いつも忙しい僕と征士だけど、6月の頭に二人揃って休みを取る事ができた。
せっかくだから泊まりがけで旅行でも行こうという事になり以前行った伊豆に行く事に決めた。
前回は東京から特急踊り子で伊豆・修善寺方面へ行ったけど、今回は新宿から出ている高速バスを使い、
沼津までは東名高速を西に向かい沼津からは一般道に下りて各地停留所を巡って伊豆市内の旧中伊豆町年川車庫まで運行する路線で行く事にした。僕は休みが取れる事が確定して、ネット上のバス予約サイトで予約してからコンビニでチケット代金と引き替えに高速バスのチケットを受け取った。最近はコンビニで用事が済ませる事ができる事が多いので楽だと実感した。
購入したチケットは旅行の当日、征士と落ち合った時に代金と引き替えという約束になっているのでチケットは忘れる事の無いようにと思った。
旅行の当日、僕と征士はバスの発車30分前である8時45分に小田急ハルク前にある新宿=伊豆ライナーバス乗り場に待ち合わせをした。まだ8時台でデパートも開店しておらず、メトロを乗り継いで地下からバス乗り場に階段を上ってくるとひっきりなしにやって来るバスに乗る為に待っている乗客がいっぱいで混雑していた。僕が周りを見ながら征士を探すと、征士はボストンバックを持って待っていた。
「やあ、征士お早う。相変わらず早いね」
「約束の時間に遅れるのは嫌だからな。伸、チケットは持っているな?」
「もちろん。これを忘れたらバスに乗れないからね」
僕はそう言いながら、征士にチケットを渡した。
「ありがとう、伸。これは立て替えてもらっていたチケット代だ」
征士はチケットを確認すると、僕にチケット代を渡した。
「あっ、そうだ征士。バスに乗る前にお茶とか買っておこうと思ったんだけど、この辺に売ってなさそうだからメトロの通路に下りて買ってこようと思うんだけど?」
「お茶か…。確かに長時間バスに乗るとのどが乾くな。私の分も買ってきてくれるかな、伸」
「それは当たり前だよ。じゃあバスの発車に間に合うように買ってくるからね」
僕はバス乗り場のすぐ隣にあるメトロ出口から下に下りて自販機を探した。
少し歩くと、三台程設置してありお茶やミネラルウオーター・ジュースが売られていた。
一人一本では足りないだろうと思ったので、お茶のペットボトルを二本ずつ味を変えて買って、
来た道を戻り征士の待つ所へ戻った。
「お待たせ、征士。バスの時間は大丈夫かい?」
「あと10分はある。まだ大丈夫だよ」
「結構急いで行ってきたから、間に合うとは思っていたけどね」
「それにしても伸、最近は遠距離バスが至る所で走っていると聞いていたが、新宿ともなると路線の数も桁違いだな」
「そうだね。地方に行くのに特急を使うより便利になっているし、在来線で帰るより安く上がるから電車よりバスを使う人もいるらしいよ」
発車5分前になり、僕らが乗る新宿=伊豆ライナーがバス乗り場に到着して乗車口のドアが開いた。
バスの乗務員の人がバスから降りて大きい荷物を収めるトランクルームのドアを開けて大きい荷物を持っている乗客から荷物を受け取り、トランクルームに仕舞っていた。僕らは手荷物程度の少ない荷物で座席上の棚にしまえるのでバスに乗り込みつつ、チケットを取り出し座席の確認をした。バスに乗車しバックを棚にしまうとやっと落ち着いた感じになった。
「そういえば征士。バスのチケット予約の時に座席を取る人の性別と年齢を入力するんだよ。そうすると一人でバスチケットを買う女性が隣に男性が来ないようになるんだってさ」
「最近は女性に対する配慮がきちんとしているな。確かに私が女性ならば隣が知らない男性というのはあまり良いものではないからな」
征士は僕にうなずきながら言った。座席に僕らが座って、続々と乗客がバスに乗ってきてバスはほぼ満員となり、バスは伊豆方面へ走り出した。
