長与町議 堤さとしのウェブログ

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長崎市が定住自立圏構想をどう考えているか

2013年09月17日 | 長与町議会

長崎市は長与町・時津町と定住自立圏形成協定を結ぶ方向で動いています。長与町も同意する方向で協議に参加しています。

定住自立圏構想については、中長期的には中心市に予算と権限を集中するものであるという事を総務省が作成した文書類を示しながら、慎重に対応するよう一般質問で質した経緯がありますが、指摘し危惧した方向「長崎市のための定住自立圏」が協議されているようです。

長崎市議会の会議録を読むと・・・

  1. 定住自立圏構想の主旨について、中心的な都市にいろんな機能を集約させる事。
  2. 長与町、時津町にとっても大きなメリットというような新たな取り組みはないと考えております。・・・と発言。
  3. 定住自立圏構想の根幹には・・・国も財源を大小どの自治体にも均等に配分するというのが非常に困難になってきており、今後中心的な市である長崎市等に財源を集中させて、将来的には効率的な都市制度へ再編していくものというふうな構想であると考えておりますと説明しています。
  4. この構想は、今後大きなインフラ整備を予定している長崎市にとっては、財政的に有効な構想であるというふうに考えております。
  5. 長与町、時津町を救済しようというような考えではなく、長崎市に有益な制度を取り入れる。

・・・などとその真意・本音をあからさまに説明し議員に理解を求めています。

 

以下に会議録をそのままペーストしておきます。(平成24年長崎市議会総務委員会所管事項調査2012.12.06)


武田企画財政部長 それでは、所管事項に関する調査ということで、長崎圏域の定住自立圏構想につきましてご説明いたします。

 定住自立圏構想につきましては、昨年11月市議会定例会におきまして、中心市宣言を行ってから、これまで各定例会の所管事項調査におきましてご説明をさせていただいているところでございます。その中では、長崎市民にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、それから長与町、時津町だけにメリットがある制度ではないか、定住促進が大きなテーマであるが、人口に関する分析はなされているのか、それから市町村合併の経緯を十分踏まえながら進めるべきではないか、それから消防負担金の問題など、1市2町の間で解決すべき課題がまだ残されているんじゃないかと、そういうふうなご意見、ご指摘をいただいたところでございます。

 今回はそのようなご意見、ご指摘に対しまして、一定お答えする形で説明をさせていただきたいというふうに考えております。

 内容につきましては、総合企画室長より説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

 私からは以上でございます。

 

山口総合企画室長 それでは、企画財政部提出の総務委員会資料に基づきまして、ご説明いたします。

 資料1ページをごらんください。

 1.定住自立圏構想の主旨でございますが、定住自立圏構想は、地方において大幅な人口減少が見込まれている中、中心的な都市にいろんな機能を集約させ、住民の生活に必要な機能を確保し、定住人口を維持し、圏域全体の活性化を図ろうとするものでございます。

 次に、2の長崎圏域の人口動態についてでございますが、ここから5ページまで人口の分析をしておりますが、その中で、ご説明したい要点をお話ししたいと思います。

 まず、1ページに記載をしておりますが、長崎県の人口は昭和60年を境にずっと減少してきているところでございますが、時津町、長与町を含めた圏域の人口は、減少幅は少ないながらも、少しずつ減少していっているという状況でございます。

  次に、2ページをお開きください。

 2ページには、長崎市、長与町、時津町の人口の推移をあらわしております。長崎市は、残念ながら、昭和60年をピークに減少傾向にございます。長与町、時津町は両方とも増加傾向にございますが、長与町におきましては、平成17年から平成22年はほぼ維持しているという状況で、時津町はずっと増加をしているという状況でございます。

  3ページに両町と長崎市の転入転出状況をお示ししておりますが、3ページの上段のグラフで、青色で記されているのが2町から長崎市へ転入してきた方、橙色で示しているのが長崎市から2町へ転出していった方をあらわしておりますが、平成20年以外は、ここ最近は長崎市に両町から転入してきている方が多いという状況になっております。

 そのことから、2ページに長崎市がずっと人口が減少していっておりますけれども、これは長与町、時津町に人口が流出していっているということじゃないというのがおわかりいただけると思います。

