長与町議 堤さとしのウェブログ

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マイナンバーは個人所得・資産を掌握し、税徴収や社会保障給付を監視する制度

2015年12月15日 | 写真

【堤理志討論】町マイナンバー条例

マイナンバー法に基づき条例制定議案が出されました。

百万件以上の年金情報、堺市の全有権者の個人情報など、公的機関からの情報流出が相次いでいます。一度漏れた個人情報は決して戻ることはありません。

国の調査でも、この制度について過半数の方がよく分からないと回答する中、国はその不安をよそに粛々とすすめています。

近い将来、さらに用途を広げ、個人の預貯金情報にも利用拡大しようとしています。

 これを自治体で実行たらしめる条例であることから、問題点を指摘する反対討論を行いました。(賛成多数で可決)


 

(以下討論文)

いわゆるマイナンバーに関する条例に反対の立場から討論をおこないます。

国は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平公正な社会の実現のためとして、マイナンバー法をつくりました。この法律で、自治体の利用範囲を条例で定めることとされているため、今回の提案となったものです。

この条例は、マイナンバー制度を本町で実施するための条例でありますが、いくつかの懸念する問題があります。

一つには情報の漏えいに関する懸念であります。公的機関が管理する個人情報の漏えいという点では、年金機構の情報流出が記憶に新しいと思います。年金機構は、重要な情報を漏らさないため、セキュリティに関する知見を総結集し万全な漏えい防止をはかっていました。しかし、結果的に125万件もの個人情報が流出しました。この深刻な事態に直面した多くの住民は、公的機関に個人の情報を安心して預けられるかという不安と疑念を抱いています。

二つ目には国民の理解が進んでいないという問題です。内閣府が9月に発表した調査では、マイナンバー制度の内容を「知らない」と回答した人は56.6%に上りました。過半数を超える人たちの理解が得られていないまま運用を開始するやり方は非常に乱暴といえます。

マイナンバーのそもそもの目的は、「国民の利便性向上」というより、国や自治体が、国民の所得・資産を効率的に掌握し、税の徴収や社会保障の給付などを監視するための制度です。

当面、「税・社会保障・災害対策」に限っていますが、今後は預貯金、民間企業による利用など、個人情報のさらなる利用拡大が検討されています。

実施間近ではありますが、行く宛てのない「受取人不在」が数多く発生する懸念も当初から指摘されていました。住民票を変えずに特別養護老人ホームで生活する高齢者、家庭内暴力から避難している人などへの手だても本人任せです。認知症などでマイナンバーの管理ができない人への対応の仕方も不明確で、本町の担当も頭を痛めていることと推察します。今後も制度改正のたびに、新たな町の負担と追加業務が発生します。

これら町の負担、住民のプライバシー漏えいの不安よりも多くのメリットがあるというならば理解できなくもありません。しかし、町と住民のメリットよりもデメリットのほうがはるかに多いと思われます。マイナンバー制度の問題点を明確にし指摘する意味も込め、本条例に反対します。