【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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保険積立金(保険会社の指示どおりの経理処理が必要)

2017-10-14 16:00:00 | 勘定科目と仕訳
◆保険積立金の金額は不可解なもの

会社で保険契約(生命保険および損害保険、以下同じ)をしていると保険積立金という勘定科目が資産として計上されることがあります。支払った保険料はこの勘定科目と保険料という費用勘定に分かれます(どちらか一方の場合もあります)。積立金とありますが、銀行でする積立預金のように積み立てた金額がそのまま引き出せるというものではありません。

保険積立金は保険料のうち貯蓄に相当する部分であるといわれますが、その計算は「保険料の1/2」など、非常に曖昧です。保険契約を解約する際の返戻金の額は解約する時期によって違い、その額が保険積立金の額と著しく異なることもめずらしくはありません。さらに、保険積立金の計上が不要な、保険料の全額が費用となる保険契約でも解約返戻金がもらえる場合もあります。

◆保険料の仕訳は保険会社の指示に従う

保険料の仕訳については「真面目に」「理屈で」考えても答えは出ません。保険会社の指示に従って保険積立金(資産)と保険料(費用)に区分けをします。保険契約をすると契約の詳細を説明した書面を手渡されますが、その中に必ず「保険料の経理処理方法」などと題したページがあり、保険料についての仕訳が示されています。そのとおりに処理することです。この処理方法については保険会社が国税庁に十分な確認(あるいは税法や通達の十分な確認)をしていますので、税務調査でも大丈夫です。また、保険の販売員も契約に際しては入念に説明してくれます。

決算時には保険積立金の残高をチェックしておく必要があります。月ごとの保険料のうち保険積立金となる金額にこれまでの支払回数を乗じた額が保険積立金の残高でなければなりません。複数の保険契約をしている場合には、契約ごとに補助科目を設定しておけば確認がしやすくなります。

保険契約を解約する、保険契約が満期になった際は、その保険契約分の保険積立金を全額取り崩さなければなりません。これと受け取る保険金の差額を損益として計上するのです。

◆保険会社は実際の経理処理のチェックはしてくれない

保険会社が示してくれる保険契約の経理処理は「国税庁のお墨付き」といっても過言ではありません。ですが、誤ってこれと異なる処理をしてしまうと税務調査でアウトになる、あるいは、せっかくの保険を活用しての節税ができないということになります。

保険会社は、契約者が実際にした経理処理が正しいかのチェックはしてくれません。当たり前です。この点には十分注意しなければなりません。

★契約者貸付
保険契約をしていると解約返戻金の範囲内で資金の貸付を受けることができます。この場合の勘定科目は「借入金」です。保険契約を解約していませんので、保険積立金を取り崩す必要はありません。また、契約者貸付の利息は、通常の借入金の利息と同じように「支払利息」とします。

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