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産廃施設中止で業者が県に五億の訴え!

2005年11月05日 | 長  野  県  政

今年3月3日、長野県は三郷村に民間業者が建設中の廃棄物中間処理施設事業計画の承認を、住民の声を受けて取り消すという前代未聞の荒技をやってのけ大きな話題となった。
この種の迷惑施設の建設計画に反対の声が出て中止になることはままあるが、一旦建設が認められ、建物まで出来てしまったものの事業計画が途中で取り消しになった例はない。住民、業者、行政の三者が絡み合ってすったもんだの騒ぎが続いていたが、ここに来てあらたな展開となりそうだ。

廃棄物処理業者が、最近になって県を訴えるための前準備ともいえる書類を配達証明郵便で3度に渡って県に送っている。業者は許可申請書を何度も提出しているが、県が受け取らないため「行政の不作為」を主張して訴える構えなのだ。業者がこれまでにこの施設に注ぎ込んだ金は約五億円だという。

県が書類を受け取らないのは、事業計画書には「住民の同意が必要」と県条例で定められているため。住民は反対しているので同意書はない。が、そもそも国の法律には「住民の同意が必要」とはどこにも書かれていない。そこで堂々巡りになっている。
このトラブルの根底には法の不備がある。住民、業者、行政の三者がその不備をそれぞれ自分に有利なように解釈して問題はこじれている。

住民の言い分は、
「最初こういう計画とは知らなかった、だまされた。区長が判を付いた同意書は無効だから県は建設承認を取り消せ」というもの。県は住民の主張どおりに施設の承認を取り消している。さすが住民本位の行政を掲げる田中県政、素晴らしいーと評価したいところだがそうはいかない。

田中知事のいけないところは、着地点がないまま思い付きで物事を決めること。こんなドラスティックなやり方でなく、現実的やり方があると思いのだが、そういうことに思い至らないようだ。

この施設は守らなければならない基準点はすべてクリアーしている。なにしろ一旦は許可が下りているのだから。場所はりんご畑の中で、近くには廃油の貯蔵施設と木材の破砕施設がある。いわば似たような迷惑施設が隣接するところに出来たわけで、住宅地の中に忽然と出来たわけではない。迷惑の度合いは少ないはず。

問題は「住民の同意」。だが、住民側は知事が味方についているからか、
「行政が定めた基準をクリアーしてもダメ。この地区独自で決めた基準を守らなければ同意できない」
などと強硬。
こうなると法治国家としてのルールをも無視することになるのだが
「そういうことは知らない」
「そんなに安全というなら役場のそばに造ればいい」

本来事態収拾に一役買うはずの区長は、あまりの混乱に嫌気が差し辞任する騒ぎに。後任は、なり手がなく「この問題について立ち入らなくていい」という条件のもとに別の人が選ばれるという異常事態となっている。

混乱に輪を掛けているのが田中知事の対応。4月11日、波田町方面に行った際、この施設もついでに視察して知事が関心を持っているメッセージを発してはいるが、その後これといった対応をしていない。
現場主義を掲げる田中知事だが、この問題については現場を一度見に行っただけ。県が訴えられるかもしれないという局面になっても何の対応もとっていない。住民エゴに火を付けて、後は知らん振りの無責任極まる田中知事の態度だ。

騒ぎとしては大きくなっているが、本来この程度の問題は課長決済ですむ話だそうだ。だが、知事が現場視察までしているとあっては、その知事の胸の内を忖度しない部下はいないだろう。この問題を扱う県生活環境部の太田寛部長は田中知事の高校時代の同級生で、40歳代で部長職に就いている。
太田部長がこの問題にどこまで関わっているのか、いないのか?興味が湧くところだが、これについて何度も質問したのだがよっぽど具合が悪いのか電話口にも出てこない。同級生同士の間に、なにか得体の知れない奥深いものが横たわっているのを感じさせる。

裁判になれば県が負ける可能性が高い。なにしろ一旦許可したものを途中で取り消しているのだ。加えて、県が主張する「住民の同意書」の必要性は法的に認められていない。これは裁判でも判例が出ていて必要なしが大勢だという。

裁判で県が負ければ巨額の血税が払われることになる。そのころ田中康夫は長野県知事ではない。

この記事はメルマガ「田中県政追撃コラム」で11月2日15:30頃に配信されたものです。