  3ページの下段には、通勤通学状況を記載しておりますが、長与町、時津町、両方とも4割、5割が長崎市内に通勤しておりまして、1万8,429人が長崎市のほうへ通勤通学をしていると。逆に、長崎市から両町に出ていっているのが8,563人ですから、やはり大幅に両町から長崎市に流れてきている方が多いという状況がごらんいただけると思います。

 4ページをお開きいただきたいと思います。

 4ページには、自然動態と社会動態、社会動態は転入・転出です。自然動態は出生・死亡であらわしておりますが、長崎市は残念ながら、死亡のほうが出生よりも多く、人口減の要因となっております。

 逆に、長与町、時津町は出生のほうが死亡を上回っておりまして、これがそれぞれの町の人口の増加につながっているものと思われます。

 両町とも社会動態、転入・転出については、近年ではやはり転出が多いというような状況になっております。

  5ページには、年齢構成別の人口割合を載せておりますので、ご参照いただきたいと思います。

 続きまして、6ページ、7ページに今回取り組む事業を掲載しております。

  6ページの右側に新規とあるのが、今回この構想によって新たに取り組む事業でございまして、それ以外につきましては、この構想には関係なく、今でもやっている取り組みでございます。

  7ページに主な事業を掲載しておりますので、ご参照いただければと思います。 続きまして、8ページをお開きいただきたいと思います。

 ここからがこれまでご指摘いただきました事項についてのご説明でございますが、まず長崎市にとってのメリットということをご説明したいと思います。

 1)でございますが、まず長崎市民の具体的なメリットといたしましては、子育て支援として、ファミリーサポートの相互利用によりまして、会員数がふえることで、子どもを預けたい親と支援者のマッチングがしやすくなり、子育て負担の軽減が図られるものと考えております。

 もう1点が災害時の広域避難体制の構築で、避難所を1市2町で利用できるようにすることや備蓄品等を融通し合うことで、近隣住民の安全を確保することができるというふうに考えております。

 

 そのほか、慢性的な北部方面の混雑解消のための道路や交通の協議会設置などが具体的な市民のメリットとして挙げられるところでございます。しかしながら、定住自立圏構想は合併と違いまして、1市2町でそれぞれ合意する業務のみの連携でございますので、長崎市といたしましても、市民生活に支障がないという前提で連携する業務を検討しておりますので、市民にとって大きな変化があるというような業務ではございませんが、少しずつでも市民生活の利便性につながるものと考えております。

 

 次に、2)既に取り組んでいる事業にも、この構想に組み入れることで、財源措置があるというメリットでございます。

 ここにはちょっと例示であらわしておりますけれども、夜間急患センターにつきましては、現在でも長崎市が行っておるところでございますが、この事業でも、この構想に組み入れることで、年間1,000万円を上限といたしました財政措置があるということになります。

 次に、もみじ谷葬祭場の運営につきましても、既存の事業でございますが、これにつきましても、包括的な財政措置として、年間4,000万円を上限として財政措置があるということになります。

 それぞれ財源措置が1,000万円、4,000万円ということで、年間約5,000万円の財源措置があるということになります。ただ、夜間急患センターにつきましては、年間1,000万円のうち、8割が交付税措置ということですので、両方を合わせまして、約4,800万円の財源措置があるということになります。

 それと、夜間急患センターにつきましては、今単独で長崎市が負担をしておりますが、この構想に組み入れることによりまして、両町とも国のほうから特別交付税措置があるということもございますので、新たな負担を両町からいただこうというふうに考えておるところでございます。

 

 次に、3)新たなインフラ整備におきます有利な起債を使えるというところでございます。

 これにつきましても、この構想自体が中心的な市に機能を集約させようという構想でございますので、中心的な市が新たなインフラ整備をしたときに有利な財源措置があるというものでございます。

 

 ここに記載をしております、もみじ谷葬祭場を建て替えた場合、これは今構想として建て替える予定がございますが、これを仮に建て替えた場合ということで想定をしております。この場合、事業費を30億円としたときに、大変申しわけございません、これが0.35の地方交付税措置率というのがありますが、これは国が11月29日付で通知した分には0.30、30%の交付税措置ということになっておりますので、申しわけありません、ここを0.30にご訂正いただければと思います。

 それで、0.30で計算した場合は8.1億円の負担軽減ということになるということでございます。

 いずれにいたしましても、今後、大きなインフラ整備を予定しております長崎市にとりましては、こういう有利な起債を使えるというのは非常にメリットではないかというふうに考えております。

