goo blog サービス終了のお知らせ 

弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

業務の中から・・報道を見て・・話題を取り上げます。

民事 で 勧進帳 読み上げ は ダメです。

2018-06-13 | 民事
裁判官の懲戒申し立て=判決文未完で言い渡し―岐阜地裁


これから民事手続協議会なんだけどなあ。

書記官さんたちも大変だっただろうなあ。

刑事畑だったのかしら???

共同通信の記事からです。

※引用

裁判官の懲戒申し立て=判決文未完で言い渡し―岐阜地裁

 担当した36件の民事事件について、判決書原本(判決文)が未完の状態で判決を言い渡したのは裁判所法の職務上の義務違反に当たるとして、岐阜地裁は13日、裁判官分限法に基づき、所属する山崎秀尚裁判官(58)の懲戒を名古屋高裁に申し立てた。

 岐阜地裁によると、名古屋地裁岡崎支部に在任中の2017年4月17日〜18年3月30日、36件の民事事件について、判決文を完成させないまま判決を言い渡したとされる。大筋で事実関係を認め、「事務処理に追われて、やむなく行った」と話しているという。 

「先生、腹くくってください。」首席指導主事の役割

2018-06-05 | 民事
神戸の中3自殺に関する記事から紹介します。

「先生、腹くくってください。」

こういう業界用語を常日頃使用しているんでしょうか。

裁判所の保全手続きも無視。

神戸新聞の記事からです。

※引用

神戸・中3自殺 市教委、校長にメモ隠蔽指示「先生、腹くくってください」

 事務処理が煩雑になる-。2016年10月に神戸市垂水区で起きた中学3年の女子生徒=当時(14)=の自殺を巡り、神戸市教育委員会の首席指導主事が当時の校長に、直後の聞き取りメモの存在を隠蔽するよう指示した理由は、遺族にとって「信じられない」ものだった。何度も訂正する機会はありながらうそにうそを重ねた対応に、市教委幹部らは「縦割りなど組織的風土の問題」とうなだれた。

 問題の発端は、17年1月の情報開示請求だった。当時、一貫して遺族対応に当たっていた首席指導主事。市教委によると、メモは重要視していなかったとみられ、遺族に渡された資料に含まれていなかった。

 同2月末、不審に思った遺族が改めて情報提供を求めたが、首席指導主事は当時の校長に「いまさら出すことはできない」などと隠蔽を指示したという。再度の情報開示請求や、第三者委員会の報告書完成が遅れることを恐れたとされ、遺族との関係悪化を心配した校長も同意した。

 同3月に神戸地裁が証拠保全決定を出し、事態はさらに複雑化。提出しなくていいか尋ねた当時の校長に、首席指導主事は「先生、腹くくってください」と隠すよう促したという。さらに、こうしたやり取りについて、上司らに相談や報告をしなかった。

 昨年8月、現校長がメモの存在を市教委に報告した後も、首席指導主事は「メモは存在しないはず」と答えたという。事態を把握した上司らも「内容は第三者委の報告書に反映されている」などと、メモを半年以上放置した。

 遺族は「首席指導主事は遺族の窓口となる立場で、なぜこんな対応をされたのか信じられない」とし、市教委の一連の対応についても「本当に個人の責任なのか」と憤った。

 一方、文部科学省は17年3月、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインで、手書きのメモも公文書に該当する場合があるとして、保管を求めている。市教委は今回のメモが公文書に当たるか調べており、長田淳教育長は「(ガイドラインが出る前とはいえ)非常に不適切な取り扱い。コンプライアンス遵守も含め、組織を変えていきたい」とした。


指導主事が気になったので、WIKI で引いてみたら

指導主事(しどうしゅじ)は、都道府県及び市町村の教育委員会に置かれる専門的職員で(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第19条第1項、第2項)、教育公務員特例法上の専門的教育職員に位置づけられている。同じ専門的教育職員である社会教育主事が社会教育及び生涯学習に関する事項を扱うのに対して、指導主事は学校教育をもっぱら担当する。

