【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

金融検査マニュアルの廃止と事業性評価

2019-10-10 16:00:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
今、金融検査マニュアルの廃止に事業性評価融資の推進という大きな動きが金融界に起こっています。

金融検査マニュアルとは、金融庁がバブル崩壊後の不良債権処理を進めるべく作成した、金融機関の検査をする際のマニュアルです。いわゆる債務者区分(正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)を定めています。各金融機関は貸出先の債務者区分の悪化を恐れて、金融検査マニュアルを意識して融資に対する慎重な姿勢を長期間貫いてきました。この金融機関を震撼させた金融検査マニュアルが廃止されようとしています。

事業性評価融資とは、従来のような決算書や保証・担保だけでなく、事業内容や成長可能性なども評価して融資するかの可否を判断する融資のことです。「決算書の数字の形式的な分析しかしない」「保証や担保を要求しすぎ」という批判が金融機関に対してされていますが、これを見直すものであるといえます。

◆変化は少しずつ(しかし確実に!)

金融検査マニュアル廃止後、金融庁の金融機関に関する検査がどのようになるかはいまだ明らかではありません。事業性融資についても普及はしていません。しかし、変化は少しずつではありますが確実に起こることでしょう。

今まで金融機関にあんなことは「いわれなかった」「聞かれなかった」ということが、今後は確実に増えてきます。

◆金融機関に対する情報公開の拡大(金融機関は債権者を超えた存在に)

事業性評価による融資は、従来のような「決算書を提出して」、金融機関が用意した「書類に署名押印して」、「代表者が保証人になって」、場合によっては「担保を提供して」という単純なパターンでなくなります。

事業性評価を進めるには、企業の金融機関に対する情報公開の範囲を拡大しなければなりません。企業のあらゆる要素を「見える化」して説明しなければ事業性評価は行えません。事業性評価において金融機関は、債権者という存在を超えた「経営のパートナー」となるわけですから、企業は積極的に情報公開をして金融機関を「招き入れる(味方にする)」という姿勢でなければなりません。

◆金融機関による中小零細企業に対する資金供給が拡大される(チャンス到来!)

企業の資金調達の手段は株主による出資(自己資本)と金融機関からの融資(他人資本)の二つがありますが、中小零細企業においては事実上後者に限定されています。さらに、後者の金融機関からの融資も画一的な審査基準によるものしか存在しません。

今後、事業性評価が普及すれば、中小零細企業が金融機関から調達できる資金が拡大されます。金融検査マニュアルの廃止に事業性評価融資の推進という金融の潮流は、間違いなく中小零細企業にはチャンスです。そのためには、この流れを理解して流れに乗らなければならないのです。

◆地域経済の再建

今さらいうまでもありませんが、結局はこれに尽きます。地域の金融機関も企業も、「リスク」を恐れずに本気で取り組まなければ、もう生き残れません。これが最後のチャンスです。

「そこまで公開するのは・・・」

公開しても恥ずかしくない経営状態にする

金融機関からの評価が上がる

金融機関から調達した資金で事業を発展させる

さらに経営状態を向上させるためのモチベーションが高まる

この「好循環」を作り出すのです。それは、注目されている「スポーツのチームはますます強くなる」「女優はどんどん綺麗になる」のと同じです。「見られている」緊張感、「注目されている」幸福感が成長の原動力になるのです。

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浜野 慶一
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銀行員の数が減っている(企業はどうすべきか?)

2019-09-05 10:00:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
銀行員の数が減少していることがネットや新聞・雑誌で頻繁に取り上げられ、世間一般にもすっかり知れ渡るようになってきました。

「〇〇さんの息子さんが、△△銀行を辞めたそうだ」

ひと昔前(ふた昔前でしょうか?)であれば、「もったいない!」「銀行なら給料も高いし潰れる心配もないのに」という声が聞かれました。

「低金利だし」「投信の販売も頭打ち」「振込みはネット」「引出しはコンビニ」「支払いは電子マネーかQR」「AIの普及で大部分の業務は機械化される」、惜しむ声がほとんど聞かれません。

★銀行はもっと変わるべき

ほとんどの企業は10~20年前と様変わりしています。取り扱っている商品やサービス、そして人も「総入替え」になった企業がほとんどであるとっても過言ではありません。これができなかった企業は消えています。

