【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会社清算と社長借入金(最後は債務免除を受ける)

2022-01-20 18:31:00 | 廃業、会社清算
「会社を清算すると、私が会社に貸している資金はどうなるのですか?」

会社を清算するに先立って、社長借入金(役員借入金)の扱いについて疑問を持つ人が多いです。社長借入金といえども負債ですので、金融機関からの借入金同様返済をしなければなりません。しかし、返済できないこともあります。

◆社長借入金の返済は後回しにするしかない

「まずは社長借入金の返済をして、残った資金で」と考える人もいますが、そんなことはできません。

金融機関からの借入金については、社長が「個人保証」をしていることが通常ですので、結局は社長借入金の返済で得た(社長個人へ移動させた)資金を金融機関への返済に充てなければなりません。事務所や店舗を借りている場合の賃料も同じです(社長が個人保証をしていると思います)。

仕入代金や従業員の給料については個人保証のような縛りはありませんが、仕入先や従業員はいち早く会社の危機を察知して機敏に反応しますので、気がつけば支払うしかないという状況に追い込まれています。

◆返済できない社長借入金は債務免除

債務免除とは、社長の同意を得て社長借入金の返済を免除してもらうことです(社長個人からすれば債権放棄)。会社を清算するには債務をゼロにしなければなりませんので、このようにするしかないのです。債務免除が行われるのは破産などの法的整理に限定されますが、社長借入金については通常の清算においてもこのような扱いになるのです。

◆債務免除に対する法人税の課税に注意

債務免除を受けると、社長借入金が減って同額の収益(利益のプラス要素)が生じます。わかりにくいかもしれませんが、返済義務がなくなるということは借入額相当の資金をもらったということですから収益になるのは当然です。

収益ですので結果として利益が生じれば法人税の課税対象になります。ただし、債務免除の結果、利益が生じても過去の赤字と相殺できますので、債務免除した年度の利益が過去の赤字よりも少ない場合には法人税は課税されません。

◆債務免除をするタイミング

社長借入金の債務免除をするのは清算作業をしている年度、解散した年度の次年度以降になります。そこまでいかないと債務免除すべき額が判明しないのは当然として、このタイミングでないと繰越欠損金(過去の赤字)の「全額」を債務免除による利益と相殺できないという法人税のルールとの関係もあります。

◆株主との関係

株主への残余財産の分配は、全ての債務(借入金や仕入代金など)の弁済が済んでからです。社長借入金を免除しなければならない状況であれば、株主への残余財産の分配はできません。債務全額の弁済さえできないからです。

ただし、株主に社長以外の人がいてどうしても残余財産を分配しなければならない事情がある場合には、社長借入金を返済するだけの資金があっても債務免除をすることができます。

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社長借入金の減少(返済だけではない)

2022-01-20 18:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
社長借入金(役員借入金ともいう)は返済をする、つまり会社の資金を社長個人に移動させることにより減少します。これは金融機関からの借入金と同じです。しかし、中小零細企業ではこれとは違う原因によって社長借入金が減少することがあります。

◆会社が受け取る家賃と相殺する

例えば、会社名義のマンションに社長が住んでいるとします。このような場合には会社は社長から家賃を受け取ることができます。

社長借入金がある場合、この家賃の受取りという「貸し」と、社長借入金という「借り」を相殺することができます。家賃は入金、社長借入金の返済は出金ですので、入出金という手続を省略するのです。

◆会社が負担している個人的出費と相殺する

これも上記の家賃と同じ理屈です。会社が何らかの社長の個人的出費(交通費や飲食代など)を負担している場合、この「貸し」と社長借入金という「借り」を相殺するのです。

ただし、社長の個人的出費を会社が負担するということは、たとえ後に精算するといっても経営上は好ましくはありませんので、この方法はやむを得ない場合に限定しなければなりません。

◆債務免除(収益が生じるので法人税に注意)

これを知っている人は少ないと思います。社長借入金という債務を免除してもらうのです(社長の側からすれば債権放棄)。この債務免除を受けると、社長借入金が減って同額の収益(利益のプラス要素)が生じます。わかりにくいかもしれませんが、返済義務がなくなるということは借入額相当の資金をもらったということですから収益になるのは当然です。

この債務免除を受ける理由は次のふたつです。ひとつは借入金(負債)が多いと決算書の見栄えが悪い場合です。借入金が多いと自己資本比率、流動比率などの重要な財務指標が悪化します。もうひとつは相続税対策です。社長借入金は社長個人からすれば会社に対する貸付金という財産であることから相続財産になります。社長借入金の返済ができそうにない場合、社長個人としては返済されそうにない貸付金が相続財産として相続税の課税対象となってはたまったものではありません。

◆親族への贈与?

ここまでくると、もっとわかりにくいです。社長借入金は、社長からすれば会社に対する貸付金ですので財産ということになります。財産ですので、現金や不動産同様、贈与することができます。

「私の親族は会社には関わっていないので(株主や役員ではないので)」という人がいますが、借入金の相手先は誰でもなることができますので、会社と無関係の親族でもかまいません。

◆会社の財産による代物弁済

金銭で社長借入金の返済をするのではなく、金銭以外の会社財産(不動産や車両など)を社長名義に変更することをもって返済をするという方法です。この方法は金融機関からの借入金においても会社の財産が担保提供されている場合には行われます。いわゆる代物弁済です。

この方法は課税関係が複雑です。代物弁済は譲渡ですので、譲渡益が生じる場合には利益に影響し利益の額によっては法人税が課税されます。また、譲渡した資産によっては消費税も課税されます。さらには、返済した社長借入金の額を超える価値がある会社財産を提供した場合には、その超える部分が社長の給与として社長に所得税が課税されるだけでなく、損金不算入となって法人税の課税所得が増えます。このように課税関係が大変複雑ですので、この方法は特別な事情がある場合を除いて避けなければなりません。

