【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

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売上原価という勘定科目?

2017-09-26 17:00:00 | 勘定科目と仕訳
売上原価とは、商品販売の収益である売上に対する費用であり、「売上-売上原価」で計算される「売上総利益」は、俗に粗利(あらり)といわれ企業が存続するための源泉にほかなりません。

売上原価は次の勘定科目で構成される損益計算書の構成部分です。売上原価という勘定科目はありません。損益計算の最上部は売上高で、次が売上原価です。

◆期首商品棚卸高(費用)
これは損益計算書勘定科目です。「商品」という単語が含まれていることから資産の勘定科目に思えるかもしれませんが、損益計算書における費用の勘定科目です。期首とは年度初めです。当期の期首は前期の期末です。前期に仕入れたけれども前期中に販売されなかったので、前期においては費用として処理できず持ち越した部分です。この部分を期首商品棚卸高という勘定科目によって当期の費用として処理するのです。

◆当期商品仕入高(費用)
仕入という費用勘定の年間合計額を決算書においては当期商品仕入高として表示します。仕入は商品が入荷された都度計上します。その商品が販売されたかは問いません。当期商品仕入高は損益計算書の当期売上高とは対応しないのです。この差額は売上総利益ではありません。

◆期末商品棚卸高(費用のマイナス)
これは仕入という「費用を減額する」勘定科目です。上記のとおり当期商品仕入高の中には年度末時点で販売されていない部分も含まれています。この部分をこの勘定科目で減額するとともに翌事業年度に持ち越すのです。

売上原価は損益計算書では次のように表示されます。

期首商品棚卸高・・・100
当期商品仕入高・・・800
合計・・・・・・・・900
期末商品棚卸高・・△150
売上原価・・・・・・750

ただし、決算書によっては、このような売上原価の計算プロセスの記載は省略して売上原価の金額750のみを記載していることもあります。

●期首商品が事業年度末になっても販売されていない
このようなこともあります。この場合も期首商品棚卸高で処理してから期末商品棚卸高とします。

●期末商品の実地棚卸
期末商品棚卸高は各商品の「数量×仕入単価」を全商品で合計したものです。これは商品台帳という帳簿で商品ごとに算出しますが、商品台帳に誤りがある、商品台帳がない場合もありますので、数量に関しては店頭や倉庫の商品を実際に数えなければなりません。この作業を実地棚卸(じっちたなおろし)といいます。実地棚卸は、事業年度末の営業時間終了後、「これ以上商品は増減しない(仕入も売上もない)」という状態になってから行います。

●製造業の売上原価
製造業の場合は「期首製品棚卸高+当期製品製造原価-期末商品棚卸高」なります。当期製品製造原価は製造原価報告書において内訳(材料費、労務費その他)を記載します。

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