銀河のサンマ

何でもあり

ピーピー豆

2019-03-31 | ものかたり

 

 

 

 

ピーピー豆の花が指さしてるぅ。

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くもりぞらに花束を

2019-03-30 | 写真

 

 

くもりぞらに花束を

 

 

 

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帰省ラッシュ

2019-03-24 | わたしごと

明治から昭和に生きた祖父の頭上に桜が毎年咲いた。

生まれ土地柄関係なく、生きた様に品が漂う。

濡れ縁にすわり茶碗をもつ。

静かにゆっくり口に茶をふくみ何を考えているのか庭を眺めしばし佇む。

ただ眺めているようで、そんな単純ではないという複雑な背中をしていた。

複雑な背中の奥は深い愛がいつも伝わってくる人だった。

 ワイシャツは傷んだ衿を切り着ている。作業着は油じみや木の香りがしみついている。革靴は草臥れ踵を削り履いていた。

それでも佇む姿は品が漂い、私は祖父の静かな一服姿が好きだった。

 家事をし薪で御風呂をくべ必要なつくれる日用品をつくりながら日々を送る。

大きなものなら、箪笥、部屋を建てるという事をしてくれる。だが大工ではない(笑)

日々の私たちの生活をこなし文句ひとつ無く、寡黙で辛抱強く、多くを語らない人だった。

 
「孫に自分の全ての血をあげてください」

私の病気に祖父は医者に訴えたことがあった。けれど輸血には祖父の年齢は無理だった。

でも私は何とか今も生きている。祖父の深い愛に私は安堵し生き延びれたと感じている。

そして深い愛は今も続いている。

40年経つ桜の幹は太くなり、私の頭上でもうすぐ開花宣言しようとしている。

私には、とても祖父の様な品を漂わせる人間になれそうにないが、近づきたいと考えたり真似事をする。

多分、笑われているだろう(笑)


今年も桜の開花を見計らって桜好きな祖父が桜好きな先祖をつれ帰ってくる。ついでに動物も帰ってくる。

桜の開花は我が家では小さな帰省ラッシュなのである(笑)

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春風

2019-03-21 | ものかたり




私の作業テーブルに春風が吹く。

来週あたり桜が満開になるのだろう。

ノートが捲れる、髪が乱れる、カーテンが遮光の役目を果たせず靡く。

そして春風は思い出をめくる。


 日々の授業は退屈だった。

緊張感ある中で私語ができないという空間は大の苦手だった。

ある日、隣の机から消ゴムが床に落ち跳ねた。

私は拾い、持ち主と顔みあわせニッと笑い渡す。

持ち主はまた黒板の方を向くが、私は転がった消しゴムに笑いを堪えるに必死だった。

教科書とノートを立て制服の袖で顔を隠し、声を圧し殺し笑う。

だがノートを盾にしたとて肩が震えているので先生が直ぐに気づき注意を受ける。

ついでに宿題をしていない事がバレて私の頭は何らかでコンとこつかれる始末。

余談だが、宿題を一度もしたことがない(笑)

こつかれた後、ようやく先生によって私の笑いのスイッチが切られる。

退屈だった時間は割としょうもない事で笑い過ぎていく事が多々あった気がする。

 当時、消しゴムに好きな人の名前を書いてカバーをし誰にも気づかれることなく使いきれると恋が叶うという噂がたった。

私は隣から転がった消しゴムを拾った際、ケースを外し男子の名前が書いているのを見たのである。意地悪いと思うだろうが、そうでもない。

少数で統廃合も無く、小中と過ごした私の学校は、大体みんな何処かで一度は同じクラスになるくらい世界は狭かった。

故に好きな人といっても限られ、好きな男子が被る女子は割といた。だから消ゴムを落とした持ち主も若干は恥ずかしそうにしていたが、大凡検討はつくので顔を見あわせニッと笑い、やっぱりね、具合な感じの軽い合図だった。

