金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

今年初の繕い その2

2017-01-23 19:21:53 | 陶器の繕い例
もう一つの繕いです。

私の個展を見に来てくれた陶芸仲間の作品です。
流れやすい釉薬なので、底の部分がこんな風に大変なことに。
よくありますよね。


先ずはグラインダーなどで平らに削る作業で。


それからアラルダイトの登場ですが、先ずはアラルダイトだけを薄く糊状に塗って。
使い古した歯ブラシの登場です。


次に地の粉を混ぜたものでベース作りです。
ここで役に立つのが、湿布薬のプラスチック板です。
この状態でひっくり返して、一日乾燥させます。


一日たって、プラスチック板は容易に剥がれて、底はまっ平らに仕上がっています。
この後、もう一度ベースの手直しの作業を繰り返してから、仕上げです。
ヤスリなどで綺麗にベースを仕上げて。


私の作業はここまで。
このあと、「新うるし」で色合わせをしたいところですが、その方には、底の部分ですから、アクリル絵の具で仕上げてもいいですよと伝えて、お任せです。
いい品物なら、銀粉を蒔いて仕上げたいところですが。
ここまで、無料で仕上げてあげました。
さて、あとはどう仕上がったのでしょうかね。

今年初の繕い その1

2017-01-23 19:17:10 | 陶器の繕い例
友人との新年会に持参する酒器を選んでいて、棚から落として壊してしまった酒器を繕いました。
今年初ですね。

丹波立杭の炎丹久窯で、大皿の繕いのお礼に頂いた炭化焼成のものです。
小さな破片も取り置いて置きました。


先ずはアラルダイトに地の粉を混ぜたもので接着です。
ズレが生じないようにしっかりと押さえて。


その後はセロテープでしっかり固定して1日乾燥です。


こんな具合に。


そして、黒艶漆を塗って、湿気のあるケース内で漆を2日ほど乾燥です。


少し、黒い漆のラインが目立っていますが、現段階では、このまま使ってみましょう。
黒艶ではなく赤呂色漆の方が良かったかな。
必要があれは、今後銀粉を蒔いてもいいかな。
繕い方は、いろいろありです。



登り窯作品の繕い講座 その2

2017-01-23 18:49:42 | 陶器の繕い例
12月18日(日)、登り窯作品の繕い講座の2日目です。

前日には気づきませんでしたが、陶芸美術館のエントランスにこんな風に「補修講座」の案内がありました。


美術館が用意してくれたドライヤーなどもありますが、私の持ち込んだ荷物はこんなに。
接着剤のアラルダイトも安く入手したものを持ち込んで、10個入りのほとんどを地の粉を付けてあげて、分けてあげました。


さあ、2日目スタート。
この日は参加できないと聞いていた、美術館の職員の作品を水漏れ箇所を確認して追加作業。
もう水漏れはしません。


ボランティア仲間の作品の前日処理した底の部分。


プラスチック板を外して。
OKですね。


再度、手入れをして。
この後、ドライヤーで乾燥させて、呂色漆を塗って色合わせしてあげました。
昨日はボランティア団体の陶芸文化プロデューサーの定例会が午後からありましたが、この方は出席できましたね。
その午前中、友人で美術館の講座に参加されていて、こちらに参加できない方の作品2点を完全に仕上げることもできました。
その方、様子を見に来られて、いたく喜んでいただきました。


そして、この日新しくご夫婦で来られたご主人の亀の作品。
足の部分の破損とその他にも手入れが必要な箇所が。


奥さんは、家にある繕いの必要な品物を沢山持参して。
この皿は大変ですね。


左端、前日に午後は帰られた女性の大きな作品。
私が引き続いて一応の全体成形をしたものを、この日はご主人と一緒に引き続き手入れをしておられます。
後は、ご自宅での水漏れチェックなどの作業になりますね。
奥には若いご夫婦。


亀の作品、だいぶ作業が進んだ様子ですね。


奥さんの方は、大変ですね。


そして、終了間際、できましたね。
大皿以外にも5点ほど修復されて。
この後、お家での作業についてもアドバイスしてあげて。


この作品、少しだけ亀裂がありましたが、底にまで及んでいなくて水漏れはないでしょう。
美術館のこの講座の責任者である山田さんが、これもよろしくと。
充填は済ませましたが、漆での仕上げを忘れていましたね。
今気が付きました。


