【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

純資産に関する仕訳(資本金と繰越利益剰余金)

2017-10-21 18:00:00 | 勘定科目と仕訳
純資産に関する仕訳は設立時に次の仕訳をするだけです。

≪借方≫預金≪貸方≫資本金

後は会計ソフトが自動的に純資産の部を作成してくれます。純資産の部は次のような勘定科目で構成されます(もっとも単純なケースです)。

○資本金
○繰越利益剰余金

この2つの合計が純資産の部の合計です。そして、貸借対照表で「資産=負債+純資産」という関係が成り立っています。

繰越利益剰余金は次の2つに分かれます。

○期首繰越利益剰余金
○当期利益

期首繰越利益剰余金は前期から繰り越されてきた繰越利益剰余金です。

繰越利益剰余金という勘定科目の仕訳は不要です。試算表を貸借対照表と損益計算書に分割する際に貸借対照表の貸借を一致させるために自動的に作成されます。

仕訳を積上げた結果(勘定科目によっては増加も減少もある)は次のようになります。簿記の教科書の残高試算表のことです。

借方(左側)→資産と費用に関する勘定科目の残高合計
貸方(右側)→収益と負債と純資産に関する勘定科目の残高合計

借方(左側)と貸方(右側)は同額です。仕訳は借方(左側)と貸方(右側)同額でするからです。

そこで、次の関係が成り立ちます。

資産+費用=収益+負債+純資産(資本金と繰越利益剰余金)

資産-負債-純資産(資本金と繰越利益剰余金)=収益-費用=当期利益

★収益-費用=当期利益⇒これは損益計算書です。

資産-負債-純資産(資本金と繰越利益剰余金)=当期利益

★資産=負債+純資産(資本金と繰越利益剰余金)+当期利益⇒これは貸借対照表です。

「繰越利益剰余金+当期利益」が翌事業年度の繰越利益剰余金になります。この計算は会計ソフトで繰越処理をすれば自動的にしてくれます。

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純資産のことを不可解に思う人は多いです。特に、純資産と資本金の関係です。

純資産は事業年度末(試算表の場合は月末)の資産と負債の差額です。これは、貸借対照表の「資産=負債+純資産」とう構造から理解できます。問題は資本金です。資本金は出資された過去の数値です。純資産の部では、この過去に出資された資金の増減が判明するように資本金という勘定科目を表示しているのです。

「純資産>資本金」ならば資本金が増えている。「純資産<資本金」ならば資本金が減っているということです。資産と負債、そして設立以来の出来事を振り返れば納得できます。

業績が好調で(利益が出ている)あれば、資産は増え続けます。預金は増え、余裕資金で購入した自社ビルも資産として計上されます。業績が悪ければ、預金は減り続け、借入れをし、その借入れした資金もなくなります。純資産は、活動を続けた結果としての会社の懐(ふところ)なのです。

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保険積立金(保険会社の指示どおりの経理処理が必要)

2017-10-14 16:00:00 | 勘定科目と仕訳
◆保険積立金の金額は不可解なもの

会社で保険契約(生命保険および損害保険、以下同じ)をしていると保険積立金という勘定科目が資産として計上されることがあります。支払った保険料はこの勘定科目と保険料という費用勘定に分かれます(どちらか一方の場合もあります)。積立金とありますが、銀行でする積立預金のように積み立てた金額がそのまま引き出せるというものではありません。

保険積立金は保険料のうち貯蓄に相当する部分であるといわれますが、その計算は「保険料の1/2」など、非常に曖昧です。保険契約を解約する際の返戻金の額は解約する時期によって違い、その額が保険積立金の額と著しく異なることもめずらしくはありません。さらに、保険積立金の計上が不要な、保険料の全額が費用となる保険契約でも解約返戻金がもらえる場合もあります。

◆保険料の仕訳は保険会社の指示に従う

保険料の仕訳については「真面目に」「理屈で」考えても答えは出ません。保険会社の指示に従って保険積立金(資産)と保険料(費用)に区分けをします。保険契約をすると契約の詳細を説明した書面を手渡されますが、その中に必ず「保険料の経理処理方法」などと題したページがあり、保険料についての仕訳が示されています。そのとおりに処理することです。この処理方法については保険会社が国税庁に十分な確認(あるいは税法や通達の十分な確認)をしていますので、税務調査でも大丈夫です。また、保険の販売員も契約に際しては入念に説明してくれます。

決算時には保険積立金の残高をチェックしておく必要があります。月ごとの保険料のうち保険積立金となる金額にこれまでの支払回数を乗じた額が保険積立金の残高でなければなりません。複数の保険契約をしている場合には、契約ごとに補助科目を設定しておけば確認がしやすくなります。

