は本当に正しかったのか?

 逮捕や勾留をするには、裁判所の令状が必要だ。今回は、いずれも高知地裁が令状を出している。さらに、同地裁は2度目の逮捕では勾留に対する弁護側の準抗告を退け、保釈請求も棄却した。
「一度は弁護側の準抗告(異議申し立て)を認めたのに、1週間後にまた同じ事実で再逮捕し、勾留を認めたのは、裁判所の対応が一貫していない。同じ事実での再逮捕は、限定的であるべきで、逮捕の主体が一度目は警察で、二度目は検察という違いだけで判断を変えたのだとすると、『裁判所は検察がやることだから問題ないと考えているのか』と問われることになる」(辻本教授)
 市川弁護士によれば、課長は最初の逮捕から釈放された後、罪証隠滅を疑われないよう、外出を控え、職場を含めて知り合いにも連絡をしないように努めていたばかりか、自分の行動記録を証拠に残すために自らGPS発信器まで購入した。
 にもかかわらず、裁判所が再逮捕や勾留を認めたことについて、斎藤教授も「検察の対応を追認している、と言われてもやむをえない。これでは、裁判所も取り調べ目的の逮捕・勾留を認めることになってしまう」と批判的だ。
 保釈についても、容疑を認めていた市議や業者は追起訴後にすみやかに認められたのに、否認していた課長は認められず、起訴後の勾留が続いた。否認すると長期間の身柄拘束をされる「人質司法」の典型だ。
 それにしても、捜査側はなぜ課長の供述を取ることに、かくもこだわったのか。
 元検察官で談合事件に詳しい郷原信郎弁護士は、「検察官は何をやっているのか。極めて次元の低い、お粗末な話だ」と嘆きつつ、次のように分析する。
「市議の斡旋収賄罪を立件するために、そのストーリーに合う課長の供述が欲しかったのだろう」
 斡旋収賄罪は、他の公務員に働きかけて、職務上不正な行為をさせるなどして謝礼を受け取ったり約束したりすることを罰するものだ。本件では、市議が業者に頼まれ、課長に働きかけて不正に情報を取得したお礼として、10万円分の商品券を業者から受け取った、として逮捕・起訴された。
 課長の関与がないとなれば、市議が不正な手段で情報を取得した事実が立証できなくなり、検察側が見立てた事件の全体像が瓦解する。市議が他の市職員から不正な手段で情報を得た、という新たな証拠でも見つかったとしても、立証は全面的に見直しを迫られる。
 検察は早急に証拠を確認し、処分をどうするのか判断しなければならない。課長の場合、身柄は釈放されたものの、依然として起訴休職が続いている。こうした不利益で不安定な立場が長く続いていいわけがない。
 遅くとも年内には、起訴を取り下げるかどうかの判断をすべきだ。起訴を維持するつもりなら、早く公判前整理手続を再開して主張を明らかにし、速やかに証拠を弁護人に開示することが求められる。
 いずれにしても、この経緯を見ると、村木さんの冤罪事件後の検察改革で、最高検が策定した倫理綱領「検察の理念」はどこへ行ったのか、といいたくなる。