職務
上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事することである(同法第19条第3項)。

具体的には、次のような仕事がある。

教育委員会が所管する学校において、教育課程が適切に行われているかどうか把握し、適切でない場合は指導する
指導主事の中でも、統括指導主事(東京都の場合。各自治体によっては主任指導主事などと職名は異なる)は特別なリーダーシップを発揮し、各学校に対し指導を行う
校長・教頭や教員に対する研修を行う
研究指定校に対して助言などを行う
教員の問題(例: 指導力不足、体罰)や児童・生徒の問題(例: 不登校、非行、校内での事故)に対して、校長・教頭を通して解決にあたる
資格
教育に関し見識を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験を有する者であることであるが、大学以外の公立学校の教員をもって充てることができる(同法第19条第4項)。

大学以外の公立学校の教員籍を有したまま指導主事に充てられた者は、「充て指導主事」と呼ばれる。このほか、教員籍を一時的に離れて、指導主事に任命される場合もある。
教育委員会は、大学以外の公立学校の教員を指導主事に充てようとする場合、当該職員が他の教育委員会の任命に係るものであるときは、当該任命権者の同意を得なければならない(同法施行令第4条第1項)。
都道府県教育委員会が、県費負担教職員である教員(政令指定都市以外の市町村立小学校・中学校・中等教育学校・特別支援学校の教員)を指導主事に充てようとする場合、当該教員が属する市町村の教育委員会の同意を得なければならない(同法施行令第4条第2項)。
指導主事に充てられた教員は、その充てられた期間中、当該公立学校の教員の職は有するが、教員の職務には従事できない(同法施行令第5条)。
選考及び身分の取扱い
指導主事の採用及び昇任は選考により行われ、その選考は教育委員会の教育長が行う(教育公務員特例法第16条)。その他、指導主事の給与・懲戒・服務等の身分取扱いに関する事項は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律及び地方公務員特例法に特別の定めがあるものを除き、地方公務員法の定めるところによる(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第22条)。

問題点
角田裕育は著書『教育委員会の真実』(宝島社)の中で、指導主事制度はしばしば学校長との馴れ合いを生み出し、学校不祥事を隠蔽する役割を担うケースがあることを指摘している。また、指導主事は学校管理職昇進のための腰掛けポストとして認識される傾向も見られる。

ジャストミートな指摘がありました。

特殊詐欺

2018-04-28 | 民事
法務省を装い、はがきで金銭要求 全国で約3万件の相談


特殊詐欺の一種ですが
ハガキが来て着手金といわれたときに
弁護士に相談してみようという考えが浮かばない原因はどのあたりにあるのだろうか?

※引用

法務省を装い、はがきで金銭要求 全国で約3万件の相談


 消費者庁は27日、法務省の名をかたった業者が「訴訟を起こされた」とするうそのはがきを送りつけ、お金を支払うよう要求しているとして、消費者安全法に基づいて事業者名を公表し、注意を呼びかけた。各地の消費生活センターには昨年5月〜今年3月、同種の相談が2万9455件寄せられたという。

 発表によると、はがきの差出人は「法務省管轄支局民事訴訟管理センター」や「法務省管轄支局国民訴訟通達センター」などで、法務省には実在しない名称が記されている。「訴訟が起こされている」として連絡するよう求め、連絡すると、弁護士と名乗る人物が「示談に持ち込むには着手金が必要」などと金銭を要求するという。

 消費生活センターに寄せられた相談のうち、少なくとも107人が計約1億1900万円を支払った。近畿地方の70歳代の女性は、5100万円を支払う被害に遭ったという。

 同庁は、裁判関連の書類ははがきでは送られないとして、注意を促している。

民法 改正案   相続関係

2018-01-17 | 民事

民法の改正案ですね。

自筆証書遺言の方式

遺言と登記

などの基本的な論点についても変更ありです。


毎日新聞の記事からです。

※ 引用

<民法改正案>相続で配偶者に居住権 高齢社会に対応

 ◇法制審議会部会が、民法改正案の要綱案取りまとめ

 法務省は16日、死亡した人(被相続人)の遺産分割で配偶者の優遇を図る民法改正案を22日召集の通常国会に提出する方針を固めた。配偶者が相続開始時に居住していた建物に住み続ける権利「配偶者居住権」の新設や、婚姻期間が長期間の場合に配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた住居(土地・建物)は原則として遺産分割の計算対象とみなさないようにすることなどが柱。高齢化を受け、配偶者の老後の経済的安定につなげる狙いがある。

