【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

出金の伴わない費用?(節税の切り札!経営に打撃なし!)

2018-08-16 12:30:00 | 決算書・試算表
「出金の伴わない費用」というものが説明されていることがありますが、これには二つの種類があります。「過去に出金があった費用」と「将来に出金がある費用」です。

■過去に出金があった費用

出金の時点では費用とはならないことがあります。なぜそのような現象が起こるかというと、費用は消費(使用する、サービス提供を受ける)しなければ計上できないからです。出金が費用の計上に先行している場合には、費用計上をされた時点には出金がないので、一切の出金がなかったかのような錯覚を起こします。

○代金の前払い
費用に関する代金を前払いしても、消費をしていなければ費用とはなりません。家賃や保険料を前払いしても、使用やサービス期間の経過が済んでいなければ費用にはならないということです。

○未使用の物品
事務用品や包装資材などの物品を購入し代金を支払っていても、それらを使用しなければ費用計上はできません。

○設備(建物、機械、備品など)
数年間、場合によっては数十年間にわたって使用される設備は、購入し使用を開始した年度の費用となるのではなく、使用する期間(複数の年度)にわたってその購入代金を費用として配分します。この配分のための計算を減価償却といいます。

○資産の紛失や破損
物品や設備が紛失や破損することがあります。これは意図的な使用ではありませんが、すでに価値が失われたのですから費用として計上することができます。

■将来に出金がある費用

費用計上が出金に先行することもあります。

○未払金
すでに消費はしているけれども、約束の支払期日が到来していないので支払いを済ませていないものをいいます。

○未払費用
期間に応じて発生する、借入金の利息、水道料金、電気料金、ガス料金、給料などで、すでに一定の期間が経過しているけれども支払期日が到来していないので支払いを済ませていない部分をいいます。

○引当金
将来の特定の費用を計上することがあります。退職金や賞与の見込額の計上です。賞与はともかくとして、退職金の場合は出金が相当遠い将来になることもあります。

★節税の切り札!経営に打撃なし!
出金の伴わない費用のことを「節税対策の切り札」であるとか、「経営に打撃はない」と説明していることがあります。それは、費用計上される時点では出金がないという意味であって、まったく出金がないという意味ではありません。費用には必ずどこかで出金が伴い、出金額と費用は一致します。

★費用と出金額に違いがある場合は調整が必要となる
費用計上が出金に先行し、費用を出金よりも多く計上している場合には、その多い部分を出金時に費用のマイナスとして修正しなければなりません。出金が費用計上に先行し、出金が「過払い」となっていた場合には過払い相当額は支払先から返金されますので費用とはなりません。

★税務申告上は認められない費用もある
会計理論上は出金のない費用を計上することが合理的であっても、税務申告上はそれが認められないこともあります。この場合は節税対策にはならないということです。

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借入金と利益と資金繰り

2018-08-02 12:30:00 | 決算書・試算表
借入金と利益の関係には注意が必要です。

借入金の返済は利益とは無関係です。借入金の返済によって資金は流出しますが、この流出額は費用にはならないので利益計算(収益-費用)とは関係しません。借入金により資金を調達しても、その資金流入額は収益にはなりませんので利益には影響しません。

なぜ、このようになるかといえば借入金は「負債」だからです。借入金による資金調達は負債の増加、借入金の返済は負債の減少ですから、ともに利益計算(収益-費用)には関係ありません。借入金に関して利益計算に関係してくるのは利息の支払いだけです。利息は支払利息という費用の勘定科目で損益計算書に表示されます。

★借入金で調達した資金を何に使うのか?

借入金で資金調達した資金の使い道によって利益に与える影響は異なってきます。

○運転資金に充てた
仕入(在庫として残る分を除く)や給料その他諸経費の支払いに充てた場合には直ちに費用となって利益を減少させます。

○設備投資に充てた
設備投資に充てた場合には直ちには費用とはならず減価償却を通して複数の事業年度に費用となります。設備投資に土地が含まれている場合にはその部分は費用とはなりません。

○別の借入金の返済に充てた
いわゆる「借換え」です。負債が減って新たな負債が増えるのですから利益計算には影響しません。

○手元資金として温存しておく
現金(預金)のままですので費用とはなりません。

○株や金融商品で運用する
購入した時点では費用にはなりませんが、損失が生じたら費用となります。

★借入金と利益の関係を正確に把握することは経営上の最重要課題です!

借入金と利益の関係を正確に把握しけおかなければ、利益の見込みを誤り、納税額も見誤ってしまいます。そして、最終的には資金がショートしてしまうこともあります。

「こんなに借入金を返済しているのだから赤字になるはず」
「利益が出そうなので借入金を一括返済しよう(節税になる)!」

このような勘違いが非常に多いです。

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設備投資と利益と資金繰り(減価償却)

2018-07-31 10:30:00 | 決算書・試算表
設備投資が利益に与える影響、さらには利益と資金繰りの関係は非常に複雑です。

ここでの設備投資とは、「土地」「建物」「機械」「備品」「車両」「ソフトウェアー」など、数年、場合によっては数十年にわたって使用するものを購入することをいいます。

■減価償却(複数事業年度への費用配分)

設備投資と利益の関係を考えるにあたって避けて通れないのが「減価償却」という会計独特の考え方です。減価償却とは設備投資に要した資金を複数の事業年度の費用として配分する手続をいいます。例えば、1000万円の設備投資をしたとすれば、10事業年度に100万円ずつ費用として配分するといった具合です。この配分した金額は損益計算書の「減価償却費」という費用の勘定科目に計上されます。

