つばさ

平和な日々が楽しい

日本という国が受賞した賞です

2012年10月10日 | Weblog
【産経抄】10月10日
2012.10.10 03:06
 山中伸弥さんはノーベル医学・生理学賞に決まった直後の記者会見で「日の丸の支援がなければ、受賞できなかった」と語った。「日本という国が受賞した賞です」とも言う。まさしく日本の「科学力」が証明されたと言っていいだろう。
 ▼国際的な称賛も多いが、韓国のブログにはこんな書き込みがあったという。「また日本人がノーベル賞を取りましたね。ああ、うらやましい」。韓国では平和賞以外の受賞がまだない。山中さんまで科学部門だけでも16人の受賞者を出した日本に対する羨望である。
 ▼むろん、それに対し「どうだ」と胸を張る気など、さらさらない。ノーベル賞だけが学問の目標ではないし、韓国人もいずれ受賞するだろうからだ。ただこれまでの実績に差があるとすれば、科学に対する「謙虚さ」に基づくような気がしてならない。
 ▼例えば竹島をめぐり、日本側は明治38年の島根県編入など科学的事実をあげ領有を主張する。ところが韓国側はそうした事実を全く受けつけないから、議論にもならない。「慰安婦」についても客観的で科学的な根拠のない「強制連行」をかかげ日本を攻撃する。
 ▼呉善花さんの『虚言と虚飾の国・韓国』によれば、ある大学教授が「日本文化の大部分は我が文化がそのまま伝えられた」と根拠のない説を述べる。呉さんは「韓国では容易に歴史が科学にならない」と嘆く。科学力が育つような風土にないということのようだ。
 ▼いや最近の日本だって心配だ。福島の原発事故以来、全く根拠のない風評被害が広がる。安全性をどう科学的に説明しても、被災地のガレキを受け入れようとしない。これではいつか日本人が「うらやましい」と書き込むことになる。


余録:1本の万年筆といえども、使う頻度が少なく…

2012年10月10日 | Weblog

余録:1本の万年筆といえども、使う頻度が少なく…
毎日新聞 2012年10月10日 00時47分

 1本の万年筆といえども、使う頻度が少なく、丁寧に扱えば、一生ものになる。2代、3代と受け継がれることもあろう。随筆家の串田孫一(くしだまごいち)さんが「文房具56話」(ちくま文庫)で書いている。使い捨てではない文房具の味わいだろう▲16年愛用の太字書きの万年筆でつづられた随筆の続きにある。<あまり使う度数の多くない人ほど、書き味、インキの出方を気にして、どんどん買うように思える。それとデザインが新しくなればそれがまた欲しくなる>と。今もマニアは少なくないが、万年筆の消費量はぐっと減った▲文化庁の「国語に関する世論調査」によると、携帯電話や電子メールの普及で「手で字を書くことが面倒くさく感じる」人が42%に上った。10年前より10.1ポイント増えている。「漢字を正確に書く力が衰えた」と回答した人は実に66.5%に達した。20~50歳代で軒並み7割を超えたという▲とはいえ全国を巡り万年筆の修理・調整を手がけてきたペンドクターの川口明弘さんは、自分に合う万年筆を持てば、手書きの楽しみを発見できると確信している。20万本以上も再生させたが、形見の万年筆も多かったに違いない▲使うほど手になじむ万年筆は自分の心を伝える道具だ。簡便なボールペンに筆記具の首座を奪われたとはいえ、インクの文字にぬくもりがあり、その濃淡がペンを握った当時の心境をよみがえらせてくれる▲文房具会社の最近の調査でも、万年筆は20歳代の男女の目にむしろ新鮮に映り、「かっこいい筆記具」として見直されているそうだ。毛筆の味わいは別格だが、手紙は恋文でなくとも、万年筆の手書きがいい。

制服や権威にコロリなびく人の心根

2012年10月10日 | Weblog
春秋
2012/10/10
 ドイツはベルリン郊外、人口3万の某市市庁舎に大尉率いる歩兵十数人が突然やってきたのは1906年10月16日夕である。皇帝の命により、と言って市長を逮捕し、金庫の中身を差し押さえる。警察に指示して市長をベルリンに護送させると大尉はどこかへ消え……。
▼じつは大尉、古着屋で軍服を手に入れただけの真っ赤なにせものだった。市長や警察がだまされただけでない。本物の武装歩兵は軍服と威厳ある挙措を真に受け、たまたま出会った「大尉」の命じるままに犯罪の片棒を担いだ。制服や権威にコロリなびく人の心根をにせ大尉が暴く。その人間臭さに世は大騒ぎしたそうだ。
▼ウイルスを使って他人のパソコンに侵入し、そのパソコンを遠隔操作してあちこちに脅迫文書を送りつける――そんな手口とみられる犯罪があった。パソコンの持ち主は一度逮捕され、のちに釈放されたという。誰もが知らぬ間に誰かによってなりすまされる。1世紀余をへて、なりすまし事件はずいぶん気味悪くなった。
▼くだんの大尉、みな軍服ばかり見て顔は見なかったから、私服姿ならつかまるはずもなかった。が、かつて服役中の房でチラとアイデアを漏らしていたことがきっかけで逮捕される。ネット犯罪やいたずらに手を染める者にも、手口を披露したがる傾向があると聞いた。人の心根には、いつになっても変わらぬ部分がある。
春秋