中学のときの話。
演出は加えてあるけど、脚色はほぼないはず。
二年次に移動教室とかいう行事で山間にあるちょっと古めのユースホステルみたいなとこに泊まったんだけど、二泊三日の行事の、その二日目の夜のこと。
風呂入って夕飯も食って、移動教室最後のイベントであるキャンプファイアーまで自由時間になった。
うちの部屋のメンバーは、もちろん俺含め、社交性に欠ける奴らばかりだったから、部屋でUNOやってた。
で、UNOの最中にメンバーの一人(仮にA)が「ごめん、ちょっとうんこ漏れるわ」とか言って席を立ったのね。
その施設はそれぞれの部屋にはトイレがなくて、各フロアの真ん中あたりに、ちょうど学校のトイレみたいに男女別で設けられてた。
そのときAはかなりボロ勝ちしてたから、俺らは「トイレ行ってるうちに手札見てハメてやろうぜ」とか言って、Aの持ち札を盗み見て戦略を練ってた。
しばらくしてAが戻ってきたんだけど、なんかニヤニヤしてる。
で、「お前らふざけんなよー」とか言ってきたのね。
俺は「手札見たのがバレた? いやいや、まさか」って内心ギクッとしたし、他の奴らもそうだったと思う。
「何がだよ」とか知らないふりしたんだけど、Aは笑いながら「あれお前らだろ」って、なんか話が噛み合わないの。
それでちょっと軽くケンカみたいになったんだけど、とりあえずちゃんと話聞こうってなった。
で、Aの話をまとめると。
個室に入って気張ってたら、急にドアの下の隙間から両足の爪先がスッて入ってきた。
しかもそれが裸足だったからマジで心臓止まるかと思った。
要するにドア一枚挟んで目の前に誰か立ってるわけ。
めちゃくちゃ不気味。
でもよくよく考えてみたら、部屋で待ってる奴が暇潰しにイタズラしに来たんだなと。
で、「すみませーん、うんこしてるんで邪魔しないでくださーい」とか言ったんだけどノーリアクション。
じっと立ったまま動かない。
そっちがその気なら逆にビックリさせてやろうと、ものっすごい静かにケツ拭いてズボン上げて、突然鍵ガチャ、バンッてドアを開けた。
だが敵の逃げ足は早く、既にそこに姿はなかった。
Aは「お前ら以外に考えられないから」って半ギレ。
「てゆーか足見せろ、足。爪めっちゃ汚かったからそれ見れば分かるわ」って言うんだけど、俺ら風呂入ったばっかだし、当然みんな爪もきれい。
A混乱。
そこでメンバーの一人のB(仮)が追い打ちをかけるように一言。
「ていうかおかしくない?」
Bに注目が集まる。
「A、両足の爪先がスッて入ってきたって言ったじゃん」
うなずくA。
「できる?」
え? できる、って? 何が?
「スッ、スッて片足ずつじゃなかったんでしょ」
「地面スレスレの隙間に、両足を同時に入れることできる?」
そのあとはキャンプファイアーも全然楽しくなかった。
早く帰りたかった。
ドアの下の隙間は今も苦手。
Aは俺だから。
演出は加えてあるけど、脚色はほぼないはず。
二年次に移動教室とかいう行事で山間にあるちょっと古めのユースホステルみたいなとこに泊まったんだけど、二泊三日の行事の、その二日目の夜のこと。
風呂入って夕飯も食って、移動教室最後のイベントであるキャンプファイアーまで自由時間になった。
うちの部屋のメンバーは、もちろん俺含め、社交性に欠ける奴らばかりだったから、部屋でUNOやってた。
で、UNOの最中にメンバーの一人(仮にA)が「ごめん、ちょっとうんこ漏れるわ」とか言って席を立ったのね。
その施設はそれぞれの部屋にはトイレがなくて、各フロアの真ん中あたりに、ちょうど学校のトイレみたいに男女別で設けられてた。
そのときAはかなりボロ勝ちしてたから、俺らは「トイレ行ってるうちに手札見てハメてやろうぜ」とか言って、Aの持ち札を盗み見て戦略を練ってた。
しばらくしてAが戻ってきたんだけど、なんかニヤニヤしてる。
で、「お前らふざけんなよー」とか言ってきたのね。
俺は「手札見たのがバレた? いやいや、まさか」って内心ギクッとしたし、他の奴らもそうだったと思う。
「何がだよ」とか知らないふりしたんだけど、Aは笑いながら「あれお前らだろ」って、なんか話が噛み合わないの。
それでちょっと軽くケンカみたいになったんだけど、とりあえずちゃんと話聞こうってなった。
で、Aの話をまとめると。
個室に入って気張ってたら、急にドアの下の隙間から両足の爪先がスッて入ってきた。
しかもそれが裸足だったからマジで心臓止まるかと思った。
要するにドア一枚挟んで目の前に誰か立ってるわけ。
めちゃくちゃ不気味。
でもよくよく考えてみたら、部屋で待ってる奴が暇潰しにイタズラしに来たんだなと。
で、「すみませーん、うんこしてるんで邪魔しないでくださーい」とか言ったんだけどノーリアクション。
じっと立ったまま動かない。
そっちがその気なら逆にビックリさせてやろうと、ものっすごい静かにケツ拭いてズボン上げて、突然鍵ガチャ、バンッてドアを開けた。
だが敵の逃げ足は早く、既にそこに姿はなかった。
Aは「お前ら以外に考えられないから」って半ギレ。
「てゆーか足見せろ、足。爪めっちゃ汚かったからそれ見れば分かるわ」って言うんだけど、俺ら風呂入ったばっかだし、当然みんな爪もきれい。
A混乱。
そこでメンバーの一人のB(仮)が追い打ちをかけるように一言。
「ていうかおかしくない?」
Bに注目が集まる。
「A、両足の爪先がスッて入ってきたって言ったじゃん」
うなずくA。
「できる?」
え? できる、って? 何が?
「スッ、スッて片足ずつじゃなかったんでしょ」
「地面スレスレの隙間に、両足を同時に入れることできる?」
そのあとはキャンプファイアーも全然楽しくなかった。
早く帰りたかった。
ドアの下の隙間は今も苦手。
Aは俺だから。