こんな気まぐれブログではあるが門構えを世間に晒していると、たまに見ず知らずの方からメールをいただくことがある。
それは去年の秋。
タイガースの2009年もすっかり赤とんぼ舞い、秋の風情を醸し出したある夜、ブログのメールフォームから一通のメールが飛んできた。
楓出版という出版社の谷口という方からのメールである。
はじめまして
突然の、メール失礼します。
いわほーさまにお願い事がありましてご連絡を差し上げました。
お、これはもしかして・・・
こちらの気持ちが昂ぶってきた。
日ごろ私があちらこちらで書き残すコメントの一文に物書きとしての底知れぬ才能を感知して、私に小説を書きませんか?の類のオファーをよこしてきたのかな・・・ドキドキドキ・・・ワクワク・・・・ソワソワ・・・ニヤニヤ・・・ついに時代が私ににじり寄ってきたんだね・・・ぐふふ。
メールの続きに目をやった。
大変失礼なお願い事になることをまずお詫び申し上げます。
『寒い人生で悪かったな』というブログのRyuheyさまの
連絡先を、教えて頂きたいと思っております。
私は彼の『神様がくれた背番号』という小説を商業出版
化したいと考えております。
しかし私は彼とは全く面識はなく、彼の連絡先をネット
上で探しまわったのですが、どこにも彼の姿はなく梨の
礫でした。
そこで最後の手段として、お知り合いでもあるいわほー
さまならご存じかと思い、ご連絡差し上げた次第でござ
います。
ケッ!頼み事かい!
んなもん自分で調べろや!
・・・いやいや、そんな毒づく私じゃないぞ!(刹那、サブリミナル効果みたく一瞬の脳裏をかすめたやもしれないが・・・)
良く考えれば、これは我が友・Ryuhey氏へのフォーチュン・メールやないか。
浪速友あれ(なにはともあれ)、Ryuhey氏に取り次いでやらねば。
ところで「楓出版」ってどんな出版社なんだ?
さっそくググってみた。
ところがホームページはおろか、まともな記事やコンテンツが引っかかってこない。(今、ググるとかなり引っかかってくるのですが)
氏名でググってみても同じ。
そう思って見てみると、あれこれ胡散臭さが感じられた。
そもそもよこしてきたメルアドがグーのフリーメールというのもどうなんだ。
出版社がオファーを取り次いでもらおうというのにフリーメールでよこしてくるか?
これってもしや作家志望の射幸心をついて登録料だの保証金だのといった名目で10万、20万の現金をくすねてやろう、という魂胆の新手の詐欺メールじゃないのか?(一応、悪徳商法検索サイトでも検索したけど上がってはこなかったが、名称なんてどうとでも変えてくるもんだし・・・)
うーん、こんなメールを取り次いでいいもんやら・・・とは思いつつ、私の独断で、もしや本物のフォーチュン・メールを葬り去るわけにも行かず、とりあえず中国で毎日パンダと戯れているRyuhey氏にその旨をメールした。その時のRyuhey氏の返答も出版化に関してはお声はいろいろあっても、なかなか良い話に進まないと嘆きながら、まあせっかくなので一度連絡を取って見ますわとのヌルい回答。
それから数日して、谷口氏から再びメールが届いた。
いわほーさま
楓出版の谷口と申します。
前回のメールに続きまして、なんとかRyuheyさまと連絡
がとれたことをお伝えに参りました。
とりいそぎご報告まで。
すこしほっとした。
悪意ある奴ならわざわざ取り次いでもらったことの感謝メールなどよこしてきたりしない。あとは吉報になることを祈るだけ。
あれから半年。
今回の一件は、すっかり失念していた。
そして昨日、突然Ryuhey氏から
「神様がくれた背番号」の出版日が決まったとのメールが届いた。
書籍の出版については、少し前から噂で知っていた。
でも、たしかそれは「ラバーソウル」と聞いていた気がする。
どちらかというと私は
「神様がくれた背番号」の方を推していた。
そちらのほうがデビュー作に相応しいと思っていた。
なので
「神様がくれた背番号」が6月5日に出版されるとの報告を素直にうれしく思った。
しかし、もっとうれしかったのは、私が取り次いだ件のメールがきっかけで出版化が叶ったことをRyuhey氏から教えられたことだった。
そう、あれはやっぱり「フォーチュン・メール」だったんだ。
Ryuhey氏の願いが叶い、私もその一助となれたことがともてうれしかった。
Ryuhey氏のメールは『最近、縁というものを感じますわ』で結んであった。
本当にそうかもしれない。
その後、Ryuhey氏のブログで楓出版・谷口氏の
「神様がくれた背番号」出版化に向けての並々ならぬ信念とも呼べる行動力を知って感銘を受けた。
と同時に氏に対して、あらぬ疑惑を抱いてしまった自分を恥じた。
私に出来るお詫びは、微力ながら書籍を宣伝して差し上げることくらい。
一人でも多くの方に書籍の形で読んでもらえればと思う。
もちろん私も書籍で読み返そうと思っている。

【書店予約用データ】
神様がくれた背番号
松浦 儀実
ISBN978-4-901964-18-0 C0093
また、こちらの
サイトから予約も可能です。