 だが私は何故笑いが止まらなかったかというと、私の消ゴムにも同じ男子の名前がを書いていたのだった。誰も検討もしていなかったと思う。

好きだから書いたのではない、少数の世界を知り過ぎて好きな人もできなかった。

しかし「書けば恋が叶う」は本当説か知りたくて、未発達な私の頭は恋せず学年の限られた人の中から選んで書いてみたのである。


 この話のオチは簡単で数日後、私が机からポロッと消ゴムを落としてしまい、落ちた近くの席の子が拾い見られてバレたのである。

そのとき拾った相手の顔が、嘘っ?!と顔を示した。

静かな授業中、嘘だよ、と返す表現が焦れば焦るほど嘘臭い。

結局、恥ずかしさと笑いに堪えかねて教科書とノートを盾にし袖を顔で隠し、肩を震わせる私は先生に気づかれ、頭に何らかコンが落とされ笑いのスイッチが切られたのだった。


 若いとは箸が転がっても笑うというが、確かに今の私は笑うことは少なくなったし、笑わない日もある。

でも思い出はノートや教科書のなっていて春風が吹いた様に捲られる。

同じ場所、同じ頁を何度も捲られることもある。

そして若い時と等しく笑う。

過去だけでなく不意打ちされたかの様に瞬間(今)笑うことがある。

それも印象的であれば思い出ノートに記され、どこかで捲られることがあるのだろう。


 作業テーブルの上にワンカップの空き瓶がある、使いかけの消ゴムが10以上詰まっている。

春風が吹いても、びくともしない。

今までに1つも消しゴムを使いきった事はない(笑)

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くまこ(春)

2019-03-13 | ものかたり(くまこ)




くまこは甘えん坊さんねえ」

きょうだいの中で一番早起きの、くまこはお母さんに抱っこしてもらうのが日課です。

くまことお母さんはお弁当をこしらえながら外をちらちらみています。

庭に淡いピンクの桜が咲き、今日はみんなで花見をしようと昨日から家族会議できめていたのでした。


 
 一匹の猫が道端に捨てられました。

目が開いて二週間ばかりでしょうか。

 猫はおぼつかない足で必死に歩き自分のお父さんやお母さん、お兄さんや、お姉さんを探しました。

けれども見つかりませんでした。

歩けなくなったら塀をもがくように登りあたりを見わたしましたが見つかりませんでした。

日が暮れても誰も迎えに来ることはありませんでした。

お腹が空いてきた猫は落ちているゴミ袋の中に食べ物をみつけましたが、小さな手ではゴミ袋を開けることはできませんでした。

(どうして僕だけ捨てられたのかな)

猫はとても悲しくなってしまいました。

 

 何日か経って猫は、お腹が空きすぎて力がでなってしまいました。

夜の塀の上からは、いろいろな家のあかりが灯ってきます。

美味しそうに夕飯を食べている匂い家。

お父さんが子供とお風呂で、はしゃぐ声。

女の子が面白そうに本を読んで笑っている所もありました。

 猫はうらやましくてたまりませんでしたが、それよりもお腹が空いて、あと十歩しか歩けそうにありませんでした。

「一歩、二歩、三歩、四歩、五歩... 」

塀の上でつぶやきます。

「六歩、七歩、八歩、九歩、十歩」

数え歩き終わったところに一軒の小さなあかりの灯る家にたどりつきました。

小さな家の中はにぎやかな様子です。

猫は少しかがんで窓のなかの部屋をのぞいてみることにしました。

(一、二、三、四、五、六っ!)

猫はおどろきました、だって、その家には猫がたくさんいるんだもの。その時

―ぐーっ!―

猫のお腹もおどろき大きく鳴りました。

猫はすぐさま、その家に向かって叫びました。

「みゃあ、みゃあ、何かちょうだいよ!」

すると家にいた一匹の猫が塀のうえにいる猫に気づきました。

「みゃあ、みゃあ、お腹ペコペコ!」

家にいた二匹目の猫が塀のうえにいる猫に気づきました。

猫はうらやましくて悲しくて、お腹が空きすぎて叫びました。

「みゃあ、みゃあ!お腹がペコペコ!みゃあみゃあ、苦しいよ!みゃあ、みゃあ、何かちょうだいよー!」

猫の声は次第にかすれ静かに目をつむり涙がこぼれ毛がぬれてゆきました。

(今日もご飯を食べることができなかった)