バスが新宿駅を出て、一般道を15分程走行して首都高速道路に入った。今日は車の通行量が少ないせいかスムーズに行って気が付いたら首都高から東名高速に入っていた。バスが発車してから僕と征士はあまり話をしていなかった。
征士は僕が買ってきたお茶を少しずつ飲みながらバスの外を眺めていた。僕は征士の様子を見ているだけで良かった。
「征士…」
「ん、どうした伸」
「もう少しで足柄SAに到着するみたいだよ。10分間トイレ休憩だって」
「そうか。少し小腹が空いてきたから何か買ってくるかな」
征士は僕の顔を見ながら笑った。
「僕は土産売り場でも見てこようかな。見るの好きなんだ」
「それはいい。ただ10分間では用を足してすぐ集合時間になってしまうのが落ち着かない所だ」
「それは仕方ないよ。二人で車で来れば良かったんだけどね」
「今度はそうするか」
「うん、できたらね」
僕と征士は顔を見て笑った。
バスは東名高速道路の脇道に入り、足柄SAに入った。足柄という地名で神奈川県かと思っていたけど、もう静岡県に入っていた所だった。
足柄SAは前に通過した海老名SAよりは小さかったが、駐車場は広いしトイレは別れて別の棟になっていてお土産売り場と食べ物を売っている所、そしてコンビニが駐車場から一番離れた所にあり、建物自体が横に長い感じだと思った。
僕と征士はまず最初にトイレで用を足した後に別れて目的の場所へ行きバスで落ち合う事にした。僕はトイレ側のお土産売り場に行き、何が売っているのか見てみた。最近話題の熊本県のキャラクターくまモンのグッズがコーナーになっていてある程度の数が並んでいたり、これまた話題の千葉県船橋市非公認のキャラクターふなっしーもあってここは静岡県なのに他の県のキャラクターが土産として売られているので最近の土産事情も変わってきたなと思った。
他にもグッズの自動販売機があって、機動戦士ガンダムのTシャツも売られていて10分間ではとてもではないが時間が足りないと思った。
気が付くと集合時間が迫っていたので僕はバスに乗り込む為にSAの建物を後にした。
僕がバスの座席に戻ると、征士は席に座っていた。
「征士、早かったね」
「時間が10分位だからな。あまり時間を掛けずに買い物を済ませてきた」
征士はそう言うと僕に袋を見せた。
「ありがとう、征士。朝早くて途中で食べ物の買い物ができなかったから助かるよ」
「礼を言われるような事ではない。まだ目的地に到着しないから昼間で持つか分からないから買ってきただけだ」
僕らが話していると、バスは発車して足柄SAを後にした。バスは東名高速道路を西に進み、沼津インターチェンジで一般道に下りてここから各地の停留所をまわると事だ。
最初の停留所はサントムーン柿田川という所で沼津周辺では一番大きいショッピングモールで大きいホームセンターや映画館もあり、ここに来る為の自動車も多く渋滞も激しくなっておりバスも中々進むという訳にも行かなかった。
停留所に着くと、乗客が荷物を持って一人降りていった。
「やはり、足柄で買い物をしていて正解だったな。一般道に下りてからは時間が読めない」
「何だか昔の秀みたいだね、征士。食べ物を気にするなんて」
「私もそうだが、伸を空腹にさせる訳にはいかないだろう。バスでは到着するまでは自由に行動できないからな」
「そっか…。じゃ少し小腹が空いたから買って来たやつ食べて良いかい?」
「構わないぞ。むしろ食べて欲しい」
征士は僕に笑いながら言った。
征士もいいと言ってくれたので、僕は買ってきてもらったものを食べた。僕が昼前の腹ごしらえをしている間にバスは長岡温泉の停留所に到着した。長岡温泉といっても温泉の外れのかつらぎ山のふもと、伊豆パノラマパークロープウエイの所で以前僕と征士が行った事のある場所だった。ここでも乗客が何人か降りていった。バスは発車して大仁・伊豆温泉村、修善寺駅を通過していった。
終点は年川車庫という街から離れた車庫でそこまで行く予定はなかったので僕らは終点手前の修善寺温泉で下車した。
♯2につづく
