【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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売上代金を値引かれた

2017-05-05 13:30:00 | 勘定科目と仕訳
売上は発生主義で計上しなければなりません。売上は入金に先行して、物品販売ならば出荷の時点で、サービス業ならばサービスが終了した時点で計上しなければなりません。これが「鉄則!」ですが、この鉄則があるがために売上計上したとおりの金額が入金されない場合の処理をどうするかという問題が生じます。

そのひとつが値引きです。

■見積(定価)どおりに販売できなかった(価格交渉段階での値引き)

この場合の値引きは仕訳には表れません。仕訳は相手先との間で成立した販売価格で行いますので、成立した価格が見積価格や定価に対してどのような水準であれその差額は仕訳には反映しないのです。なお、見積書や店頭(サイト)の表示において値引き(値下げ)としている場合も、その価格で取引が成立しているのですから仕訳は不要です

■請求どおりの支払いがなかった

売上計上の段階で販売価格は成立していますので売上計上はその販売価格で行います。この成立した販売価格が変更されることはありませんが、ごくまれに変更(通常は減額)されることがあります。「一部分の品違い」「納期遅れ」「接客不良」などを原因としてやむを得ず値引きが行われる場合があります。仕訳は値引きが確定した時点で次のとおり行います。

≪借方≫売上(あるいは売上値引き)≪貸方≫売掛金

売上値引きの額は請求書において明記しておく必要があります。通常は値引かれた翌月の請求書において明記し、その月に値引きの仕訳もします。

■請求額の訂正(請求ミス)があった

これはミスですのであってはいけないことです。そして、誤って発行した請求書の処理は慎重に行わなければなりません。すでに仕訳をしている場合には、誤った仕訳を「逆仕訳」で取り消し、正しい仕訳をします。

≪借方≫売上≪貸方≫売掛金→誤った金額の取消し
≪借方≫売掛金≪貸方≫売上→正しい金額での売上計上

誤った金額の請求書をすでに得意先に手渡している場合には廃棄か返却を求めます。こちらで保管している「控」は訂正理由を記録の上保管しておきます。

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★販売価格が正式に決まる前の請求
特定の業種や企業によっては請求額から必ずといってよいほど減額して支払われることがあります。このようは方法を「査定」などと呼ぶことがあります。請求は「希望販売価格」にすぎないのです。このようなケースでは、先方が「支払通知書」などと称する書面で最終的な支払額を明示してきます。請求額との差額は、その書面が発行された月に値引きとして処理することになります。

★支払の保留
これは、請求額そのものは認めつつも資金繰りの都合で支払いを繰り延べているだけです。ですから値引きではありません。

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小松 啓