 次に、9ページをお開きいただきたいと思います。

 長与町、時津町にだけメリットがあるのじゃないかというようなご指摘をいただいておりますが、先ほども長崎市のメリットでもご説明いたしましたが、それぞれの1市2町で住民に支障がなく、合意できた業務だけということになりますので、長与町、時津町にとっても大きなメリットというような新たな取り組みはないと考えております。ただ、長与町、時津町にとっても一番のメリットは財源的なもので、年間約1,000万円の交付税措置がございます。具体的に町民のメリットとして挙げるとすれば、先ほど長崎市のメリットでも触れましたように、ファミリーサポートの相互利用による子育て負担の軽減や、今、実施されていない総合防災訓練への両町の参加などが挙げられるというふうに考えております。

 

 6の市町村合併との関連でございますが、(1)につきましてはこれまでご説明しておるものを図式化したものでございますので、ご参照いただければと思います。

 次に、10ページをお開きいただきたいと思います。

 これまで時津町、長与町との定住自立圏構想の前に、旧7町との合併の検証が先ではないかというご指摘をいただいております。ここに記載しておりますとおり、合併町の住民の方は悪くなったというご意見の中では、職員に身近に相談できないとか、役場の職員が旧市内へ業務の都合上、転居したとか、まちづくりの担い手が減った、あるいは上下水道料金が高くなったというようなことで、合併して悪くなったという感想を持たれている住民の方が非常に多いということは認識しております。ただ、よくなったという点につきましても、休日に証明窓口ができるというようなこととか、図書が借りやすくなったというようなご意見もいただいているところでございます。ただ、総じて、合併してよかったというよりは、合併後も人口が減少し、まちの活気が失われてきているという感想をお持ちの方が多いということは認識しておるところでございます。

 その一方で、(3)の合併地域の振興ということで、これまでも地域振興策を実施してきたところではございますけれども、合併町の住民の方が合併してよかったと感じていただけるよう、次のページの地域振興の方針に記載しておりますように、市町村建設計画の着実な実施とそれを補完いたします地域振興計画に基づく各地区の活性化を、この構想の推進云々に関係なく、最重点課題として取り組んでまいりたいと考えております。

 

 次に、7.その他の課題で消防負担金についてを記載しております。

 消防負担金は、この構想には関係なく、従前から広域事務連絡協議会ということで、1市2町で協議してきた経過がございますが、資料に記載のとおり、平成17年度以降、住民1人当たりの負担金は約2.2倍引き上げてきております。さらに、均衡が図られるよう両町と協議を進めていきたいと考えております。

 そのほかにも、長崎市民が両町の体育施設の利用等で不便や不公平と感じておられるということもお聞きしております。そのように、市民が2町の住民と比較しまして不公平になっているようなものについても、この構想で連携する中で両町と協議を進め、公平化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

 

 最後に、12ページのスケジュールをごらんいただきたいと思います。

 スケジュールにつきましては、今後、議会の議決すべき事件に加える条例改正が必要でありまして、その後、協定締結議案を上程させていただき、ご承認いただきましたならば、第2段階として、市民懇話会を設置し、広く住民からの意見を聞いた上でビジョンを策定し、連携する業務の実施ということになります。

 定住自立圏構想は、国が進めている制度でございますが、その根幹には人口減少、少子高齢化、景気低迷等がございます。国も財源を大小、どの自治体にも均等に配分するというのが非常に困難になってきております。そこで、今後、中心的な市である長崎市等に財源を集中させて、将来的には効率的な都市制度へ再編していくものというふうな構想であると考えております。

 そのようなことから、この構想は、先ほども触れましたけれども、今後、大きなインフラ整備を予定している長崎市にとっては、財政的に有効な構想であるというふうに考えております。

 あわせまして、この構想はどこの市町でもできるわけではなく、通勤通学者の割合や昼夜間人口比率、あるいは人口要件等の要件をクリアしなければなりませんけれども、長与町、時津町と長崎市はいろんな意味での圏域が一致しており、この要件を全て満たしているということから、この構想を進めていっているところでございます。

 最後に、長与町、時津町を救済しようというような考えではなく、長崎市に有益な制度を取り入れて、圏域全体を活性化しようという大きなビジョンを持って進めてまいりたいと考えておりますので、ご理解をよろしくお願いいたします。

 説明は以上でございます。