録音録画だけでは不足だ…取り調べ時の「弁護人立ち会い」を

 この「検察の理念」には、「あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない」「被疑者・被告人等の主張に耳を傾け、積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努め、冷静かつ多角的にその評価を行う」などと冤罪の再発を防ぐ誓いが並んでいる。
 この「理念」が公表されて10年。地に落ちた検察への信頼を取り戻さなければならない、という当時の緊張感は緩み、教訓は忘れられてしまっているのではないか。
 つい最近も、大阪地検特捜部が不動産会社「プレサンスコーポレーション」前社長を業務上横領罪に問うた事件で、大阪地裁は関係者に筋書きに合う供述を迫る検察の捜査手法を批判し、無罪としたばかりだ(判決は一審で確定)。この事件の捜査では、録音録画がされているにもかかわらず、検察官が逮捕された被疑者を罵倒したり恫喝的な取り調べを行ったりしていた。
 郷原弁護士は「検察官が上の指示に従うばかりのサラリーマン化し、1人ひとりの判断能力が失われているのではないか。実に嘆かわしい状況だと思う」と言う。
 日本では、捜査機関は1回逮捕すると最長23日間にわたり被疑者を取り調べることができる。異なる容疑で再逮捕すれば、取り調べの期間は、さらに長期にわたる。「プレサンス」の事件では、共犯者として逮捕され、前社長の関与を語る供述調書が作成された2人は、それぞれ70時間前後の取り調べを受けていた。このように長時間の録音録画記録を、弁護人がすべて視聴し、文字起こしを行い、精査するのは容易ではない(本件では弁護団はそれを行って捜査の問題を明らかにした)。
 もはや録音録画の実施だけでは、「検察の理念」にあるような捜査は実現しないのではないか。そこで注目されるのが、弁護人の取り調べへの立ち会いを求める動きだ。
 今回の高知の事件でも、市川弁護士は立ち会いを求め、取り調べに同行した。そうした状況を嫌った捜査側が、身柄を拘束して長時間の取り調べを行い、途中で弁護人の助言を求められないように再逮捕をしたのではないか。
 斎藤教授は、弁護人の立ち会いを認めない日本の捜査の状況を次のように批判する。
 「取り調べに弁護人を立ち会わせてはいけない規定はない。特に任意の取り調べで、弁護人が立ち会いを要求するのは当然だろう。同行する弁護士を排除して取り調べようという意図があったのだとすれば、権利侵害といわざるを得ない。ヨーロッパなどでも、弁護人の立ち会いはもはやスタンダードで、日本はその点遅れている」
 欧米諸国のみならず、韓国、台湾では被疑者の取り調べの際、弁護人を立ち会わせる権利が認められている。2014年に産経新聞記者が当時の朴槿恵大統領に対する名誉毀損罪に問われた際、ソウル地検の取り調べでは、記者の弁護人と通訳が同席した。
「弁護人の立ち会いは、被疑者の利益になるだけではない」と辻本教授も指摘する。
「捜査がやりやすくなる面もあるはず。被疑者が黙秘するなどして膠着状態から抜け出せなくなっている時などは、弁護人を立ち会わせて、話せる部分は話してもらい、捜査側の見立てや証拠とどこが食い違うのかを確認できる。プレサンスコーポレーション前社長の事件なども、そうやっていれば、もっと早く軌道修正できたのではないか。検察の役割は、真実を『作る』のではなく『発見する』ことなのだから」
 現在の検事総長である林真琴氏は、村木さん事件の後の検察改革に尽力し、「検察の理念」をとりまとめた人物だ。検事総長就任の際には、「理念に立ち返る」と述べている。現場で空文化している「理念」に魂を入れるためにも、取り調べ時の弁護人立ち会いをぜひ検討してもらいたい。


(文=江川紹子/ジャーナリスト)



被害者参加制度の意義 

2021-06-22 | 刑事


★ 
被害者参加制度は、2008年から導入された制度ですが、被害者の認識や感情を刑事公判において現在のような内容で反映させることには問題があると考えています。
人格見識に秀でた裁判官、裁判員は当てはまらないのかもしれませんが、被告人の刑事責任の量定に悪い影響を与えるのは避けられないのではないかと思います。
もちろん、被害者救済の必要性は理解しますが、それは刑事公判でこういう形でやることとはちょっと違うんじゃないかなということです。

※引用


東京・池袋で2人が死亡、9人が重軽傷を負った暴走事故から2年2カ月。
妻と娘を亡くした松永拓也さんが、初めて法廷で直接、被告に問いかけた。
「きょう質問してわかりました、あの人はもう変わらないんだろうと。本当に軽蔑しました」。
こう語るのは、松永拓也さん。
2019年4月、東京・池袋で暴走する車により、妻の真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(当時3)を失った。
事故から、2年2カ月。
21日、松永さんは、被害者参加制度を利用し、遺族として初めて、直接、飯塚幸三被告に問いかけた。
松永さん「亡くなった妻と娘の名前を言えますか?」
飯塚被告「はい、まなさんとりこさん」
松永さん「漢字ではどう書くかわかりますか?」
飯塚被告「真という字に...記憶が定かではないが、菜の花の菜ではないかと。りこさんは難しい字なので、ちょっと書いてみることができないです、申し訳ないです」
松永さん「2人をはねたドライブレコーダーの映像は見ましたか?」
飯塚被告「はい」
松永さん「衝突する瞬間、莉子は、あなたの車の方を見ていますよね?」
飯塚被告「たぶん、そうだったと思います」
松永さん「莉子はどんな気持ちで、あなたの方を見ていたと思いますか?」
飯塚被告「たぶん、恐ろしかったのではないかと想像しますが、わかりません。申し訳ありません」
松永さん「故意に事故を起こしていないことは理解していますが、なぜわたしたちが、あなたのことを許せないのか、理由は何だと思いますか?」
飯塚被告「被害者の方が加害者を許せないのは、理由がどうであろうと、亡くなられたという事実は変えられないので、致し方ないことだと思っております」
そして質問の最後では。
松永さん「刑務所に入る覚悟はありますか?」
飯塚被告「はい、あります」
松永さん「有罪になったら、控訴しますか?」
飯塚被告「わかりませんが、なるべくしないようにしたいと思っております」
裁判での質問を終え、会見に臨んだ松永さん。
松永さん「わたしは、加害者を心から軽蔑します。これだけの証拠を突きつけられても、わたしから質問を受けても、やはり自分は悪くないと。(自分を)変えることができない。なんかもう...正直むなしくて。本人は、わたしの目を見て答えてましたけど嫌悪感、はっきり言って。人として信じられない人だなと。いつもは、冷静であろうと心がけていますが、もう、きょうは言います。わたしは、彼に刑務所に入ってほしい。ここまで、わたしたちの心を踏みにじり、なんでこんな人に、2人(妻子)は命を奪われなければならなかったのかなと。わたしは、裁判所が正しい判断をしてくれると思いますが、わたしは、刑務所に入ってほしい」



