【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

廃業と倒産の違い(借金は返せるか)

2020-05-16 12:30:00 | 廃業、会社清算
廃業と倒産の違いについてよく聞かれます。ほとんどの人は倒産についてマイナスイメージを抱いています。そして、廃業と倒産を混同して、廃業をためらうことがあります。

◆廃業は自主的に事業をやめること

廃業も倒産も事業をやめて会社が消滅する点においては変わりありませんが、廃業は自主的に事業をやめることをいいます。一方、倒産は事業をやめるしかない状況に追い込まれて事業をやめることをいいます。

廃業の場合は、「経営者が高齢になり後継者がいない」「扱っている商品やサービスの需要が減ってきている(かといって転業することもできない)」などを理由に、将来的に事業が成り立たなくなることを見越して自主的に事業をやめます。当然、返すべきものはすべて返して、支払うべきものはすべて支払います。

倒産の場合は、「金融機関からの借入金が返せない」「仕入先などへの代金が支払えない」「従業員の給料も支払えない」といった状況に陥り事業継続が不可能となります。そして、弁護士や裁判所が介入して事態を収拾します。そこには経営者の意思はほとんど反映されません。

◆廃業のプロセス

会社は次のようなプロセスを経て廃業をします。

取引先や従業員に廃業する旨と営業活動停止の時期を告げる

営業活動の停止(販売の停止、従業員の解雇)=解散

すべての資産を換金してすべての負債を返済する=清算作業

残余財産の分配=清算結了(会社は消滅する)

倒産との決定的な違いはすべての負債、つまり「借入金は返済する」「仕入代金や給料は支払う」ということです。

◆倒産のプロセス

倒産のプロセスは次のとおりです。

業績不振などを理由に借入金の返済や仕入代金などの支払いが滞る

会社に対する信用不安から営業活動に重大な支障が生じる

負債(借入金や仕入代金などの未払い)を整理しないと収拾がつかない

裁判所の介入によって資産を換金して可能な限り負債を返済する

会社を消滅させる(切り捨てられる負債がある)

廃業との違いは、すべての負債を返済することができないということと、裁判所という国の機関が介入するということです。

倒産の結果、通常は会社が消滅しますが、会社を存続させることに社会的な意義がある場合には存続させるという方法が選択されます。しかし、中小零細企業では、倒産の結果として会社を消滅させることが通常です。

◆倒産は弁護士に依頼しなければできない

「借金を返さずに済むのであれば・・・」と倒産を選ぶ経営者がいますが、倒産をするには弁護士に依頼して所定の手続をしなければなりません。当然、弁護士に相応の費用を支払わなければなりません。倒産確実(すべての負債が返済できない)という状況になって、弁護士にも依頼せず「のらりくらりする」「債権者を煙に巻く」などしていても一向に事態は収拾に向かいません。

◆倒産は経営者にとって以後の人生のハンディとなる

上記のとおり、倒産は債権者(融資をしている金融機関、販売代金が回収できていない仕入先など)に損害が及びます。金融機関の担当者は社内の評価が下がり、仕入先の経営者や従業員は生活に窮します。当然、これらの人々からは恨まれます。だから、倒産した会社の経営者は社会的信用を失い、以後の人生において大きなハンディを背負うことになるのです。

◆廃業は静かな幕引き

廃業と倒産とでは雲泥の差であることをご理解いただけると思います。

中小零細企業が永続することは不可能であるといっても過言ではなく、いずれは廃業しなければなりません。「気配」を感じたならば廃業の準備をしなければならないのです。倒産と廃業の分かれ目が、その判断の時期にあることが非常に多いです。

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代表者の死亡による会社の廃業(残された者がすべきこと)

2020-05-09 19:30:00 | 廃業、会社清算
代表者の死亡により、会社を廃業しなければならないことがあります。代表者の死亡に関して注意しなければならないのは、代表者が死亡しても、会社は直ちに消滅しないということです。会社は消滅しませんので、会社の資産(現金、預金、売掛金、在庫、設備など)と負債(借入金、買掛金など)もそのまま残ります。

◆新たな代表者を選任する(必ず登記をする)

