【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

借入金を一括して返済すべきか? (借入金のメリットとデメリット)

2018-09-11 12:30:00 | 決算書・試算表
「借入金を一括して返済すべきか?」
「借入金があることのメリットとデメリットは?」

借入金を返済するための資金があり、その資金がなくなっても資金繰りに困ることがないのであれば借入金を一括して返済しても問題はありません。借入金が1億円、預貯金が2億円という状態で借入金を一括返済すれば預貯金は1億円に減ります。しかし、この1億円で以後の経営が成り立つのであれば返済しても何の問題もありません。かといって、「返済しなければならない」というわけでもありません。

★借入金のメリットとデメリット

借入金のメリットは、手持ちの資金がなくても経営ができるということです。借入金のデメリットは返済しなければならないということです。手持ちの資金がないけれども、目の前に利益を獲得できるチャンスがあり、借入金を返済するめどが立っているのであれば、借入金をしてもかまいません。

★借入金と税金の関係について

借入金は負債ですので、借入金そのものの増減と残高は利益に影響しません。利益に影響するのは利息です。利息を支払えばそれは費用となりますので、利益が減り結果としての法人税が減ります。しかし、利息を支払うことにより「減る法人税」よりも、「支払う利息の額」のほうが多いですので、借入金がゼロで利息を支払わないほうが流出する資金は少なくて済みます。

なお、利息は消費税とは関係ありませんので、利息を支払ったからといっても会社として納税する消費税に影響はしません。(借入金そのものも消費税とは無関係です。)

★借入金と財務内容(返済能力)

「あまりにも借入金が多いと・・・」ということがいわれます。返済が苦しくなると追加融資や返済条件の見直しが行われ、形式上は返済ができている状態が保たれているかもしれません。しかし、それにも限度があり、いずれ資金が回らなくなれば会社は破綻します。

必ず返済できる借入金の金額というのはありませんが、借入金が多いほど返済できなくなるリスクは高まります。

★金融機関との関係

金融機関にすれば優良貸出先との関係は継続したいのは当然です。また、新規の貸出先よりも継続しての貸出先のほうが審査手続も簡略であることが通常です。そんなことから、資金の必要がなくても一定額を借り続けているということもあります。

★近い将来に廃業する場合

近い将来に廃業する場合には、廃業の直前に一括返済するのではなく、廃業の2・3年前に一括して返済してもかまいません。廃業時の事務手続は少なくて済むからです。

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損益計算書の不思議?

2018-08-29 17:00:00 | 決算書・試算表
★総額と純額

損益計算書においては収益と費用は「総額」で表示することがルールとなっています。どういうことかというと、収益と費用を相殺した結果としての「利益だけ」を表示するのではなく、収益と費用を対比させて、その差引きとして利益を計算するということです。売上高と売上原価を対比させて売上総利益を計算する。そこから販売費及び一般管理費を差し引いて営業利益を計算するといった具合です。

ところが損益計算書では、この総額での表示というルールに基づいていない部分もあります。収益と費用を相殺して、「収益>費用」であれば「・・・益」などの勘定科目で、「収益<費用」であれば「・・・損」などの勘定科目で表示していることがあります。このような方法を総額に対して「純額」といいます。

★純額による表示の例

○有価証券の売却
譲渡収入から簿価(取得価額)を差し引いた額を有価証券売却益あるいは有価証券売却損として表示します。譲渡収入を有価証券売却収益などの収益としての勘定科目、簿価を有価証券売却原価などの費用としての勘定科目として総額で計上することはありません。

○有形固定資産の売却
譲渡収入から簿価(取得価額-減価償却累計額)を差し引いた額を、売却したのが建物であれば建物売却益あるいは建物売却損として表示します。譲渡収入を建物売却収益などの収益としての勘定科目、簿価を建物売却原価などの費用としての勘定科目として総額で計上することはありません。

★純額で表示されていることが数多くある

収益と費用は総額で表示することが原則ですが、それは損益計算書の大部分を占める「売上」「売上原価」「販売費及び一般管理費」においての原則であり、それ以下の営業外収益と営業外費用、特別利益と特別損失の計算においては収益と費用が純額で表示されているケースが数多くあります。

「株を売った収入は?」「不動産(土地と建物)を売った収入は?」、このような疑問を抱く損益計算書の読者が非常に多いです。

★特別利益の中に収益が?

特別利益は経常利益の次に表示されますが、これに属する多くの勘定科目が純額で計算されています。土地や建物の売却益がその典型です。その意味で、特別利益の各項目は「収益-費用=利益」ですので特別利益という名称に納得できます。

ところが特別利益の中には収益と呼べる項目が計上されることもあります。補助金、保険金、損害賠償金の受取りがそれです(これらが比較的少額で経常的に生じる場合には営業外収益に計上することもある)。

★特別損失の中に費用が?