猫の心は何とも言えぬ苦しさにふるえました。

 すると「あら、塀のうえに子猫がいるわ」

家に住んでいる女の人が猫の声に気づき窓をあけ顔をだし猫をみつけました。

「捨てられたのかしら?」

誰かと話しているようです。

「おや、可愛い子猫だね、迷い子かい?」

「小さい子なのにね」

女の人は悲しい顔をしました。

 猫は目を開け最後の望みをかけ力をふりしぼり叫び言いました。

「みゃあ、みゃあー!家にいれて!お腹ペコペコ何かちょうだい!みゃあ、みゃあ!」

「この子を家に迎えてもいいかしら?」

「そうだね、じゃ塀のうえから部屋までジャンプできたら家族になろう」

「みゃあ、みゃあ!こわくて高くてジャンプできないよ!」

家にいる猫が皆あつまってきました。

「にゃあ、にゃあ、頑張って!」

「みゃあ、みゃあ、怖くてできないよ!」

「にゃあ、にゃあ、君ならできるさ!」

 

 塀のうえから部屋までの高さ二メートル。

家の猫たちの声援もあり猫はふるいたちました。

小さな手に力を入れ、肘をのばし深呼吸、耳をぴんと立て、お尻をあげて

「みゃおんっ!」

下へ下へ大ジャンプ、そしてドシーン!

大きな尻もちをつき部屋へ着地。

「この子本当にジャンプしたわ!お尻いたかったわね、おりこうさん」

 猫は痛いのなんて平気でした。

それよりお腹が空いてたまらなかったからです。

待っててね、と女の人は部屋の奥にゆき、急いでお皿いっぱいにのせた魚ご飯をもってきました。

猫は皿にとびつき、うなりをあげ夢中で食べました。何日も何日も食べていないからです。

「あわてて食べると、お腹いたくなるから気をつけてね」

女の人は、ほほえみ猫をなでますが猫はききませんでした。

それよりお腹が空いてたまらなかったからです。

男の人がそばにきて言いました。

「とてもお腹空いていたんだね、苦しかったね、ところでどこから来たんだい?」

猫はどこからきたのか、今は言いませんでした。

それよりお腹が空いてたまらなかったからです。

 六匹の猫も猫のまわり囲み、みまもります。

「名前はあるのかい?」

一匹の猫がそっとたずねました。

猫は口に魚ご飯が入ったままモゴモゴしてこたえました。

「く、く、くまこ」

これはお腹が空きすぎても言わないといけない、猫にとって特別なものでした。

黒に近い茶色の毛が熊の子にそっくりだと、その猫のお父さんとお母さんが猫が生まれた日に名づけたのでした。

名前を聞いて安心した猫たち男の人、女の人、皆にっこり。

「くまこ、ようこそ!」

この日から猫のくまこは六匹のお兄さん、お姉さんができました。

男の人はくまこのお父さん、女の人はくまこのお母さんになりました。


「さてさて、寝起きの遅い皆を起こしましょう、くまこ」

お弁当つくりがおわり、くまこは抱っこされ皆が寝ている部屋へ向かいます。

「みゃあ、ごろごろごろ。起きて!花見をするんだよ!」

「おはよう、くまこ。今日も抱っこかい?甘えん坊さんは早起きだね」

寝ぐせをつけ目をこする、お父さん。

「にゃあ、おはよう、くまこ、お母さん。花見たのしみだね」

一番上のお兄さんコテツが伸びをして起きてきました。

「にゃあ、おはよう、お弁当もう出来たの?」

二番目のお姉さんミャンが顔を洗いはじめ、次々あくびをしながら起きました。


 
 桜の木のしたで花見がはじまります。

お弁当には、お父さんの好きなおにぎりいっぱいと、子供たちの大好きな魚ご飯がぎっしりつまっています。

その時です、すずめたちが桜の花をついばみ、ちょんちょんとお弁当のうえに落ちました。

「桜ご飯だー!」

くまこが大きな声ではしゃぎ、お兄さんもお姉さんも舞う花びらを追いかけます。

くまこはもう、ひとりぼっちになることはありませんでした。

 

 













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