会社を代表するのは「代表取締役」、一般的には「社長」と呼ばれる人です。会社という組織は代表者がいなければ動きませんので、代表者が死亡した場合には新しい代表者を選任しなければなりません。そして、新たに選任された代表者を法務局で登記をします。「実質的代表者」では社内ではともかくとして対外的には認めてもらえません。

◆会社を「継続する」か「清算する(消滅させる)」かの選択

代表者の影響力が大きい会社の場合には、代表者が死亡すればそのまま廃業になることが多いです。代表者が死亡したら最初に検討しなければならないのは、会社を継続するか清算するか(消滅させるか)の選択です。

会社を継続する場合には、新たな代表者は「代表取締役(社長)」として前代表者の業務を引き継ぎます。会社を清算する場合には、新たな代表者は「清算人」として会社を消滅させるべく清算手続(資産の換金と負債の返済)を行います。

◆既存の関係者の協力を仰ぐ(閉じこもるとか、新たな人物を安易に招入れたりしない)

代表者が死亡すれば、残された人たちは気が動転するのは当然のことです。しかし、今まで会社が成り立ってきたということは、代表者の周りに協力してくれる人たちがいたからです。そこで、代表者が死亡したならば、まずは関係者に丁重にあいさつをしに行くことです。訳もなく身構えて、閉じこもるとか、実情をよく知らない新たな人物を招き入れるのは混乱の原因となります。

◆債権者の取り立てが激しい場合は弁護士に依頼する(破産や民事再生を検討する)

代表者の死亡と同時に債権者(融資を受けている金融機関や仕入先など)が押し寄せて返済や支払いを迫ってくる場合には、会社経営が危うかったということです。また、代表者の生前の行いに問題があり不評を買っていた(恨まれていた)可能性があります。

とても素人では太刀打ちできませんので、弁護士に依頼してとりあえずの収拾をつけてもらうしかありません。その次に、破産や民事再生などの法的手続を検討することです。

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自身が関わっている会社の代表者が死亡した場合、どのような行動をとるかはその人の立場によって大きく異なります。

◆一従業員

「私は知りません(関係ありません)」で通用します。会社が存続できそうにない場合には、直ちに次の仕事を探さなければなりません。給与が未払になっている場合には当然請求ができます。

◆後継者候補(片腕)

「知りません。わかりません」と、あっさりとはいえないと思います。自身の今後、「会社に残るか」、「ほかに道を探すか」によって対応を決めることです。前者を選択する場合には矢面に立つ覚悟が必要です。

◆代表者の家族(会社の役員あるいは従業員)

道義的に逃げられないと思います。また、立場によっては法律的な責任が生じることもあります。とにかく、事態が収拾するまでは会社に残るしかありません。それには、代表取締役あるいは清算人に就任することです。

◆代表者の家族(会社とは直接関係がない)

関係者へのあいさつはするしかないと思います。また、代表者が会社の保証人になっている場合には、その保証人としての地位を相続により引き継がなければなりません。

◆代表者の家族(会社に資産がある場合)

会社に不動産や預貯金などの資産がある場合には、代表者の家族はそれを死守しなければなりません。代表者は会社の株式の大部分を保有していることでしょうから、それを相続により取得して会社の支配権を確かにする必要があります。

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会社の廃業と代表者の家族(廃業したくても廃業できない)

2020-05-03 23:30:00 | 廃業、会社清算
昨年の12月、このブログでは新たに「廃業、会社清算」というカテゴリーを設けました。当たり前ですが、そのときは「コロナ」でこんなことになるとは全く予想もしていませんでした。

今のような状況で、冷静な判断をするのは並大抵のことではありません。しかし、これは声を大にしていいたいのですが、廃業(場合によっては倒産)の手続は、それを理解して適切なスケジュールを立てればそんなに難しくありません。

廃業しても、倒産しても、再起することはできます。このブログが少しでもお役に立つことを願っております。

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会社を廃業すると代表者以外の様々な人に影響が及びますが、中小零細企業の場合にはとりわけ代表者の家族への影響が大きく、その対応に思いのほか手間がかかることがあります。

◆家族が役員あるいは従業員である

家族が役員あるいは従業員として会社から給与収入を得ている場合には、会社の廃業とともにその収入が途絶えます。会社からの給与収入が主な収入源でそれを生活の糧にしているのであれば、新たな収入源を探す必要があります。

