銀河のサンマ

何でもあり

塩焼き鳥缶詰味御飯

2021-02-28 | 銀河食堂

 

 

春へあと一歩なのに、春の波にのれない僕。

低登山でも良いから、登って春へのモチベーションを高めたい。

青の匂いと土を踏みしめて歩く登山靴。

山頂で何食べよう。。。

無洗米を僕のお腹分だけクッカーにいれ

持ってきた塩焼き鳥の缶詰と、切って袋に詰めてきたエノキを入れる。

人参はワイルドにヘタまで入れて、白出汁と粉生姜を入れ強火でガンガン炊き始める。

登山クッキングは簡易理科な楽しさがありワクワクする。

 

 

拾った棒で土に「低登山クッキング日曜日も営業中」と書き示し、銀河食堂を真似てみる。

おっ、鍋が噴く、噴くっ。蓋をあけ混ぜて、火を止め10分待つ。

10分の一時、春の陽射しと風が、僕の何かあったであろう肩の緊張をほぐす。

はぁ、僕は何に怯えているんだろう。

僕は何故、こんなに春を感じるだけで勇気がわくのだろう。

一呼吸一呼吸、丁寧に春を飲む様に深呼吸し、クッカーの蓋をあける。

 

 

「あらー、イイじゃないっ」

ーえ?ー 僕は戸惑う。

僕の前にズラリ銀河食堂を賄う3人が立っている。

「景色も良いところですなぁ」品良い老婆の銀河食堂店主。

「是非、アンタのご飯をいただきたいもんだ、ワハハハハハ」食堂風の銀河食堂店主。

何が何だかわからないまま、僕は無言で頷き、ご飯をよそう。

あのー、、、何で此処が分かったのですか?

「塩焼き鳥の缶詰で味ご飯とは、良いアイデアで」

僕の質問を聞いちゃいない。

僕は僕のつくった、ご飯を口へ入れてみる。

低登山の今日のこの日和にちょうど良い味付けだと思う。

「ねえ、私も教えてね」若い小料理屋風銀河食堂女将が、小さくウインクする。

小さいクッカーなので4人では少ないが、皆との御飯がとても美味しい。

暫くして「御馳走様」

3人が声を揃えお辞儀した。

いやいやいやいや、そんなそんな…僕が慌てると

「疲れます、日曜日は程々に。明日からまた仕事でしょう」ニッコリ老婆が微笑んだ。

「またワシの所へ食べ来ない」店主が微笑む。

「ね?これは妄想、幻想。さ、帰るの、現実に。妄想登山も疲れるわ」

女将が少し寂しそうに微笑み、僕がクッカーに敷いていたストライプの布に一粒涙を落とした。

ー如何したの?女将…?ー

と僕が眉を歪ませた途端に、僕は現実に戻っていた。

いや、最初から現実なのだ。

僕は妄想低登山で春のモチベーションをあげたかっただけなのだから。

我にかえった僕はテーブルの上のクッカーをみて驚いた。

食べた痕跡が4人分、たしかに残ってる。

僕の何処まで妄想。。。?

 

 

 

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
« 春を書く | トップ | 16時 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

銀河食堂」カテゴリの最新記事