銀行は全然変わっていません。「貸してください!」を待ち、「甘い汁」を見つけると近づき、そして「危なくなったら逃げる」というスタンスは昔ながらです。投資信託や保険の販売は片手間のようにしか思えません。しかし、持ち前の要領の良さと政治力で手中に収めた消費者ローンとクレジットカードの収益性は高いようです。

「お金を使わせる」のが銀行の役目です。銀行は、「お金を借りて、それを使えば幸せになれる」ことをもっとアピールしなければなりません。自社商品のすばらしさをアピールするのはどの企業でもしていることです。

銀行は変わらなければなりません!銀行は本来の仕事をしていません。本来の仕事をしているのであれば銀行員が減ることはありません。

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それはともあれ、企業もこの現象には対応していかなければなりません。

〇店舗数の減少
取引している支店が閉鎖されて遠方の店舗に統合される可能性があります。そうなれば、ネット取引が必須となります。ネットが使いない会社は預金での取引さえできなくなります。

〇行員とのコンタクトが減少
行員とのコンタクトが減少すれば、入ってくる情報量も減少します。今後は、銀行側のお膳立てはもうないのですから、自ら広く金融関連の情報を入手しなければなりません。そうしておかないと、気がつけば「口座が解約」されていたということもありえます。それは、いつの間にかお気に入りのネットサービスが終了していたというのと同じです。

〇AIによる融資審査
今まで以上に審査はクールになります。「大変申し訳ありませんが・・・」の電話さえなくなり、パソコンの画面に審査結果が表示され、それで「おしまい」です。「どうして貸してくれないんだ!」と、文句をいう術さえありません。

銀行を哀れむ、その凋落ぶりを嘲り笑うといった余裕などありません。企業はもっと大変です。

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経理担当者が辞めた(働き方改革)

2019-07-29 10:30:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
社員が退職すると体制が変わり混乱が起きます。この混乱が頻繁に起きると社員は疲弊し、やがてそれが会社に多大な損害を与えてしまいます。

経理担当者が辞めていく原因としては次が考えられます。

◆仕事がきつい(給料も安い)

これは他の職種でも同じです。誰しも身体的、精神的な限界を超えた仕事はできません。また、給料が安ければ頑張る気がしません。

◆経営者の経理業務に対する理解がない

「経理なんてパソコンがあれば簡単にできる」「収益を生まない」「適当にしておいてくれ」などの発言を平気でする経営者がいます。これでは経理担当者のモチベーションが高まるはずがありません。また、経営者の無理解からくる経理関係資料(領収書や預金通帳など)の不足は経理担当者を想像以上に苦しめ、退職する決定的な要因となります。

◆脱税や粉飾決算を経理担当者に強いる

脱税や粉飾決算ができることを経理担当者の能力として求める経営者がいます。「何かいい方法はないか?」「そんなこともできないのか!」「ごまかせ!」「証拠を残すな!」「俺の言うとおりにしろ!」といって、とんでもない処理を強要することがあります。

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「働き方改革」ということがいわれますが、中小零細企業の場合には働き方を改革するための「値上げ」や「昇給」などそう簡単にはできません。今時、締め付けや威圧による合理化と効率化など許されません。業務を客観的に見直した結果としての合理化と効率化をしなければなりません。

★まずは経理業務の内容を分析する

社員は正当な内容と分量の業務を与えられてはじめてその能力を発揮します。経理業務の内容を「請求」「支払い」「給与計算」「現金・預金の管理」「試算表・決算書の作成」「税務申告と納税」といった具合に分析し、それぞれの業務に要する「時間」と「人員数」を明確にしなければなりません。

★経理業務は治外法権(?)

経理業務は会社法や税法など法律の影響を強く受けますので、業務によっては「経営者の独創性」が一切入り込む余地がない部分もあります。その最たるものが決算と税務申告で、法律で定められた方法しか認められず法律の規定に従うしかありません。

★外部専門業者(公認会計士や税理士)の情報提供と調整役機能も必要

経理関連ソフト(財務会計、販売管理、給与計算)が普及している昨今は、外部専門業者(公認会計士や税理士)に依頼せず自社ですべての経理業務を行っている会社もあります。そのような会社の中には、経営者の独断と経理担当者のスキル不足から法令違反を起こして重いペナルティを受けていることがあります。経理業務に関しては、外部専門業者の情報(ノウハウ)提供、調整役としての機能(経営者と経理担当者の橋渡し)が必要です。

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AIで税金の計算をしていいのですか?

