ゆめ450 『刺青』 2013年04月28日 01時41分25秒 | だれかのゆめのにっき 目の前の背中が、まるでズームインとアウトを繰り返すように、近づいたり遠ざかったりを繰り返している。 背中には背骨に沿うように蛇の刺青が彫られていて、首の下辺りにある蝶の刺青に食らい付こうとしている。 そんな背中が近づいたり遠ざかったりを繰り返している。
ゆめ449 『皮膚の下』 2013年04月28日 01時40分30秒 | だれかのゆめのにっき インコを触っていたら、その手に痛みを感じた。 見ると、ニョロニョロとした寄生虫が数匹、皮膚の下を這っている。 その虫はおそらく心臓に向かっているのだった。 私は慌ててハサミを持ってくるよう叫ぶ。
ゆめ448 『黒い太陽』 2013年04月28日 01時38分55秒 | だれかのゆめのにっき 真っ赤な空に黒い太陽が浮かんでいる。 陽にあぶられて私は版画のようにギクシャク歩く。 私の足の影が点々と地面に焼き付いていく。 振り向かなくてもそれが分かった。
ゆめ447 『死んだ人の写真』 2013年04月24日 03時54分15秒 | だれかのゆめのにっき 新聞に載っていた死んだ人の写真をお面にしている人がいる。 目の穴の位置が全然でたらめなところに開いていて、そこからこっちを見ている。 その人は結婚式の最中に井戸に落ちて死んだ人だ。
ゆめ446 『裏腹』 2013年04月24日 03時53分23秒 | だれかのゆめのにっき 私は嘘つきなんかじゃない。 私が口にする真実とは裏腹に、世界がその姿を変えていくのだ。 実際、私はほんの数分前まで一国の王でいて、 こんな公園の路傍に転がっているような人間ではなかった。 道行く人々は、私がまるで他愛のない石ころのひとつであるかのように一瞥もしない。 「私はここにいるのに」
ゆめ445 『ゴシゴシ』 2013年04月24日 03時52分42秒 | だれかのゆめのにっき 汚れが落ちないので私は黙々と自分の身体を洗っている。 あまりゴシゴシ擦るものだから、肉が削げてところどころ骨が露出し始めた。 それでも構わず洗い続ける。 汚れがなくなるときは自分がいなくなるときだと私は知っている。 それでも構わず洗い続ける。
ゆめ444 『ママの声』 2013年04月24日 03時51分59秒 | だれかのゆめのにっき 私の身体の場合、尿道が耳の穴の役割を果たしているので、割合に音が聞き取りにくい。 それでも、女たちの股の間からママの声がしていることは分かる。 あの張りのある懐かしい声で私を呼んでいる。 耳は人目をはばからず、敏感に反応し隆起する。 もっと近くで声が聞きたい。
ゆめ442 『駅のトイレ』 2013年03月08日 02時53分56秒 | だれかのゆめのにっき 駅のトイレの個室。 壁のタイルとタイルの隙間に小さく落書きがされている。 「080-××××-×××× 宇宙の言葉する」 僕の電話番号だ。