それでもボクはやってない  電車内の痴漢事件で無罪判決「犯人取り違えた可能性」

2021-04-14 | 刑事
★ 被告人が逮捕され勾留されたのかどうか記事では分かりません。
  たとえ無罪となっても大変な影響を受けたはずです。
 痴漢冤罪事件については映画「それでも僕はやってない」でも取り上げられそれなりの本も刊行されています。

 痴漢を疑われた時の対処もネット上でいろいろ書かれています。
 私の普段の生活では満員電車というのが想定できませんが
 そのような環境にある方は一度考えておいた方が良い問題だと思います。

※引用

 電車内で女性の胸を触ったなどとして東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた会社員の40代男性に対し、東京地裁は13日、無罪判決を言い渡した。村山智英裁判官は、警察による犯行再現の不正確さを指摘したうえで、「女性が被害にあったこと自体は信用できるが、犯人を取り違えた可能性がある」と述べた。
 男性は2019年11月、都内の私鉄内で女性の胸を触ったとして起訴されたが、無罪を主張していた。
 判決は、電車が駅に着いてから男性に声をかけるまで「目を離していない」との女性の公判での証言について、捜査段階でそうした供述はなく「犯人の取り違いの可能性を払拭(ふっしょく)できない」と述べた。
 さらに、身動きがとれないほど混雑した車内で女性の証言通りの犯行をする場合、「実際の犯人の身長は被告(の男性)より低い可能性がある」と指摘。警察が犯行状況を再現した写真は2人の身長差を正確に示していないとし、「被告を犯人とするには疑問の余地がある」と結論づけた。


「飲んだら乗るな  乗るなら飲むな」 飲酒運転 やめましょう

2021-03-22 | 刑事
 鹿児島市草牟田2丁目の国道3号で、自動車の衝突死亡事故があった。
運転手の一人から基準値を超えるアルコールが検知された。自動車運転処罰法違反(危険運転致死)容疑での立件を視野に捜査を進める と報道されている。
 テレビ報道で見る限り、自動車の壊れ方が非常に激しいです。事故の翌日も国道3号線が長時間通行止めとなりました。

 酒を飲んで気が大きくなるのかもしれません。
 タクシー代金や代行代金が惜しくなるのかもしれません。

 刑事罰ばかりでなく民事の損害賠償責任も負うことを考えれば
 全く 釣り合わないバランスであることは明らかでしょう。

 飲酒運転 やめましょう !

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 の刑事罰を見てみると次のとおりです。
交通刑務所へ行きますか?

≪刑事罰の整理≫
 
以下の7個の類型は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条の規定で、負傷させた場合は、15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の懲役となっています。
酩酊運転致死傷罪
アルコール(飲酒)又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
制御困難運転致死傷罪
進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
未熟運転致死傷罪
進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
妨害運転致死傷罪
人または車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
高速道路等妨害運転致死傷
高速自動車国道又は自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行をさせる行為
信号無視運転致死傷罪
赤色信号またはこれに相当する信号を殊更に無視し(信号無視)、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
通行禁止道路運転致死傷
通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

以下の2つは第3条の規定で、負傷させた場合は12年以下の懲役、死亡させた場合は15年以下の懲役となっています。
準酩酊運転致死傷・準薬物運転致死傷
アルコール又は薬物の影響により、正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で自動車を運転する行為であって、結果としてアルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状態に陥ったとき
病気運転致死傷
自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転する行為であって、結果としてその病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥ったとき


110番時に映像送信

2020-12-10 | 刑事
★ 確かにプライバシーの問題も生じることは避けられないでしょうね。
 従来の捜査手法に限界があることも事実でしょうから、ドライブレコーダーと一緒で客観的な証拠、捜査の端緒となるのは確かでしょう。
 捜査の現場はますますパソコン画面の解析に注力されるかもしれませんね。