2019-06-30 09:41:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
AIの普及が進む中、AIに代替される仕事の筆頭に挙げられるのが税金の計算です。AIによる税務計算が一般化すれば、税務計算において何よりも求められる「公平性」、つまり「同一条件の納税者の税額は等しくなる」ということが実現します。しかし、反面において税金の計算過程や計算結果に不満を抱く納税者も現れます。

◆領収書の「足し算」だけでは済まない

税務申告といえば膨大な領収書を「一枚残らず」黙々と足し算する作業を連想する人が多いです。AIがこの作業を行うとなれば、余分な領収書は「除外」されてしまいます。

「飲食代」は事業の税務計算においてはグレーゾーンの典型です。AIにこれを経費として認めさせるには、膨大な質問に答え経費としての条件をクリアーしなければなりません。「日付が1月1日、5月5日」「飲食店の所在地が自宅近く」「人数が家族数に一致」「お子様ランチ」などはそう簡単には通過しません。

一般になじみのある「医療費」の領収書も、医療機関が発行する領収書はまだしも、市販薬の分についてはそう簡単には通過しません。

◆国税庁が認定するAIとは(不正なAIの摘発)

国税庁はすべてのAIを信頼するわけではなく、税法や通達に忠実な処理をするものだけを認定します。不正なAIはことごとく「摘発」され、これを利用して申告している納税者は税務調査の対象とされます。

◆国税庁もAIを保有する(一般にも開放する)

当然、国税庁もAIを保有し、それを税務署員の判断指針とします。さらに、これを一般に開放して税務計算に活用できるようにもするでしょう。AIの開発には膨大なコストが必要ですので、民間の開発業者は国税庁のAIと連動したAIを開発するほうが効率的です。開発業者は「国税庁AI連動」の会計ソフトや税務申告書作成ソフトを販売します。

◆従来どおりの税務申告も認められる

AIによる税務計算が実用化したとしても、従来どおりの税務申告も引き続き認められます。「AIが税務署員の判断指針となる」「国税庁のAIに従って申告納税をする納税者がいる」、それはそれでよいのです。しかし、わが国は「申告納税制」ですのでAIによる申告を強制はできません。AIが納税者の判断を一切奪ってしまうことは許されないのです。

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AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社


平成30年からの配偶者控除に関しての「公的説明」はこちら!

2017-06-27 18:45:00 | 会計、税金、経営、その他の話題
平成29年分所得税の改正のあらまし【PDF】国税庁作成

配偶者控除、間違いなく税理士がよく質問されることの「第1位」だと思います。その他、相続税の基礎控除(相続税が課税されない遺産の上限額)、経費率(会社や個人事業者に対して「無条件に」認められる売上に対する経費の割合?そんなものはありません!)も上位に入ると思います。

配偶者控除の金額について平成30年から大改正が行われます。平成30年からですので、給与所得者(サラリーマン)の場合は平成30年以降に受け取る給与から、事業所得者は平成31年に提出する確定申告書から影響が出ます。

とにかく説明が大変です。従来のような、「103万円」「38万円」という数値だけで説明することができません。口頭での説明は不可能です。

まずは、本人の合計所得金額が1000万円を超える場合は配偶者控除の適用はできないこととされました。さらに、900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1000万円以下というテーブルによって配偶者控除の額が変わります。900万円以下は従来どおりですが、配偶者特別控除は大きく変わります。

「配偶者『特別』控除」、この計算が大変です。本人の合計所得金額を900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1000万円以下というテーブルに分け、さらにその中で配偶者の所得に応じて配偶者特別控除の額が変わります。配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は38万円超123万円以下です(改正前の38万円超76万円未満から大幅に増えました)。これにより、本人の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の給与収入が150万円以下であれば38万円の配偶者特別控除が受けられるようになりました(103万円を超えれば配偶者控除は受けられません)。つまり、「38万円の控除」を受けられるということに関して、「103万円の壁」が「150万円の壁」になったということです。

それと・・・、控除の対象となる配偶者本人の課税は今までと同じです。103万円を超えれば配偶者本人は課税されます。

これでいいのかな?

とにかく、革命的な改正です。

そうでした。地方税(住民税)も変わるのでしたね。

財務省サイト
平成29年度税制改正の大綱(1/8
国税と地方税が一緒に説明されています。

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平成29年度 よくわかる税制改正と実務の徹底対策
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