保険契約を解約する、保険契約が満期になった際は、その保険契約分の保険積立金を全額取り崩さなければなりません。これと受け取る保険金の差額を損益として計上するのです。

◆保険会社は実際の経理処理のチェックはしてくれない

保険会社が示してくれる保険契約の経理処理は「国税庁のお墨付き」といっても過言ではありません。ですが、誤ってこれと異なる処理をしてしまうと税務調査でアウトになる、あるいは、せっかくの保険を活用しての節税ができないということになります。

保険会社は、契約者が実際にした経理処理が正しいかのチェックはしてくれません。当たり前です。この点には十分注意しなければなりません。

★契約者貸付
保険契約をしていると解約返戻金の範囲内で資金の貸付を受けることができます。この場合の勘定科目は「借入金」です。保険契約を解約していませんので、保険積立金を取り崩す必要はありません。また、契約者貸付の利息は、通常の借入金の利息と同じように「支払利息」とします。

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長期前払費用(これが資産!?)

2017-10-10 11:30:00 | 勘定科目と仕訳
「何ですか?この勘定科目」
「これが資産ですか?」

このような質問を大変よく受けます。

前払費用(まえばらいひよう)でさえ分かりにくいのに、長期前払費用となればなおさら分かりません。

前払費用とは、保険料や家賃など、期間によって料金が生じるサービス料金を前払いした場合のいまだサービス提供期間が経過していない部分をいいます。例えば、3月1日に保険料1年分24万円を前払いしたならば、その年の3月末時点では11か月分22万円が前払費用です。

長期前払費用とは、前払いしている期間が1年を超えている場合のその1年を超えている部分です。

◆火災保険と自動車保険
火災保険や自動車保険は、1年を超える保険期間の全ての保険料を最初に支払えば月払いや年払いよりも保険料が割引になることがあるので、契約するときに保険料を一括払いすることがあります。このような場合は長期前払費用が生じます。

◆信用保証協会の保証料
信用保証協会の保証料は前払いです。5年とか7年とかの保証期間が始まるときに一括して保証料を支払わなければなりません。これも長期前払費用が生じます。

長期前払費用は案外身近に生じているということです。実際、これらの長期前払費用の額が多額に計上されていることもめずらしくはありません。火災保険や自動車保険はまだしも、保証料の長期前払費用が多いのは感心しません。借入金も多いのですから。

上記の保険料や保証料は期間が経過する前に解約をすれば一定額が戻ってきますので換金性(資産価値)もあります。不動産(土地、建物)や株(有価証券)のように値上り益や運用益は期待できませんが、資産の一種であることは確かです。

法人税法の繰延資産

「建物を賃借するための権利金等」、「公共的施設などの負担金」、「宅地開発等に際して支出する開発負担金等」です。これらが長期前払費用で処理されていることがあります。純粋な長期前払費用ではありませんが、長期前払費用で処理されていることが多いです。いずれも、期間の経過に応じて償却、一定額を規則的に費用処理します。

この中で一番身近なのは、「建物を賃借するための権利金等」です。事務所や倉庫を賃借するために支払った権利金などで、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶということで資産に計上して数事業年度に費用を配分します。ここには、純粋な前払費用となる家賃のような、この先の期間に応じての明確なサービス提供という概念はありません。

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雑収入(営業外収益)

2017-10-04 17:00:00 | 勘定科目と仕訳
本業の収益は売上です。衣料品の小売業であれば、衣料品の小売り(店売り)が売上です。本業が複数ある場合には、どれもが売上になります。本業に付随して行う事業、例えば、ケーキ店の喫茶コーナーなども売上です。

「本業以外」の収益は営業外収益とされます。資産運用は本業ではありませんので、資産運用の収益である利息、配当、株の売却益や評価益は営業外収益の受取利息、受取配当金、有価証券売却益などの勘定科目で処理します。

雑収入は上記以外の収益と考えておきましょう。「特別利益?」、上場企業の決算ではよく話題になります。本社社屋や特定の事業を売却した際に生じる多額の収益です。しかし、ここではこれらも雑収入と考えておきます。

◆常時生じる雑収入
自社ビルの一部スペースの賃貸収入
社宅の賃貸収入
社内に設置している自販機収入

◆時々生じる雑収入
不要品(パソコンや作業屑など)の売却収入
車両の売却収入(定期的な買換え)
前期損益修正益(過去の決算の修正)