時事通信の記事からです。
※引用

 事件や事故、火災の現場に居合わせた人が110番通報する際、スマートフォンで撮影した映像も送ってもらうシステムを、警察庁が来年度から全国の警察で導入することが9日、関係者への取材で分かった。
 現場の状況を警察官の到着前に把握し、初動対応を的確に行うのが狙い。同様のシステムは兵庫県警が10月から先行して運用を始めている。
 システムが導入されると、110番通報を受けた警察の通信指令室の担当者は、現場の映像が必要と判断すれば通報者に映像の送信を依頼。了承が得られれば、安全な場所からの撮影を求めた上で、専用のインターネットサイトのアドレス(URL)を通報者のスマホに送信する。
  URLをクリックすると自動的に通報者のスマホのカメラが起動し、撮影した動画が通信指令室に送信され、担当者は内容を現場の警察官に伝える。同庁は、動画を警察官の端末に転送できる仕組みについても導入するか検討する。  撮影した映像には負傷者らの個人情報が含まれている可能性があり、映像の保存などに関して同庁の担当者は「プライバシーの侵害とならないような運用にしたい」としている。
 台風や地震などの災害では、同庁は8月から、道路の損壊や建物の倒壊など被害状況が分かる写真や動画の投稿を受け付けるサイトの運用を始めている。救助を求める110番時には、映像送信を求めない方針という。
 各地の消防も119番通報時の映像送信を導入している。東京消防庁は9月から東京23区で試験的に始め、送られた映像を基に心臓マッサージなどの応急措置を指導する。愛知、兵庫両県の一部消防では、既に本格的な運用が始まっている。

さらに考えさせられる逮捕事案

2020-10-13 | 刑事
★ ダメだこりゃ

教諭が入部間もない生徒1人に10回以上投げ技や寝技を掛け、途中で失神すると、ビンタをして起こし、さらに投げ技を繰り返したと説明。仮入部中のもう1人にも寝技を掛け続けた

副顧問は恐怖を覚えて止められなかった

13年2月以降、部員にビンタをしたり、生徒の胸ぐらをつかんで押し倒したりしたとして2度の訓告処分を受け、同年10月には、生徒の顔に頭突きをして鼻の骨を折ったとして減給10分の1(3カ月)の処分を受けていた

「状況が把握できていない」

神戸新聞の続報です。
※引用

 兵庫県宝塚市立長尾中学校で柔道部の男性顧問が1年生の男子部員2人に柔道技でけがを負わせた事件で、逮捕された同校教諭(50)が生徒への体罰で過去に3度の懲戒・訓告処分を受けていたことが同市教育委員会への取材で分かった。13日に会見した同市教委の森恵実子教育長は「体罰はもちろん、威圧的な態度や言動を注意してきたのに不十分だった」「生徒の心と体に大きな傷を負わせた」と述べ、陳謝した。(大盛周平、名倉あかり、久保田麻依子)
 市教委は会見で、教諭が入部間もない生徒1人に10回以上投げ技や寝技を掛け、途中で失神すると、ビンタをして起こし、さらに投げ技を繰り返したと説明。仮入部中のもう1人にも寝技を掛け続けたという。副顧問は恐怖を覚えて止められなかったとし、目撃した生徒らが「恐怖を感じた」と話したという。
 教諭は2016年から同校に勤務して数学を担当。13年2月以降、部員にビンタをしたり、生徒の胸ぐらをつかんで押し倒したりしたとして2度の訓告処分を受け、同年10月には、生徒の顔に頭突きをして鼻の骨を折ったとして減給10分の1(3カ月)の処分を受けていた。
 逮捕容疑は9月25日午後、部活動中に柔道技を掛けるなどして男子部員(13)に背骨を折る全治3カ月の重傷、別の部員(12)にも首に軽傷を負わせた疑い。
 市教委によると、同部OBが差し入れたアイスクリームが部室の冷蔵庫からなくなり、部員2人が食べたと認めると、教諭が練習と称して暴行を始めたという。森教育長は「恐怖は筆舌に尽くしがたい。その気持ちを推し量ると胸が押しつぶされそうだ」とし「信頼回復に向けて全力で取り組む」と述べた。
 同校では午前8時すぎから生徒が登校し、保護者が付き添う姿も。学校の担当者は「状況が把握できていない」と言葉少なだった。
 市内では今年6月にも市立中学校で女子生徒に厳しい指導をしたとして、所属する部活動の男性顧問が停職1カ月の処分を受けた。市教委は8月下旬に各校の生徒指導担当者への指導研修をしたばかりだった。