せっかくだから泊まりがけで旅行でも行こうという事になり以前行った伊豆に行く事に決めた。
前回は東京から特急踊り子で伊豆・修善寺方面へ行ったけど、今回は新宿から出ている高速バスを使い、
沼津までは東名高速を西に向かい沼津からは一般道に下りて各地停留所を巡って伊豆市内の旧中伊豆町年川車庫まで運行する路線で行く事にした。僕は休みが取れる事が確定して、ネット上のバス予約サイトで予約してからコンビニでチケット代金と引き替えに高速バスのチケットを受け取った。最近はコンビニで用事が済ませる事ができる事が多いので楽だと実感した。
購入したチケットは旅行の当日、征士と落ち合った時に代金と引き替えという約束になっているのでチケットは忘れる事の無いようにと思った。
旅行の当日、僕と征士はバスの発車30分前である8時45分に小田急ハルク前にある新宿=伊豆ライナーバス乗り場に待ち合わせをした。まだ8時台でデパートも開店しておらず、メトロを乗り継いで地下からバス乗り場に階段を上ってくるとひっきりなしにやって来るバスに乗る為に待っている乗客がいっぱいで混雑していた。僕が周りを見ながら征士を探すと、征士はボストンバックを持って待っていた。
「やあ、征士お早う。相変わらず早いね」
「約束の時間に遅れるのは嫌だからな。伸、チケットは持っているな?」
「もちろん。これを忘れたらバスに乗れないからね」
僕はそう言いながら、征士にチケットを渡した。
「ありがとう、伸。これは立て替えてもらっていたチケット代だ」
征士はチケットを確認すると、僕にチケット代を渡した。
「あっ、そうだ征士。バスに乗る前にお茶とか買っておこうと思ったんだけど、この辺に売ってなさそうだからメトロの通路に下りて買ってこようと思うんだけど?」
「お茶か…。確かに長時間バスに乗るとのどが乾くな。私の分も買ってきてくれるかな、伸」
「それは当たり前だよ。じゃあバスの発車に間に合うように買ってくるからね」
僕はバス乗り場のすぐ隣にあるメトロ出口から下に下りて自販機を探した。
少し歩くと、三台程設置してありお茶やミネラルウオーター・ジュースが売られていた。
一人一本では足りないだろうと思ったので、お茶のペットボトルを二本ずつ味を変えて買って、
来た道を戻り征士の待つ所へ戻った。
「お待たせ、征士。バスの時間は大丈夫かい?」
「あと10分はある。まだ大丈夫だよ」
「結構急いで行ってきたから、間に合うとは思っていたけどね」
「それにしても伸、最近は遠距離バスが至る所で走っていると聞いていたが、新宿ともなると路線の数も桁違いだな」
「そうだね。地方に行くのに特急を使うより便利になっているし、在来線で帰るより安く上がるから電車よりバスを使う人もいるらしいよ」
発車5分前になり、僕らが乗る新宿=伊豆ライナーがバス乗り場に到着して乗車口のドアが開いた。
バスの乗務員の人がバスから降りて大きい荷物を収めるトランクルームのドアを開けて大きい荷物を持っている乗客から荷物を受け取り、トランクルームに仕舞っていた。僕らは手荷物程度の少ない荷物で座席上の棚にしまえるのでバスに乗り込みつつ、チケットを取り出し座席の確認をした。バスに乗車しバックを棚にしまうとやっと落ち着いた感じになった。
「そういえば征士。バスのチケット予約の時に座席を取る人の性別と年齢を入力するんだよ。そうすると一人でバスチケットを買う女性が隣に男性が来ないようになるんだってさ」
「最近は女性に対する配慮がきちんとしているな。確かに私が女性ならば隣が知らない男性というのはあまり良いものではないからな」
征士は僕にうなずきながら言った。座席に僕らが座って、続々と乗客がバスに乗ってきてバスはほぼ満員となり、バスは伊豆方面へ走り出した。
バスが新宿駅を出て、一般道を15分程走行して首都高速道路に入った。今日は車の通行量が少ないせいかスムーズに行って気が付いたら首都高から東名高速に入っていた。バスが発車してから僕と征士はあまり話をしていなかった。
