長与町議会議会運営委員会は今月10日、タブレット端末を議会で活用している先進例として、福岡県篠栗町、同県嘉麻市を訪問し研修を行いました。両自治体議会の議員さん、事務局様方から親切丁寧に対応していただきました。
心からお礼を申し上げます。
研修報告書を議運委員長に提出しましたが、忘備録も兼ね当ブログにも抜粋し掲載いたします。
篠栗町
議会改革の一環として議会のIT化平成26年9月議会から運用を開始したとのことである。
最初に町の紹介動画を視聴したのち、会議システムの使用方法の説明を受けた。町の紹介にもITを活用している。庁舎ロビーにおいても同様の映像を放映しているとのことである。
〈システム〉
「SmoothMeeting(スムース・ミーティング)」というシステムを採用。
管理サーバーとタブレット(iPad)に専用の無料アプリケーションをインストールして使用する。
庁舎内にWi-Fiを整備し、セキュリティ上、事前登録が必須である。
〈メリット〉
議案書、資料準備の手間と紙資源の削減。
親機を操作すると、その操作状態が子機のモニターに表示される。それを利用し議案説明などを実施。
メールなどでの情報共有。
その他
〈導入経費〉
合計1300万円。
〈費用対効果〉
B/C(費用便益)が1以上になることはないと思われるが、数字に表れない効果はあるという。
(情報伝達・共有、資料作成、差し替え、紙資源削減、職員負担軽減、議員活動向上、庁舎内会議への活用)
〈管理〉
使用基準、貸与規程などを策定している。
〈留意すべきと感じた点〉
- 一企業のシステムを導入した場合、ヴァージョンアップなどに別途経費がかかることにならないか。
- また、システムの利用規約などで、新たな取り組みや自由度を縛る規定がないか。
- 機器導入により、操作に不慣れな議員の議会活動が阻害されることがあってはならない。電子機器類の操作に不慣れな議員、職員に的確なサポートが可能か。
- 特に議案書の閲覧性では紙媒体が優位と感じる。
- メモ機能もあるが、紙へのメモに比べ、アプリのメモ機能は使い辛いとのこと。
- したがって、導入するとしても、操作に不慣れな議員への配慮と、紙媒体のメリットを考慮して、当面は紙媒体と電子機器による閲覧とを併用することが望ましいと感じる。
嘉麻市
目的は議員の利便性向上、事務局、執行部の負担軽減である。
タブレットを検討していた当時の議運委員長が市長になり、導入への理解、移行が早かった。
篠栗町が iPad を活用していたが、嘉麻市はAndroid のタブレットを導入していた。Apple社製に比べAndroid のほうがメンテナンスや緊急対応が地元で可能であったため。
ペーパーレス化を主眼に導入検討をすすめていた。紙資料との併用は26年度まで。ただし個人で印刷し持ち込むことは可能。
システムは、Sidebooksを活用し、契約企業のサーバー(クラウド)にデータを保管、運用している。初回86400円設定料がかかり、月額基本料金は91800円である。
研修での実演はテザリングでのデータの受け渡しであったため、動作が緩慢な印象を受けた。Wi-Fiだともっとスムーズに操作ができるのではないか。
課題として、紙媒体より文字ポイントを上げ、可読性を上げる事。スキルアップが重要との事であった。
〈留意すべきと感じた点〉
- 基本的に篠栗町での感想と同じである。
- 議案書の閲覧性に不安を感じる。完全ペーパーレス化を実行した後、議員さん方の感想を聞いてみたい。
- IT技術の進歩は日進月歩のため、採用時の価格面だけでなく、採用したシステムの条件(縛り)がないか。
- また、新しい技術への順応性も考慮し、将来の利用促進の足かせにならないよう十分な精査が必要と考える。
- 機器導入により、操作に不慣れな議員の議会活動が阻害されることがあってはならない。