いろいろ考えさせられる逮捕事案

2020-10-13 | 刑事
★ 中学のころ柔道部に所属していましたが

「約30分にわたり」
「寝技をしつこくかけたりして」
「背骨を折り全治3か月の重傷」
「冷蔵庫で保管していたアイスクリーム」
「男ら」
「部員らの前で」
「『まずは事実確認を進めたい』」 

神戸新聞からの引用です
※引用


 中学校の部活中、部員の男子生徒2人に体罰を加えてけがを負わせたとして、兵庫県警宝塚署は12日、傷害の疑いで、宝塚市立中学校教諭の男(50)=西宮市=を逮捕した。
 逮捕容疑は、9月25日午後4時半ごろから約30分にわたり、同校の道場で、顧問を務める柔道部の1年生男子部員2人に対し、投げ技をかけて両頬を数回殴ったり、寝技をしつこくかけたりしてけがを負わせた疑い。12歳の生徒は背骨を折り全治約3カ月の重傷で、13歳の生徒は首に軽いけが。調べに対し、「おおむね間違いありません」と容疑を認めている。  同署によると、道場にある冷蔵庫で保管していたアイスクリームがなくなっていた事案が発生。男らが部員を対象に聞き取りをした結果、2人が食べたことを認めたため、部員らの前で暴行を加えたという。2人の両親が数日後に同署に相談。10月に入って被害届を出した。  
 同署によると男は2016年から同校で勤務。当時から柔道部の顧問を務めていたという。
 宝塚市教育委員会によると、事案が起きた9月25日、学校側から市教委に報告があったという。
 同校は10月12日午後7時から、保護者会を開いて説明。その後、午後9時すぎに同校から市教委に逮捕の連絡があったという。
同市教委は「まずは事実確認を進めたい」とした。
 宝塚市内では、今年6月にも市立中学校で女子生徒に対して厳しい指導をしたとして、生徒が所属する部活動の男性顧問が停職1カ月の処分を受けている。女子生徒は指導を受けた後に校舎から転落し、腕の骨を折る重傷を負った。

いろいろ考えさせられる刑事公判

2020-10-09 | 刑事
タイトルは
「驚き」の態度ということは一つの視点からの評価であり、違和感があります。
 少なくとも、担当弁護人としては、被告人の主張と反する主張をすることはできません。私選弁護人として弁護を続けるべきかという命題とは向き合うことになると思いますが・・・

 一方で、加害者家族についての報道もされているんですが、もちろん家族の承諾を得ているとは思いますが、この段階で報道に出てくるのも違和感を感じています。

 たまたま、死亡事案で被害者意見陳述のある法廷に立会しましたが、
被害者遺族の気持ちを反映させる制度は必要だと思いますが、やはり(制度開始時点でもそう思いましたが、久しぶりに立会して)刑事裁判に被害者参加制度として組み込むことはあまり良い制度ではないように思いました。

FRIDAY の記事からです。
※引用
 昨年4月の昼時に東京・池袋で乗用車が暴走し、2名を死亡させた『池袋暴走死傷事故』で、過失運転致死傷罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)の初公判が10月8日に東京地裁(下津健司裁判長)で開かれ、飯塚被告は「アクセルペダルを踏み続けたことはない」と起訴事実を否認した。

 この事故は飯塚被告がプリウスを運転中、多数の通行人を巻き込みながら暴走を続けた結果、自転車に乗っていた松永真菜さん(31=当時)と娘の莉子ちゃん(3=同)を死亡させ、9人に重軽傷を負わせたというものだ。 事故発生直後の報道で飯塚被告を“容疑者”ではなく“元院長”と表記するメディアがあったことや、逮捕されずに捜査が続けられたことなどから『上級国民』という言葉が広まったことも記憶に新しい。こうした背景や、事故の大きさなどから、厳罰を求める署名が約40万筆集まったほか、高齢ドライバーの免許返納が増加するなど、社会に大きな影響を与えた。 

 スーツ姿にマスクの飯塚被告は、法廷に車椅子で現れた。弁護人に車椅子を押され、証言台の前に移動する。人定質問や起訴状読み上げの間は座ったままだったが、罪状認否の際に、ヨロヨロと立ち上がり、検察側に座る遺族の方を向き、はっきりと語り始めた。 「今回の事故により、奥様とお嬢様を亡くされた松永様ご遺族に、心からお詫び申し上げます。最愛のおふたりを無くされる悲しみ、ご心痛を思いますと言葉がございません。また、お怪我をされた皆様方、ご親族の皆様に、深くお詫び申し上げます」 こうして深々とお辞儀をしたのち、正面に向き直り、認否を続ける。