征士は僕が買ってきたお茶を少しずつ飲みながらバスの外を眺めていた。僕は征士の様子を見ているだけで良かった。
「征士…」
「ん、どうした伸」
「もう少しで足柄SAに到着するみたいだよ。10分間トイレ休憩だって」
「そうか。少し小腹が空いてきたから何か買ってくるかな」
征士は僕の顔を見ながら笑った。
「僕は土産売り場でも見てこようかな。見るの好きなんだ」
「それはいい。ただ10分間では用を足してすぐ集合時間になってしまうのが落ち着かない所だ」
「それは仕方ないよ。二人で車で来れば良かったんだけどね」
「今度はそうするか」
「うん、できたらね」
僕と征士は顔を見て笑った。
バスは東名高速道路の脇道に入り、足柄SAに入った。足柄という地名で神奈川県かと思っていたけど、もう静岡県に入っていた所だった。
足柄SAは前に通過した海老名SAよりは小さかったが、駐車場は広いしトイレは別れて別の棟になっていてお土産売り場と食べ物を売っている所、そしてコンビニが駐車場から一番離れた所にあり、建物自体が横に長い感じだと思った。
僕と征士はまず最初にトイレで用を足した後に別れて目的の場所へ行きバスで落ち合う事にした。僕はトイレ側のお土産売り場に行き、何が売っているのか見てみた。最近話題の熊本県のキャラクターくまモンのグッズがコーナーになっていてある程度の数が並んでいたり、これまた話題の千葉県船橋市非公認のキャラクターふなっしーもあってここは静岡県なのに他の県のキャラクターが土産として売られているので最近の土産事情も変わってきたなと思った。
他にもグッズの自動販売機があって、機動戦士ガンダムのTシャツも売られていて10分間ではとてもではないが時間が足りないと思った。
気が付くと集合時間が迫っていたので僕はバスに乗り込む為にSAの建物を後にした。
僕がバスの座席に戻ると、征士は席に座っていた。
「征士、早かったね」
「時間が10分位だからな。あまり時間を掛けずに買い物を済ませてきた」
征士はそう言うと僕に袋を見せた。
「ありがとう、征士。朝早くて途中で食べ物の買い物ができなかったから助かるよ」
「礼を言われるような事ではない。まだ目的地に到着しないから昼間で持つか分からないから買ってきただけだ」
僕らが話していると、バスは発車して足柄SAを後にした。バスは東名高速道路を西に進み、沼津インターチェンジで一般道に下りてここから各地の停留所をまわると事だ。
最初の停留所はサントムーン柿田川という所で沼津周辺では一番大きいショッピングモールで大きいホームセンターや映画館もあり、ここに来る為の自動車も多く渋滞も激しくなっておりバスも中々進むという訳にも行かなかった。
停留所に着くと、乗客が荷物を持って一人降りていった。
「やはり、足柄で買い物をしていて正解だったな。一般道に下りてからは時間が読めない」
「何だか昔の秀みたいだね、征士。食べ物を気にするなんて」
「私もそうだが、伸を空腹にさせる訳にはいかないだろう。バスでは到着するまでは自由に行動できないからな」
「そっか…。じゃ少し小腹が空いたから買って来たやつ食べて良いかい?」
「構わないぞ。むしろ食べて欲しい」
征士は僕に笑いながら言った。
征士もいいと言ってくれたので、僕は買ってきてもらったものを食べた。僕が昼前の腹ごしらえをしている間にバスは長岡温泉の停留所に到着した。長岡温泉といっても温泉の外れのかつらぎ山のふもと、伊豆パノラマパークロープウエイの所で以前僕と征士が行った事のある場所だった。ここでも乗客が何人か降りていった。バスは発車して大仁・伊豆温泉村、修善寺駅を通過していった。
終点は年川車庫という街から離れた車庫でそこまで行く予定はなかったので僕らは終点手前の修善寺温泉で下車した。
♯2につづく
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