銀河のサンマ

何でもあり

南瓜サラダ

2020-03-13 | 銀河食堂

 

 

 

ボクは白木蓮をみている。

白木蓮は満開で立派に上へ向かい咲いている。

白無垢

新雪

繭の中

ボクは白木蓮から色の空想に耽る。

「ねぇ、何ぼーっとしてるのよぉ」

振り向けば「好きな春に全力で向かって営業中」とペラペラ紙が靡いてる。

「銀河食堂」現る!?

しかもボクは女将のいる小料理屋の中に既にいる。

「座りなさい。南瓜のサラダよ」

「…はい」

(南瓜もマヨネーズもウインナーも銀河食堂でずいぶん克服して動揺はしていない)

「今日は、とんでもなく忙しくって昨日の残りなの、御免なさいね」

「そうなの?何で現れたの?」

「何で?知らないわよっ」急に女将がつれない顔をした。

「あ、ごめんなさい」ボクは静かに箸をとり一礼し、南瓜サラダを口にする。

「滑らかに仕上げたわ」女将がニッコリ笑顔にもどり、続けて

「中にはね、ウインナー、枝豆、玉葱にゆで卵をいれてみたわ、どうかしら」

ボクは口に含んだまま、コクリと大きく首を縦にふり「すごくイイ」と表現する。

「初めて作ったの、うふふふ」女将は白いエプロンで恥ずかしそうに顔を隠した。

「わかってる。女将は初めてシリーズがメインだよね」とボクは笑った。

「白無垢、新雪、繭の中…美しい白ね、今日やっと笑ったキミの色は何色かしら」

「え?」ボクの箸が止まる。

女将が微笑み、ボクの後ろへまわり肩をポンとたたいた。

景色は変わり、いつからボクは白木蓮の前に立っているのだろう。

あれは…幻?

満開だったはずの白木蓮の花びらは、もう散っていた。

あの店も満開の白木蓮も幻ではないと信じたい。

だってボクの歯の隙間に玉葱の筋がしっかり挟まっているんだもの。

さて、デンタルフロスでも買いに行くとするか。

白無垢、新雪、繭の中…ボクはふたたび白木蓮の花びらの色を連想し歩く。

ボクは何色だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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