特別利益の次に特別損失が表示されますが、これも純額で計算されている勘定科目が多いです。しかし、特別退職金(リストラにより多額に生じる退職金)や損害賠償金の支払いなど、費用と呼べる勘定科目もあります。

★雑収入なのに収益(慣れるしかありません)

営業外収益の中に雑収入という勘定科目があります。これは、本業以外の収益で、既存の勘定科目(受取利息、受取配当金など)もなく、新たな勘定科目を新設するほど重要性がないものをいいます。「収入」という名称ですが収益です。収益ですので入金がない部分も計上しなければなりません。

勘定科目の名称については、理論や原則では理解できないものがいくつもあります。これらについては「言葉」ですので慣れるしかないのです。理屈で考えてもどうにもなりません。

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利益と資金繰りは別々に計算する

2018-08-27 17:00:00 | 決算書・試算表
利益は「収益-費用」として計算しますが、収益と費用は入出金とはタイミングがずれることから利益の計算を資金繰りに用いることはできません。また、利益計算と資金繰りでは構成要素が異なります。その典型は減価償却と借入金です。減価償却は利益計算には含まれますが、資金繰りからは除かれます。借入金は資金繰りには含まれますが利益計算からは除かれます。利益の計算をしてもそれを資金繰りには利用できませんので、資金繰りは利益とは別に計算しなければなりません。

資金繰りの計算方法は、その結果を何に活用するかによって異なってきます。

■翌月の資金繰り(支払いはできるのか?)

これが一般的、というよりも一番切実な資金繰りだと思います。「翌月の支払いはできるのか?」「蓄えを取り崩す必要があるのか?」「借入れをする必要は?」「支払いを待ってもらわなければ・・・」といった具合です。

■中期的な資金繰り

翌事業年度など、比較的中期の資金繰りです。「毎月平均してどの程度の入金と出金があるか?」「月ごとで入出金にばらつきはないか?」「臨時の入出金は?」といった具合の見通しを立てます。

■先の状況が変化する場合の資金繰り

「事業を拡大する」「多額の設備投資をする」「人員を大幅に増やす」「取扱商品や取引先が激変する」「売上が激減する」など、先の状況が変化する場合には資金繰りの見通しを立てておかなければなりません。

■過去の資金繰りを分析する

過去の資金繰りを分析することも大切です。

「販売による収入-仕入代金の支払い-諸経費の支払い-借入金の返済」

当然、これがプラスでなければなりません。これがマイナスで「蓄えの取り崩し」や「借入」で補っているようでは、いずれは資金が枯渇します。

★試算表と決算書は資金繰りの参考になる

試算表と決算書は過去の利益を計算したものですが、資金繰りを計算するにあたっての参考になります。売上総利益率(売上と仕入の関係)、諸経費の内訳(販売費及び一般管理費)は資金繰りを見通すにあたって大変参考になります。試算表も決算書も「網羅性」がありますので、資金繰りにおいて何よりも大切な「漏れの無い」見通しをするのに大変重宝します。

納税見込み額は資金繰りにおいても大変重要な計算要素です。納税見込み額を算出するには過去の試算表と決算書から将来の利益を見通さなければなりません。

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資産に関する各勘定科目の金額(そのままの金額では換金できない)

2018-08-22 12:30:00 | 決算書・試算表
貸借対照表に計上された資産に関する各勘定科目の金額にはそれぞれの意味があります。資産の典型は現金(預金)ですが、それ以外の資産はそのままの金額で換金できないことがほとんどです。

○現金(預金)
現金(預金)の金額は貨幣価値そのもので、その金額の仕入代金、給料、家賃などを支払うことができます。現金(預金)の金額は、手持ちの貨幣と紙幣の合計額と預金通帳の残高をそのまま計上します(ただし、外貨の場合には円への換算手続が必要となります)。

○売掛金
売掛金とは販売代金の未回収額のことで、100万円で販売したのであれば100万円を現金(預金)で回収できます。売掛金は現金(預金)の前段階といえます。売掛金は回収できないこともありますので、それに備えて一定額を見積もってあらかじめ減額して計上します。

○有価証券
有価証券とは株式や公社債のことです。市場(証券取引所など)で売買できる有価証券については時価でもって貸借対照表に計上しますが、それ以外は基本的には取得価額(買値)で計上します。

○商品
仕入れたけれども販売していない部分は、その仕入値を商品という勘定科目で貸借対照表に資産として計上します。

○有形固定資産(土地以外)
建物、機械、車両、備品などの有形固定資産は、取得価額(購入代金)から減価償却相当額を差し引いた金額で貸借対照表に計上します。設備投資した金額(取得価額)からすでに消費した部分(減価償却相当額)差し引いた金額ですので「将来の費用」ということです。