会社の資金に余裕があるのであれば、役員あるいは従業員である家族に退職金を支給することができます。しかし、これは会社に相当な残余財産、つまり清算時に残る資産でもってすべての負債を返済することができ、さらに資金が残る場合に限られます。

◆家族が株主である

家族が株主である場合には、残余財産の分配を受けることができます。残余財産とは、清算時に残った資産から負債を差し引いたもので、返すべきもの(払うべきもの)を支払った後に残る資金のことです。

株主は残余財産がなければその分配を受けることができません。代表者の家族である株主であっても、返すべきもの(払うべきもの)をそっちのけにして会社から資金を引き出すことはできないのです。

◆家族からの借入金がある

会社が代表者の家族から資金を借りている、つまり、家族が会社に資金を貸していることがあります。この場合、その家族は会社にその返済を求めることができますが、それには会社にそれを返済するための資金がなければなりません。

◆家族が会社の借入金の保証人になっている

家族が会社の借入金の保証人になっている場合には、会社がその返済ができなければ肩代わりをしなければなりません。この肩代わりは会社が清算し消滅した後も続きます。

◆家族が会社名義の不動産に住んでいる

家族が会社名義の不動産に住んであり場合には、会社を清算してその不動産が他者の所有となれば、その者に対して賃料を支払わなければなりません。この賃料が高額で支払えないのであれば、他に自宅を探すしかありません。また、事情によっては退去を求められる場合があります。

◆家族が会社に不動産を賃貸している

会社を清算すれば会社との賃貸関係がなくなり、賃貸収入もなくなります。引き続き賃貸収入を得たいのであれば他に賃借人を探さなければなりません。

◆家族が会社と一切の関りがない

家族が会社と一切の関りがない場合には、会社の廃業に関する諸手続の一切に家族は関係してきません。しかし、代表者の会社からの収入(役員報酬や賃料など)で生活をしている家族は新たな生活費の源泉を確保しなければなりません。

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★廃業に備え会社と家族の関係を徐々に減らしていく
中小零細企業の場合、代表者の家族と会社の関係が深く、その関係を廃業するからといってすぐさま解消させることが容易でなく、廃業の妨げになることがあります。廃業を意識するようになったのであれば、まずは廃業が家族に与える影響を認識して、会社と家族との関係を徐々に解消していく必要があります。ただひとつの関係のために「廃業したくても廃業できない」ということにならないようにしなければなりません。

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決算申告をしていない(廃業もできません!)

2020-05-01 17:30:00 | 廃業、会社清算
コロナ・・・、本当に大変なことになりました。税務申告に関しては申告期限の延長や納税の猶予が認められています。期限内に申告や納税が困難な場合には、これらの扱いの適用を受けるべきです。しかし、延長や猶予はいつまでも認められるわけではありません。廃業する場合には、必ず申告に納税という手続を考慮したうえで行動してください。

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会社を清算するには、すべての負債を返済しなければなりません。この負債の中には税金も含まれます。ですから、会社を清算するには決算申告をして、その分の納税も済まさなければならないのです。

「苦しいのだから、当然国は助けてくれる」は甘いです。むしろ、税務署のほうが金融機関などの債権者よりも強硬な手段に出ることがあります。

◆通常事業年度の申告(解散するまで)

会社が解散(営業活動を停止)するまでは通常どおりの申告をしなければなりません。例えば、12月決算(事業年度が1月1日から12月31日まで)の会社が、9月30日に解散した場合には、1月1日から9月30日までの9か月間については今までどおりの申告が必要です。

◆清算事業年度の申告(解散の翌日から)

会社が解散(営業活動を停止)した翌日からは清算事業年度となります(最長1年間で、1年で清算が終了しない場合は以後1年区切りを何度でも)。清算活動が始まると、今までのような売上や仕入は生じません。しかし、清算活動による「資産の売却益」「債務の免除益」「残余財産の分配」の結果として、清算活動独自の課税関係が生じ法人税、消費税、源泉所得税を納税しなければなりません。

会社が解散し清算に突入したことは登記を通して税務署に知られますので、税務署はそれを見逃すことはありません。税務署をないがしろにしての清算はあり得ないのです。

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廃業しようとする会社の中には、決算申告をしていない会社があります。「面倒なので」「費用(経理事務員の給与や税理士報酬)がもったいない」というのがその理由です。

◆経理担当者は解雇し、税理士との契約は解除している

一般的に廃業しようとしている会社は資金繰りも苦しいことから、後先を考えずに目先の経費を削減したいという理由だけから経理担当者は解雇し、税理士との契約を解除していることが多いです。

その後、自身で記帳・決算・申告を試みるも全く歯が立たず、申告期限は過ぎ去り、税務署からの強硬な申告納税の催促から逃げ回っているという有様です。当然、このままでは会社を清算することさえできません。

◆とにかく税理士に相談する(思いもよらない妙案があるかもしれません!)

