【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

長期前払費用(これが資産!?)

2017-10-10 11:30:00 | 勘定科目と仕訳
「何ですか?この勘定科目」
「これが資産ですか?」

このような質問を大変よく受けます。

前払費用(まえばらいひよう)でさえ分かりにくいのに、長期前払費用となればなおさら分かりません。

前払費用とは、保険料や家賃など、期間によって料金が生じるサービス料金を前払いした場合のいまだサービス提供期間が経過していない部分をいいます。例えば、3月1日に保険料1年分24万円を前払いしたならば、その年の3月末時点では11か月分22万円が前払費用です。

長期前払費用とは、前払いしている期間が1年を超えている場合のその1年を超えている部分です。

◆火災保険と自動車保険
火災保険や自動車保険は、1年を超える保険期間の全ての保険料を最初に支払えば月払いや年払いよりも保険料が割引になることがあるので、契約するときに保険料を一括払いすることがあります。このような場合は長期前払費用が生じます。

◆信用保証協会の保証料
信用保証協会の保証料は前払いです。5年とか7年とかの保証期間が始まるときに一括して保証料を支払わなければなりません。これも長期前払費用が生じます。

長期前払費用は案外身近に生じているということです。実際、これらの長期前払費用の額が多額に計上されていることもめずらしくはありません。火災保険や自動車保険はまだしも、保証料の長期前払費用が多いのは感心しません。借入金も多いのですから。

上記の保険料や保証料は期間が経過する前に解約をすれば一定額が戻ってきますので換金性(資産価値)もあります。不動産(土地、建物)や株(有価証券)のように値上り益や運用益は期待できませんが、資産の一種であることは確かです。

法人税法の繰延資産

「建物を賃借するための権利金等」、「公共的施設などの負担金」、「宅地開発等に際して支出する開発負担金等」です。これらが長期前払費用で処理されていることがあります。純粋な長期前払費用ではありませんが、長期前払費用で処理されていることが多いです。いずれも、期間の経過に応じて償却、一定額を規則的に費用処理します。

この中で一番身近なのは、「建物を賃借するための権利金等」です。事務所や倉庫を賃借するために支払った権利金などで、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶということで資産に計上して数事業年度に費用を配分します。ここには、純粋な前払費用となる家賃のような、この先の期間に応じての明確なサービス提供という概念はありません。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

マンガで入門! 会社の数字が面白いほどわかる本
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社