つばさ

平和な日々が楽しい

山珍熊掌~。注文をお受けしてから猟にでますので・・・

2012年10月11日 | Weblog
いばらき春秋

2012年10月11日(木)
「山珍熊掌」。なじみの四川料理店に行ったら気になるメニューがあった。日本語で「熊の手の姿煮」
▼ご主人によれば、熊の手は以前、食材として中国から輸入されていたが、いまは入ってこない。そのためメニューには、こんな文章が添えてあった。「完全予約制です。注文をお受けしてから猟にでますので、長くて3カ月くらいのお時間がかかります。御注文はお早めに!」
▼シャレのような文章に思わず笑ってしまったが、値段を見てビックリ。なんと21万円。蜜を取る方の手がうまいと誰かが書いたのを読んだことがあるが、果たしてどんな味やら。興味は尽きないが、とても手が出ない
▼そのクマの食料事情が悪化しているらしい。餌となるブナの実の生育が悪いため、餌を求めて人里近くにまで出没し、全国で目撃されている。県内でクマの目撃談は聞かないが、人里に現れるイノシシによる農作物被害が深刻だ
▼地球環境の変化が山の生態系にも影響を及ぼしているのか。少なくとも以前と比べ、野生動物の山での生活が苦しくなっているような気がする
▼ところで、くだんの「熊の手の姿煮」。いまのところ、注文はまだ無いという。(智)

小さなヒロインの回復を祈る

2012年10月11日 | Weblog
中日春秋

2012年10月11日


 十四歳のマララさんは今、パキスタンで一番有名な少女だ。新聞の一面に、その名前と写真が載っている
▼おととい、北西部スワト渓谷にある学校で、生徒らを乗せたバスに男が乗り込んできた。「どの娘がマララだ?」。男は彼女と友だちに銃弾を浴びせた
▼スワトは「東洋のスイス」と呼ばれた美しい地だった。だがイスラム原理主義勢力のタリバンが勢力を伸ばし、政府軍との戦場になった。十一歳だったマララさんは「矢車草」というペンネームで、ブログを書き始めた
▼戦火におびえる生活。女子教育を禁止するタリバンの支配下でも消えない学習への意欲。国内外で、反響を呼んだ。有名になったマララさんを、タリバンは標的リストに入れた。しかし、「怖いけど立ち向かっていく」と屈しなかった
▼スワトや隣接するアフガンでは、女子校が焼き打ちされたり、生徒らに硫酸がかけられる事件が絶えない。アフガン女性課題省で働いた経験がある、国際協力機構の久保田真紀子さん(43)は「それでも、タリバンの目を逃れひっそり開かれる寺子屋のような女子校が無数にある。声が出せなかった女性たちが、少しずつ声を出すようになっている」と話す
▼少女の容体は、危険な状態にある。マララという名は、侵略者との闘いで、戦士を鼓舞し続けた伝説の女性にちなむという。小さなヒロインの回復を祈る。

長寿伝説(ちょうじゅでんせつ)

2012年10月11日 | Weblog
時鐘10/11
 世界中に長寿伝説(ちょうじゅでんせつ)がある。先日もグルジアで132歳の女性が亡くなったとの報道があったが、どうも眉(まゆ)つばらしい
人間の寿命(じゅみょう)は体の細胞(さいぼう)が決める。細胞の寿命は120年が限界(げんかい)だそうだ。異説(いせつ)もあるが、徳之島(とくのしま)の泉重千代(いずみしげちよ)さんが120歳で亡くなったのはよく知られる。フランスでも122歳まで生きた女性の報告がある。だが、120歳を大きく超えた人はいない

医学的な細胞の寿命と、実際の人間の寿命とが不思議(ふしぎ)に一致(いっち)するのである。ところが、医学が今ほど発達(はったつ)していなかった幕末(ばくまつ)・明治のころ既(すで)に「120歳説」を知っていた人がいた気配(けはい)がする