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年末調整の還付金を受け取らない場合の経理処理

2022-01-10 10:30:00 | 源泉徴収と年末調整
中小零細企業の代表者は年末調整の還付金を受け取らないことがあります。還付金は少額であること、還付金を受け取るために12月の役員報酬の手取り額の計算をあらためてすることが面倒であるのがその理由です。

還付金を受け取らないからといって代表者の年末調整をしないというわけにはいきませんので、年末調整はして還付金に相当する金額の経理処理をしなければなりません。

◆放置しておくと預り金勘定に残る

年末調整をする12月の源泉所得税の納付額は、徴収した税額から還付した税額を差し引いた額となります。徴収が10万円で還付が6万円の場合は4万円です。預り金勘定の動きとしては、10万円の徴収が還付6万円と納付4万円でゼロになるということです(前月までに滞納がなく、経理処理も正しいとして)。いわゆる「納期特例」の適用を受けている場合には「徴収は7月から12月合計」で計算します。

代表者に還付をしない場合は代表者の還付金相当額が預り金勘定に残ります。上記の例で代表者の還付額が7万円のうち2万円であるとすれば、預り金の残高は2万円になります。

◆預り金から社長借入金に振替える

預り金勘定の「預かり」という意味は、税務署に納付するために預かっているということですから、税務署に納付する必要がない分は預かった人に返さなければなりません。これを返していない場合には借りているということです。ですから代表者に還付していない金額は社長借入金(役員借入金)に振替えるのです。

この処理をしていないと、預り金勘定は還付金相当額だけ残り続け、あたかも源泉所得税を納付していないように見えます。金融機関に決算書を提出している場合、この金額が積もり積もって多額になってくると印象が悪いですので、忘れずに社長借入金へ振替えておく必要があります。

◆年末調整で不足する場合(預り金勘定はマイナスに)

年末調整の結果、今までの徴収額では不足するというケースがあります。徴収が10万円、還付が5万円、不足が2万円の場合、納付は7万円です。預り金勘定の動きは、10-5+2-7でゼロになります。

不足する2万円を追加で徴収していない場合には、預り金勘定は10-5-7=マイナス2万円となってしまいます。

この2万円の不足が全額代表者の分である場合には、社長貸付金(役員貸付金)に振替えなければなりません。

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ネット取引における証拠書類(領収書の時代は終わりました!)

2022-01-07 20:00:00 | このブログについて
実は今年の年初から、事業者の事務作業を革命的に変えなければならない法律の改正が予定されていましたが、2年間延期されました。おそらく、ほとんどの人はこのことを知らないと思います。それで延期されたのです。

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電子帳簿保存法が改正され、「令和4年1月1日から」事業者が電子取引を行った場合の取引情報は電磁的記録で保存することが義務付けられる予定でしたが、この適用が「2年間延期」されました。

「電子取引」とは、平たくいえばネットでの取引です。ネットショップでの売買であるとか、電子メールでの取引のことです。「電磁的記録」とはパソコンやスマホなどに保存するファイルのことです。

長らく、領収書が事業者の出費に関する証拠書類とされてきました。ネット取引においても領収書の「印刷」は可能で、税務調査においてはこの「印刷した領収書」を提示すれば済みます。しかし、令和6年1月1日以降この領収書を印刷するという方法は認められません。電磁的記録を保存しなければならないのです。電磁的記録の保存は、「領収書の印刷」や「取引履歴の検索」のように簡単ではありません。電子取引を行った都度、いちいちファイルに保存しなければならないからです。

猶予期間はあと2年、事業者の皆様、どうしますか?

ネット取引よりも、実店舗で購入して紙の領収書をもらうほうがトータルで考えれば「楽」かもしれませんよ!

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★ファイルを扱えない人

パソコンでネット取引はしているけれどもファイルを扱えない人がいます。無意識にファイルを作成しているけれども、「ファイル名の変更」や「ファイルの移動・複写」ができない人のことです。当然、このような人は電磁的記録には適応できません。

最近、スマホは使えるけれどもパソコンを使えない人もいます。このような人も電磁的記録には適応できないでしょう。スマホではファイルを意識することはないからです。

電磁的記録、税務調査の混乱は必至です。

Z世代のみなさん!
それでも何もかもスマホで済ませるのですか?

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コロナ2年(引き続き科学の力を信じる!)

2021-12-28 16:00:00 | このブログについて
去年の今頃は今年の年末にはコロナはこの世から消滅していると考えていました。しかし、この1年間でコロナウイルスは変異を続け、現在は世界中がオミクロン株に怯えています。

振り返ってみれば2020年4月最初の緊急事態宣言の際、「1か月だけ自粛すれば」と考えたのは甘すぎました。また、「ウィズコロナ」だとか「コロナ慣れ」といった当時の流行語は今では不謹慎にさえ感じます。

来年の確定申告(令和3年分)は3年連続で期限が延長になるのでしょうか?

「持続化給付金」「家賃支援給付金」「一時支援金」「月次支援金」「事業復活支援金」、延々と続くのでしょうか?

とにかく先が見通せません。気持ちだけではどうにもなりません。

★「科学の力」を信じる!

これしかありません。「ワクチン」の効果は絶対ではありませんが絶大なものです。「マスク」「手洗い」「密を避ける」、地道な手段ですが、ワクチンや治療薬の開発がどんなに進んでもこれ忘れてはいけません。

今では科学の力とスピードがコロナに勝っていることは明らかです。引き続き科学の力を信じたいと思います。

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