◆突発的に生じる雑収入
保険金の受取り
補助金の受取り
賠償金の受取り

雑収入の内容は本当に種々雑多で、「例がない」といっても過言ではありません。ですから、雑収入で処理する場合にはその内容を十分説明できるようにしておく必要があります。それには、「勘定科目内訳明細書」の「雑収益」のページで雑収入の内容をできるだけ細かく分けて記載しておくことです。また、雑収入で処理した収益の額が相応の額に達している場合には、雑収入以外の適切な勘定科目で処理しなければなりません。特に上記の「常時生じる雑収入」についてはそうです。

雑収入の中に費用の減額として処理すべきものが含まれている場合があります。税金の還付や仕入代金を過払いにしていた場合の返金などです。ただでさえ、雑収入の内容は複雑なのですから、余計なものを混入させてはいけません。

★本業とは?

営業利益、営業外収益、この件では「何が本業か?」ということが問題となります。例えば、上記の「自社ビルの賃貸収入」が利益の相当部分を稼いでいるというケースもあります。年数を経るに従って事業内容は変化しますので、本業の概念も変化します。本業の概念が変化したならば、従来は営業外収益に計上していた収益を、本業の収益である売上高に計上しなければなりません。

遊休不動産を活用して不動産業に転じた小売業、製造業が自社開発した自社利用ソフトを若干外部に販売していたのがいつの間にかそれが本業になった。このような例は多数あります。

★本業の収益を増やしたい

決算書を外部第三者に見せるに当たって、このような考えを抱く経営者がいます。営業利益(営業外収益を加える前の利益)が多いほうが決算書の「見栄え」がするからです。本業で稼いでいるということですから当然です。

この場合には、「何が本業か?」について明確な説明ができなければなりません。上記の突発的な雑収入が本業でないことは明らかです。それ以外の雑収入を本業の収益である売上へと表示を変更するのであれば、その収益の事業における位置付け、今後の計画などと関連させて、会社の存続と発展に欠かすことのできない収益であることが説明できなければなりません。

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売上原価という勘定科目?

2017-09-26 17:00:00 | 勘定科目と仕訳
売上原価とは、商品販売の収益である売上に対する費用であり、「売上-売上原価」で計算される「売上総利益」は、俗に粗利(あらり)といわれ企業が存続するための源泉にほかなりません。

売上原価は次の勘定科目で構成される損益計算書の構成部分です。売上原価という勘定科目はありません。損益計算の最上部は売上高で、次が売上原価です。

◆期首商品棚卸高(費用)
これは損益計算書勘定科目です。「商品」という単語が含まれていることから資産の勘定科目に思えるかもしれませんが、損益計算書における費用の勘定科目です。期首とは年度初めです。当期の期首は前期の期末です。前期に仕入れたけれども前期中に販売されなかったので、前期においては費用として処理できず持ち越した部分です。この部分を期首商品棚卸高という勘定科目によって当期の費用として処理するのです。

◆当期商品仕入高(費用)
仕入という費用勘定の年間合計額を決算書においては当期商品仕入高として表示します。仕入は商品が入荷された都度計上します。その商品が販売されたかは問いません。当期商品仕入高は損益計算書の当期売上高とは対応しないのです。この差額は売上総利益ではありません。

◆期末商品棚卸高(費用のマイナス)
これは仕入という「費用を減額する」勘定科目です。上記のとおり当期商品仕入高の中には年度末時点で販売されていない部分も含まれています。この部分をこの勘定科目で減額するとともに翌事業年度に持ち越すのです。

売上原価は損益計算書では次のように表示されます。

期首商品棚卸高・・・100
当期商品仕入高・・・800
合計・・・・・・・・900
期末商品棚卸高・・△150
売上原価・・・・・・750

ただし、決算書によっては、このような売上原価の計算プロセスの記載は省略して売上原価の金額750のみを記載していることもあります。

●期首商品が事業年度末になっても販売されていない
このようなこともあります。この場合も期首商品棚卸高で処理してから期末商品棚卸高とします。

●期末商品の実地棚卸
期末商品棚卸高は各商品の「数量×仕入単価」を全商品で合計したものです。これは商品台帳という帳簿で商品ごとに算出しますが、商品台帳に誤りがある、商品台帳がない場合もありますので、数量に関しては店頭や倉庫の商品を実際に数えなければなりません。この作業を実地棚卸(じっちたなおろし)といいます。実地棚卸は、事業年度末の営業時間終了後、「これ以上商品は増減しない(仕入も売上もない)」という状態になってから行います。

●製造業の売上原価
製造業の場合は「期首製品棚卸高+当期製品製造原価-期末商品棚卸高」なります。当期製品製造原価は製造原価報告書において内訳(材料費、労務費その他)を記載します。

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