 相続法制の見直しを検討している法制審議会(法相の諮問機関)の部会が16日、民法改正案の要綱案を取りまとめた。来月の法制審総会で上川陽子法相に答申される。民法の相続分野の大幅な見直しは1980年以来、約40年ぶり。

 新設する居住権は、原則亡くなるまで行使でき、譲渡や売買はできない。その評価額は、平均余命などを基に算出され配偶者が高齢であるほど安くなることが想定される。現行法でも配偶者が建物の所有権を得て住み続けることができるが、建物の評価額が高額の場合、他の相続財産を十分に取得できない恐れが指摘されてきた。配偶者が居住権を得ることを選択すれば、他の財産の取り分が実質的に増えると見込まれる。

 例えば、現行法では、夫が死亡して、妻と一人息子が家(評価額2000万円)と現金など他の財産(3000万円)を相続する場合、遺産の取り分は原則2分の1(2500万円)ずつで、妻が家の所有権を得て相続すると現金などは500万円しか得られない。これに対し居住権の評価額は所有権より安くなり、その分、他の財産を多く受け取れることになる。

 また、現行法では生前贈与などがされた住居は被相続人が遺言などで「住居は遺産に含まない」といった意思表示をしていなければ、遺産分割の計算対象となる。そのため、要綱案は、婚姻期間が20年以上であれば、配偶者が生前贈与などで得た住居は「遺産とみなさない」という意思表示があったと推定する規定を民法に加えることとした。

 このほか、要綱案は、相続人以外の被相続人の親族(相続人の妻など)が被相続人の介護を行った場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できるようにする。また、現行で自筆でなければならない自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成することも可能とし、法務局で自筆証書遺言を保管する制度を創設する案も盛り込んでいる。【鈴木一生】

 ◇民法改正(相続分野)の要綱案の主なポイント

【配偶者の居住の保護】

配偶者が相続開始時に居住している被相続人所有の建物に住み続けることができる権利を創設し、遺産相続の選択肢の一つとして取得できる

【遺産分割】

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者が居住用の不動産(土地・建物)を生前贈与したときは、その不動産を原則として遺産分割の計算対象としてみなさない

【遺言制度】

自筆ではなくパソコンなどでも自筆証書遺言の財産目録を作成できる。法務局が自筆証書遺言を保管する制度を創設する

【相続の効力】

遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産は、登記をしなければ第三者に権利を主張できない

【相続人以外の貢献の考慮】

相続人以外の被相続人の親族(相続人の妻など)が被相続人の介護をしていた場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できる

精神的苦痛

2017-12-07 | 民事
ママ友のうそ、訴訟に発展 「警官から情報」認めず、福井地裁


いろいろな裁判があるものですね。

福井新聞の司法関係の記事はなかなか面白いです。担当記者の視線によるのでしょうか。

それにしても福井地家裁の建物は趣がありますね。

※引用

ママ友のうそ、訴訟に発展 「警官から情報」認めず、福井地裁

 福井県警の情報漏えいはなく、“ママ友”がついたうそだった―。覚せい剤取締法違反で逮捕されたことを、県警警察官が報道発表前に知人女性に話したため精神的苦痛を受けたとして、逮捕された男女が県に300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が6日、福井地方裁判所であった。林潤裁判長は「警察官が捜査情報を漏えいしたと認めるには足りない」として請求を棄却した。

 判決によると、知人女性は別の友人女性に「(原告女性が)覚醒剤でつかまったらしい」「(情報源は)知り合いの警察の関係の人」と無料通信アプリLINEで送信した。

 原告女性、送信した女性、受信した女性の3人は子どもが同級生だったママ友。

 送信した女性は6月の証人尋問で、情報源の氏名は言えないとしていたものの、最後は泣きながら、原告女性の元夫から聞いたと証言。「とっさに警察と書いてしまった」と述べた。判決では「元夫と連絡を取り合っていることを知られることにちゅうちょを覚えるなどした」としている。元夫は原告女性の実父から逮捕を聞いたと証言した。

