金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

またまた大きな花器の繕い その2

2014-04-25 11:56:13 | 陶器の繕い例
再度半日ほど乾燥させて、いよいよベースの仕上げです。

ここでは、主として水ペーパーを使います。
取っての部分もしっかりとくっついていることを確認しました。


いよいよ最後の仕上げとなります。
仕上げの方法は任されていますが、とりあえずは「新うるし」を使っての色合わせを試みます。
この花器、金粉がよく似合う色合いをしていますが、割れていない側と割れていた側の違いがなくて、割れていない部分を正面にすればいいですから。
あるいは、金粉を蒔いた方が面白いというのであれば、後からでも変更できます。


色合わせは、なかなか難しいものですが、面白味もありますね。
「新うるし」はすぐに乾燥しますので、何回か色をのせて納得いくまで作業を続けます。

完成です。


下側の赤っぽい部分。
なかなかそっくりの色合いにはなりませんが、白っぽいドットを入れるとなんとなく収まりました。


上から。取っての部分も全く目立ちません。
内側の欠けた部分の色合わせは、手も入りにくく、見えにくいので難しいですが、まあいいでしょう。
今回の作業は1週間。
満足のいく仕上がりでした。
さあ、届けましょうか。

またまた大きな花器の繕い依頼 その1

2014-04-25 11:46:06 | 陶器の繕い例
姫路の方からの依頼の大きな花器は、本格的な繕いのため未だ途中だが、また大きな花器の繕い依頼があった。

妻がお世話になっているヨガ教室で、先生からカップの欠けたものの繕い依頼の様子を見ていた方が、生け花の先生の花器を持参された。

1週間前の夜、妻は会議で不在で、立ち飲みの「花」さんに出かけようとしていた丁度その時訪問を受けた。

新しい花器を送ってもらったが、木っ端みじんに壊れていたそうだ。
それなら、「事情を相手に伝えて新しいものを再度送ってもらったらいいのでは」と携帯でつないでもらって言ってみたが、「それはしたくない」と生け花の先生。

「修繕できますよ」と預かった。

こんな状態です。
取っての部分も完全に外れて。
なんか、ワクワクしてくるな。
これは、簡易法で行きます。


先ずはアラルダイトをたっぷりと使って、接着です。
セロテープで仮止め。


さらに、接合部分しっかりと押し付けて、ズレや隙間が無いようにしてから、布テープで固定です。
取っ手の部分は、特に念入りに。
この状態で約半日。


続いて、余分のアラルダイトをカッターナイフなどで剥ぎとっていきます。
完全に乾燥してしまうと、この作業は少し厄介になります。


この作業が終了です。


続いて、割れた時に屑状になって欠落した部分の盛り上げです。
アラルダイトに地の粉を混ぜたもので。


花器の内側にも、結構かけた部分があります。


その2に続く

依頼のあった大きな花器の繕い その2  

2014-04-25 11:28:22 | 磁器の繕い例
大きな花器の本格的な繕いなどの続きです。

錆び漆を塗って乾かしてから4日目です。
繕いの部分をカッターナイフなどで削って、さらに水ペーパーで磨いて。


こんな感じです。
内側の様子も。


この花器、底の部分が薄いので、とりあえず麻布とアラルダイトを使って補強しました。
補強方法は別途、考えないといけませんね。


そして、他の繕いのものも、ナイフなどを使って整えます。


錆び漆でベースができましたが、もう一度新しくさび漆を塗って整える必要があるものも。
でも時間がもったいないので、この後はアラルダイトと砥の粉を使って再調整しました。


そして、水ペーパーで、ベースをきれいに整えます。


続いては、ニュウ(ヒビ)の部分の補修です。
これも漆を使って補強すればいいのですが、器を温めておいてアラルダイトをひびの入った部分に浸みこませます。


それが乾いてから、余分なアラルダイトをきれいに取り除き、今度は呂色漆を全ての繕い箇所に施します。


小さな繕いの品物は再び、湿度を保ったケースに入れて乾燥です。


大きな花器、結構ヒビが入っていますね。
これもアラルダイトを浸み込ませた後、呂色漆を施して、大きなビニール袋を再びかぶせて漆を乾燥させます。
今日はここまで。
ここまで2、3日の工程です。
今日はいい天気なのに、この繕い作業に追われましたね。