 「起訴状の内容については、アクセルペダルを踏み続けたことはありません。車の制御システムに何らかの異常が生じたために暴走したと思っています。ただ、暴走を止められなかったことは悔やまれ、大変申し訳なく思っています」 そして再び車椅子に座った。弁護人も「運転していたことと事故の発生は争わないが、ペダルを間違えて踏み込み、踏み続けたことはなく、被告人に過失はない。システムに何らかの突発的な異常が生じ加速し事故に至った可能性がある。過失運転致傷は成立しない」と無罪を主張した。 

 起訴状によれば飯塚被告は昨年4月19日の午後12時23分ごろから、普通乗用車にて豊島区東池袋の二車線道路を時速約60キロメートルにて走行中、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込み、そのまま時速84キロメートルまで加速。さらに時速96キロメールまで加速を続け、横断歩道付近にいた通行人や車に次々と衝突し、自身の妻を含む9名に重軽傷を負わせ松永さん母子を死亡させるに至った。 冒頭陳述で検察側は、飯塚被告がブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違えたのは直前の運転中の度重なる車線変更が契機になっていると指摘した。 この日、食事をするために板橋区内の自宅マンションを出た飯塚夫妻は、飯塚被告の運転する車で、文京区のレストランに向かっていた。事故直前に車線変更を行なったところ、前方のバイクに近接した。そのためまた車線変更をすると、今度は前方の乗用車に近接した。この過程でブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違えて縁石にぶつかるも、そのまま走行を続け、事故が起こったとしている。 また被告や弁護人は「車に何らかの異常があった」というが、この日取り調べられた検察側請求証拠によれば、事件前に行われたサービス点検や定期点検では異常は確認されておらず、飯塚被告の息子が点検をした際にも異常がなかったという。

  この日の証拠調べでは、被害者参加制度を用い、裁判に参加している松永真菜さんの夫で、莉子ちゃんの父親である松永拓也さんの調書も読み上げられた。 「事件の日のこと、昼休み前に真菜から、公園の滑り台で遊ぶ莉子の写真が送られてきて、テレビ電話で話をしました。それが最後です。あとで警察から電話がかかってきたが家族の容体を教えてくれず、電車での移動時間が地獄のようでした。 対面した2人は、変わり果てた姿で傷だらけになっていました。莉子は『見ないほうがいい』と言われました。どれだけ痛かったか。どれだけ無念か、考えて涙が止まりませんでした。 火葬まで2人と過ごし、夜は2人の間に横たわり手をつなぎました。莉子はご飯の時も手をつなぎたがる子だったので、また3人で手をつなぎたかったのです。しかし2人の手は冷たく硬くなっていて、私が握っても、握り返してくれることはありませんでした。私はずっと2人に話しかけ続けました。 葬儀の前は斎場に泊まり、莉子にノンタンの絵本を読み、2人といっぱい話しました。 『莉子、大好きだよ』『真菜と出会えて幸せだった。莉子を天国に連れて行ってあげてね』 2人の間を何度も往復しながら伝え続けました」 検察官が調書を読み上げている間、飯塚被告は背筋を曲げうつむいていた。 「プロポーズした時、嬉し泣きしている真菜を見て、一生かけて幸せにしようと誓いました。そして莉子が生まれた日、愛する人との間に授かった子を、自分の人生をかけて守ろうと思いました。 春には桜を見て、夏には海や祭りに行き、秋には紅葉を見て、冬には温泉に行く。家族3人、ささやかに四季を通じて幸せに過ごしてきました。毎年桜は咲くので、当たり前のように、これからも花見ができると思っていましたが、その日が来ることはありませんでした。温泉に連れて行ってあげたいと思いましたが、もうできない」 公判は今後、目撃者3名の証人尋問が年内に行われる予定だという。 閉廷後、昼過ぎに開かれた会見で松永拓也さんは、被告の主張について「最初に『申し訳なかった』と言っていたが、車の不具合を主張するなら謝って欲しくない。謝るならばしっかり罪を認めて欲しい」とコメントしている。


