つばさ

平和な日々が楽しい

百薬の長とはいえど、万(よろず)の病は酒よりこそ起これ」と忠告しているようだ

2012年10月19日 | Weblog
トキの島、佐渡の人と日本酒を飲む機会…越前若水
(2012年10月19日午前7時34分)
 トキの島、佐渡の人と日本酒を飲む機会があった。もちろん福井の地酒である。「ときしらず」という銘柄はご愛敬(あいきょう)として、この時期限定の「ひやおろし」ともども宴席はにぎやいだ▼酒どころ・新潟県の人である。非常においしいとお褒めの言葉を頂き、県人としてはまんざらでもない。会話が弾んで、酒量が増えたのは言うまでもない▼酒にまつわる言葉に「酒は百薬の長」というのがある。出典は中国の歴史書「漢書」で「夫(そ)れ塩は食肴(しょくこう)の将。酒は百薬の長。嘉会(かかい)の好。鉄は田農の本」と書かれている▼本意は「塩と酒、鉄は必需品だから国の専売とする」という宣言であって、殊更に酒の薬効を強調しているわけではない。要は、酒好きの面々が自分に都合よく引用したらしい▼「名言vs名言」(草思社)によれば、かの兼好法師も徒然草で「百薬の長とはいえど、万(よろず)の病は酒よりこそ起これ」と忠告しているようだ。左党には耳の痛い話である▼しかし親愛なる法師のこと。何とも懐が深い。月の夜、花の下、思いがけない友達が来た時、冬に温かいものを囲んだ席での酒はいいものだとも言う▼朝夕の冷気が身に染みる秋。日本酒が一段とおいしい季節である。「上戸はをかしく罪ゆるさるるものなり」。兼好法師の寛容さを汚さぬよう、面白く罪のない酒を楽しむことにしよう。もちろん福井の地酒で。

●啄(そったく)●=口へんに卒

2012年10月19日 | Weblog
【産経抄】10月19日
2012.10.19 03:11
 作家の幸田文は、6歳で生みの母親と死別する。以後は父の露伴から、米のとぎ方やまきの割り方などとともに、厳しい言葉のしつけを受けてきた。そのためだろう、文が普通に使っても、世間では理解されない言葉がいくつもあった。
 ▼「●啄(そったく)」もそのひとつだ。雑誌に寄稿した随筆の題にしたところ、「字引にない言葉だって叱られちゃったの」と、ある対談で語っていた。手元の字引には載っていたが、小欄も使ったことがない。
 ▼「●」は、ひな鳥が卵のからのなかでつつく音をさし、「啄」は、母鳥が外からつつくことをいう。禅宗で師家(しけ)と弟子の呼吸がぴったりあうことから、逃してはならない好機の意味もある。
 ▼野田佳彦首相はきょう、ようやく自民党の安倍晋三総裁と、公明党の山口那津男代表との3党首会談に臨むことになった。決まらない政治に対して、国民のいらだちが限界まできている。民主党が先送りしてきた臨時国会の召集に向けて、まさに、●啄の時である。
 ▼臨時国会ではまず、国民生活に悪影響が及ばないよう、赤字国債発行のための特例公債法案を通さなければならない。衆院小選挙区の「0増5減」の先行実施も、喫緊の課題だ。尖閣諸島をめぐる領土問題でも、論議を急ぐ必要がある。与野党が協力して難局に立ち向かえるかどうかは、衆院解散についての首相の覚悟にかかっている。
 ▼ただ、民主党内では総選挙で惨敗必至とあって、解散先延ばしを望む声が大勢だ。首相がこの期に及んで、党利党略に走り、「近いうち解散」の約束を反故(ほご)にするようなら、露伴から叱責が飛んでくるだろう。「さっさとやらなきゃチャンスが逃げちゃう。●啄同時でない奴だ」
●=口へんに卒