その3に続きます。
まだまだ続きます。

依頼のあった大きな花器の繕い その1

2014-04-23 14:15:03 | 磁器の繕い例
姫路の方からの依頼のあった大きな花器。
いよいよ取り掛かりました。

先ずは、割れの部分を改めて確認。


まだくっついている箇所が1箇所あるが、これも剥がさないとね。



口部から中を覗くと、こんな形だ。
こういう形ゆえ、中心部が薄くなってしまっているのだ。
この花器、構造的に問題ありだな。
底の補強もお願いしますと翌日に電話があったが、ここをどのように補強するかは、課題だ。


もう1箇所剥がして。


破片を戻すとこんな感じ。


本格的な繕いのスタート。
錆び漆作り。
砥の粉に水を加えて、さらに生漆を、精密なはかりの上で取り出す。
私が本格的な繕いを教えていただいた高槻の豊島先生は、S化学の研究者(化学博士)だっただけに、この配合割合もとてもきちんとしている。


錆び漆を塗って、割れた破片をのせて接着させる。


すぐに錆び漆は色が変化しだす。
私はどうも漆にかぶれない体質のようで、有難いな。
こんな簡単な作業でも、結構指が錆び漆で汚れるのです。


そして、濡れぞうきんを入れた水分のある袋の中で漆の乾燥だ。
私は、ムロなんてもっていないので、こんなやり方で。


同時に作業を進めたものが3点。

先ずは、同じ姫路の方の湯のみ。
欠けた部分の他に、綺麗に漂白したので分かりにくいが、ニュウ(ヒビ)も1か所入っている。


そして、これはいつもお世話になっている「いこま酒店」のママから依頼のあったもの。
繕い方については、任せてもらっているが、同時並行できるので、本格的な繕いで。


それぞれ、錆び漆を置きます。


これらはこんなケースの中で漆を乾燥させます。
底には濡らした新聞紙が入っています。


それから、妻がヨガ教室の先生から依頼を頼まれてきました。
グッドタイミング、これも同じ作業で進めます。
今日で3日目、そろそろ次の工程に進めようかというところです。

夜間になった繕いの会「器再楽」

2014-04-14 12:21:00 | 繕いの会の様子
この4月から、「繕いを楽しむ会・器再楽」が第2、4木曜日の午後6時から開催に変更。
その1回目の昨日、残念ながら「風邪を引いて」とか、「仕事で遅くなるので」とか、「変更を忘れていた」とかで、参加人数は少ないままであった。

でも、次回から参加者が増えることを期待しよう。

まずは、最終の仕上げを待つだけの花器。
前回までに金の丸粉をたっぷりと使って、そのあと粉固めまでを終えています。
この日は鯛の牙で磨くだけです。

磨く前です。


磨き方の手本を示した後、西宮から参加の畑谷さんに作業をしていただきました。
磨き終えた後です。
金ぴかに光り出しました。


仕上がりです。
今、このブログを書いていて気が付いた。
鯛の牙で磨く前に、木綿の布でしっかりと磨くことを忘れていた。
まあ、いいか。
出来上がりは大して変わらないだろうと。


畑谷さんは、この日は新たに植木鉢の壊れたものを持ってこられました。
大きく割れていますが、先ずはアラルダイトで接着ですね。
布テープでしっかりと接着させて、持ち帰って、翌日の朝にはみ出した余分な接着剤を刃で削ぎ落としてもらいます。
次回は、欠けた部分の補修となりますね。
これの仕上げは「新うるし」の色合わせでいいですね。


妻は、皿のベースが出来た繕いのラインを「新うるし」の青で装飾しましたが、線が太すぎるので、私が手伝って細い線を引く手本を示します。
それと、接着した部分のラインがよく見えていないようだ。ラインがずれている。


神戸からの浜田さん、この日もいろいろと持参されて。
信凛窯の仲岡さんの作品もある。
わざわざ遠くから来られていますが、作業は簡単ですね。
もうかなりベテランです。
電車で帰られますが、何より持ち運び方の工夫にはいつも感心させられますね。