【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

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修正申告があった場合の仕訳(翌期認容に注意!)

2017-07-09 11:30:00 | 税務調査
【ご注意】以下は会社の法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税の修正申告についての説明です。

税務調査が行われ、修正申告をした場合の仕訳は「追加納付した税金」の処理だけです。税務調査での調査官の質問への対応や修正申告書の作成は大変で、非常に疲れますが、調査終了後の仕訳はいたって簡単です。

追加で納める法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税は税目ごと、さらには年度ごとに行を分けて、いずれも「法人税、住民税及び事業税」という勘定科目で処理します(当期純利益の手前に表示)。決算においてはこれらの税金を「未払法人税等」として計上しているでしょうが、税務調査での追加分は未払計上を経ずに納付した段階で費用処理します。ただし、税務調査が行われた事業年度末になっても納付できていない場合には未払計上をします。

なお、「本税」「加算税」「延滞税(延滞金)」は区分して仕訳することが望まれます。というのは、納付をした年度の法人税の申告書ではこれらを区分して記載する必要がありますので、仕訳の段階で区分しておくと申告書の作成が楽だからです。

修正申告の内容によっては、これ以外の仕訳をしなければならないことがあります。修正申告書で「翌期認容」として処理した場合です。

翌期認容とは、文字通り「翌期には認める」ということです。第10期の修正申告書においては所得(おおむね利益)に加算し税額を増やすけれども、第11期の申告書においては所得を減算し税額を減らすことを認めるという処理です。

具体例としては次のようなものがあります。

「第10期の売上とすべきものが第11期に計上されていた」

第10期の利益が過少に計算されていますので第10期の修正申告をしなければなりません。しかし、第11期で「売上を計上すること」によって第10期で利益を過少に計上したことの「穴埋め」がされます。ですから、第11期の申告では翌期認容として扱われるのです。

第10期の税務調査が行われたのが第11期の途上であれば、「第11期で売上を計上する」とう処理が済んでいません。仕訳をしていたとしても、決算と申告が終了していないので後から仕訳を取り消すこともできます。この場合でも翌期認容で修正申告をするのは、第11期で「売上計上します!」という「約束(税務署と会社の信頼関係)」の上でするのです。

第11期で、必ず次の仕訳をしておく必要があります。

≪借方≫売掛金≪貸方≫売上

この仕訳がされているかを次回の税務調査で確認されますのでご注意ください。

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