金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

たくさんの繕いの依頼 その3

2018-11-30 22:55:05 | 磁器の繕い例
たくさんのカップの繕いの依頼、いよいよ仕上げです。
 
漆の乾燥には、こんな風にビニール袋に濡れ雑巾を入れてで。
これは生漆をテレピンで薄めたものを塗って乾かす粉固めの工程です。
時間があったので3回目です。

 

そして、木綿でしっかりと磨いた後の鯛の牙での磨きです。

銀粉(丸粉)がきれいに輝いて。

 

この大きく欠けた部分もうまく仕上がりました。

 

全て仕上がりました。

今回は丁寧にベース作りもしましたので、どれもいい仕上がりです。

 

でも、ひとつだけ、気に入らない部分がありました。

磁器の場合、欠けた部分には漆はしっかりと定着しますが、なんともない所では定着力がありません。

磨いていて、ポロリと剥がれる部分があって。

プロが教える参考書では、びびの入った部分などはヤスリで傷をつける処理をすることを勧めていますが。

 

それで、複雑な欠け方をしているこの部分、再度黒艶漆と銀粉の処理をしました。

やればやるほどいろいろと勉強になりますね。

 
そろそろ引き取りに来てもいいよという連絡を入れてあげましょう。
市役所時代の後輩で陶芸仲間でもある友人ですので、費用はびっくりするような安さにしてあげましょう。
 

たくさんの繕いの依頼 その2

2018-11-30 22:51:38 | 磁器の繕い例
たくさんのコーヒーカップの繕いの依頼の品、現在仕上げの粉固めの工程も終了間際です。
 
その前に2つの品物にひび(にゅう)が入っていたのをどうしようかと。
磁器では、ひびの入った個所に漆を塗って、銀粉などを蒔いてもすぐに剥がれてしまいます。
 
それで、漆のプロはヤスリでその部分を傷つけて処理することを勧めていますが、今回の品物ほとんど気にならないひびなので迷いましたね。
 
最初は白色の本漆だけを塗ったらと思い試みましたが、本漆はすぐに黄土色に変色してしまうので良くありませんでした。
これはダメだとナイフで漆をそぎ落として。簡単に取り除けますね。
 
写真はひびの入った部分に漂白剤の処理をしているところです。

 

それで、結局は「新うるし」の白をできるだけ細いラインでひびの上に塗ることにしました。

これならほとんど目立ちません。

いつでもやり直しも簡単に可能ですし。

食器ですので、その上から本透明を塗り重ねて。

 

さあ、もうすぐ銀粉を施した部分を鯛の牙で磨いて終了となりますね。

続きます。

 その3に続く

たくさんの繕いの依頼 その1

2018-11-30 22:42:21 | 磁器の繕い例
知人からたくさんの繕いの依頼品がありました。
 
デンマーク製のコーヒーカップ7点です。

 

ほとんどが小さな欠けた部分があるだけですね。

 

ひびの入ったものも処理して。

 

磁器ですので、アラルダイトに強力粉を混ぜたものでベース作りです。

 

このあと、しっかりと接着剤が固まるまで見守ります。

この段取りがとても大事です。

かなり固まった後、逆さにして。

 

そして、翌日、ベースの部分の手入れです。

小さなヤスリや水ペーパーを使って。

修復箇所がとても小さいので、丁寧に作業を進めて。

 

そして、黒艶漆を塗って。

私の酒器の処理忘れの箇所もあわせて。

 

そして、銀の丸粉(3号)をしっかりと蒔きます。

漆の中に染み込んでいきますので、「もういいよ」というまで何回も銀粉を蒔いてあげます。

たくさんの繕いでしたが、繕い箇所が小さいのでとても簡単でしたね。

この後、漆が乾くように濡れ雑巾を入れたビニール袋の中で乾燥させます。

 

その2に続く。

 

愛用の酒器の繕い その2

2018-11-19 19:10:57 | 陶器の繕い例

大破した愛用の酒器の仕上げの作業です。

 
銀の丸粉(3号)を蒔いた後、生漆をテレピンで薄めたもので粉固めを3回施しました。
日にちが掛かっています。
 
粉固めの生漆のせいでしょうか、かなり黒い部分があったりして。
しっかりと木綿で磨いて。
更には、2000番の水ペーパーで磨いて、更に漆の色を落とすためにテレピンで拭いたりして。
 
今回はえらく難しいですね。
 
その後、鯛の牙(たいき)で仕上げましたが、なんかいまいちですね。
粉固めのやり過ぎでしょうかね。

 

それにしても、これまでのたくさんの繕い箇所に加えて今回のトラブル。

すごい状態ですね。

でも、形が気に入っている私の作品ですから、これからも立ち呑みへの持参で愛用してあげましょう。

どんなふうに成長してくれるか楽しみながら。

 

1箇所、銀粉を蒔き忘れている小さな箇所がありましたね。

次の機会にね。


愛用の酒器の繕い その1

2018-11-14 16:39:49 | 陶器の繕い例
少し前のことですが、いつも立ち呑みに行くときに持参している愛用の酒器を家に帰ってから落としてしまって。吞みすぎた日です。
 
この器、これまでも何回も繕いをしていますが、今回はとてもひどいですね。
 
でも直してあげます。
先ずはアラルダイトだけで接着して。

 

そして、ガムテープで固定して。

 

とりあえずはこんな状態ですね。

隙間が結構あります。

 

この後、欠けた部分などを地の粉を混ぜたアラルダイトで修復です。

指に水を付けて、綺麗に押し込んでいきます。

 

それが乾燥した後、黒艶漆を細い筆で塗って。

 

外側も内側もとてもひどい状態ですね。

 

すぐに銀の丸粉(3号)をたっぷりと蒔いて。

黒艶漆をテレピンで少し薄めて使っていますが、その薄め具合と銀粉などを蒔くタイミングがとても大事だと最近痛感しています。

 

この後、湿気のあるところで乾燥です。

気温が下がってきているので、そろそろ漆の乾燥には日にちが要りますね。

その2に続く。