求刑 禁錮3年

2020-10-05 | 刑事
★ 求刑は禁錮3年でした

弁論期日があって、結審、判決という流れでしょうか。

産経新聞の記事からです。
※引用


 乗用車で歩道に突っ込み男性をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反(過失建造物損壊)の罪に問われた元東京地検特捜部長の弁護士、石川達紘(たつひろ)被告(81)の論告求刑公判が2日、東京地裁(三上潤裁判長)で開かれた。検察側は「車を暴走させた過失は極めて大きい」として禁錮3年を求刑した。  弁護側は車の不具合が原因と訴え、石川被告は初公判で「天地神明に誓ってアクセルぺダルは踏んでいない」と無罪を主張していた。  検察側は論告で、車の故障は一切見つからなかったと指摘。エンジンを止めずパーキングブレーキをかけただけで降車しようとした際、誤って左足でアクセルを踏み込んだと主張した。  法廷では、死亡した男性の妻が意見陳述し、被告について「裁判で『私も被害者だ』などと話しており、胸をえぐられるようだった。せめて今後、二度と人を傷つけ悲しませないでほしい」と声を震わせた。車が突っ込んだ店舗兼住宅の男性は「生活と思い出を一瞬で奪われた。心からの謝罪が一度もなく許せない」と悔しさをにじませた。  起訴状によると、石川被告は平成30年2月18日、乗用車を急発進させ、約320メートルにわたり時速100キロを上回る速度で暴走し、東京都港区の歩道上にいた男性=当時(37)=をはねて死亡させ、店舗兼住宅に突っ込んだとしている。  石川被告は元年に東京地検特捜部長に就任。福岡、名古屋の両高検検事長を経て13年に退官した。

証拠を取り違え…女性を”誤認逮捕”した「滋賀県警」、トップの本部長が公の場で「初めて謝罪」

2020-10-02 | 刑事
★ 謝罪したのは、県議会の委員会での発言ということで女性の面前ではありません。
「誰に対して」・「何について」謝罪したのか
取材してほしいものです。
 
※引用


滋賀県警が証拠を取り違え、20代の女性を誤認逮捕したことについて、県警トップが公の場で初めて謝罪しました。

【滋賀県警・滝澤依子本部長】
「Aさん(女性)を本件被疑者として逮捕してしまったことについては、大変申し訳なく思っており、警察本部長として、心よりお詫び申し上げる」

滋賀県警トップの滝澤依子本部長は2日、滋賀県議会の委員会で誤認逮捕について謝罪しました。

20代の女性は去年、息子の腕を噛み全治1週間のケガをさせたとして逮捕・起訴されましたが、裁判で滋賀県警が歯型の証拠を取り違えて誤認逮捕していたことがわかり、起訴を取り消されています。

女性は「取り調べでウソの自白を強要された」と主張していますが、2日の委員会で滋賀県警は「取り調べの任意性・信用性に疑いがもたれないように配慮して実施している」と強調しました。


刑事裁判における IT化

2020-09-28 | 刑事

★ 刑事裁判でのIT化もこのような状況です。
まあ、文中にあるズームで死刑判決とか考えると
判決による感銘力とか何なのかとは思いますが
時代にそぐわなくなっているのは否定できないように思います。

日本経済新聞のネット記事からです。
※引用


新型コロナウイルスの影響の下、日本の刑事裁判でIT活用の遅れが目立っている。海外ではオンライン化で感染を防ぎつつ審理の停滞を防ぐ工夫が進む。被告の必要以上の長期勾留や判決の遅れにもつながる問題で、有識者は「改革を進めないと司法への信頼が失われる」と警鐘を鳴らす。


2019年参院選を巡り、元法相の河井克行被告と妻の案里被告が起訴された公職選挙法違反事件の公判では、「ビデオリンク」と呼ばれる遠隔審理を通じて多数の証人尋問が実施されることが話題を呼んだ。
ビデオリンクは性犯罪などの被害者の保護を主な目的として01年に導入された仕組みだ。ビデオモニターを法廷に設置し、庁内の別室や遠方の裁判所で話す証人らの様子を映す。被告と証人は法廷で直接顔を合わせる必要がない。
刑事訴訟法は別の裁判所からビデオリンクを行う条件として、証人が遠くに住んでいて「年齢、職業、健康状態その他の事情」で出廷が難しい場合などと定めている。
河井夫妻の事件で検察側証人の大半は選挙区の広島に住む政界関係者で、ビデオリンクの利用は約40人に上る見通し。高齢者や基礎疾患を持つ人が対象という。東京地裁は感染防止を考慮したとみられる。
もっとも、こうした"積極運用"は限定的だ。最高裁によるとビデオリンクの実施人数は15年度以降、年200~300人台にとどまる。コロナの第1波で緊急事態宣言が出た際は、各地の裁判員裁判など多くの公判期日がビデオリンクを使うこともなく取り消され、延期になった。3~5月に東京地裁で34件、大阪地裁でも20件超の期日が取り消された。

米英は導入推進

コロナが理由であっても、審理の先送りは被告の勾留長期化につながりかねない。日弁連は「感染防止を重視するあまり、必要限度を超えた被告の人権制約がされてはならない」と批判する。甲南大の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「ビデオリンクは(人数の少ない)専門的な鑑定人の証言などにも便利で用途が広い。より幅広く活用すべきだ」と話す。
感染防止の徹底と、刑事手続きの両立は各国共通の課題だ。諸外国ではオンライン化で解決を図る試みが始まっている。