なぜ、このような扱いになるかというと、設備は長期間(2事業年度以上)にわたって消費するからです。通信費、交通費、広告宣伝費、交際費などは、支払った年度で消費してしまいますので、支払った年度に支払った全額を費用として計上するのです。

■土地(費用とはならない)

設備投資として土地を購入しても費用とはなりません。土地は使用しても消耗しないからです。土地は値下がりしますが、値下がりによる損失は土地を売却するまで認識しません。

これも大変重要なことです。

■設備投資資金(投資した年度に一括して流出)

設備投資に要した資金と利益の関係には注意が必要です。設備投資に対する資金は最初に流出しますが、設備投資に関する費用は複数の事業年度に配分されます。設備投資初年度は、資金は多額に流出するのに、費用(減価償却費)は流出額の内のわずかしか計上されないという現象が起こります。

なお、設備投資の中に土地が含まれている場合には、支出はあったのに土地に関する費用は一切計上されないことになります。

■設備投資資金を借入金で調達した場合(借入金の返済と減価償却費は連動しない)

設備投資資金を借入金で調達した場合には、設備投資に対する支出は、利息を支払う都度、借入金を返済する都度あります。一方、費用は減価償却という利息の支払いや借入金の返済とは連動しない方法で計上されることになります。

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仕入と利益と資金繰り(買掛金さらには在庫に関連)

2018-07-25 18:00:00 | 決算書・試算表
〇仕入は納品の時点で計上する(代金は後払いでもよい)
〇仕入代金を支払っただけでは仕入にならない(納品されていなければならない)
〇販売しなければ費用にはならない(仕入れただけでは費用にはならない)

仕入に関しては、このことがわかっていなければ経営はできないといっても過言ではありません。

■一事業年度の仕入合計(納品された分の合計)

仕入の計上は代金を支払った時点ではなく納品された時点で行います。この際に仕入の相手勘定科目として計上されるのが買掛金です。一事業年度で計上される仕入と支払った仕入代金の合計額は以下のような以下のような関係になります。

当期仕入高=当期中の仕入代金の支払い合計額(A)+期末買掛金(B)-期首買掛金(C)

当期中に支払った仕入代金合計額(B)のほか当期中に仕入れたけれども(納品はあったけれども)代金を支払っていない分(B)も仕入に含まれます。ただし、前期に仕入れたけれども支払いは当期にした分(C)は除かれます。

■前渡金(代金を支払っただけでは仕入にはならない)

仕入に計上するには納品されていなければなりません。納品されていれば代金を支払っていなくても買掛金として仕入に計上することができます。代金を支払っていても納品されていなければ仕入には計上できません。それは前渡金という資産に属する(費用にはならない)勘定科目で処理します。

■仕入と売上原価の違い(売れた分だけしか費用にならない)

仕入のすべてが費用になるわけでありません。仕入の内、販売した分だけしか費用になりません。この分を売上原価といいます。年度末に販売していない分は在庫となります。

当期仕入-期末在庫=売上原価

期首に在庫がある場合は次のようになります。

当期仕入-期末在庫+期首在庫

「利益が出そうなので例年よりも多めに仕入れる(販売は翌事業年度)」は節税対策にはならないということです。

■在庫は資金繰りを圧迫する

在庫は未販売であることから、投資額(仕入代金)に見合う資金が回収できていないということになります。在庫が増え続けると資金繰りを圧迫するのです。

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売掛金と利益と資金繰り

2018-07-23 12:30:00 | 決算書・試算表
「黒字倒産」「勘定合って銭足らず」など、決算における利益計算のトリック(?)やパラドックス(?)の例として必ず挙げられるのが売掛金です。

売掛金を計上しなければならない理由や計上する時期と金額についてはともかくとして、売掛金に関しては、下記の算式を前提に、経営者は様々な意思決定をし、行動をしなければなりません。

■当期売上高=当期中の売上代金の入金(A)+期末売掛金(B)-期首売掛金(C)

当期中に入金のあった売上代金(A)のほか、販売はしたけれども(納品やサービス提供は済んでいるけれども)当期中に入金していない分(B)も売上に含めなければなりません。ただし、これから期首売掛金つまり前期に売上計上した分(C)は差し引くことができます。

業績が安定しており(得意先や販売商品の種類、数量、価格に変動がない)、さらに期首と期末の売掛金にほとんど変動もなければ売掛金を計上することのインパクトはほとんどありません。しかし、販売が増え続けている場合、代金の回収期間が長期化している場合には売掛金を計上することのインパクトは大きいです。

■当期中の売上代金の入金=当期売上高(D)-期末売掛金(B)+期首売掛金(C)

販売に関して当期中に得られる資金は上記のとおりです。販売した分(D)の内売掛金相当(B)は入金がありません。期首売掛金つまり前期に販売した分(C)は当期に入金されます(期末売掛金として残る場合もあります)。

経営上大切なことは、このようにして得られる資金の範囲内で、仕入代金や社員の給料、その他の諸経費を賄わなければならないということです。もし、資金が不足しそうな場合には借入も検討しなければなりません。余裕資金(過去の蓄積)がある場合には取り崩しが必要です。

「取引条件」を有利にすることも大切です。回収期間を早くすることです。「そんなことできない・・・」と思うかもしれませんが、「ある時払い」といった馴れ合いはやめる、「ルーズな相手先」には厳格な態度で接するなどすれば思いのほか効果は表れます。

「黒字倒産」「勘定合って銭足らず」とかいって嘆いている経営者の中には、このようなビジネスの基本を守れていない人も数多くいます。

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