【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

売上原価の仕訳

2017-09-08 17:00:00 | 勘定科目と仕訳
商品を販売した場合の仕訳は次のとおりです。

≪借方≫売掛金≪貸方≫売上

「ところで、この売上に対する仕入の仕訳はどうするのですか?」

よくある質問です。また、すばらしい質問でもあります。経理業務に真摯に取り組んでいる表れです。売上という収益を計上したならば、それに対応する費用である仕入(売上原価)を計上するのが会計の鉄則だからです。

売上に対する仕入の仕訳は不要です。というよりも、すでに仕訳はしているのです

商品を仕入れた際は次の仕訳をします。

≪借方≫仕入≪貸方≫買掛金

この仕訳は上記の販売した場合の仕訳に「先行して」行われることが普通です。仕入れて売るが商売の基本だからです。

売上原価は事業年度単位で把握します。商品を仕入れた都度、仕入勘定は積み上げられますが、その中で事業年度末に未販売になっているものは下記の仕訳で売上原価(費用)から除外します。

≪借方≫商品≪貸方≫期末商品棚卸高

貸方の期末商品棚卸高は損益計算書において仕入を減額させるための勘定科目です。商品という言葉が入っているのに損益計算書の勘定科目です。このようにして仕入を減額して翌事業年度に繰り越すのです。その繰り越す金額は貸借対照表の商品という資産勘定にプールしておきます。

さらに、前事業年度から繰り越されてきた商品がある場合には次の仕訳で売上原価に追加します。

≪借方≫期首商品棚卸高≪貸方≫商品

借方の期首商品棚卸高は損益計算書において仕入を増額させるための勘定科目です。前事業年度から繰り越されてきた仕入です。前事業年度の貸借対照表の商品という資産勘定にプールされている金額を費用にするのです。

以上のように、売上原価は「期首商品棚卸高+仕入(事業年度の累計額)-期末商品棚卸高」として計算されます。「売上-売上原価」で計算される売上総利益は俗に粗利(あらり)と呼ばれ、企業が存続発展するための源泉です。「目標の粗利を達成せよ!」、全国、世界中の企業が日々しのぎを削りあっているのです。

★以前勤務していた会社では毎日粗利が計算されていた!
このような経験をお持ちの人もいると思います。会社によっては毎日、売上に対応する売上原価を算出していることがあります。どちらかといえば大手の会社です。しかし、ここまでできるのは、事務要員がたくさんいて、コンピュータシステムも充実している会社に限られます。わが国の多くの企業は上記のように年間で売上原価を算出しているのが実情です。

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