【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

インボイスに電子取引など

2024-07-17 18:31:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
昨年半ばから今年初めにかけて事業者を混乱させたインボイス(適格請求書)に電子取引でしたが、今ではすっかり落ち着きを取り戻したようです。

◆インボイス制度の最大の目的

インボイス制度の最大の目的は免税事業者にも消費税を納税させるということですが、この目的は達成されたといえます。今や「登録番号」を請求書に記載せずして消費税を請求するという「不心得者!」は皆無といっても過言ではありません。

国税庁は当面、消費税の申告処理(仕入税額控除の正確性)については寛大な対応をするとしています。しかし、いざ申告をするとなると気になります。「免税事業者の仕入税額控除」「売上代金から差し引かれた振込手数料相当額」など「これでいいのだろうか?」と不安になることが多々あります。

2割特例、特例が終わってからの税額を早くも気にする事業者が多いです。2割特例が終わる頃、小規模事業者の廃業が増えるかもしれません。

◆電子取引

そもそも電子取引がなんであるかの認識が進んでいません。特に電子帳簿やスキャナ保存との混同が目立ちます。

にもかかわらず、電子取引は日々増加しています。それに応じて電子取引におけるトラブルも増加しています。広くネット上の取引が安全で円滑に行われるためのわかりやすい法整備が必要だと思います。税務はそれを利用する、税務的な観点から必要な規定を設ければよいのです。

◆定額減税

6月の月次減税は順調に行われたようです。しかし、大切なことは月次減税の合計額が、最終的な定額減税額に一致するとうことです。また、減税しきれない人についてはその旨が源泉徴収票に記載しなければなりません。これが大変な作業です。

◆ふるさと納税

今年は能登地方の市町村、しかも「返礼品なし」が増えるでしょう。しかし、この善意にふるさと納税仲介サイトのポイントが付与されるのは悲しいことです。(ポイントの付与は2025年10月以降廃止されます。)

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定額減税、順調に実施される

2024-07-17 18:30:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
事務手続の煩雑さへの批判や経済効果に対する疑問の多かった定額減税ですが、どうやら順調に行われている模様です。もっとも危惧された、給与を支払う側の「定額減税を知らなかった」「定額減税を忘れていた」はほとんどないようです。

◆給与明細の記載方法

定額減税額は給与明細に記載しなければなりません。その記載方法は様々ですが、一番多いのは控除欄に「通常の徴収額」と「定額減税額をマイナス」で記載するという方法です。控除欄にマイナスで記載するということは「手取り」が増えるということです。通常の徴収額が1万円、定額減税額も1万円であればその月は所得税の徴収はありません。

◆定額減税に到達したかの記録

これが大変です。給与明細に書ききれないでしょう。「給与明細の別紙」として、月ごとの定額減税額と各月の合計減税額を記載することになります。

「定額減税額3万円」「6月以降の通常の源泉徴収額8千円」とします。

6月減税額8千円
7月減税額8千円
8月減税額8千円
9月減税額6千円→減税終了

ということになります。しかし、こんな「きれいな金額」にならないケースもあります。通常の源泉徴収額が月によって変動する場合は大変です。

◆結局は年末調整

年度途中で「扶養親族が増減する」ことがあります。定額減税額は扶養親族数に応じて決まりますので「月次」と「年末」で定額減税額が異なることもあります。

今年は入念に扶養親族数を確認しなければなりません。特に扶養控除されない年少扶養親族(年齢16歳未満の扶養親族)は正確に把握されていない、つまり扶養控除等異動申告書に記載されていないケースがありますので注意が必要です。

◆源泉徴収票の記載(定額減税しきれない場合)

年末調整でも定額減税しきれない金額がある場合、その旨と金額を源泉徴収票に記載しなければなりません。そうしないと「給付金」が受け取れません。

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「ややこしいことをしてくれたね・・・」

年末調整や確定申告の時期にため息が聞こえそうです。

「本当にこれでよかったのだろうか?」

定額減税の「後始末」、来年になっても続きそうです。

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定額減税しきれない場合の給付金(調整給付)

2024-05-11 22:31:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
内閣官房のサイトに下記のような情報があります。

以下抜粋=========

(6)定額減税しきれないと見込まれる方への給付金(調整給付)
定額減税(5)において、納税者本人と扶養親族(配偶者を含む)の数から算定される減税額(定額減税可能額)が、定額減税を行う前の所得税額・個人住民税所得割額を上回っており、定額減税しきれないと見込まれる場合は、個人住民税を課税する市区町村が定額減税しきれない差額を給付します。
なお、国民のみなさまに早期に給付をお届けする観点から、2023(令和5)年の課税状況に基づき、給付額が算定されます。2024(令和6)年分の所得税額が確定した後、2023(令和5)年と比較して所得に変動があるなどの一定の事情によって、当初の給付額に不足があることが判明した場合は、追加で給付されます。