 ささいなうそが警察を巻き込む民事訴訟にまで発展した形となった。

事故物件  損害賠償

2017-11-29 | 民事
住民ら死亡の「事故物件」、借り主側の賠償責任を認めず


本件は嘱託殺人とか同意殺人の認定ができないという判断のようですが

これが自殺だと問題が変わってきますね。


借主側と表現されていますが、記事によれば入居者に借上げ社宅を提供していた会社の責任が問題となったようです。

これが遺族や連帯保証人だと問題が変わってきますね。


最近は、一方で孤独死の問題があり、他方で重要事項説明の問題があり問題は複雑化しています。


朝日新聞の記事からです。

※引用

住民ら死亡の「事故物件」、借り主側の賠償責任を認めず

 山口市内のアパートの一室で、住民の会社員女性とその知人男性が死亡し、その後に入居希望者が現れなくなったのは部屋を借り上げた会社に賠償責任があるとして、家主の男性が損害賠償を求めた裁判の判決公判が28日、山口地裁であった。橋本耕太郎裁判官は原告側の訴えを棄却した。

 判決文によると、原告が所有する山口市内のアパートの1室で2015年、入居者の女性が知人男性と亡くなっているのが見つかった。

 原告側は、女性が男性に殺害を依頼した嘱託殺人または同意殺人であり、事件の影響で部屋の賃貸借契約が困難になったなどと主張。部屋の借り主である女性の勤務先の小売会社(大阪府)に10年間の家賃総額の半額に当たる285万円を求めていた。

 橋本裁判官は、女性の死が嘱託または同意に基づくものと認めることは出来ないなどとして訴えを退けた。

ゴルフ場 の 過失

2017-08-18 | 民事


請求自体は、否定されてますが、過失があるという判断ですね。

お昼のビール、夏は特に美味しいですが、きっとメニューに注意書きがつくんでしょうね。

カートの自由走行が禁止になるよりはいいのかなあ。

ああ、お昼のビール   

※引用

ゴルフ場でのカート飲酒運転事故、漫然と酒を提供したクラブにも「過失」-民事訴訟で大阪高裁判決


 ゴルフ場でカート事故が起きたのはクラブハウスがビールを漫然と出したから-。飲酒後の運転ミスでカートが転落した人身事故を巡る民事訴訟で、大阪高裁がゴルフ場の酒提供を過失と認める判決を言い渡していたことが17日分かった。

 7月14日付判決によると事故は平成21年9月、兵庫県篠山市で発生。ゴルフコンペで男性が坂道の急な右カーブでハンドルを右に切りすぎ、ブレーキも踏まなかったため4人が乗ったカートが斜面を転落。助手席の男性が頸髄を損傷し、重い身体障害を負った。

 4人は事故前に生ビールを中ジョッキで2杯飲んでおり、負傷者への賠償金を支払った共済組合が26年5月、「事故は飲酒が原因でほう助した責任がある」と経営会社に賠償金の一部負担を求めて提訴した。

 昨年11月の一審大阪地裁判決は、ゴルフ場利用者は飲酒の危険を常識として認識しており、ゴルフ場側が酒の注文を断る義務はないと判断。請求を退けた。

 しかし高裁の佐村浩之裁判長は事故には飲酒が影響し、ゴルフ場側がほう助したと指摘。「ビール注文時にセルフプレーの4人の誰かが運転し、事故を起こすことを予見できたのに漫然と酒を提供した」として過失を認めた。

 共済組合側は判決を不服として上告している。

慰謝料請求  名誉棄損?

2017-08-03 | 民事
会社が広報文で記事情報源と名指し 元社員への賠償命令


吉村裁判長

あの調子で指揮したのだろうか?