格差是正は待ったなしだろう

2012年10月19日 | Weblog
NIKKEI、社説
中国の景気減速が示す次期政権の宿題
2012/10/19付
 中国の国家統計局は、7~9月期の国内総生産(GDP)が前年同期に比べて実質7.4%増えたと発表した。4~6月期の7.6%から一段と低下し、政府が今年の成長目標としている7.5%を割り込んだ。
 成長率の鈍化は7四半期連続。欧州の債務危機をはじめ世界経済はなお停滞色が強い。中国の景気がいつまで、どこまで減速するのかは、世界的な関心事だ。
 7%台の成長は国際的にみて低い水準ではない。2ケタ成長が続いたリーマン・ショック前に比べればかなりの減速だが、経済規模が大きくなったのを踏まえれば自然な傾向ともいえる。
 昨年は深刻だった物価高も沈静化した。統計局が「経済は徐々に安定に向かっている」と前向きに評価したのは一理ある。
 ただ、円滑に安定成長に移行できるのか、不安はぬぐえない。足元では電力消費や輸入が伸び悩み部材の在庫が膨らんでいる。生産活動の停滞は明らかだ。GDP統計でうかがえる以上に景気実態は悪くなっているおそれがある。
 かといって、リーマン・ショック後のV字回復をもたらしたような、強力な金融緩和と投資に頼った景気てこ入れは望ましくない。不動産バブルが再燃しかねない。
 すでに深刻な過剰設備の問題を悪化させ、中国経済と世界経済の双方に新たな重荷を加えることにもなりかねない。中国政府は微妙なかじ取りが求められる。
 カギを握るのは個人消費の振興だ。階層間、地域間の所得格差の拡大が示すように、これまで高成長の果実は低所得層にあまり行き渡ってこなかった。結果として個人消費は力強さを欠いてきた。
 中国の労働人口(15~60歳)は来年にも減り始める見込みだ。低賃金の労働力を生かした輸出に頼る成長は難しくなっている。中長期的に成長を支える新たなエンジンとして、個人消費の振興に力を注ぐときだ。9月の反日暴動で浮き彫りになった中国社会の緊張を和らげるうえでも、格差是正は待ったなしだろう。
 温家宝首相は過去3年、連続して「所得格差が広がる傾向をできるだけ早く是正する」と国民に約束してきた。だが、温首相を含む現在の指導部の大半は、公約を達成できないまま11月の共産党大会で第一線を退く見通しだ。習近平国家副主席が率いる次期指導部に「宿題」は持ち越される



まさか、眠っている間に・・・

2012年10月19日 | Weblog
春秋
2012/10/19
 「睡眠と記憶は脳のなかの別々の神経回路がコントロールしている」。ショウジョウバエを使った実験で熊本大学の研究チームがそんな事実を突きとめた。そう報じる小さな記事に夢想が広がった。「睡眠学習に道を開く」という成果は、どうやらこういうことらしい。
▼目を開けてもつぶっても音は聞こえる。同じように、目覚めていようが眠っていようが記憶の能力に変わりはない。だから、脳のある部分に情報を入力してやれば眠っているのに眠りを妨げられることなくものを覚えられる……。もちろん、一夜明けると知らぬ間に博識になっていた、などというのは遠い将来の話だろう。
▼しかし、知らぬ間に犯人になっていた、というのは現実の問題である。犯罪予告が発信されたパソコンの持ち主4人に誤認逮捕だった可能性が高まり、警察庁長官が謝罪を検討していると語ったという。持ち主が気づかぬまま姿の見えぬ何者かがパソコンを遠隔操作する。巧妙な手口に警察がついていけていない感がある。
▼まず憎むべきは捜査をあざ笑うかのような犯行声明を送ってきた真犯人だ。その鼻っ柱をへし折ってやらねばならぬが、もうひとつ、誤って逮捕されたのに犯行を認めた人がいるのはなぜか。その理由も警察には明らかにしてもらわねばならない。まさか、眠っている間に記憶に犯行を刷り込まれたわけではないのだから。