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米国は3月に成立した「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)」に関連し、身体拘束に関する判断や、罪状認否などの手続きで、審理をビデオ会議システムで進めることを認めた。
米国で多くの著名人が起訴された名門大学を巡る入試不正事件では、人気ドラマ「フルハウス」の出演女優にビデオ会議システム「ズーム」で判決が言い渡された。
英スコットランドでは陪審員が映画館の客席で社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保ちつつ、遠隔で評議に臨む取り組みを進める。
密集を避けるための措置で、映画館は法廷のように静粛な環境が得られるほか、音響設備などが充実しておりストレスがない状態で裁判手続きを進められるという。スコットランド当局は「裁判の遅れの影響を受けた被告、被害者、証人に安心感を与えることができる」としている。

ズームで「死刑」

一方、過度なIT化が人権を侵害しかねない例も出ている。米CNNなどによると、ナイジェリアでは殺人の被告にズーム経由で死刑が言い渡され、「非人道的だ」との批判が出た。
一般に刑事裁判では冤罪(えんざい)防止の観点から厳格な手順を踏むことが求められている。欧米でも、法廷での対面のやりとりを省くことには批判の声もあり、ITを使った効率化とのバランスも問題になる。
日本では7月に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」で、逮捕や捜索などに必要な裁判所の令状のオンライン発行や、刑事書類の電子データ化が検討課題に挙げられた。ただ本格的な議論はこれからで、実現には時間がかかるとみられる。
菅義偉首相はデジタル化の推進を政権の旗印に掲げる。成城大の指宿信教授(刑事訴訟法)は「日本の司法は諸外国と異なり『国民へのサービス』であるとの視点が欠けている。新型コロナ禍の中、司法への信頼を高めるためにも、利便性を考慮した運用が求められる」と指摘している。


持続化給付金  不正受給ではなく 詐欺 

2020-09-23 | 刑事
実態としてこういうこともあるということですね。
持続化給付金だから要件を厳しくすれば意味がないし
悪用する人間が最終的に困る仕組みができないもんですかね。

それにしても、どうして 後悔とか、わらにもすがるとか、不正受給とか
の表現をするんでしょうね。

情状は別として詐欺罪成立してると思いますが

西日本新聞の記事からです。
※引用



 新型コロナウイルス対策の国の持続化給付金を不正受給した女性が西日本新聞の取材に応じ、「自分が本当に受給資格があるのか調べもせず、生活のため言われるがままにやってしまった」と後悔の念を語った。専門家は「安易に申請すれば処罰される可能性もある」と注意を呼び掛ける。

「コロナの給付金があるから、やらない?」  福岡市のフリーターの女性(20)は5月、知人の女性からこんな誘いを受けた。新型コロナで客が減ったという理由で、3月に勤務していた飲食店を解雇された。収入は絶たれた。貯金はわずかで、借金がある親にも頼れない。わらにもすがる思いで誘いに応じた。  知人が提案したのは、持続化給付金を受給すること。「世話をしてくれる人に任せれば大丈夫」と中年の男性を紹介され、銀行の預金通帳のコピーや身分証明書となる健康保険証などを渡した。  6月、国から100万円が口座に振り込まれた。男性に手数料として50万円、知人に紹介料5万円を渡した。自身の取り分は45万円だった。「コロナの時期だし、こんな給付金もあるのだろうという感覚だった」と振り返る。
 7月になり、知人から「(同じように給付金を受給した)友人が警察に呼ばれた」と連絡があった。「悪い話に巻き込まれたかも」。ようやく気付いて警察署に相談したところ、「それは詐欺行為」と指摘された。警察とは今後の対応も含め協議しているという。  捜査関係者は「インターネット上で申請を勧誘する例もあり、特殊詐欺グループや暴力団が関わっている可能性がある」とみる。
 不正受給が発覚した場合、国は受給額に延滞金を加えた金額の1・2倍を返還するよう求めている。女性は「そんな大金はない。借金とか、いろんな手を必死に探している」。知人とは連絡が取れなくなった。手数料や紹介料が戻る見込みはない。「知人もグルだったかもしれない。怪しまず、簡単に話に乗ってしまったことが悔しい」  九州北部税理士会の末吉幹久副会長は「軽はずみに不正な申請をすれば、受給額に上乗せした返還を求められた上、刑罰が科される可能性もある。誘いを受けても、慎重に見極めてほしい」と話している。