今日の１句

蟹の足つんつん出でて寄せ鍋す　　　つゆ草

この写真は先日娘達とお豆腐懐石で忘年会をやった時の物で、大好きなお豆腐料理が沢山食べられ美味しかったです。寒くなり、我が家では鍋物が活躍しています。毎年北海道から、この時期魚関係の物をお取り寄せしているのですが、今年は３種の蟹の足が格安で手に入り、寄せ鍋に入れたら、長い足が飛びだし面白い光景でした。蟹の味噌汁など、良い出汁がでて、なかなかの珍味なのです。高い毛蟹等は贅沢品として口に入りませんが、この半端な蟹足は本当にお得でした。もう今年も残り半月となりました。平凡に日々暮らせた事に、つくづく有難いと思う昨今です。

今日の１句

来し方を一括りして冬日落つ　　　つゆ草

先日神保町にて、ある俳句の仲間達の句会がありました。この仲間達とはもう１０年越しのお付き合いで、俳句が全く初めての時からのお付き合いの方たちは、なかなか事情があり出席されなくはなってしまったのですが、この日はいつもより多くの懐かしい人等にも会えそれはそれで意義ある会でした。この句はこの１０年間の俳句人生を返り見ての思いを詠んだもので、この冬も私にとっては感慨深い冬なのです。若い新しい仲間が増えつつある中、もう古い方になりつつある私は引退した方が良いのかも・・など、いろいろ考えてしまいますが、今迄本当に良くしていただいた皆様を思うと又離れられない自分がいるのです。衰えを感じながらもこんな楽しい一時が過ごせる事に感謝感謝の句会でした。

今日の１句

新刊の店先飾り冬紅葉　　　つゆ草

昨日ある本を買う為に本屋を覗いたら、店先には堂々と今評判の新刊が並べられて、眩しい位でした。私の買おうとした本をお店の人に聞いてみると、即返事が返ってきてその場所に連れて行ってくれました。すごい、さすが本屋と、感心です。全ての本の名と場所を記憶するのは大変でしょうが見事なものです。来週から始まるお芝居で息子が、脚本も面白いし、どうやら本もすごい勢いで売れているらしいという、「コーヒーが冷めないうちに」を買って今読んでいます。４話になっていて、それぞれ４回泣けると言われているように、確かに心に響いてきます。お芝居の方が良いらしいのですが、既に完売とか・・。最近本は、老眼で疲れるしあまり読みませんが、寒い日は家の中で読書も良いものですね。

今日の１句

川端の目力強し冬の月　　　　つゆ草

土曜の朝、亡くなった人に逢える短い番組があり、時々見ているのですが、今回は川端康成でした。その中で、伊藤整、三島由紀夫との三者会談があり、なかなか見ごたえがありました。自分は怠け者なので、ノーベル賞が取れたのかも・・等謙遜してらしたけれど、その眼は大きく力があり、身体の細さに反比例して鷹のような鋭さを感じました。新しい若い作家達について、自然の写生が足りないうんぬんの事を言っておられたことや、男性よりも女性が小説に登場する事の理由として楽だから等、とっても興味深いお話でした。

又、偶然にも昨日はある大学で、「日本の文学は何をどう描こうとしたのか」というタイトルの講演があり、これまた貴重なお話を拝聴する機会に恵まれました。その中で和歌、連歌、俳諧への流れとその位置関係等の説明があり、難しいお話でしたが、やはり果ては「古今集」にありという私なりの納得で、日本の古典のすばらしさ、偉大さを改めて再確認した次第です。もっと若い時に古典をしっかり学んでおけば良かったと反省するばかりです。

今日の１句

冬灯揺るるビル窓人恋し　　　つゆ草

紅葉からいきなりクリスマスイルミネーションの写真になってしまいましたが、今日からまぎれもなく１２月です。全く師走の感覚はありませんが、街中にはもうイルミネーションが灯っているらしいです。来週は早速、息子と孫のお誕生日祝いのケーキをたべるし、六本木の教会で演奏会を聴きに行く予定だしで、私の手帳にはもはやクリスマスモードが書きこんでおります。この時期の夜景は大人でも何か胸ときめくものがあり、人恋しくなるものなんです。