※引用

会社が広報文で記事情報源と名指し 元社員への賠償命令

 勤務先から自社のことを報じた記事の情報源だと名指しされ、名誉を損なう広報文を出されたとして、大手遊技機メーカー「ユニバーサルエンターテインメント」(東京)の元男性社員が、同社や同社会長らに3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2日、名誉毀損を認め、同社に300万円の支払いを命じた。

 問題になったのは、同社が2013年2月に出した広報文。フィリピンでの同社のリゾート開発に関する朝日新聞などの記事を受けて出された。男性の氏名を明記し、「虚偽の文書を作成し報道機関に提供した」と公表した。

 吉村真幸裁判長は「過去の持ち出しについて証拠はなく、男性が作成した文書も虚偽とは認められない」と指摘。「真実とは言えない広報文で男性は社会的評価を低下させられた」と判断した。

 同社は判決を受け、「お答えすることはありません」とコメントした。


投稿記事削除仮処分決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

2017-02-20 | 民事

当該事実を公表されない法的利益

当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情
を比較衡量して判断すべきもの

・他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実

・児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項である
・本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると,本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものである
を比較衡量したが前者の法的利益が優越していることが明らかとはいえない。


※引用

平成28年(許)第45号
投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
平成29年1月31日 第三小法廷決定

主 文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理 由
抗告代理人神田知宏の抗告理由について
1 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。
(1) 抗告人は,児童買春をしたとの被疑事実に基づき,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関
する法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され,同年12月に同法違反の罪により罰金刑に処せられた。抗告人が上記容疑で逮捕された事実(以下「本件事実」という。)は逮捕当日に報道され,その内容の全部又は一部がインターネット上のウェブサイトの電子掲示板に多数回書き込まれた。
(2) 相手方は,利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し,ウェブサイトを識別するための符号であるURLを検索結果として当該利用者
に提供することを業として行う者(以下「検索事業者」という。)である。
相手方から上記のとおり検索結果の提供を受ける利用者が,抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件として検索すると,当該利用者に対し,原々決定の引用する仮処分決定別紙検索結果一覧記載のウェブサイトにつき,URL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋(以下「URL等情報」と総称する。)が提供されるが,この中には,本件事実等が書き込まれたウェブサイトのURL等情報(以下「本件検索結果」という。)が含まれる。
2 本件は,抗告人が,相手方に対し,人格権ないし人格的利益に基づき,本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案である。
3(1) 個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は,法的保護の対象となるというべきである(最高裁昭和52年(オ)第323号同56年
4月14日第三小法廷判決・民集35巻3号620頁,最高裁平成元年(オ)第1649号同6年2月8日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁,最高裁平成13年(オ)第851号,同年(受)第837号同14年9月24日第三小法廷判決・裁判集民事207号243頁,最高裁平成12年(受)第1335号同15年3月14日第二小法廷判決・民集57巻3号229頁,最高裁平成14年(受)第1656号同15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973頁参照)。他方,検索事業者は,インターネット上のウェブサイトに掲載されている情報を網羅的に収集してその複製を保存し,同複製を基にした索引を作成するなどして情報を整理し,利用者から示された一定の条件に対応する情報を同索引に基づいて検索結果として提供するものであるが,この情報の収集,整理及び提供はプログラムにより自動的に行われるものの,同プログラムは検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った結果を得ることができるように作成されたものであるから,検索結果の提供は検索事業者自身による表現行為という側面を有する。また,検索事業者による検索結果の提供は,公衆が,インターネット上に情報を発信したり,インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり,現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。そして,検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法とされ,その削除を余儀なくされるということは,上記方針に沿った一貫性を有する表現行為の制約であることはもとより,検索結果の提供を通じて果たされている上記役割に対する制約でもあるといえる。
以上のような検索事業者による検索結果の提供行為の性質等を踏まえると,検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。
(2) これを本件についてみると,抗告人は,本件検索結果に含まれるURLで識別されるウェブサイトに本件事実の全部又は一部を含む記事等が掲載されている
として本件検索結果の削除を求めているところ,児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は,他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが,児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また,本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると,本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。
以上の諸事情に照らすと,抗告人が妻子と共に生活し,前記1(1)の罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても,本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。
4 抗告人の申立てを却下した原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官 大橋正春 裁判官木内道祥 裁判官 山崎敏充)