記帳・決算・申告をしないまま申告期限が過ぎ去り途方に暮れている場合には、とにかく税理士に相談することです。契約を解除した税理士には相談できないでしょうから、別の税理士に相談します。

税理士であれば、状況に応じた対応を心得ています。帳簿もなく領収書を紛失していても、簡単に済ませてくれる場合もあります。費用も驚くほど安い場合もあります。これは、税理士の勘と経験です。教えることも、言葉や文章にすることもできません。当然、ネット上で調べることもできません。

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会社を廃業する際に残る不動産(解散の延期も)

2020-04-17 19:00:00 | 廃業、会社清算
会社を廃業する際に不動産が残る、「売りたいけれども買い手が現れない」「事情により売ることができない」ということがあります。

◆買い手が現れない(解散の延期)

会社の廃業に際して会社が所有する不動産を売ろうとしても、一向に買い手が現れない場合には解散を延期するしかありません。解散後は清算作業(資産の換金と負債の返済)を行いますが、不動産は売却して換金しなければ清算を済ませることができないからです。

また、解散をすると以後は清算業務しか行えませんので、「本業の利益で不動産の維持費を賄う」「不動産を自社では使用しないで誰かに貸す」という選択肢が失われます。

◆金融機関の抵当権が設定されている(競売あるいは任意売却)

不動産に金融機関の抵当権が設定されていて、その不動産を売却しなければ金融機関からの借入金が返済できない場合の清算手続は大変です。金融機関の許可なしに不動産を売却できないからです。

「抵当権」というのは法務局で登記もされている極めて強力な権利です。返済ができない場合には裁判所が介入する「競売」というという手続によって強制的に不動産は売却され、金融機関はその売却代金を回収に充てることができます。競売によらず「任意売却」という方法で不動産を換金することもできますが、それには金融機関の同意と介入が必要です。

抵当権の対象となっている借入金の返済が現状の資産で十分できる場合には、全額を返済して抵当権を抹消してもらうことです。そうしておけば不動産を自由に売却することできます。

◆経営者個人で買い取る(課税関係が深刻な事態を招く場合もある)

不動産を経営者個人で買い取るという方法があります。その資金がない場合は、経営者個人が金融機関などから借りて買い取ります。それも無理な場合は、経営者が退職金代わりに土地を引き取ります。

なお、この経営者との取引は「適正な」取引価格でなければ税務上の問題が生じます。高くても、低くても問題です。高ければ会社に利益が、低ければ経営者に所得が生じそれぞれに法人税あるいは所得税が課税されます。

◆賃貸しており第三者が使用している

不動産を会社とは無関係の第三者に賃貸している場合も厄介です。賃借人がそう簡単には退去してくれず、賃貸したままでの売却ができなければどうにもなりません。

◆経営者の自宅にしている

会社所有の不動産を経営者の自宅にしている場合があります。会社を清算して、その不動産が他者の所有となれば、その者に対して賃料を支払わなければなりません。この賃料が高額で支払えないのであれば、他に自宅を探すしかありません。また、事情によっては退去を求められる場合があります。

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★不動産は会社に余力があるうちに手放す
会社の廃業に際して不動産の処分が難航する場合があります。「最後の砦」や「世間体」はもっともなことですが、会社の廃業を意識しているのであれば、できるだけ早い段階で不動産の処分方法を検討し、実行可能な選択肢が多いうちに行動する必要があります。

★優良不動産が残る場合(不動産賃貸業への転業)
十分な賃貸収益を生む不動産が残る場合には、本業はやめて不動産賃貸業に転業するという選択もあります。この場合には、引き続き経理業務や決算申告が必要となります。また、経営者の年齢や健康状態によっては早期に会社の後継者を育成しなければなりません。

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