typeKIDS Report

活字書体を使う人のための勉強会

貘1973-B:欧字書体制作奮闘記

2015年11月11日 | typeKIDS_Workshop
「貘1973-B(ボールド)」の欧字書体の制作は、2015年4月に始まりました。6人のメンバーによる共同制作です。もちろん欧字書体ははじめての挑戦です。どこから手をつけていいかわからない状態からのスタートです。
 まずはウェブサイトなどで既成の欧字書体を調査し、ウエイト、ライン、サイドベアリングなど、欧文書体の基本的な考え方を復習しました。



 1973年に今田が描いたレタリング O W N の3文字をもとに試作(下書き)していた「貘1973-L(ライト)」の欧字書体を太めて、「貘1973-B」の欧字書体を制作しようということになりました。並行して制作している漢字書体、和字書体と混植することを前提にし、且つ、初号活字のボディ内に収めるという条件にしました。
 まず手始めに、H O V n o v の6文字を試作し、ラインとウエイトを設定することになりました。「貘1973-L」の欧字書体の下書きをコピーして、鉛筆でいろいろなプロトタイプを制作してみました。



 ラインは、「貘1973-L」の欧字書体に合わせることになりました。「貘1973-L」は完成したものではないので、改めて設定を変更することもあり得たのですが、試行錯誤を繰り返した結果、これを踏襲することになったわけです。
 ウエイトは、「貘1973-B」の漢字書体、和字書体と並べてみて、どのように太めていくかを検討しました。基本的には内側に太めようということになったのですが、ラインが「貘1973-L」と同じに設定されているので、カウンターが狭く見えないように、外側にも太めていくことになりました。
 和字書体、漢字書体と同様に、活字の原図サイズにあわせて2inch(5.08cm)角に、紙に墨で描くという方法で制作することにしました。下書き用紙、原字用紙も、漢字書体、和字書体で使ったものを流用し、まずは下書きから始めることにしました。
 制作の工程として、①鉛筆で下書きをします。②原字用紙に下書きをアウトラインでトレースして、墨入れをします。③できた原字を仕上げて、サイドベアリングなどを設定し、一字ごとのセット・ウィドゥスを決定します(その際に原字を書き直さなければならなくなるかもしれません)。このようにしてチェックを繰り返しながら、メンバー6名で完成させていきます。

「typeKIDS」のメンバーは、書体制作に関してはまったくの初心者です。ひとつの体験として活字書体制作に取り組んでいます。月1度の会合で、メンバーの足並みが揃わないことが多く、ここまでに半年かかってしまいました。

第1プロセス 下書き

「貘1973-L」の欧字書体の下書きをトレースして、「貘1973-B」の欧字書体のウエイトに太めていきます。トレースに使っている簡易ライト・テーブルは、メンバー各自が工夫した手作りのものです。



 最初から思い通りになるわけではなく、修整をくりかえしながら、カタチを整えていきます。一度の下書きではうまくいかず、何度もやりなおしています。さらには、別の下書き用紙に書き直していることもあるようです。




[追記1]墨入れ




[追記2]樹脂活字製作、印刷





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