金融機関のちゅうちょ

2016-12-19 | 民事
実態知らず融資、保証契約有効=銀行側が逆転勝訴―最高裁


金融機関は融資をちゅうちょしかねない

といっても、信用保証協会の審査が厳しくなれば、結局、プロパーの融資の問題になって
金融機関は融資をちゅうちょするんじゃないのかな。



※引用

実態知らず融資、保証契約有効=銀行側が逆転勝訴―最高裁

 企業の経営実態を知らずに貸し付け、返済されなくなった銀行の融資について、信用保証協会が保証契約に基づき肩代わりすべきかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は19日、「保証契約は有効」とする初判断を示した。その上で、保証協会側の請求を全て認めた二審判決を破棄し、銀行側の逆転勝訴とした。

 保証協会と金融機関の間では、融資後に企業の実態が判明して返済されなくなった場合、どちらが負担すべきかが問題となっており、最高裁の判断が注目されていた。

 大谷裁判長は「企業の実態のないことが事後的に判明した際に契約を一律に無効とすれば、金融機関は融資をちゅうちょしかねない」と指摘した。

 一、二審判決によると、北国銀行(金沢市)は2009年、牛乳小売業者に5000万円を融資したが回収不能となり、石川県信用保証協会が10年、約4900万円を同行に支払った。

 その後、融資直前に事業譲渡が行われていたことが判明。同協会は「事情を知っていれば保証契約を結ばなかった」として同行に全額を返還するよう求め提訴した。

 一審金沢地裁は一部の返還を認めたが、二審名古屋高裁金沢支部は全額を認容。北国銀行側が上告した。 

仮差押えと法定地上権 に関する 最高裁判例

2016-12-02 | 民事
平成27年(受)第477号 損害賠償等,境界確定等請求事件
平成28年12月1日 第一小法廷判決
主 文
1 原判決中,上告人に対し土地明渡し及び平成21年
7月29日以降1箇月5000円の割合による金員
の支払を命じた部分を破棄する。
2 前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
3 上告人のその余の上告を棄却する。
4 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人河原一雅の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
1 原審が確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) Aは,平成14年5月23日当時,原判決別紙物件目録1記載(2)の土地(以下「838番6の土地」という。),同目録2記載(1)の土地(以下「838番8の土地」という。)及びこれらの土地上にある同目録2記載(2)の建物(以下「本件建物」という。)を所有していた。
(2) 本件建物及び838番8の土地につき,平成14年5月23日,仮差押えがされた(以下,これを「本件仮差押え」という。)。
(3) Aは,平成19年3月26日,838番6の土地を被上告人に贈与した。
(4) 本件建物及び838番8の土地につき,平成20年2月20日,強制競売手続の開始決定による差押えがされた(以下,この強制競売手続を「本件強制競売手続」という。)。本件強制競売手続は,本件仮差押えが本執行に移行してされたものであった。上告人は,本件強制競売手続における売却により,本件建物及び838番8の土地を買い受けてその所有権を取得した。
(5) 上告人は,平成21年7月29日から,本件建物,838番8の土地及び838番6の土地を占有している。
2 本件は,838番6の土地の所有者である被上告人が,これを占有する上告人に対し,所有権に基づき,上記土地の一部(原判決主文第2項(3)掲記の部分)の明渡し及び上告人が占有を開始した平成21年7月29日から上記明渡し済みまでの賃料相当損害金の支払を求めるなどしている事案である。本件仮差押えがされた時点で,本件建物とその敷地の一部である838番6の土地が同一の所有者に属していたことによって,本件建物につき法定地上権が成立するか否かが争われている。
3 原審は,次のとおり判断して,本件建物につき法定地上権の成立を否定し,被上告人の土地明渡請求を認容し,賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとした。
土地上にある建物に仮差押えがされ,その後,当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続における売却により買受人がその所有権を取得した場合において,土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたとしても,その後に土地が第三者に譲渡された結果,当該強制競売手続における差押えの時点では土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったときは,法定地上権が成立すると解することはできない。なぜならば,そのようなときは,土地の譲渡の際に地上建物につき土地の使用権を設定することが可能であるし,また,土地及び地上建物が同一の所有者に属する場合において,差押えがあり,その売却により所有者を異にするに至ったときに法定地上権の成立を認める民事執行法81条の明文に反するからである。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
(1) 地上建物に仮差押えがされ,その後,当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続における売却により買受人がその所有権を取得した場合において,土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたときは,その後に土地が第三者に譲渡された結果,当該強制競売手続における差押えの時点では土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったとしても,法定地上権が成立するというべきである。その理由は次のとおりである。
民事執行法81条の法定地上権の制度は,土地及び地上建物が同一の所有者に属する場合には,土地の使用権を設定することが法律上不可能であるので,強制競売手続により土地と地上建物の所有者を異にするに至ったときに地上建物の所有者のために地上権が設定されたものとみなすことにより,地上建物の収去を余儀なくされることによる社会経済上の損失を防止しようとするものである。そして,地上建物の仮差押えの時点で土地及び地上建物が同一の所有者に属していた場合も,当該仮差押えの時点では土地の使用権を設定することができず,その後に土地が第三者に譲渡されたときにも地上建物につき土地の使用権が設定されるとは限らないのであって,この場合に当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続により買受人が取得した地上建物につき法定地上権を成立させるものとすることは,地上建物の収去による社会経済上の損失を防止しようとする民事執行法81条の趣旨に沿うものである。また,この場合に地上建物に仮差押えをした債権者は,地上建物の存続を前提に仮差押えをしたものであるから,地上建物につき法定地上権が成立しないとすれば,不測の損害を被ることとなり,相当ではないというべきである。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,本件強制競売手続は本件仮差押えが本執行に移行してされたものであり,本件仮差押えの時点では本件建物及び838番6の土地の所有権はいずれもAに属していたから,本件強制競売手続により上告人が本件建物の所有権を取得したことによって,本件建物につき法定地上権が成立したというべきである。
5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決中,被上告人の上告人に対する土地明渡請求を認容し,賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとした部分は破棄を免れない。そして,成立した法定地上権がその後消滅したか否か等について更に審理を尽くさせるため,上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
なお,その余の請求に関する上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人 裁判官小池 裕 裁判官 木澤克之)

