弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

業務の中から・・報道を見て・・話題を取り上げます。

発達障害者 と 犯罪 について

2011-03-25 | 自閉症・発達障害
※ 長崎新聞 の 記事 から引用します。

「累犯障害者」一審破棄、刑猶予 福岡高裁判決「福祉施設で更生」

 別の窃盗罪の刑の執行猶予期間中に万引をして捕まり、窃盗罪に問われた県内の発達障害がある男性被告(32)の控訴審判決が23日、福岡高裁であった。川口宰護裁判長は、被告が福祉施設で更生を図っていることを理由に、懲役6月の一審長崎地裁判決を破棄し、懲役10月、保護観察付き執行猶予4年を言い渡した。

 この裁判は、知的・精神障害がある「累犯障害者」の再犯防止を目的にした国の研究事業の対象事件。雲仙市の社会福祉法人南高愛隣会や県内の弁護士らでつくる「判定委員会」が対象事件に認定し、一審から執行猶予付き判決を求めて支援してきた。

 被告は昨年2月、諫早市内の量販店で食料品など5点(計約900円相当)を盗んだ。

 一審長崎地裁は昨年10月、執行猶予中の再犯で、常習性が認められるとして懲役6月(求刑懲役10月)の実刑判決を下したが、弁護側が「刑務所ではなく、福祉施設での更生が適当」として控訴していた。

 判決理由で川口裁判長は「一審判決は現時点では重過ぎる。執行猶予を付けないのは正義に反する」と述べた。

 判決などによると、被告は発達障害があるのに、裁判の過程で医師の診断を受けるまで福祉的な支援を受けたことはなかった。障害の影響で対人関係が苦手なため就労も長続きせず、食事代に窮してパンや総菜などの万引を繰り返した。一審判決後は、愛隣会が運営母体の更生保護施設に入所。贖罪(しょくざい)教育や就労訓練などを受けている。

 判定委員の一人でNPO法人、県地域生活定着支援センターの酒井龍彦所長は「本人の障害の特性を考慮した判決だと思う。福祉の支援で更生は可能。国は累犯障害者の受け皿整備を急いでほしい」と話した。


累犯障害者・判定委員会など耳慣れない言葉もたくさん出ています。厚生労働省の事業があるのですね。

発達障害や自閉症の子を持つ親にとっては、気になる判例です。

執行猶予の結論自体には異を唱えるつもりはありません。

刑事事件になっていること自体の問題も考えなくてはならないと思います。

また、別の報道ででている。

「1審判決時点では実刑判決が重すぎたとは言えないが、控訴審時点では重きに失する」との理由

とか

「施設の更生計画に基づき、他人との接し方について訓練をしっかり受けて二度と犯罪を犯さないようにしてください」との説諭

だけを読むと

発達障害や自閉症の方への理解はまだまだだなあと思ってしまいます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