○土地
土地は取得価額(購入代金)でもって貸借対照表に計上します。土地も建物や機械と同じく有形固定資産ですが、土地は使用しても消耗しませんので取得価額のまま貸借対照表に計上します。

★「将来の費用」も資産として計上される

資産には貸借対照表に計上されている金額では換金できないものが多数あります。商品や有形固定資産(土地以外)がその典型です。これらは一般的な意味での資産ではなく、「将来の費用」として資産に計上されています(プールされている)。

これらの前段階は現金(預金)ですが、「将来の収益」を得るために投下しているのです。商品は販売することによって、有形固定資産(土地以外)は使用することによって収益を獲得して現金(預金)として回収するのです。この投下のプロセスも資産として計上されるのです。

★会社は継続するという会計の大前提

「どうして資産をすべて換金できる金額で計上しないのか?」

それは、換金するということが現実的でないからです。会社は継続するので、事業年度末における全ての資産の換金額を算出する意味がないのです。会社を消滅させるのであれば、全ての資産を換金して、まずは借入金を返済して、残りを株主に分配するという作業が必要ですが、会社を継続する場合にはそのような計算をする意味がないのです。

ですから、「将来の費用」という換金額とは乖離した金額で資産として計上するものもあるのです。会社が継続可能であるので、「将来の収益>将来の費用」となるという前提で資産を計上するのです。

★会社の継続が危ぶまれる場合(貸借対照表など無意味!)

会社の継続が危ぶまれる場合には、株主や債権者にとって貸借対照表など何の意味もありません。

「在庫(商品)を叩き売れば!」
「あの工場(土地、建物)をいくらで売れるのか?」
「スポンサー(資金や販路などの支援をする者)は現れるのか?」

関心はそこに移ります。

資産(あらゆるものを換金した合計金額)-負債(全ての返済や支払いの義務の合計金額)=純資産(最終的に残る現金)

これについて考えなければなりません。

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出金の伴わない費用?(節税の切り札!経営に打撃なし!)

2018-08-16 12:30:00 | 決算書・試算表
「出金の伴わない費用」というものが説明されていることがありますが、これには二つの種類があります。「過去に出金があった費用」と「将来に出金がある費用」です。

■過去に出金があった費用

出金の時点では費用とはならないことがあります。なぜそのような現象が起こるかというと、費用は消費(使用する、サービス提供を受ける)しなければ計上できないからです。出金が費用の計上に先行している場合には、費用計上をされた時点には出金がないので、一切の出金がなかったかのような錯覚を起こします。

○代金の前払い
費用に関する代金を前払いしても、消費をしていなければ費用とはなりません。家賃や保険料を前払いしても、使用やサービス期間の経過が済んでいなければ費用にはならないということです。

○未使用の物品
事務用品や包装資材などの物品を購入し代金を支払っていても、それらを使用しなければ費用計上はできません。

○設備(建物、機械、備品など)
数年間、場合によっては数十年間にわたって使用される設備は、購入し使用を開始した年度の費用となるのではなく、使用する期間(複数の年度)にわたってその購入代金を費用として配分します。この配分のための計算を減価償却といいます。

○資産の紛失や破損
物品や設備が紛失や破損することがあります。これは意図的な使用ではありませんが、すでに価値が失われたのですから費用として計上することができます。

■将来に出金がある費用

費用計上が出金に先行することもあります。

○未払金
すでに消費はしているけれども、約束の支払期日が到来していないので支払いを済ませていないものをいいます。

○未払費用
期間に応じて発生する、借入金の利息、水道料金、電気料金、ガス料金、給料などで、すでに一定の期間が経過しているけれども支払期日が到来していないので支払いを済ませていない部分をいいます。

○引当金
将来の特定の費用を計上することがあります。退職金や賞与の見込額の計上です。賞与はともかくとして、退職金の場合は出金が相当遠い将来になることもあります。

★節税の切り札!経営に打撃なし!
出金の伴わない費用のことを「節税対策の切り札」であるとか、「経営に打撃はない」と説明していることがあります。それは、費用計上される時点では出金がないという意味であって、まったく出金がないという意味ではありません。費用には必ずどこかで出金が伴い、出金額と費用は一致します。

★費用と出金額に違いがある場合は調整が必要となる
費用計上が出金に先行し、費用を出金よりも多く計上している場合には、その多い部分を出金時に費用のマイナスとして修正しなければなりません。出金が費用計上に先行し、出金が「過払い」となっていた場合には過払い相当額は支払先から返金されますので費用とはなりません。

★税務申告上は認められない費用もある
会計理論上は出金のない費用を計上することが合理的であっても、税務申告上はそれが認められないこともあります。この場合は節税対策にはならないということです。

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