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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

預り金勘定の整理をしておきましょう!(源泉所得税も納付したことですから)

2012-07-09 10:30:30 | 勘定科目と仕訳
源泉所得税と切っても切れない関係にあるのが「預り金」勘定です。

【注】下記の説明は、源泉所得税専用の総勘定元帳の預り金がある、あるいは預り金の総勘定元帳に源泉所得税の補助元帳が設定されている場合を前提としています。

源泉所得税は、会社などの給料を支払う者が源泉徴収義務者として、給料を支払う際に一定額を天引きし(徴収し)、後ほど税務署に納付します。要するに、源泉徴収義務者にとって源泉所得税は預かった税金なのです。預かった税金であるならば預り金勘定を用いて、「増加=貸方=預かった」、「減少=借方=納付した」、「納付すれば残高はゼロになる」として記帳をしなければなりません。

しかし、様々な理由からこれがそう簡単にはできないのです。

■記帳した額と納付額が異なる(納付額が正しい)
この場合は納付額に合わさなければなりません。勘定科目に誤りはないか、入力金額に誤りはないかを検討しなければなりません。(源泉徴収そのものは正しく行われているとします。)

■記帳した額と納付額が異なる(記帳した額が正しい)
この場合は大変やっかいです。(源泉徴収そのものは正しく行われているとします。)納付額に不足や過大があるからです。不足の場合には至急納付しなければなりません。過大の場合には税務署に所定の用紙で還付の請求をしなければなりません。

■納付額は正しいが源泉徴収した額が間違っている(記帳は間違って源泉徴収した額でしている)
この場合、納付をしても預り金勘定はゼロにはなりません(マイナスになる場合もあります)。納付額が正しいのですから追加での源泉徴収、あるいは源泉徴収をした分の還付により、源泉徴収税額を納付額に合わさなければなりません。この一連の動きを記帳すれば預り金勘定の残高はゼロになります。

■源泉徴収税額も納付税額も間違っている(記帳は間違って源泉徴収および納付した額でしている)
徴収不足分の追加徴収と過大徴収分の還付をします。納付額に不足がある場合には納付、過大である場合には還付を請求します。この一連の動きを記帳すれば預り金勘定の残高はゼロになります。

■年末調整の還付
これがややこしいです!還付の際には還付額を預り金勘定の借方(減少)に記入し、納付書では「年末調整による超過税額」に記入していれば問題は起きません。(「年末調整による超過税額」は1回の納付では消えない場合がありますのでご注意ください。)

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★預り金勘定の記帳が完璧にできれば経理はプロ級です!

源泉所得税についての経理処理の質問が、経理経験の浅い人、特に簿記の知識がないまま会計ソフトを使用している人から「非常!」に多いです。そして、その多くが「解決不能」の状態です。上記のとおり、預り金勘定の記帳には様々な要素が関連しており、そのすべてが「正しく」、「相互に矛盾なく」行われなければ預り金勘定は正しい状態にはなりません。

預り金勘定の記帳が完璧にできれば経理はプロ級なのです。会社ならば経理の管理職(元帳や試算表の正確性を確認する人)、会計事務所の職員であれば一つの関与先を全面的に任される立場です。「給与台帳」「給与明細の控」「納付書」「通帳」「元帳」・・・、といった具合に個々の帳簿資料を検討し「どれが正しいか?」「どこが間違っているか?」を明確にし、間違いを正せる能力を会得しているということです。

★預り金勘定の残高が「増える一方」「全然減らない」

やばいです!

「源泉所得税を滞納している?」、「納付時の勘定科目を間違っている(租税公課などで費用処理をしているのでは)?」と第三者(税務署や金融機関など)は疑いを持ちます。いずれも好ましいことではありません。