当時としては長命だった勝海舟(かつかいしゅう)や大隈重信(おおくましげのぶ)が「120歳まで生きたい」と言ったとされる。110歳でも130歳でもない。120歳を目標にしたのだ。90歳まで生きれば上出来(じょうでき)とされた時代になぜ「120歳限界説」が存在したのだろう

科学の進歩で色々な可能性(かのうせい)が見えてくる。ノーベル賞は次々と未来社会を想像(そうぞう)させてくれる。だが、科学とは昔からあった宇宙(うちゅう)の真理(しんり)を一つ一つ掘り出しているだけのようにも思えてくるのだ。

目に見えない糸

2012年10月11日 | Weblog
【産経抄】10月11日
2012.10.11
 井伏鱒二は18歳のとき、森鴎外をまんまとだましたことがある。出久根達郎さんの『作家の値段「新宝島」の夢』(講談社)で、教えられた。鴎外は大正6年、新聞に『伊澤蘭軒(いざわらんけん)』を連載中に、朽木三助(くちきさんすけ)という老人とその友人から手紙を受け取り、返事を書いた。
 ▼実は井伏が2人になりすまし、鴎外の直筆ほしさに筆跡と文章を変えて出したものだ。まさか中学生が書いたとは思わない鴎外は、「老人なるが如く」の手紙を、『伊澤蘭軒』に引用した。つまりこれが、井伏の「処女作」というわけだ。
 ▼インターネットの世界では、他人になりすますのに、井伏ほどの文才は必要ない。パソコンにウイルスを感染させて乗っ取りさえすれば、遠隔操作によって、別人になりすますことができるからだ。
 ▼ネット上に無差別殺人の予告などが書き込まれていた大阪と三重の事件で、発信していたパソコンの持ち主は無関係だった可能性が強まった。2人はすでに釈放されている。もう少しで、新たな冤罪(えんざい)事件を生むところだった。
 ▼これまでも、防衛関連企業などから情報を盗み取るために、なりすましメールが使われてきた。ある中学校では、何者かがクラス全員のアドレスを悪用して特定の生徒に向けて一斉に悪口のメールを送る、いじめもあった。悪意が飛び交い、不信を増幅させる。今回の事件は、ネット社会の負の部分をまたひとつ、あらわにした。
 ▼古本屋の店員時代、大ファンだった井伏の家の訪問も果たしている出久根さんは、作家になってから思いがけず、自分の祖父と井伏の父親との交流を知る。あのころはネットの代わりに、出久根さんのいう「目に見えない糸」で、人々は結ばれていた。

大人の所作:天声人語

2012年10月11日 | Weblog
 わが国での開催は48年ぶりとなる。国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会だ。14日まで、188カ国の財務相や中央銀行総裁らが世界経済のあれこれを論じ合う▼約2万人が来日するこの祭りに、中国はトップを送らず、大手銀行も欠席させるという。尖閣の一件を理由に、日本に恥をかかせる腹なのか。あらゆる機をとらえての意趣返しは、体ばかり大きい子どもを思わせる▼IMFは世界の成長見通しを引き下げた。ユーロ危機は長引き、日米の財政難は変わらず、新興国の勢いにも陰りが見える。こんな時こそ協調が必要なのに、大国の自覚はないらしい。せっかくの場をプロパガンダに使う粗雑さは、未熟な国内市場とも重なる▼中国では日本車の販売が失速した。9月はトヨタが去年の半分、日産やホンダも約4割の減で、ドイツや韓国の車が売れている。政府が不買を容認し、性能や価格で選ばれるべき商品が憎悪の的になる。悲しいかな、これが「世界一の新車市場」の現実である▼報復を案じてか、日本ツアーの解約も続く。心配ご無用、少数の嫌がらせはあったが、五星紅旗も中華街も安泰だ。国柄や民度に触れるまでもなく、それが世界の常識というものだろう▼経済規模で世界2位とはいえ、その源泉である13億人の所得格差は広がり、民主主義なき発展の矛盾は覆いようもない。官民あげての「愛国無罪」も、国際社会の評判を落とすだけである。とりあえず「大人の所作」を覚えよう、と難じておく。