goo blog サービス終了のお知らせ 

金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

西宮ブログの仲間からの依頼

2020-06-15 10:47:02 | 陶器の繕い例

西宮ブログ仲間のパナップさんから、繕ってほしいものがあるのですけどと伺っていたのですが、神戸にお住まいの方ですので、送料が高くついてしまうので、そのままになっていたのですが、うまい具合にお会いする機会ができて。

陶芸をされている友人からいただいた小鉢だそうです。
真っ二つに割れてしまって。
でも、かえって繕いはとても容易です。


ピタッと断面が合わさりますので、アラルダイトのみでの接着で。


そして、いいころ合いに余分な接着剤をそぎ落とします。


こんな風に。
剃刀の刃を使って。
余分なところがきれいに取り除けます。
タイミングがとても大事です。


割れていた部分がわからないぐらいですね。

 

食器ですので、接着部分を漆でコーティングしないといけません。
接着段階から漆を使うのが理想的ですが、とても時間がかかりますので。

弁柄漆を面相筆で細い線で塗って。
それが乾燥してから、少し色合わせをしたいので、黒艶漆を薄く塗り重ねて。


こんな仕上がりです。
金属粉(金、銀、錫)を蒔いて、金繕いしていますよと目立たせるほうがいいのか、こんな風に目立たないほうがいいのか、好みですが。
金属粉を使うと電子レンジが使えなくなるのが難点ですね。


裏側は弁柄漆のみで。


次にお会いする機会は難しいので、宅急便で早速お送りして。
こんな小さなものでも、送料が高くついてしまいますが、仕方ありませんね。

パナップさんとお会いした時に、何年も前に西宮ブログのメンバー何人かで西宮の青木町にある「アル酎」でご一緒したことがあると伺って、びっくりでしたね。
いろんなつながりがあることが驚きですが、嬉しいですね。
手土産もいただいて。

今月の後半から、月2回の川西での「器再楽」の金繕い教室が再開です。
家から出ない日々が続いていましたが、ようやくいろんな活動が少しずつ再開できそうですね。

 


次の繕いの依頼 その2

2020-06-15 10:32:32 | 多種類の繕い例

続きです。

ミニルーターを使って整形した様子です。

 

次は漆の出番ですね。
まずは弁柄漆を使って。


焼き締めの茶碗、ひびの入った部分から細い面相筆を使って。


備前焼のマグカップ、いい品物ですので、少し工夫して。
弁柄漆が乾いてから、黒艶漆を薄く塗って、色合わせです。


それから、艶も少し落としたいので、石粉を蒔く処理もして。


それから、もう一つの磁器のお皿は、錫粉で仕上げる話になっていましたが、こちらもちょっと工夫してみて。

修復箇所が先っちょのわずかですので、本漆ではなく「新うるし」を使って色合わせをして。
さらに、本漆でラインを引いて。


金彩を使っている周りに合わせるため、金の消し粉を蒔きました。


仕上がりはこんな具合です。

 

備前焼のマグカップはこんな出来上がりです。
いいマグカップですね。
金属粉を使っていないので、電子レンジも使えますね。


焼き締めの茶碗は簡単に。


妻から急遽依頼のあった妻が作った楕円皿はこんな風に(右下の部分です) 。


今回の友人からの依頼は2度目でしたが、品物を引き取りに来た時に、よく庄下川の上流部を散策されているお父さんが、私の繕いのポスターの掲示物を見て、「あなたの知り合いの人やろ。頼んでくれるか」と依頼されたそうです。

お父さんとは顔見知りではありませんが、私も庄下川の上流部をほぼ毎日のように散策しているので、お会いしているかもしれませんね。
人との出会いというのは、いろいろと面白いものですね。


次の繕いの依頼 その1

2020-06-15 10:17:52 | 多種類の繕い例

次の繕いの依頼は、最初に依頼のあった市役所の栄養士さん。
今度は実家にあるものを持ってこられて。

この4点です。
すべて口辺が欠けているものです。


まずは、陶芸をされている本人の登り窯作品の茶碗から。
1か所、ひびが入っていますので、ドライヤーで温めてアラルダイトをしみこませて。


外側にガムテープを貼って。
赤い印は欠けている部分をわかりやすくするためのものです。


それから、備前焼のマグカップ、窯変がとてもよく出たいいものですね。
2か所、欠けています。


アラルダイトに地の粉を混ぜたものでベースの補修です。


2つの焼き締めの茶碗も同様に処理して。

続いては、磁器の欠けた部分の補修です。


磁器にはアラルダイトに小麦粉(強力粉)を混ぜたもので。


繕いの大切なポイントは、この後、補修部分が硬化するまでの間の見守りです。
繕い品の姿勢を変えたり、指で成形したりして、いい形に固まるまでですね。
ほぼ半日の見守りです。


硬化した後は、今回はミニルーターを使って整形しました。
左端の楕円皿、妻の作ったものですが、落としてしまって1か所割れたもので、急遽追加で5点となりました。

その2に続く。