高次脳機能障害

2016-12-01 | 民事
「交通事故で高次脳機能障害」=男性が国に逆転勝訴―大阪高裁


高次脳機能障害 の 事案 は裁判資料を見ても微妙なケースが多いですね。

国は上告するでしょうか?

※ 引用

「交通事故で高次脳機能障害」=男性が国に逆転勝訴―大阪高裁

 通勤中の交通事故で高次脳機能障害の後遺障害を負ったとして、大阪市の男性(47)が国を相手に、労災保険法に基づく障害補償給付の支給を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。山田陽三裁判長は請求を棄却した一審大阪地裁判決を取り消し、支給を命じた。

 判決によると、男性は1997年、原付きバイクで学習塾への通勤中に乗用車と衝突。2005年にもタクシーのドアに右半身がぶつかり、記憶障害などを訴えて08年に高次脳機能障害と診断された。

 しかし、淀川労働基準監督署は11年、労災とは認めず、一審も精神障害の可能性に触れ、高次脳機能障害とは認めなかった。

 山田裁判長は、97年の事故直後から男性に重い意識障害があり、頭部画像に脳内出血が認められると指摘。最初の事故が原因で高次脳機能障害を発症したと認定した。 

二重訴訟

2016-11-15 | 民事
過払い金で二重訴訟…弁護士、原告と話さず訴状


ラジオCMで宣伝していた司法書士

どうして二人に引き継ぐのだろうか。

まあ、原告と一度も話さずに・・・というのも信じがたいですが・・・


※引用

過払い金で二重訴訟…弁護士、原告と話さず訴状

 原告が同じで、訴えの内容も同じ2件の過払い金返還請求訴訟が今年7、9月、別々の弁護士を代理人として京都地裁に起こされていた。

 原告から依頼された司法書士が2人の弁護士に引き継いでしまったためだが、うち1人の弁護士は読売新聞の取材に、日本弁護士連合会の規定に反して原告と一度も話さずに訴状を提出していたことを認めた。過払い金の返還総額は現在も年間2000億円程度とされており、消費者金融に詳しい弁護士は「弁護士の受任がずさんなケースはほかにも相当数あるのではないか」と話している。