そして、これは前日真っ二つに割れていたものを接着したものです。
篠山の東雲高校の生徒さんの作品で、一緒に竹焼成のプロジェクトに取り組んでいるお一人ですので大事にしてあげないとね。


仕上げの作業です。
全体が黒く良く焼けていますので、黒艶漆で接着した部分を仕上げてあげました。
この後、もう1点の茶碗と合わせて、漆の乾燥の見守りは責任者の山田さんにお願いしました。


この高校生の作品の手入れの様子を、陶芸仲間に撮っていただきました。
私の向かいでは、前日から大破した作品の修復に取り組んでおられる方が。
同じ尼崎のJR塚口駅近くにあった森永工場に勤めておられたとか。


その方の作品も無事に修復終了です。
大破していた作品の一つですが、後はご自宅で水漏れのチェックをして、追加の処置をするだけですね。
たぶん水漏れは結構あると思います。
修復部分の色合わせは、スプレー塗料ですると仰っていましたが、ご本人が納得できれば何でもありですね。


そして、陶芸文化プロデューサーの午後からの会議で来られたボランティア仲間がお二人。
なぜか、こんな講座の案内は貰っていないと。
急遽、会議を欠席されて参加、ひび割れの補修です。
この作品もなかなかいいものですが、3か所ひび割れが。
温めた修復部分にアラルダイトを浸みこませる手法を体験してもらいました。
この作品はもうすぐ始まる展示に使われるので、展示が終わってから水漏れチェックと必要な処置をするとのこと。
もうお一人の方は最後まで残られて、同じような作業をされて。


この日もたくさんの修復。
アラルダイトを使ってのひび割れの水漏れに対する処置、地の粉を混ぜたものでの修復、その他にもプラスチック板をうまく使う方法など、金繕いの入り口ですが、いろんなことを多くの方に習得して頂きました。
皆さん大喜びで。
お一人、二日にわたって見学をされた方もおられました。
「私は今回トラブル作品はなかったので、見学だけです」と。

私が金繕いの技術の習得でお世話になった高槻の豊島先生ご夫妻、すでに亡くなられておられますが、奥様が私に「最後の弟子としてその教えを広めるように」と言づてなさったことが少しでも実現できて、私も大満足です。

美術館の担当職員の方も、今回の企画がうまくいって大喜びをされて、この日手伝ってくださった女性職員が、私が帰る間際に2階の窓から大きな声で「有難う! お疲れさま!」と声掛けしてくれたのには、私も感激しましたね。

その後のことですが、昨日の1月22日(日)に兵庫陶芸美術館での登り窯作品の展示を観てきましたが、修復された亀の作品も展示されていました。
それから、これまで陶芸美術館と関係があった有名な陶芸家さんたちの作品も登り窯で焼成されていたことを初めて知りました。
何人かの作品の内、三原 研さんの作品に大きな亀裂が入っているのを見て、繕いたいなとむずむずと。
美術館職員のOBで、今も美術館に残って登り窯の責任者をされている山田さん、今回の繕いの講座に声掛けして下さった方ですが、その方に「繕いはいかがですか。ご本人の意向を聞いてもらえませんか」と申し出てみましようかね。

登り窯の作品の繕い講座 その1

2017-01-23 18:32:18 | 陶器の繕い例
丹波立杭の兵庫陶芸美術館での登り窯作品の繕い講座の1日目です。

昨年は、美術館のご好意で工房を提供していただいて、私たち陶芸文化プロデューサーの作品修復を手がけたのですが、今回は美術館側から私が講師として正式の講座として開催してくださいました。

参加者は、陶芸文化プロデューサーのメンバー以外にも、登り窯焼成に参加された方から希望者を募ってくださってです。

12月17日・18日の土日の二日間の予定ですが、1日だけしか参加できない方、作品の修復の依頼だけの方も含めて11名。

さあ、午前10時、一日目が始まりました。
今回は昨年の1回目の修復後の登り窯の作品ほどではありませんが、大破した作品も3点ほどあって、大変です。


先ずは繕いの概略説明をして、金繕いの工程などは、資料をお渡しするだけにして。

そして最初に、私が登り窯の窯出しの時に頂いた作品を置く台を修復して鉢として再利用できるようにしたもので、まだ1箇所水漏れがするもので、その箇所をトーチで温めてアラルダイトを染み込ませる作業を見てもらいました。