給付金の申請及び給付の方法
市区町村によっては、給付についてこの他に独自の要件を設けている場合があります。通常の場合、市区町村の準備が出来次第、給付対象者((1)~(4)については世帯主、(6)については納税者)に対してご案内がありますので、内容をご確認いただき、ご返送いただくかオンライン申請に対応している市区町村においてはオンラインでご提出いただくことで、支給が行われます。
給付金の支給に当たって住民の皆様に行っていただく手続や具体的な給付方法は、市区町村ごとに異なりますのでお住まいの市区町村から送付される申請書・確認書等の内容をご確認ください。給付ごとに各市区町村が定める申請期限がありますのでご注意ください。

=========抜粋終わり

定額減税額がその人の年間税額を超えるケースがあります。そのような場合はその超える部分が給付金として支給されます。支給するのは住所地の市町村です。この手続が始まる頃、役所は長蛇の列ができるでしょう。

給付が終了するのはいつになるでしょうかね・・・

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住民税の定額減税

2024-05-11 22:30:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
わが国の課税主体は国と地方団体で、個人の所得(給与や事業の儲けなど)に対する課税は国と地方団体の両方が行います。国は「所得税」として税務署が、地方団体は「住民税」として市町村が課税と徴収を行います。

◆定額減税も国税(所得税)と地方税(住民税)の両方で行われる

今回行われる定額減税、国税(所得税)だけでなく地方税(住民税)でも行われます。定額減税は1人当り4万円ですが、その内訳は国税(所得税)3万円、地方税(住民税)1万円です。

◆住民税の計算は所得税を基に行われる(所得税の計算結果は市町村に報告される)

給与についての年末調整、個人事業者や家主が行う確定申告、これらは所得税(国税)を計算するための手続です。住民税(地方税)は、所得税の計算手続である年末調整や確定申告の結果に基づいて計算されます。年末調整の結果は給与を支払う勤務先が、確定申告の結果は税務署が住民税を課税する市町村に報告をします。

◆住民税の定額減税額は市町村が計算してくれる(定額減税額は通知書で確認できる)

今回の定額減税についても勤務先や税務署からの所得税に関する報告に基づいて市町村が計算をします(所得税の報告には定額減税の計算に必要な「家族情報」も含まれています)。所得税の定額減税のように勤務先、個人事業者や家主が計算する必要はないということです。毎年6月上旬に、市町村は勤務先、個人事業者や家主にその年の住民税額を通知します。今年はその通知書に定額減税の額を記載して税額を計算することになります。

◆住民税の定額減税方法

住民税特別徴収(給与)の定額減税は所得税と比べてスマートです。しかし、減税されたという実感はわきません。住民税の年間税額から定額減税額を差し引き、それを「7月以降」翌年5月までの「11か月間」にわたり分割して徴収します。例年は「6月以降」翌年5月までの「12か月間」ですので、今年は6月分が徴収不要です。しかし、誤って6月から徴収してしまうケースも続出することでしょう。

個人事業者や家主は住民税を年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付しなければなりませんが、定額減税の総額を1回目から引いてきます。1回目で引ききれない場合は2回目以降で引かれます。

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定額減税の必要書類(給与の場合)

2024-04-28 12:31:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
給与に関して定額減税を行う場合の必要書類は下記のとおりです。一見難しそうですが、「同一生計配偶者と扶養親族を把握する」「どの月の給与から定額減税をしたかを記録する」というのがその目的ですので、そう考えれば恐れる必要はありません。

源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書

難しい表題に戸惑うかもしれませんが「同一生計配偶者と扶養親族を把握する」ための書類です。これに必要事項を記入するのは定額減税を受ける従業員自身です。

「同一生計配偶者と扶養親族」に関して注意しなければならないのは、毎月の給与からの源泉徴収における「人数」と異なるケースがあるということです。例えば、定額減税においては16歳未満の扶養親族も人数に含まれます。

年末調整に係る定額減税のための申告書

定額減税は6月から行われますが最終的な精算は年末調整で行いますので年末調整の際に改めて申告が必要となります。この申告書の様式は未確定で10月頃に国税庁のサイトで公表されるそうです。今は、年末調整のことまで考える必要はありません。まずは6月の給与からの定額減税ができればいいのです。

各人別控除事績簿

「どの月の給与から定額減税をしたかを記録する」ための帳票です。各月の減税額の合計額がその人の減税額合計に達しているかの記録です。なお、国税庁が公表しているこの様式を使用する必要はなく、自身にとってわかりやすい様式を作成してもかまいません。形式ではなく定額減税を過不足なく行うことが大切だということです。

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★やはり難しいです!

定額減税、やはり難しいです。給与計算ソフトを導入している企業であれば簡単に(自動的に)できますが、そうでない企業(多くは中小零細企業)はできないと思います。

6月の給与明細を見て、「今月は手取りが増えた!」といえる人がどれだけになるのでしょうか。定額減税そのものをしていない企業も続出することでしょう。

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