 関係者や2件の訴状によると、原告は熊本県内に住む男性(60)。

 男性は今年6月、ラジオCMで宣伝していた大阪の60歳代の司法書士に、消費者金融に対する過払い金返還請求の手続きを依頼した。司法書士が過払い額を計算すると約390万円で、司法書士が扱える金額(140万円)を超えていたため、大阪弁護士会の男性弁護士2人に引き継いだという。

著しく不適切な事案

2016-07-20 | 民事
手術後後遺症で逆転敗訴=一部賠償命令の二審破棄―最高裁


「患者が適切な医療を受けられなかった場合に医師が責任を負うかどうかは、その行為が著しく不適切な事案に限って検討する」

原告は「その行為が著しく不適切な事案」  に該当することを主張立証せよ  ということか。

その基準は?

時事通信の記事からです。

※引用

手術後後遺症で逆転敗訴=一部賠償命令の二審破棄―最高裁

 東京都台東区の病院で脳の外科手術後に後遺症が残った新潟市の男性(48)が、病院側に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は19日、一部賠償を認めた二審判決を破棄し、請求を棄却した。男性側逆転敗訴が確定した。

 判決によると、男性は2009年に手術を受けた直後に脳内出血し、手足の筋力が低下するなどして日常生活で介護が必要な状態となった。男性側は、医師らは出血の兆候が出た時点でコンピューター断層撮影(CT)検査をすべきだったのに怠ったとして提訴した。

 一審新潟地裁は請求を棄却。しかし、二審東京高裁は医師が注意を怠ったと認定した上で、男性は適切な治療を受けられず精神的苦痛を受けたとして、5000万円の請求に対して1100万円の賠償を命じた。

 これに対し第3小法廷は「患者が適切な医療を受けられなかった場合に医師が責任を負うかどうかは、その行為が著しく不適切な事案に限って検討する」と指摘。男性の場合は医師が経過観察を続けるなどしており、不適切なケースに当たらないと判断した。 

女児の傾向

2016-07-20 | 民事
小2に飛び降り強要、小4両親に1千万円賠償命令


女児の傾向を気づいていない  ということがあり得るのだろうか。

先日の高齢者障害者委員会と社会福祉士会の協議会で監督義務者の責任を議論しただけにとても考えさせられる記事です。

両親の免責の要件はどのように考えるべきなのか?


朝日新聞の記事からです。

※引用

小2に飛び降り強要、小4両親に1千万円賠償命令

 東京都内の小学校に通っていた当時2年生の女子児童が2013年、同じ小学校の4年生の女子児童に命じられてマンション屋上から飛び降り、重傷を負ったとして、2年生の女児と両親が4年生の女児の両親に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であった。小野瀬厚裁判長は4年生の女児の両親に監督義務があったと認め、約1025万円の支払いを命じた。

 判決によると、13年1月、当時10歳だった4年生の女児は、8歳だった2年生の女児が学校の前で縄跳びを振り回しているのを注意。さらに説教しようと9階建ての自宅マンションの屋上(高さ約26メートル)に連れて行き、「飛び降りろ。ここから落ちて死んでしまえ」と言って飛び降りさせた。2年生の女児は木の枝に当たるなどして一命は取り留めたが、肋骨(ろっこつ)や足の骨などを折る約11週間の重傷を負った。

 4年生の女児は重度の難聴で両親は専門のクリニックに通って育て方の指導を受けていた。また、事件後に社会性の乏しさなどがみられる広汎(こうはん)性発達障害と診断された。

 判決は、年齢や障害などを考慮して、4年生の女児に責任能力はなかったと判断。その上で、両親の監督義務について「専門家に相談するなど子育てに相当の努力を払った」と認める一方、「他者が思い通りに動かないと怒りを持つ女児の傾向に気づいておらず、対応は不十分だった」として賠償責任を負うと判断した。