続いて、この作品、とてもいい仕上がりでしたが、1箇所割れていて。
ご本人は現在開催中の講座を受講中ですので、作業の見本として私が早速取り掛かりました。
アラルダイトと地の粉を使っての貼りつけ作業です。
これらの写真は、美術館の担当の職員の方に撮ってもらいました。


自分の作品の手入れを始める人と、私の作業を注視する人と。
手前の長い花器は底の部分に穴が開いています。
このあと、その繕い方法をご本人と一緒に進めて、ベースは出来上がりましたが。


この見本の作品は、テープで固定して一日目は終了です。
ご本人、お昼休みに見に来られて自分の作品が仕上がっているのをとても喜んでおられましたね。


ボランティア仲間の女性から先日の反省会の時に預かった酒器の欠けを銀繕いで修復したものを手渡して、ご本人見入っていますね。
前回修復してあげた作品もあるのに、お礼にワインをと前から言っていましたが、そのお礼はいつなんでしょうかね。日本酒の方がいいのですがね。


私は、いつも立ち呑みに持参する私の酒器、何回も銀繕いをしているものをこんなことまでしていますと参考に見てもらいました。
ところで、その女性、まだ、自分の酒器の仕上がりに見入っていますね。


今回は2日間だけですので、銀粉や金粉を使った繕いはできないでしょうね。
なんとか「新うるし」か本漆を使っての色合わせ程度まではしたいものです。


さて、鹿の置物のとてもユニークな作品ですが、少し亀裂が入っていて、その亀裂を埋める作業で結局終えられましたね。
この作者の女性随分迷われていましたが、結局色補正はなしのままで終えられました。
細い亀裂が入っていただけですので、それで十分だと私も判断しました。


大きな作品の修復も始まりました。
亀裂の入った作品もあります。


この作品、午後からどうしても避けられない用事があると、帰られた女性の大作。
仕方なしに私が途中から修復作業です。
他の人の作業も手伝いながらですので、大変でしたネ。
全体の貼付けまで、その後の修正などは2日目に頑張ってもらいましょう。


きちんと写真を撮る余裕も全くなくて、お昼の休憩も満足に取れずじまいで、終了時間の3時を過ぎるともうぐったりでしたね。
夕方尼崎に帰りついて、少し休息をとってから、いつもの立飲処「花」さんに行って、のどを潤して、しっかり料理を頂いて、2日目に備えましたね。
疲れていても立ち飲みは苦にはなりません。

さあ、今日も大変ですね。
どこまで仕上げることができるのでしょうかね。
今日はしっかりと写真を撮っておきましよう。
昨年は大きな作品を持ち帰って、個展会場で繕いをしたりしましたが、今回は全てご自分でやり遂げてもらいたいものですね。

妻も金繕いに力を入れて

2017-01-23 18:20:47 | 磁器の繕い例
(しばらく書き込んでいませんでした。
ベースになっている西宮エリアブログではすでにかなりの数の書き込みがあります。
まとめてですが、できるだけ書き込みましょう)


妻にも次女にも金繕いの技術を教えていたのですが、次女は一人暮らしを始めてその後教えられていません。

妻は引き続きトライして、だいぶ上手になってきています。

これは妻が友人から依頼された茶碗です。

先ずは、ひびの部分にアラルダイトを注入して。


そのあと、高台と口辺の部分の欠けた部分をアラルダイトに小麦粉を混ぜたもので復元して。


漆を塗ったり、銀粉を蒔く工程の写真がありませんが、これは銀粉を塗ったものを乾かした後、粉固めをしているところです。


さあ、銀繕いによる仕上がりです。


内側にも綺麗な絵付けがされた茶碗ですね。


そして、その次は湯のみです。
銀粉を蒔いている工程です。


仕上がりましたね。
ちょっと盛り上がっていますが。
だいぶ上手になってきましたね。