金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

次の繕いの依頼は高校時代の同級生から

2024-01-15 11:48:11 | 多種類の繕い例

次の繕いの依頼です。

依頼者は高校時代の同級生の女性。
 
最近同級生の集まりがあったときに、私の近所に住む男性の同級生に品物を持参して依頼したとのことです。
 
この3点です。
 
緑色のコーヒーカップは取っ手の部分が壊れて、以前にも修理してあげたものです。
他の二つにはひび(にゅう)が入っています。
 
さあ、スタートです。
にゅうの部分に接着剤をしみ込ませるために、修理部分をトーチで熱くして。
 
こちらは、接着剤に地の子を混ぜたもので接着です。

 
3点、ベースの修復の途中です。
このあと、2点は余分な接着剤を剃刀できれいに剝がして。

 

こんな状態ですね。

 

コーヒーカップの取っ手の部分は、丈夫に使ってもらうために接着剤を盛り上げたまま、「新うるし」の緑で色合わせをして。

何故か、今回は少しブルーっぽいですね。

 

あとの2点は接着剤をきれいに剥がした後、面相筆を使って黒艶漆です。

熱を加えすぎたせいで、接着剤がうんと固くなってしまっていて、きれいに剥がす作業がとても大変でしたね。

いろいろといい経験になりますね。

 

そして、湯飲みは銀の消し粉を蒔いて。

 

こちらのきれいな器は、金彩の釉薬をたくさん使っているので、金粉が似合いますね。

金の丸粉を使ってあげると、漆の中に金粉が沈んで、層をなしたとても丈夫な仕上がりになるのですが、金の価格はとても高くなっていて、丸粉だと現在20,400円/gほど

金の消し粉の価格も、14,000円/g程度と高額になっていますが、消し粉は漆の上をコーティングするだけなので、使用量が全く違ってきます。

 

内側も。

たくさん使った金粉の材料費が気になりますね。

 

そして、湿気を含んだ暖かくした容器で漆を3日間ほどかけて乾燥させて、最後の手入れです。

消し粉は真綿できれいにするだけですが、ナイフできれいなラインに整えて。

 

出来上がりました。

ひび(にゅう)がたくさん入っていましたね。

 

銀の消し粉を使った湯飲み。

 

そして、作業が容易だったコーヒーカップ。

 

3点仕上がったので、同級生に連絡を入れて届けてあげましょうか。

 

※いろんな金繕いの依頼にも、とてもお安く応じていますので、希望者の方はご連絡ください。

 尼崎市南塚口町8-31-8「陶工房たつみ」 電話090-8214-5659


次の繕いの依頼 その2

2023-12-23 18:04:59 | 多種類の繕い例

2つの磁器の壊れた取っ手の部分の接着を終えて。



 
次の工程です。
ポットの接着した部分に、まずは弁柄漆を塗って。

 

弁柄漆が乾いた後、その上から黒艶漆を塗って。

 

マグカップも同様に処理して。

真ん中の部分は少し欠けていますね。

 

そして、金属粉を蒔きますが、依頼された方は金粉で処理してほしいと。

ポットには消し粉を蒔いて、マグカップの方は手間のかかる丸粉(3号)を蒔くことになりました。

 

消し粉の方は、ラインを整えた後真綿できれいにするだけで完成です。

 

マグカップの方は、あまり仕上がりが良くなかったので、再度黒艶漆で処理して。

たっぷりと金の丸粉を使うことになってしまいましたね。

 

こんな感じに仕上がって。

この後、丸粉では生漆を使って粉固めという処理を3回表面に施します。

この丸粉を使うやり方は、丈夫な仕上がりになりますが、とても手がかかります。

 

そして、余分についてしまったな生漆をカッターナイフとアルコールを使って、きれいにはがして。

 

最後の処理は、鯛の牙での磨きです。

 

金のいい艶が出て、ようやく完成ですね。

 

もう一点のガラスの器は、「新うるし」の本漆を使って、金属粉は錫粉(ゴールド)を使って、仕上げました。

 

これも完成ですね。

 


次の繕いの依頼 その1

2023-12-22 13:43:41 | 多種類の繕い例

よく金繕いの依頼をして下さる武庫之荘の「ギャラリーR」のオーナーからの2点の繕い品頼です。

 
とても可愛い磁器2点です。
どちらも取っ手の部分が壊れてしまっています。

 

さあ、取り掛かりましょう。

 

大きなポットも。

 

それから、最近古民家カフェを始めた親戚からの依頼も1点ありました。

ガラス物は難しいですね。

 

先ずは、割れた部分の接着から。

 

そして、大きく欠けた部分の修復です。

こんな風な形で。

その2に続く。


次の繕いの依頼 その3

2023-07-26 11:37:14 | 多種類の繕い例

たくさんの繕いの依頼の続きです。

 
今回は、ベースの繕いの後、黒艶漆を塗って、金の丸粉(3号)を蒔いて、漆を乾かした後の作業です。
 
次は金粉の表面を強化する粉固めの作業です。
 
生漆をテレピンでうんと薄めたものを使って、金粉の表面を強化します。
生漆を塗った後すぐに綺麗にふき取って漆の乾燥です。
 
この作業を3回繰り返します。
消し粉だと真綿できれいなするだけの作業なんですが、丸粉を使っての作業は手間がかかります。

 

3回の処理を終えた後、仕上げの作業です。

鯛牙(たいき)で磨きます。

どんどん金が輝きだします。

 

他の繕い品も。

 

ようやく5点すべて仕上がりました。

さあ、依頼者の方に連絡を入れてあげましょう。

 


次の繕いの依頼 その2

2023-07-23 12:14:16 | 多種類の繕い例

たくさんの繕いの依頼の続きです。

 
接着剤が硬化したあと、テープをはがして。

 

一番厄介だったお皿もうまく接着できました。

 

裏側です。

余分な接着剤を剃刀できれいに取り除いて。

 

可愛い角皿もこんな具合に。

 

もう一枚の丸皿。

 
次の工程は、黒艶漆を塗って、金の丸粉を蒔く作業です。
 
まず、この角皿から。

 
そして、たくさんの割れがあった丸皿。

 

取っ手がたくさん壊れていたカップ。

丈夫な方がいいので、あまり接着剤を取り除いてしまわずに、作業を進めます。

 

漆の処理を終えてしばらく置いて、いよいよ金の丸粉を蒔く作業です。

川西の「器再楽」の教室では、丸粉を使うことはまずありません。

今回使っている金の丸粉(3号)は、金の価格が上がっている今はいくらぐらいの値段になっているのでしょうかね。

この皿、裏と表とも蒔く箇所が多くて、金粉がたくさん必要です。

取っ手が壊れたカップもそうですね。

 

さあ、5点とも金の丸粉を巻き終わりましたね。

このあと、しっかりと漆が乾くのを待ちましょう。

今の時期、温度も湿気も漆が乾燥するのに最適で、ムロは必要ありませんね。

続きます。